ディダコイ

評論社刊。
作者はルーマー・ゴッデン(=岩波書店刊の『人形の家』の作者ルーマ・ゴッデン)。
翻訳者は猪熊葉子。
このラインナップなら絶対に間違いないと思って読んでみた。

舞台はイギリス南部の田舎。
大きな町として、名前だけだがライが登場する。

主人公キジーはディダコイの少女。
(ディダコイとはジプシーと白人のハーフのことなのだそうだ。)
ジプシーであるおばあさんに育てられるが、その後、運命が急変する。
白人の中で生きなければならない彼女の葛藤や苦しみ。
彼女にとって、白人に同化するということは、ジプシーとしてのアイデンティティを捨てることなのだから。
周囲の大人たち、子どもたち。
ジプシーをさげすむ人もいれば、理解しようとする人もいる。
いじめもある。

ネタバレしたくないから、これ以上は書きません。
名作です。とにかく読んでみて。

あとがきによると、ゴッデンは1907年生まれ。
幼少時をインドで過ごし、学校教育を受けるために英国に送り返され、大きなカルチャー・ショックを受けたのだそうだ。
『ツバメ号とアマゾン号』が書かれたのが1929年。
ゴッデンの学校生活はそれよりもかなり早い。
ということは、イギリスの大人の多くが大おばさんだった時代。
「異文化理解」など、一般人の念頭にはなかった時代である。

そんな中で苦悩して育ったゴッデンだからこそ、この作品が書けたのだろう。

とにかく読んでみて。


この本に関する情報はこちら
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by foggykaoru | 2011-04-27 19:47 | 児童書関連 | Trackback | Comments(6)

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Commented by むっつり at 2011-04-27 20:19 x
お勧めなので、熱帯雨林に注文してみました
Commented by s_numabe at 2011-04-27 22:00
ルーマー・ゴッデン、いいですよね。この『ディダコイ』、他の作家にはちょっと書けない物語です。昔読んだきりですが、foggykaoruさんの感想文のお蔭で感動が甦ってきます。
インドで幼少期を過ごした出自はたしかにゴッデンの本に独特の陰影を与えているようですね。「ジプシーもの」ではほかに大人向けの長編小説 "Gypsy, Gypsy" が良かった記憶があります。
手もとには "A Storyteller's Life" と題された評伝もあるので、いずれ読んでみましょう。とにかく比類のない生涯を送った人のようなのです。
Commented by foggykaoru at 2011-04-28 21:07
むっつりさん。
ええっ、もうお買いになったんですか!?
図書館で探してみてからでもいいかと思うんですが(←ちょっと弱気)
Commented by foggykaoru at 2011-04-28 21:11
ぬまべさん。
ご存知ですか! さすが、守備範囲が広いですねえ。
こういう物語は、子ども向けだということもあるので、作家の力量がないと現実感のないご都合主義に陥りがちですが、これは絶妙のバランスだと思いました。
ご紹介の本、どちらも原書なんですね。英語で読むほど元気ありません。うーん残念。
Commented by むっつり at 2011-04-30 12:08 x
今日、届きました
で、装丁を見てビックリ!
アマゾンでは写真が無かったので驚きです
まるで絵本ですね

ともかく、この休みの間に読ませていただきます
Commented by foggykaoru at 2011-04-30 23:00
むっつりさん。
れっきとした児童書ですから。
だからお買いになったとうかがって焦ったんです。
でも中身はいいですよ。
私は図書館で借りて読んだのですが、(今他に読むものがないということもあるけれど)もう3回ぐらい読み返してます。

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