世界史をつくった海賊
2011年 12月 09日
著者は竹田いさみという国際関係専門の大学教授。ひらがなの名前だけど男性。
ずいぶん前に古本屋で買ってそのままにしてあったのを、「テメレア戦記」がきっかけで読んだのだけれど、良いタイミングだった。
海賊と言ってもいろいろあるが、この本で取り上げられているのは英国の海賊。
二流国だった英国が国策として海賊をつかってて成り上がった歴史。
船荷だけでなく、船もガメる。自前では作れない、良い船を。
英国というのはほんとに悪い奴だ。
以下はツボで覚えていること。
「探検家」「航海家」「冒険商人」は「海賊」をきれいに言い換えた言葉にすぎない。
(うーむ、ウォ―カ―きょうだいも海賊だったのか!)
奴隷貿易。これはポルトガルが独占していた。
アフリカ大陸にただ行ったって、奴隷は手に入らない。
ポルトガルはアフリカのある王国と手を組んで、その王国に負けた部族を奴隷として買い、カリブに運んでいた。
そのポルトガル船を襲うのだ。そして奴隷だけでなく、優秀なポルトガル船も手に入れる。
これに着手したのがプリマスのジョン・ホーキンス。
彼がただの無頼漢ではなくて、頭がよかったというのもポイント。
彼の家に預けられた親戚筋の子がフランシス・ドレイク。
ドレイクはホーキンス家でしっかり海賊稼業をたたきこまれる。
この海賊一族の家訓は「宗教には柔軟に対応する」
だから常に王室とうまく付き合うことができた。
この後も、英国は他の国の船をせっせと襲い、せっせと良い船を手に入れていく。
特にスペイン船が狙い目。中南米の銀を運んでいるし。
エリザベスのとき、スペインの無敵艦隊に勝利する。
立役者はドレイク。
彼は対スペインで多大な功績をあげた。スペイン沿岸の「ひげを焼いた」り。
無敵艦隊に勝利した影には情報力もある。
ウォルシンガムが基礎を築いた英国の「インテリジェンス」の力である。これについては別の本を読んだことがあるけれど、彼がなぜ私財をなげうってまで諜報活動に精を出したかというと、パリ滞在中に「サン・バルテルミー(聖バーソロミュー)の虐殺」に遭遇したせいなのだそうだ。新教徒が虐殺されるのを目の当たりにし、自国でそういうことがあってはならないという信念がほとんどトラウマのようになった。だからこそ、メアリー・スチュアートを渾身の力で死刑に導いたわけである。
そして彼の私財の源は、、、というと、これがまた海賊マネー。
女王の側近たちはみんな海賊に出資して、利益を得ていたのだ。
ロイズの歴史も面白かった。でももう忘れた(涙)
そうそう、旅ネタがあった!!
ドレイクの旗艦「ゴールデン・ハインド号」を復元したものが、ロンドンのドックにあるのだそうだ。サザークのそば。
この本に関する情報はこちら
ずいぶん前に古本屋で買ってそのままにしてあったのを、「テメレア戦記」がきっかけで読んだのだけれど、良いタイミングだった。
海賊と言ってもいろいろあるが、この本で取り上げられているのは英国の海賊。
二流国だった英国が国策として海賊をつかってて成り上がった歴史。
船荷だけでなく、船もガメる。自前では作れない、良い船を。
英国というのはほんとに悪い奴だ。
以下はツボで覚えていること。
「探検家」「航海家」「冒険商人」は「海賊」をきれいに言い換えた言葉にすぎない。
(うーむ、ウォ―カ―きょうだいも海賊だったのか!)
