「絶対音感」

一昔前、大変な評判をとった本。
読んでいた友人に感想をきいたところ、「絶対音感だけでこんなに長い本が書けるなんてたいしたもんだと思う」という言葉が返ってきたことを覚えている。
先日、古本屋で見つけて購入。
読んでみて、友人の言葉に納得した(笑)

この本を書くにあたり、著者は多くの音楽家に絶対音感についてのアンケートを送ったのだそうで、そうして得た回答が紹介されているのだけれど、「あなたは絶対音感があるか」という質問に対し、「はい」と答えた人々のレベルにはかなり差があるのではないか。

私の思う「絶対音感」とは、ほんの数ヘルツのずれも聞きとれて、すべての物音(←音楽に限らない)を音符で書きとれるというレベル。
聞こえてきた「音楽」を音符で書きとれるのは、そこそこ音楽をやっていれば当たり前のことで、その程度は「絶対音感」とは呼ばないのだと思っていた。だが、そのレベルの人が「私は絶対音感を持っている」と思っているということも、どうやらあるらしい。

で、「絶対音感」は音楽をやるうえで持っていると便利な技能のひとつにすぎない、でもがんじがらめになると、かえって困ることもある、というのが結論らしい。

ふと思ったのが、htmlタグ。
たとえば、ホームページを作成するとき、文字や背景をこんな色にしたいなあと思ったら、凡人の場合、「htmlタグ辞典」とか、「ホームページ作成支援サイト」のカラーコード一覧表の中で、気に行った色を選び、そこに表示されているカラーコードを入力する。
たとえばこのサイトこんなページ
でも、「絶対感(←そんな用語は無いと思うが)」を持っている人なら、「この間買った、あのワンピースの紫と同じ色の文字にしよう」と思ったら、カラーコード一覧表を見ることなく<#cc4d99>とタグ打ちできる、ということ。
でも、いくらそういう感覚が鋭くても、カラーコーディネートのセンスがなかったら、なんにもならないし、カラーコード一覧表に記載されていない色は限りなく存在するわけで。

ところで、我が国においては一時期、絶対音感がもてはやされ、学校の音楽の授業でもピアノをポンと弾いて「この音は何ですか」ということをやったのだそうだ。
それは私の母の子供時代にあたる。

母は自分が音痴だと思い込んでいる。(私に言わせれば音痴のうちには入らないのだが。)
それというのも、先生が弾いた音が「ド」だか「レ」だか自分にはさっぱりわからなかった、ピアノを習っている友人は聞き取れたのに、という理由で。
私はというと、学校の授業では、ついぞそんなことをさせられたことがない。
どうして戦前なのにそんな高級な授業をやっていたのかと、かねがね不思議に思っていたのだが、この本を読んで謎が解けた。

戦前の絶対音感教育のせいでコンプレックスの塊になった母は、「我が子には自分のような思いをさせたくない」という一心で、私にピアノを強いたのである。
その結果、今の私がいる。
友人のクラリネットによる「Many meetings(さまざまな出会い)」のピアノ伴奏をしたり、友人たちのティンホイッスルやバイオリンと一緒に「Concerning hobbits(ホビットについて)」を演奏して幸せに浸る、今の私が。

思わぬところで、「自分という人間のなりたち」の一部が明らかになった。
ありがとう絶対音感(爆)

この項の続きはこちら


この本に関する情報はこちら
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by foggykaoru | 2009-04-14 20:48 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(24)

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Commented by hami_tree at 2009-04-14 21:54
あー、絶対色感があっても、この色のカラーコードはこれ!って選び出すのはちょっと難しいような気がします。
近似色が山のようにあるせいもありますが、
パソコンの性能によっても色の見え方が違ってきますし。
先月、かおるさんのHPを見て「白背景」といったのがいい例です。
今使っているPCは色の表現能力が弱いのです。
カラーコードを見て「白じゃない」ってわかったけど、見た目は白にしか見えてないんです(^^;)
この辺がPCの悲しいところ。
Commented by Titmouse at 2009-04-14 22:07 x
私の音感は音符が多少わかる程度・・・なんだけど、クラを始めてから音感がずれちゃって、ドの音がレと聞こえるようになりました。(A管のクラを吹くとさらに半音低いのでさらにわけがわからなくなります。)なので、レと聞こえてるのが本当にレなのか実はドなのかわからないという困った状態になっています~。
Commented by むっつり at 2009-04-14 23:24 x
私は音感は皆無
学生時代から英語と音楽の授業は苦痛以外の何ものでもありませんでした
ついでに言えば色彩感覚もあやふや…

