沈んだ船員
2010年 01月 05日
年末、友人が「ランサマイト必読の書」だと言って貸してくれたので、旅行に持っていった。
なぜ必読かというと、「ひみつの海」の舞台が登場するから。
しかも「ここはランサムが書いた~の舞台なのだ」とはっきり書かれているのである。
思うに、モイーズという人は、かなりランサムが好きなのだろう。何回か読み返した(何しろ他に読む本がなかったし(苦笑))のだけれど、読めば読むほどそういう感じがする。
ちなみに、「ひみつの海」のことを土人は「ハンフォード水路」と呼ぶのだそうだ。
それ以外にも、「間切る」という訳語が使われていることも見逃せない。
第一、この本の原題「The sunken sailor」自体がツボである。「The drunken sailor(酔いどれ水夫)」をもじったものから。
推理ものとしては、クリスティーの流れをくんだ、英国の推理小説の典型。推理自体は大したことない(実は犯人も動機もわかってしまった)けれど、登場人物や雰囲気の描写がなんとも良いのである。
私はもともとこういう推理小説が好きなのだが、それに加えて、ランサムを通じて「英国人」とか「英国人にとっての理想の休暇」になじんでいるということもあるかもしれない。「ふっふっふっ・・・、ったく英国人ってのはねえ・・・」という感じで楽しんでしまった。
この本の最大の収穫は、今まであまり興味がなかった「ひみつの海」の舞台に行きたくなったことである。モイーズの描き方は素晴らしい。(ランサムよりも(核爆))
でも、外海から船で入らなければ、あそこの良さはわからないのかも。
・・・さーて、どうする? 本気で帆走を習う?
by foggykaoru | 2010-01-05 20:02 | 推理小説 | Trackback | Comments(11)
ランサムの本では、泥と草しかない湿原のように受け取りましたので、たしかに興味が引かれる土地ではありませんでしたよね
実際には素晴らしい場所なんでしょうね
この本は、わたしが広い世の中にはランサム好きがいるものだなぁと思ったきっかけの「烏賊」で紹介されていたランサムの舞台が出てくる推理小説2冊の本のうちのひとつ。もうひとつはS.T.ヘイモンの「聖堂の殺人」で、こちらはノリッジが舞台です。
はじめてCOOTさんの家に呼ばれたときに、Titmouse さんに貸してもらって、実に存在を知ってから20年目くらいに読んだことになります。
パトリシア・モイーズは今では忘れられている作家のうちに入ると思いますが、実は黄金期を代表する人のひとり。
他に The Naze が舞台の推理小説には、エリザベス・ジョージの Deception on His Mind があります(これは未訳)。
エリザベス・ジョージといえば、リンリー警部シリーズですよね。
知りませんでした!リンリー警部シリーズも翻訳が中断されてますよね。
テレビシリーズは原作とかけはなれているみたいですが、実は未訳の分がたくさんあるからでしょうか??
Titmouseさんにお返しするので、そちらに回るかもよん。
たぶん、話題になったところでは知られていて、そこで皆知っただろうと思って他で話題に出なくて、しかも入手困難で読めなくて・・・という状況だったからかな? 私も当時は図書館に取り寄せてもらってやっと読めたのでした。(今回しているのは父の蔵書から見つけた掘り出し物です。まさか持ってないと思っていたのに、すぐ聞けばよかった。)
ARBoardでも話題にしていたので(AngRophileさんはそこで読みたいと言っていたんですよね)、題名は皆知っていると思っていました~。
ノーフォークが舞台のミステリには、「ヨット船上の殺人」(C.P.スノー)というのもありますね。これは持っていませんが。
テレビシリーズは知りませんが、リンリー警部もの翻訳が止まっているのはなぜでしょうね。主要登場人物の関係が重いからでしょうか。物語全体が重い感じです。この先さらに重くなるんですよ(もにょもにょ)。まだ読んでいませんが。
Foggy さん、
わたしは KMR さんのサイトで唯一「ひみつの海」に投票したくらいなので、ランサム読んだだけでも好きでしたよ。生まれが浜名湖のほとり、中田島砂丘の近くだからかな。干潟がどこまでも続く風景には郷愁を感じます。それが泥であっても?!
わたしはモンサンミシェル以外にもセントマイケルズマウントも行きましたし、ベリック・アポン・ツイードの近くのホーリーアイランドにも行ったくらいで、陸が水没する景色自体が好きなのかもしれません。
>主要登場人物の関係が重いからでしょうか。物語全体が重い感じです。この先さらに重くなるんですよ(もにょもにょ)。まだ読んでいませんが。
うっ!あれ以上重くなるのですか・・・ひえ~と両手をあげてしまいました。ストーリー自体は現実的(貴族がどーの、ロンドンのフラット住まいがどーのは別として)、いや現実的すぎますよね、だから重く感じるのですよね。希望が見えても救いが無いときもあるし。
同じイギリスで警察ものでもキンケイド警視シリーズとはだいぶ違いますね。
でも、続きはやっぱり読みたいですよねえ?
モ>ンサンミシェル以外にもセントマイケルズマウントも行きましたし、ベリック・アポン・ツイードの近くのホーリーアイランドにも行ったくらいで、陸が水没する景色自体が好きなのかもしれません。
よし、次はホーリーアイランドだ(笑)私も、『沈める鐘』やイスの伝説が好きなので、沈んだ陸地というのに惹かれます。
泥でも(笑)