奴隷貿易。これはポルトガルが独占していた。
アフリカ大陸にただ行ったって、奴隷は手に入らない。
ポルトガルはアフリカのある王国と手を組んで、その王国に負けた部族を奴隷として買い、カリブに運んでいた。
そのポルトガル船を襲うのだ。そして奴隷だけでなく、優秀なポルトガル船も手に入れる。
これに着手したのがプリマスのジョン・ホーキンス。
彼がただの無頼漢ではなくて、頭がよかったというのもポイント。
彼の家に預けられた親戚筋の子がフランシス・ドレイク。
ドレイクはホーキンス家でしっかり海賊稼業をたたきこまれる。
この海賊一族の家訓は「宗教には柔軟に対応する」
だから常に王室とうまく付き合うことができた。
この後も、英国は他の国の船をせっせと襲い、せっせと良い船を手に入れていく。
特にスペイン船が狙い目。中南米の銀を運んでいるし。
エリザベスのとき、スペインの無敵艦隊に勝利する。
立役者はドレイク。
彼は対スペインで多大な功績をあげた。スペイン沿岸の「ひげを焼いた」り。
無敵艦隊に勝利した影には情報力もある。
ウォルシンガムが基礎を築いた英国の「インテリジェンス」の力である。これについては別の本を読んだことがあるけれど、彼がなぜ私財をなげうってまで諜報活動に精を出したかというと、パリ滞在中に「サン・バルテルミー(聖バーソロミュー)の虐殺」に遭遇したせいなのだそうだ。新教徒が虐殺されるのを目の当たりにし、自国でそういうことがあってはならないという信念がほとんどトラウマのようになった。だからこそ、メアリー・スチュアートを渾身の力で死刑に導いたわけである。
そして彼の私財の源は、、、というと、これがまた海賊マネー。
女王の側近たちはみんな海賊に出資して、利益を得ていたのだ。
ロイズの歴史も面白かった。でももう忘れた(涙)
そうそう、旅ネタがあった!!
ドレイクの旗艦「ゴールデン・ハインド号」を復元したものが、ロンドンのドックにあるのだそうだ。サザークのそば。
この本に関する情報はこちら
by foggykaoru | 2011-12-09 20:10 | 西洋史関連 | Trackback | Comments(16)
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
スペイン・ポルトガルのナオやガレオン船より優れたフネを次々と作り出した事は知っていましたが…バークや、いまやフネの代名詞になったシップだとか
私略船なんていうシステムを開発したのもイギリスだというのも…
中学の時にランサムに触れた時にドレイクというのが気になって、図書館なのを幸いに調べましたから
そう言われると身も蓋も有りませんね
隻眼のネルソンぐらいは英雄のままでいて欲しいですね(フランス人にとっては天敵ですけど)
私略船なんていうシステムを開発したのもイギリスだというのも…
中学の時にランサムに触れた時にドレイクというのが気になって、図書館なのを幸いに調べましたから
そう言われると身も蓋も有りませんね
隻眼のネルソンぐらいは英雄のままでいて欲しいですね(フランス人にとっては天敵ですけど)
「ゴールデン・ハインド号」を復元したものがロンドンにあるんですか!
うわ、それは見てみたいかも♪
うわ、それは見てみたいかも♪
むっつりさん。
英国が悪い奴だというのは、とっくの昔に知ってましたけどね。
システム化したエリザベスが稀代のワルだったのかも。さすがアン・ブーリンの娘(苦笑)
ネルソンは「テメレア戦記」のあとのほうに登場するのだけれど、これがなぜかけっこう嫌な奴・・・とは友人の言葉です。
英国が悪い奴だというのは、とっくの昔に知ってましたけどね。
システム化したエリザベスが稀代のワルだったのかも。さすがアン・ブーリンの娘(苦笑)
ネルソンは「テメレア戦記」のあとのほうに登場するのだけれど、これがなぜかけっこう嫌な奴・・・とは友人の言葉です。
はみさん。
うわっ、意外なところから反応が!
はみさんはお庭とフットパスの人かと思ってました。
サザーク寺院の近所で、ビルの谷間にあるそうです。
うわっ、意外なところから反応が!
