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一瞬の風になれ

「かぜ」と入力すると、まず「風邪」が出てくる私のPCって・・・(自爆)

大評判になったこの本、ようやく読みました。
ようやく図書館でフリーになっているのを見つけて。
で、一気に読みました。それが10日前。
読み終わったとたんに再読し始め、「これは買うべきなのかも」と思いながら著者の佐藤多佳子さんのサイトに行って、文庫化されたのを知って、その足(?)で熱帯雨林に行って「ぽちっとな」
届いた文庫はそれから毎日の通勤の友となり、今日文庫3回目(通算5回目)を終えたところ。

今までに借りて読んだうえで「マイ・ブックが必要だ」と考えて買った本は、「指輪物語」「りんご畑のマーティン・ピピン」、そして今回のこれ。
でも、こんなに飽きもせずに同じ本を読み返してるのは、小学生のころのランサム以来かも。

文章がいいし、筋立てがいいし、キャラが魅力的。何もかもいい。

読み始めてすぐ、ど真ん中のストライクがきたのがこの場面。
次の瞬間、何か強烈な熱い風を胸に吹き込まれた気がした。
「おう」
運命のようなものを感じたにしては間の抜けた返事になった。
うまいなー、、、と唸りました。
ここだけ抜粋してもピンとこないかもしれないけれど。

学生なのに、部活のことばかりでそのほかのこと、たとえば勉強の場面がないというようなレビューも見かけましたが、私に言わせればそれは余計なこと。
部活のことだけでこんなに長い物語を引っ張っていくのはすごいことです。
「他のことも書かないと変化に乏しくなるし、陰影が生まれないんじゃないか」と弱気になってしまうところなんじゃないかな、普通の作家だったら。
で、読み返すごとに、私の心の中にだんだん強くなってきた思いがあります。

それは



ランサムと同じだ

ということ。


ひたすら走ることに打ち込む新二たちは、湖でひたすら「ごっこ遊び」を追求する子どもたちと同じ。

その意味において、今までに読んだ本の中で、ランサムに最もテイストが似ています。
少なくとも私にとってはね。
スタートダッシュからわくわくどきどきして、がんがん飛ばせるという点では、ランサムよりも上(苦笑)


あと、これはどうでもいいことなのですが
こういう語り口の本は、日本人にとってはめっちゃ読みやすい。
でも、日本語を学ぶ外国人には難解極まりないはず。
もしもこれが読みこなせたら、ネイティブ日本人並みである証拠だと思います。
翻訳するのも超ムズイよー


この本に関する情報はこちら

by foggykaoru | 2009-10-22 21:25 | 普通の小説 | Trackback | Comments(11)

Commented by ミルクの森 at 2009-10-23 16:43 x
佐藤多佳子さんは最近ひそかに惚れている書き手さんです。評判になった本を読んでも意外と苦手だったりすることが多いわたしなのですが、実は「イグアナくん」のころから惚れていて、ひそかに図書館でチェックし続けている。でもあまりに本が増えて買うことをいましめている状況でもあり、いずれ買おうとまだ「マイブック」にした作品がないのです。

というような事情で、この本も出る前の予告のころからチェックしつつまだ読んでいません。Foggyさん同様、図書館の棚でフリーになっているのを見つけられないからなんです。でもこのレビューを読んだいま、ああ~いかん、買ってしまいそうだな…。

Commented by tabinekophoto at 2009-10-23 19:36
ちょうど、というか、陸上もの小説?つながりというのでしょうか、私は三浦しをんの『風が強く吹いている』を再読していました。
かおるさんほどの密度で読み返しているわけではありませんが、刊行時に買って以来、年に1~2回読んでいるので、大人になってから出会った小説としては破格の再読回数です。