*YouTubeで見つけた動画です…
www.youtube.com/watch?v=eOmMxh5h0_k
英語が苦手なので残念
感覚が貧弱な私です
Commented by hajjikko at 2009-04-15 00:25
関連性のない名前を付けてしまった。。。(笑)

kiri:ざんす。。。みんなのexiteの、
バンザイマークでの書き込み、うらまやしくて。。。(aha...)

kiri:は小学校4年で、ピアノは挫折。。。
小学校の中の修道院で習ってたんだけど、
なんか、放課後のそこ、怖いの。。。
廊下ギシギシ言うし、薄暗いし。。。

ついでに、女の子が7割みたいな学校で、
習ってたのも、kiri:以外は全て女の子!
...というピアノ教室。。。

ちょうど、女の子を意識はじめた頃で、
一緒に順番を待ってるということがすごい苦痛で、
だめだ、おらにはもうできねーって。。。(爆)


そうそう、絶対音感。。。
なんか、だれか女優(絶対音感なそうな...)がインタビューで、
みんなにうらまやしがられるけど、普通の会話とか
雑音とかが、今、この音とこの音がこーなって、
って無意識に考えてしまって、逆に辛いとか。。。

なかなか、いいことばかりがあるわけでもないか?
(それぞれの感じ方・考え方で変わってくるんだろうけど.....)
Commented by ケルン at 2009-04-15 00:38 x
いま弦楽器についての本を2冊並行して読んでいるのですが、まさに昨日から今日、絶対音感についての記述がありました。

例えば、ある歌のフレーズを歌って、一音はじまりの音を上げて歌っても、それはちゃんと歌になっている。これは、音符と音符の上下の関係をわかっていればできることで、相対音感を使って歌えているということ。また、音の基準はここ何百年かのうちで変わってきているので、バロック音楽などは、書かれた時代と今とで、ごくわずかに基準の音の高さが違う。絶対音感を持っている人はバロック音楽の演奏に困るのではないだろうか、というようなことが描かれていました(私の乱暴な要約かもしれませんが、2冊とも、絶対音感が有用か否かという点では、否定的なようです)。

駅のチャイムは、ただでさえうるさいのに、いちいち音符で考えていたらさぞ疲れることでしょうね・・・
Commented by ラッコ庵 at 2009-04-15 08:58 x
この本読みましたが、絶対音感どころか音楽の知識が欠けてるのでチンプンカンプンな部分もありました。でも結構面白かったような記憶が。
この人の「1001話を作った人・星新一」は面白かったです。

聞いた話ですが、絶対音感のある人は「ドレミの歌」が苦痛だそうです。
言葉では「ドはドーナツのド」と言いながら音は「ド」じゃないから。
大変だねえ。
Commented by グワイヒア at 2009-04-15 09:18 x
そうそう、ケルンさんの仰る通り・・・
古楽器はピッチ、低いんです。
今のチェンバロって、今用と昔用に瞬時(?)に変えられるんですよ。鍵盤を、ひとつぶんずらすと、たとえば、ドを弾くとシが鳴る。でもそれは、昔のドで・・・
調がずれて聞こえてくるから自分で何をしてるかわかんなくなります。ときどき耳が古楽モードになるようになりました。
古楽器で録音しているCDは、低いしね。
昔は地域によってピッチが違ったそうなので、鍵盤ひとつずらしても、その作曲家が使っていた高さで弾いているってわけでもなさそうです。

何の音なのか、わからない人がいるって気づいたのが高校生のときで、ほんとに心底びっくりしました。それが普通だと言われたけど。
自分は、ソラシドとかって、口で言ってるように聞こえるから、わからない世界はどんな世界なのか興味あります。
ちっちゃいときは、ほんとに言ってるんだと思ってた。ピアノが。(^o^)

