国際ボランティア 星野昌子

理論社刊。「こんな生き方がしたい」というシリーズの中の1冊。

星野昌子さんは国際民間ボランティア団体「日本国際ボランティアセンター(JVC)」の創始者で、実は私の母の女学校時代の同級生。
今からたぶん20年以上前、同窓会から帰ってきた母が「私の同級生にものすごく偉くなった人がいたわ」と興奮して語ってくれたことを、今もはっきり覚えている。

おととしの年末、友人とラオスに旅行したときのこと。
首都ヴィエンチャンで、名物のサンドイッチを食べようということになった。
お目当てのサンドイッチ屋の屋台に行くと、じいさんがフランス人と語らっている。
それを見た相棒に「あなたもフランス語でしゃべってみなさいよ」と焚きつけられた。
話しかけてみたら、そのじいさん、「フランス語を話す日本女性はあなたで3人目だ!」と大喜び。
「最初の人はこんな人だったんだよ」と説明してくれるのを聞きながら、あれれ、それってもしかして母の友達のあの人のこと?と思ったのである。

母に言わせると、「星野さんよりも勉強ができる人はいたけれど、級長になるのはいつも星野さんだった」とのこと。
今回この本を読んで「ローマは一日にしてならず」という言葉を思い出した。

まず親が違う。
星野さんの父親はハワイ移民として苦労し、日本に帰ってきてからコーヒー貿易の会社を経営者となった。普通の親と視野の広さが違うし、外国を身近に知っている。
そのDNAが、戦時中の疎開体験を通して、さらに鍛えられる。
最初こそいじめられるが、方言を身につけ、農作業を手伝うなどして、いつしか田舎に溶け込んでしまうのだ。

そんな人でも、「良き妻」として生きるのを当たり前だと思っていた、そんな時代。しかし、結婚生活はうまくいかなかった。離婚。「出戻り」と呼ばれる身の上、当時はつらかっただろう。そして海外青年協力隊に応募(当時、こういうことに賛成する親は珍しかったのではないだろうか)、第1期生としてラオスに派遣され、紆余曲折ののち、JVCを設立するに至る。

とにかくパワフルなのである。
語学(英語とフランス語。のちにはラオス語とタイ語も)が堪能だということは大きかっただろうけれど、彼女よりも堪能な人はいくらでもいる(だろう)。
肝心なのは「人間力」なのだとしみじみ思った。

この本に関する情報はこちら
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by foggykaoru | 2010-01-06 20:39 | 伝記・評伝 | Trackback | Comments(2)

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Commented by KIKI at 2010-01-06 22:35 x
あの会話の中にそんなすばらしい人の話がでてたのですね。
今と違って情報が手に入りにくい時代に海外にでていってた方って凄いですよねぇ。
Commented by foggykaoru at 2010-01-07 21:02
KIKIさん。
KIKIさんが焚きつけてくださったおかげで、あのじいさんから面白い話を聞くことができました。メルシーボークー。

ところで、あのとき私がKIKIさんに言った話には、ずいぶん勘違いがあったことが、母に確認したり、この本を読んだりしてわかりました。
星野さんの今のご主人は日本人で、あの地域の言語研究をしている人だそうです。

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