本格小説

ラッコ庵さんのレビューを読んで興味をひかれ、読んでみました。
「日本語が亡びるとき」の水村美苗さん作。

いやー、実に面白かった。
長ーい前書きの中で著者がバラしているから書いてしまいますが、『嵐が丘』へのオマージュです。
でも、あの作品があの形で評価されるのは、英文学史におけるゴシックロマンの系譜の流れの中にあるからこそで(たぶん。私は英文学史のことはあんまりわかってません)、今の日本で、それをただ引きうつしてしまったら、怪奇、ホラーになってしまい(別に怪奇・ホラー小説がいけないとか、価値が低いとかいう気はないけれど)、荒唐無稽のそしりは免れないことでしょう。
そこを「本格小説」にしたのは、著者の力量。
筋立てが自然で説得力がある。
登場人物のキャラがしっかり立っているし、みんな(究極的には)魅力がある。

子どもの頃、英米児童文学に親しんだ私が、日本の小説を読むようになるには、かなり時間がかかりました。
たまに日本人の書いた小説を読んでみても、「世界がちまちま狭い」「めくるめく感が不足している」「味が薄い」「お茶漬けだ」「わざわざ読む(価値がないとはでは言わないけれど)甲斐がない」とか思ってました。
日本人が書いた小説をどんどん読み始めたのは社会人になってから。読みやすい、楽だ、というのがその大きな理由。若いころは血の滴るステーキをもりもり食べられたのに、年とともに胃弱になって油っこいものがダメになり、煮魚が好きになるのと似ています(自爆)

・・・今は日本の小説すらめったに読まなくなってるけど。。。精神的ヴェジタリアン化?(爆)

で、この小説。
とても読みやすい。胃弱でも大丈夫(笑)
なのに、読み応え十分。
日本の小説で、こんな物語を読めるなんて思いもしませんでした。

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by foggykaoru | 2011-02-06 20:04 | 普通の小説 | Trackback | Comments(0)

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