はみさんはお庭とフットパスの人かと思ってました。
サザーク寺院の近所で、ビルの谷間にあるそうです。
ここは自由の殿堂、つばを吐こうが、猫を。。。
初めまして、イシバシと申します。
エキサイトさんの紹介出来ました。
チャンドラーの作品で銀河辺境シリーズを愛読しておりました。
海賊も、国家が認定すると、私掠船となり、
合法的に海賊行為が出来ると言う下りが、
イギリスと言う国家の成り立ちを際立てていますね。
ワンピースの様な伝説を元にした話も好きですが、
やはり、実在の海賊は違いますよね。
海賊が襲い、ロイドが補償する。
片一方でやっていて、片一方でそれを金もうけにする。
イギリス人のユーモアは半端じゃ有りませんよねぇ。
日本人もそういう神経の太さが、有ったらなぁと思います。
ブログ楽しみにしてます。
お気に入りに登録させていただきました。
初めまして、イシバシと申します。
エキサイトさんの紹介出来ました。
チャンドラーの作品で銀河辺境シリーズを愛読しておりました。
海賊も、国家が認定すると、私掠船となり、
合法的に海賊行為が出来ると言う下りが、
イギリスと言う国家の成り立ちを際立てていますね。
ワンピースの様な伝説を元にした話も好きですが、
やはり、実在の海賊は違いますよね。
海賊が襲い、ロイドが補償する。
片一方でやっていて、片一方でそれを金もうけにする。
イギリス人のユーモアは半端じゃ有りませんよねぇ。
日本人もそういう神経の太さが、有ったらなぁと思います。
ブログ楽しみにしてます。
お気に入りに登録させていただきました。
イシバシさん、ようこそ♪
イギリスの「国営?!海賊」の場合、思いついたもん勝ち・早くやったもん勝ちという感じがします。
列強の植民地しかり。
あとから「私も入れて」ではダメなんです。だからドイツや日本は入れてもらえなかったんですよね。
イギリスの「国営?!海賊」の場合、思いついたもん勝ち・早くやったもん勝ちという感じがします。
列強の植民地しかり。
あとから「私も入れて」ではダメなんです。だからドイツや日本は入れてもらえなかったんですよね。
追伸、
もう読まれていたら、失礼ですが、
ポール・アンダーソンの地球人のお荷物お勧めです。
テディベアが海賊をするパロディが秀逸です。
ホーカシリーズには続編もあって、
シャーロックホームズとか。。。ビクトリア時代の模倣が最高です。
是非読んでみて下さい。
もう読まれていたら、失礼ですが、
ポール・アンダーソンの地球人のお荷物お勧めです。
テディベアが海賊をするパロディが秀逸です。
ホーカシリーズには続編もあって、
シャーロックホームズとか。。。ビクトリア時代の模倣が最高です。
是非読んでみて下さい。
そうだったんですか!!
>「探検家」「航海家」「冒険商人」は「海賊」をきれいに言い換えた言葉にすぎない。
(うーむ、ウォ―カ―きょうだいも海賊だったのか!)
やっぱり、ここが断然 びっくり でした~~。
>「探検家」「航海家」「冒険商人」は「海賊」をきれいに言い換えた言葉にすぎない。
(うーむ、ウォ―カ―きょうだいも海賊だったのか!)
やっぱり、ここが断然 びっくり でした~~。
イシバシさん。
私はSFは全然詳しくないんです。
>ビクトリア時代の模倣
というのにはかなりそそられます。
今度探してみますね。
私はSFは全然詳しくないんです。
>ビクトリア時代の模倣
というのにはかなりそそられます。
今度探してみますね。
naruさん。
でしょ、でしょ?
前書きに書いてあったんですよ。
だからつい買ってしまったんです(苦笑)
でしょ、でしょ?
前書きに書いてあったんですよ。
だからつい買ってしまったんです(苦笑)
>「探検家」「航海家」「冒険商人」は「海賊」をきれいに言い換えた言葉にすぎない。
そうですよねー、アメリカインディアン(とは今はいいませんが)から見たら、開拓者たちなんて略奪者にすぎないし。世界中に乗りだしていった英国「探検家」たちの成果が、大英博物館という形で残っているんですね(大英博物館にはまだ行ってないけれど)。
そうですよねー、アメリカインディアン(とは今はいいませんが)から見たら、開拓者たちなんて略奪者にすぎないし。世界中に乗りだしていった英国「探検家」たちの成果が、大英博物館という形で残っているんですね(大英博物館にはまだ行ってないけれど)。
土曜日からこの本を探しているのですが、地元の本屋やブクオフにはありません。今週は範囲を広げるつもり、ですが、それだと亀レスになってしまうので、
>「探検家」「航海家」「冒険商人」は「海賊」をきれいに言い換えた言葉にすぎない。
海外で一攫千金という意味で共通するんだと思います。そういう意味ではジムおじさんとか、子供たちの金鉱探しなんかも同じくくりなんでしょうね。
