ヴェニスに死す

1913年にトオマス・マンが発表した有名な小説。
トーマスではなくてトオマスなのである。なぜなら実吉捷郎という人の1939年!!の翻訳だから。
で、2000年改版第一刷。私が手にしたのは第六刷。岩波文庫の優等生ですな。

ずーっと昔、ヴィスコンティが映画化したとき、かなり話題になっていたので、あらすじは知っていたし、映画の美少年がほんとうに美しかったこともよく覚えている。
いずれ読んでみなきゃと思い続けて何十年。
数年前、アドリア海の旅をしたとき、最後にヴェネチアに行って、リドにも足を伸ばした。あーあ、読んでから来るべきだったのに・・・と、ちょっぴり後悔しつつ。

まあ、結論からいえば、リドに行ったあとで読むのも悪くはなかったかも。
この作品が書かれたときと比べて、ぐっと庶民的になってしまっているリド。
なにしろ私なんかが行く(泊ったわけではないけれど)ようになっているんだから、敷居はぐんと低くなっているわけで。
そんなリドでも、知っていて読むと、脳内で貴族度をプラスしてイメージすることができた。

それにしてもこの訳はすごい。
巻末の解説にも書かれているとおり、壮大なる逐語訳。
ドイツ語の原文が透けて見えてくるような感じ。正直、非常に読みにくい。
1文が10行ぐらいになるところもあって、これを真面目に読む根気は私にはなくて、いけないと思いつつがんがん読み飛ばしてしまった。だから実質的には半分ぐらいしか読んでない(苦笑)。読もうと思って買った人のうち、しっかりと読めた人はどのくらいいるのだろう?
それでも、格調の高さは十分に感じられた。

映画で観たいです。そのほうが気楽に楽しめるような気がする。
再読する元気はありません。



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by foggykaoru | 2010-11-18 20:57 | 普通の小説 | Trackback | Comments(4)

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Commented by ケルン at 2010-11-18 23:04 x
ふーん、おもしろそうですね! その翻訳(←あまのじゃく)
原文が透けて見えそうって・・・こわいものみたさでちょっと読んでみたい。

ヴェネツィアからリドに行ってみたら、海岸には砂浜が、街には木があり(土があるから)、車というものが走っているのがとても新鮮に思えました。2月だったので閑散としていましたが、夏には混むのですよね?
リドの砂浜に落ちている貝殻は、マーブリング模様だったんですよ。
Commented by AngRophile at 2010-11-19 11:25 x
全文ではないですけど、たまに原文が想像できる翻訳ってありますね。昔はそういう難解な文章を格調高いと思っていた頃もありましたが、今は日本人が読んでわからない文章の大半は誤訳であると思っています。または訳者自身が原文の意味がわからなかったかどっちかですね。

「ヴェニスに死す」はよく行くワインバーでときどき流しています。オケ弾きとしても、マーラーのアダージェットが使われているので、気になる作品です。

まだヴェネチアには行ったことがありません。
ナポリじゃないけど、死ぬ前に一度は見ておきたいな。
Commented by foggykaoru at 2010-11-21 08:37
ケルンさん。
関係代名詞で修飾してるんだな、とかが想像できるんです。

>海岸には砂浜が、街には木があり(土があるから)、車というものが走っている
おっしゃるとおり!
車は走っているけれど、その量が絶対的に少ないから、とても静かで落ち着いているんですよね。
夏の海岸はいい感じに混んでました。
Commented by foggykaoru at 2010-11-21 08:40
あんぐろふぁいるさん。
この翻訳は読んでわからないのではなくて、律儀に読めばわかる文章なのです。
原文も決してさらさら読める文章ではないらしいから、その方向性が間違っているわけじゃないのでしょう。
ただ、関係代名詞というのは、ヨーロッパ言語では思考の流れに沿っているのだけれど、それを日本語でひっくり返して訳してしまうと、流れがいちいちせき止められてしまったり、分断されてしまうので、どう訳すべきかは、永遠の課題なのだろうなと思います。

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