急な青空

南木佳士氏によるエッセイ。

「医学生」のあとがきで知ったのだが、医者と作家という二足のわらじをはいて頑張ってた南木氏は、頑張り過ぎのツケがまわり、パニック症候群に、そしてうつ病になってしまったのだとか。

自らの心身のバランスを見つめつつ書かれたエッセイ集なので、実際の年齢以上に枯れた感じ。

心に残ったのは、エンゲルスの著書を読んだ感想。
資本主義社会の状況をずばり言い当てた部分もあるけれど、大外れだったこともある、でも大外れなところも含めて、なかなか味わいがあるよ、という意味のことを次のように書いている。
時の流れに浸食された風情の見事さも古典の持つ特長なのかもしれない。

さすが作家。うまいこと言いますな。

もうひとつ。
南木氏の患者である、短歌を作るのが趣味のおばあさんの言葉。
「(歌を作るのは)暇つぶしだよ。暇だと生きる意味とか、あたしはなぜ生まれたのかなんてろくでもないことばっかり考えちまうから何かでつぶすんだよ。あんたの仕事だってだいたいそんなもんでしょ」

さすが歌詠み。うまいこと言いますなあ。

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by foggykaoru | 2010-06-14 20:59 | エッセイ | Trackback | Comments(2)

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Commented by ラッコ庵 at 2010-06-15 07:18 x
医学生の生活は過酷なので、体(と心)の丈夫な人しか医者になれない。そのため医者は体の弱い人の気持ちがわからない・・・と医学生から聞いたことがあります(笑)
Commented by foggykaoru at 2010-06-15 21:10
ラッコ庵さん。
そうですよねえ。
南木さんもこの本の中で「病気になったり年をとったりして、初めてそのつらさをわかった」というようなことを書いてます。

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