ただ、どこまで犯罪スレスレの行為をして金儲けをするか? とか現地民に迷惑をかけるか? という点でそれぞれに差が出る、ということじゃないかな~と何となく思いますが、例えば英国は早くから奴隷貿易を禁止していたりするので、ある程度の節度はあったんじゃないのかな? そのあたり早くこの本を探して読まないと何と言えないですけど。
海賊という英語には「パイレーツ」と「バッカニア」と2つあるけど、パイレーツの方がより犯罪行為の強い海賊なので、
>「探検家」「航海家」「冒険商人」は「海賊」をきれいに言い換えた言葉にすぎない。
海外で一攫千金という意味で共通するんだと思います。そういう意味ではジムおじさんとか、子供たちの金鉱探しなんかも同じくくりなんでしょうね。
ただ、どこまで犯罪スレスレの行為をして金儲けをするか? とか現地民に迷惑をかけるか? という点でそれぞれに差が出る、ということじゃないかな~と何となく思いますが、例えば英国は早くから奴隷貿易を禁止していたりするので、ある程度の節度はあったんじゃないのかな? そのあたり早くこの本を探して読まないと何と言えないですけど。
海賊という英語には「パイレーツ」と「バッカニア」と2つあるけど、パイレーツの方がより犯罪行為の強い海賊なので、
ケルンさん。
大英博物館もパリのルーブルも、分捕ってきたものばかりですよねえ。
大英博物館もパリのルーブルも、分捕ってきたものばかりですよねえ。
とーこさん。
この本、ARCの回遊本になったんですが・・・ とーこさんに回るには相当時間がかかるかもしれません。
この本を読むと、英国は節度があったなんてとても言う気になれなくなります。
奴隷貿易しかり。
何でも早くやった、そして早くやめた、というところが、節度があったように見える原因ではないかなあと思ったりします。
この本、ARCの回遊本になったんですが・・・ とーこさんに回るには相当時間がかかるかもしれません。
この本を読むと、英国は節度があったなんてとても言う気になれなくなります。
奴隷貿易しかり。
何でも早くやった、そして早くやめた、というところが、節度があったように見える原因ではないかなあと思ったりします。
昨日、書泉に行って入手してきました!
まだ途中までしか読んでませんが、16世紀と18世紀では全く事情や価値観が違うなとしみじみ。16世紀は奴隷貿易もやってるし、なりふりかまわずホントに目茶苦茶ですね。
おそらく「プライベーティア」とか「パイレーツ」という単語に持つ価値観も、16世紀と18世紀と現代では違うのだろうなぁと思いました。茶貿易の話は18世紀にまで及ぶけど、18世紀価値観で読むとちょっとズレを感じないでもないかなぁ。
ちなみに現代でもアメリカ憲法にはまだ「プライベーティア」公認条項が生きていて、現代では私掠船=海賊ではなく、民間軍事会社=プライベーティアで、これを雇ってソマリアの海賊退治をしたら海軍を派遣しなくていいじゃないか、なんて本気で考えてるアメリカの議員もいたりする。でも現代のソマリア海賊も出資者がいてビジネスとして成り立つ仕組みになっていて、この仕組みがこの本で紹介されているエリザベス朝時代にそっくりなので、またまたびっくりだったり、この本すごく面白いです。ご紹介ありがとうございました。
まだ途中までしか読んでませんが、16世紀と18世紀では全く事情や価値観が違うなとしみじみ。16世紀は奴隷貿易もやってるし、なりふりかまわずホントに目茶苦茶ですね。
おそらく「プライベーティア」とか「パイレーツ」という単語に持つ価値観も、16世紀と18世紀と現代では違うのだろうなぁと思いました。茶貿易の話は18世紀にまで及ぶけど、18世紀価値観で読むとちょっとズレを感じないでもないかなぁ。
ちなみに現代でもアメリカ憲法にはまだ「プライベーティア」公認条項が生きていて、現代では私掠船=海賊ではなく、民間軍事会社=プライベーティアで、これを雇ってソマリアの海賊退治をしたら海軍を派遣しなくていいじゃないか、なんて本気で考えてるアメリカの議員もいたりする。でも現代のソマリア海賊も出資者がいてビジネスとして成り立つ仕組みになっていて、この仕組みがこの本で紹介されているエリザベス朝時代にそっくりなので、またまたびっくりだったり、この本すごく面白いです。ご紹介ありがとうございました。
とーこさん。
>なりふりかまわず
そうそう、まさにそんな感じ。
子どものときからきっついサバイバルしてきたエリザベスだからこその政策だと思ったり。
>なりふりかまわず
そうそう、まさにそんな感じ。
子どものときからきっついサバイバルしてきたエリザベスだからこその政策だと思ったり。

