異国を楽しむ

池内紀さんのエッセイ。内容は「旅へのいざない」。異国とは言ってもヨーロッパ限定だけど。

この人はほんとによく旅をしてるんだなあと思った。
旅好きだったら「うんうん、そうそう!」とうなずく話が次々と出てくる。
あまり旅をしない人も、いっときの「仮想旅行」を楽しむことができるはず。
多くの旅の体験なくして、この文章は書けない。(でもいくら体験があっても、文才がないと書けない。)
金銭的にも、時間的にも、元手がかかっているという意味において、とても贅沢なエッセイである。

「うんうん、そうそう!」の例としては、カフェの話がある。
旅行者は落ち着きがない。やすらぐはずが、とりとめのないことに翻弄される。それというのも異国の地では、すべてとりとめのないことが重要であって、その一つ一つがひとしい価値をもっているからだ。軽食と、脚の疲労回復と、予定の確認と、絵葉書と、財布の中身。どれもが等価値であれば、何を先にして、何が次かは問題ではないだろう。その結果、当人としては気になることを順に解決しているつもりでも、他人の目には、モゾモゾ、ゴソゴソして気ぜわしいだけに見える。そんな異国人を年配のボーイが、こころえ顔にながめている。

私にはまだ縁のない世界はこんなふうに描かれている。
オペラ座はとりわけオペラが始まる前がおもしろい。
フロアの鏡の前で女が髪に手をそえている。シミのある白い肩、ダイヤの首飾り、マニキュアをした細い指、ゆたかな腰と形のいい脚。そのうち、何か思惑ありげな表情で左右を見た。まっ赤な唇、やや険のある鋭い目。(中略)階段の下から口笛のような音がした。鏡の前の女が振り返る。背の高い蝶ネクタイが見上げている。女の険のある鋭い目が一変した。こぼれるような笑みを浮かべて近づいていく。軽い抱擁と両頬のキス。男が女の耳元に口を寄せて、何やらささやいた。マニキュアをした女の指にこころもち力が加わり、さりげなく男の手にからみつくーーー

おお! まるで映画の一場面みたい。
いつの日か、オシャレしてオペラ座に行くのが楽しみです♪
・・・・・・でも一人じゃなあ。。
別に背の高い蝶ネクタイじゃなくてもいいし、軽い抱擁と両頬のキスがなくてもいいけど、エスコートしてくれる人が欲しいよー!!

この本に関する情報はこちら


この本とは全然関係ないのですが・・・
メインサイトではラオス旅行記連載中です。
ランキングに参加しちゃったりしているので、お暇なときに「えせバックパッカーの旅日記」を覗いて「ぽちっとな」していただけるとありがたいです。
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by foggykaoru | 2009-03-04 21:37 | エッセイ | Trackback | Comments(8)

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Commented by ふるき at 2009-03-04 22:15 x
 カフェの話、私も実感します。
 昼間、歩くのに疲れた時にカフェに入るのですが、ただ座っているのが勿体無くて、旅行日記か絵葉書を書いています。一人旅が殆どなので喋る人もいないし。
 しかし、ウィーンの馴染の店では、味わう事とコックさんと話す事に専念しています。
Commented by kiri: at 2009-03-04 23:03 x
15年ほど前、kiri:の夢(旅に関する)は3つありました。。。

オーロラを見ることと、たてごとアザラシの赤ちゃんに会うこと、
それと、ウィーンで、
ニューイヤーコンサートとニューイヤーオペラ(オペレッタ)を見ること。。。
(うち2つはやっとここ数年でクリアしました。。。)

営業の外回りだったので、お盆、年末、年度末・・・
まず休むことができない時代でした。。。

ある年末近く、なんとなく休めそうな雰囲気です。。。
旅行だとなると、お土産とかめんどうくさいので、
なんか適当な言い訳を考えてどうにか12/29から休めることに。。。
(当時は12/30まで仕事だった。。。)

仕事初めには帰ってこなくてはならないので、
不安定な自然ものはパス。。。で、ウィーンへ。。。

航空券はおさえたものの、宿があやしい。。。
基本的に完売しているジルベスターにニューイヤーコンサート、
お高いホテルはキャンセル待ちだが、それがとれないと
コンサートチケットがとれないも同然だぁ。。。
(コンシェルジュの力が鍵なのである。。。もちチップもお高いが。。。)
Commented by kiri: at 2009-03-04 23:05 x
<part2>
ぎりぎりで、宿がとれた。。。
その日から、電話とファックスで、どうにか到着までに
とっておいてよ~! とお願いしまくり。。。
元値は忘れたけど、プラス10万円までは出すつもりだった。。。
(ほんとは、10万プラスじゃ手に入らないくらいだったんだけど...ahaha...)

宿に到着して、すぐにコンシェルジュのおっちゃんに、
どーだったぁ、って確認すると、とれてるって。。。
まぁ、いろんな手を使ってくれるので、ある種ダフ屋的な側面も。。。(苦笑...)
で、3席、いろんなとこ。。。1階(アリーナ?)のかなり前のとこは
30万プラスだとか・・・で、7万プラスで上の方の席。。。
中間の12万プラスでアリーナのまん中よりちょい後ろくらいの席、ゲット!
(当時はバブリーだったのよねん。。。はぁ...貯金しとけばなぁ...(笑))

で、コンサートの中身ではなくて、始まる前、休憩明け等、
中側の席の人が座席の列の端に立つ。。。
と。。。空いてる目的の席と思われる場所への何人かが、サッと立つ。。。
ほんとにササッと立つ。。。それも隣の人と話ながら、本を読みながら、
何をしていても、それを中断することなく、サッと立って、通してあげる。。。
Commented by kiri: at 2009-03-04 23:06 x
<part3>
んんん。。。なんとも気持ちのいい。。。

日本でコンサート会場なんかでは、せっかく落ち着いたのに、もぉ。。。
ってなもんで、ひざをすぼめたり、半立ちで通ってもらったりしてたのに、
ほんとに目がテン。。。
それも、この方々(地元?)は、そうすることが当たり前で、
条件反射的に、嫌な顔ひとつしない。。。
これは素晴らしい。。。素晴らしすぎる。。。

帰国して、kiri:は、紳士です。。。
コンサートで、通路から人がきました、開演間近です。。。
座席の前には荷物、ひざの上にはたたんだコート。。。

もちろん笑顔で、サササッ。。。です。。。
とってもスガスガしい。。。いい気持ちです。。。
が、そんなことおかまいなしで、礼儀のない通り方をしてゆく方々も。。。
で、いつのまにか紳士返上です。。。
反対側の通路からの方が近いのに、なんで、なぎ倒すように
ここ通るのさぁ。。。(安いペンキはすぐ剥げるようです。。。ohohoho...)
Commented by foggykaoru at 2009-03-05 21:47
ふるきさん。
カフェといえば、、、
今、キテるのは「おやじカフェ」でしたっけね(笑)
Commented by foggykaoru at 2009-03-05 21:49
kiri:さん。
なるほど。
オペラ座のツボは「サササッ」なのですね。
いつの日か行ったときは、しかと確かめてまいります(爆)
Commented by meadow02 at 2009-03-09 23:20
洒脱な文章ですね。旅に出て何が思い出に残るのかというと些末なことなんですよね。初めての時は一人で見学してお買い物して宿に無事戻れた時が嬉しくて興奮したのを今でも覚えています。スマートじゃなくてもこの細々したことが一番楽しかった思い出です。
だから読んでみたくなりました。また積ん読が増える。
Commented by foggykaoru at 2009-03-10 22:04
meadow02さん。
ぜひ積ん読してください♪

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