かおるさんの言うように、すべての物音を音符には出来ませんけど。(^^;;)
噪音だとね・・・ある程度は楽音じゃないと。

わかっても、別に辛かったり疲れたりはしないよ・・・
考えてるわけじゃないから。
Commented by veronica at 2009-04-15 20:13 x
こんばんは!お久しぶりです。

娘に絶対音感をつけたくて1歳でピアノを買い、2歳半から習わせた友人がいます。無事に絶対音感を持つようになったと、ご満悦です・・・・・。
私も息子も娘も相対音感しかありません。
子供の頃、どうしてあんなにシャープやフラットをつけるのか不思議でした。今は、何となく音色のやわらかさの違いが感じられるような気がしますが・・・・。

そして色!
ヒトの眼は弾力のある水晶体の厚さを変えてピントを合わせていますが、年齢とともに硬くなって近くが見えにくくなってきます。この老眼だけでなく、色の見え方も変わってきているそうですよ!やはり少々黄色味がかってきてしまうのですって。
Commented by foggykaoru at 2009-04-15 21:01
はみさん。
ふふ。はみさんから突っ込みがあるかなと思ってました。
確かに、絶対色感があるだけじゃダメです。
「パソコンのモニターが常に同じなら」という条件が必須ですよね。
Commented by foggykaoru at 2009-04-15 21:02
Titmouseさん。
そうかー 楽器によっては音感がずれちゃったりすることがあるんですね。
そういう意味においては、ピアノは安全です。
なにしろ調律をプロがやってくれるんですから。
Commented by foggykaoru at 2009-04-15 21:05
むっつりさん。
そうかー 私は音楽と英語がいちばん得意でした。。。
動画は、、、時間がかかるから、あんまり見ないんですよ。
むっつりさんの日記になかなかコメントつけられない理由の一つは、動画を見なくちゃならないせいなんです。。。ゴメンナサイ。
Commented by foggykaoru at 2009-04-15 21:08
hajikko@kiri:さん。
おお、ピアノ習ってらしたんですね! お坊ちゃま♪
「絶対音感があると邪魔」と感じる人、いるんですってね。
これに関して、ちょこっと思うことがあるので、新しいポストを書こうかな。
Commented by foggykaoru at 2009-04-15 21:16
ケルンさん。
そうそう、相対音感ね。
私はピアノを習い始めて2、3年ぐらいで相対音感はばっちりついて、テレビ番組の主題歌とか、いたずら弾きできるようになったのです。でも、同じキーで弾けるわけではなかった。
今まさに流れている音と同じ音を一発、、、までいかなくても、まあ2、3発で見つけられるようになるには、7、8年ぐらいかかりました。
で、高校でコーラス部に入って、毎日音叉で音取りしたおかげで、「ド」の音を覚えました。
だから、傍から見れば、私も絶対音感があるのかも。
でも、私の耳はそんなにたいしてよくないです。
微妙なずれはあんまりわからない。4分の1音のずれぐらいならわかるだろうけれど、それ以上細かい差はさっぱりです。
Commented by foggykaoru at 2009-04-15 21:21
ラッコ庵さん。
「この本、大評判だったけれど、ある程度音楽をやってないと、わからないところも少なくないだろうな」と思ったんですよ。
あと、言語習得を例にひいているところがあるでしょ。
あのあたりも、ぴんとこない人が多いかも、、、と思ったんですけど。
「ドはドーナツの<ド>」のところですね。なーるほど。
原詩だったら
Doe, a deer, a female deerだから問題無いのにね。
Commented by sugachan2 at 2009-04-15 21:22 x
この本、私も昔読んだことがあります。
同じ能力を持っていながら、これを活用する人、活用しない人などいろいろな人が登場して、人生いろいろ(ちょっと前の首相でないですが)だなー。と思った記憶があります。
家が引っ越したときに本棚の奥から出てきたので、また読もうと思っていたところです。
Commented by foggykaoru at 2009-04-15 21:27
グワイヒアさん。
>調がずれて聞こえてくるから自分で何をしてるかわかんなくなります。
でしょうねーー
私は一度、何十年も調律してなくて1音下がってるピアノを弾いたことがあります。
気が狂うかと思いました。
ピアノ弾くときは、自分が弾いて聞こえてくる音を予想しているんですよね。
その予想がすべてはずれるから、何がなんだかわからなくなって大混乱で、ほとんど何も弾けませんでした。。。