この2冊はよく名前が並んでいるのを見かけるので、『一瞬の風になれ』の方も気になってはいたのですが、
「ランサムと同じだ」と言われると、やはりこちらも読まねばならないなと思いました。
Commented by foggykaoru at 2009-10-23 21:00
ミルクの森さん。
>イグアナくん
チェックチェック! 見つけたら読んでみます。
まあ、私の感想文はかなり独断と偏見に満ちてますから、話半分に聞いててください。
特に、「ランサムと同じ」ということは、1回目には思わなかったので。
Commented by foggykaoru at 2009-10-23 21:02
旅する猫さん。
三浦しをんね・・・。
読書好きな若い女の子が大ファンだと言ってました。
読んでみようかなー
最初に読んだときは「ランサムと同じだ」とは思わなかったので、くれぐれも話半分に聞いててくださいねー
Commented by Titmouse at 2009-10-23 22:17 x
「ランサムと同じ」は某Mさんも言ってましたね。私は舞台とか内容とかが身近なため、そっちに気持ちが行ってたためか、そういうふうに思いもしなかったのですが。

『風が強く吹いている』は買ってきたばかりです。駅伝ファンな娘と読もうとずっと思ってたのに、文庫版が出たのを最近まで知らなくて。映画を先に見るかなあ。
Commented by ミルクの森 at 2009-10-24 00:34 x
『イグアナくんのおじゃまな毎日』は挿絵もかわいくて、我が家では「やだもん」という主人公(?)の絵を描くのがはやったほどです。

『風が強く吹いている』は舞台化されたものをテレビ(WOWOW)放送で見ました。ほんとは先に読みたかったのですが。

うちはコドモがちょうど陸上部に入ったのでどっちの作品も一緒に読みたいなあと思っています。
Commented by ケルン at 2009-10-24 23:30 x
これは大好きな作品です。うなりました。
陸上のことだけで引っ張っていく、読み物としてもそうだし、
主人公たちの生活がそうなんでしょう。

ランサムと同じというのは、思いあたりませんでしたが、
このところ、ランサムの作品の特徴として、
・自分の世界(学校などから離れたヨットやキャンプの生活)がある
・他の人は関係ない
・そのことを通して、世界とじかにつながっている喜び(と厳しさも)
は、大事なポイントだと思っていましたが、
大事どころか、それがランサムの作品の主題なんじゃないかと
考えていました。子どものときには考えもしなかったことですが、
漠然と感じているからこそ気にいって何度も読み返したのかもしれません。

『一瞬の風になれ』とはこの感覚が通じるのかな?
Commented by foggykaoru at 2009-10-26 20:03
Titmouseさん。
舞台が身近すぎると、そっちにばかり気が行ってしまいますよね。
この作品のランサムっぽさは繰り返し読めば読むほど感じられてくるのだと思います。少なくとも私はそうでした。
Commented by foggykaoru at 2009-10-26 20:04
ミルクの森さん。
おお、お子さんが陸上部!
Titmouseさんへのレスの繰り返しになってしまうけれど、身近であればあるほど、そちらに気が行くから、あんまりランサムっぽさは感じないかも。
Commented by foggykaoru at 2009-10-26 20:22
ケルンさん。
>主人公たちの生活がそうなんでしょう。
そっ、、、そんな身も蓋もないことを・・・!
あくまでも作者がそういう設定にしたのですから。

ちょっと前に読んだ「風の靴」は、全編ランサムネタのオンパレードなんですが、本質的にはあまりランサム的じゃないんですよね。
あれはヨットの素晴らしさを描きながらも、それは主題ではない。問題を抱えた子どもが、大好きなヨットによって癒され、一皮むけるという物語なのです。
つまり、主人公である子どもが、夢中になっているものを徹底的に追求していく、という物語ではない。
「一瞬の」は、新二と仲間たちが、大好きなスプリントをひたすら追求していく物語。だからランサム的。

きっとケルンさんの思っていらっしゃることと、私の思っていることは同じですよね?
Commented by ケルン at 2009-10-28 00:28 x
>きっとケルンさんの思っていらっしゃることと、私の思っていることは同じですよね?

はい! そうだと思います。どうもうまく書けなかったけれど、そう思います。
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