年老いた英国女性

ミシェル・サルドゥーの3枚組CDの2枚目を聴きました。
耳に飛び込んできたのが la vieille Anglaise(年老いた英国女性)という言葉。
さらに「フランスは私を見捨てた」なんて言っている。
なんじゃこりゃと思って、歌詞サイトで確認。(フランスのCDは歌詞カードが入ってないのです)


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クイーン・メアリーと呼ばれた年老いた英国女性は
祖国の崖を遠く離れたカリフォルニアの埠頭で沈んだ
彼女を思うと
海に呑み込まれた漂流物や
夢を追い求めふるさとに戻れなかった長い手紙の数々を
うらやましく感じられる

もう二度と私のことをフランス[1]と呼ばないでくれ
フランス[2]は私を見捨てたのだ
もう二度と私のことをフランスと呼ばないでくれ
最後のお願いだ

私は巨大な船だった
1000年だって航海できる
私は巨人だった
大海と互角の勝負ができた
私は巨大な船だった
あまたの恋人たちが私に乗った
私はフランス[2]だった
でも今何が残っているというのだ
鵜につつかれる死骸同然だ

もう二度と私のことをフランス[1]と呼ばないでくれ
フランス[2]は私を見捨てたのだ
もう二度と私のことをフランスと呼ばないでくれ
最後のお願いだ

クイーン・メアリーと呼ばれた年老いた英国女性
彼女のようにカリフォルニアの埠頭では死にたくはない
世界最大の戦艦に沈没させてもらいたい
生まれ故郷ブルターニュのサン・ナゼールで
船底をさらしたい
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題名は「 le France 」。
フランスという国名は「 la France 」。女性名詞なので冠詞も女性形。(歌詞の中の[2])
ところがこれには定冠詞の男性形が付いている。
一瞬、目をむいてしまったのですが、よくよく歌詞を読むと、船の名前だということがわかります。つまり「フランス号」。(歌詞の中の[1]) 
以前からもしかしてと思っていたのですが、英語圏とは違って、フランスの船は一般的に男性らしい。

それでも歌の意味がわからないので、フランス語版Wikipediaで調べてみました。
それによると、この歌は、1975年当時ル・アーブル港の「忘却埠頭」とよばれるところに繋留されていたフランス号へのオマージュとして書かれたらしい。
繋留されて動かない船の悲哀。
動かない船は船とは呼べない。

Wikiによると、サルドゥーはいわゆるマルチ人間で、「歌手」というより「自作自演のアーティスト」と呼ぶべきなのだそうで。そして、彼の書く歌詞の多くは一人称なのだそうです。
あるときは田舎の司祭になったりする。
船にもなる、ということでした。


・私とサルドゥーとの出会い、そして田舎司祭の歌についてはこちら
・(フランス号とは無関係ですが)フランスの他の艦船の名称についてはこちら
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by foggykaoru | 2009-05-24 09:24 | バベルの塔 | Trackback | Comments(4)

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Commented by むっつり at 2009-05-24 11:38 x
忘却埠頭でググッたら、ここに戻ってきました
フランス号ってわずか二十年の活動期間しかなかった豪華客船ですね
調べてみたら、この時期の豪華客船って、すべて不運なような…
Commented by cheznono at 2009-05-24 23:16
いいですね、ミシェル・サルドウー、私も好きです。でもここに紹介されている歌は知りませんでした。こうやって訳詞を見るのも初めてで、改めて味のある歌詞を書いているんだなって思います。
サルドウーは手術をしてから、かつての歌声が衰えたと言われていますが、全盛期を知らない私には今でも結構声量があるように聴こえます。とはいえ、ガルーとデュエットとした La riviere de notre enfance以来、あまり聴く機会がなかったかも。。私も検索してみます。
Commented by foggykaoru at 2009-05-25 21:27
むっつりさん。
フランス号について調べてくださってありがとう♪
そうか、客船の時代が終わるころだったということなのですね。
Commented by foggykaoru at 2009-05-25 21:29
nonoさん。
おっしゃるとおり、サルドゥーは相当声量があると思います。
そんなに頑張ってる感じではないのに、迫力があるんですよね。
天声の歌手なのかも。

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