>わかっても、別に辛かったり疲れたりはしないよ・・・
訓練の結果、絶対音感を叩きこまれた人は、音が聞こえるたびに「これはソ」とか思うのかな?
グワイヒアさんの場合は絶対音感が自然に身についているから大丈夫なのかな?
Commented by foggykaoru at 2009-04-15 21:30
veronicaさん。
ふーん。
そのお母さんの言い方をすれば、私も絶対音感があることになるんでしょうね。。。

>色
私も若い人に比べたら黄色い世界を見てるんでしょうねー
でも、色はすぐ慣れちゃうから。
サングラスしてても暗く感じくなるのと同じこと(爆)
Commented by foggykaoru at 2009-04-15 21:35
sugachan2さん。
あらら、私と同時にコメントくださったんですね! 
見落とすところでした。

そう、人それぞれなんですよね。。
まず第一に、「絶対音感」の定義がはっきりしていないんだなと思いました。
その上、「この人は絶対音感がある」ということが計測できないし。
底無し沼みたいな主題を、よくもまあここまで突き詰めて書いたものです。
Commented by サグレス at 2009-04-15 22:07 x
「色」でまず反応しました(笑)。
年を取ると、水晶体が黄色っぽくなるので、若い人よりも「黄色さが少ない」世界を見ることになるのです。オレンジ色の光の下ではオレンジ色が白く見えるのと一緒です。晩年の母が、黄色い箱を「白い箱」と言った時に、「おぉ、こういうことか」と私は納得しました。

ところで絶対音感。私は持っていない、と胸を張って(?)断言できます。そのおかげで、ピッチの違う古楽器もモダン楽器も全然違和感なく楽しめます。
だけど、単なるアンケートではなくて計測の方法もありそうな気がする。そういう研究をして役立つとは思えませんが、単に興味のためにやる人がいても、いいかも。
Commented by sugachan2 at 2009-04-15 23:11 x
サグレスさん
水晶体が黄色くなって。。という話は小学校の2年くらいに初めて聞いて、何かがっかりした記憶があります。
 この頃ではこの”がっかりした”ことがとても印象深く、ん十年経ってもよく覚えています。そして、ときどき青空を見上げて、子どもの頃だったらもっと鮮やかに見えていたんだろうな。。と思っています。
(でも記憶のバイアスで感覚的に変わらないかもとも思ってしまうのですが、、)
Commented by サグレス at 2009-04-16 00:35 x
sugachan2さん、
確かに、記憶のバイアスというのはあるんじゃないかと思います。母の色覚は、箱とか服とか人工物で特に「黄色ぬき」になっていたようでした。昨年秋に鮮やかに黄色い銀杏並木の下にいた時、別に彼女は「銀杏が白い!」とは言いませんでしたから、「銀杏は黄色いもの」という記憶によって脳内で補正されていたのかな、とも思うのです。(わざわざ確かめたりはしませんでした。看護の精神からはずれますからね・・・)
Commented by foggykaoru at 2009-04-16 20:42
sugachan2さん。
あらま、そんなにがっかりしなくてもいいのに。。。
でも子供心にがっかりしちゃったんですね。
私の目は色がどうこうという問題じゃないです。
遠くも見えないし、近くも見えない(核自爆)
Commented by foggykaoru at 2009-04-16 20:43
サグレスさん。
黄色がない世界になるんですか。。。
じゃあ、自分が黄疸になっても、鏡見ても気がつかなくなってしまうんだ(爆)
Commented by サグレス at 2009-04-17 23:32 x
黄疸!
そりゃぁ気がつかなかったな! 年を取ったら顔が黄色いかどうか、若い人に見てもらわなくちゃなりませんね。

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