階級にとりつかれた人びと

副題は『英国ミドル・クラスの生活と意見』
著者は『不機嫌なメアリー・ポピンズ』の新井潤美。この手の話はこの人の独壇場である。

ミドル・クラスの中でも、特にロウアー・ミドル・クラスに焦点を当てている。

ワーキング・クラスから頑張ってミドル・クラスに上がっても、しょせんはロウアー・ミドル。
アッパー・クラスやアッパー・ミドル・クラスを真似しても揶揄されるばかり。
むしろワーキング・クラスのほうが「素朴だけどたくましい」と、良いイメージで語られることが多いんだとか。
ああ可哀そうなロウアー・ミドル。

ちゃらちゃらしたアッパー・クラスとは違い、ミドル・クラスの人々の身上は「リスペクタブル」
堅実な家庭生活を大切にしたヴィクトリア女王はミドル・クラス的な女王だった。本来、王室はちゃらちゃらしているものだ。
ミドル・クラスの人々には新しい芸術思潮、たとえばジャポニスムなど、まったく理解不可能なものだったんだそうだ。そのあたり、フランスとはちょっと違うんだろうな。(フランスでも最初は「妊婦は印象派の展覧会を見てはいけない」とか言ったけど)
デパート「セルフリッジ」は上昇志向の強いロウアー・ミドルをターゲットにした。このあたり、パリの「ボン・マルシェ」も同じ。

ちなみに、ミドル・クラスにはもう1つ、ミドル・ミドル・クラスもあるんだそうだが・・・

なんでそこまで階級を意識するんかいな?
というのが一億総中流国民の正直な気持ち。
最近でこそ日本も格差社会だなんて言われ始めてるけど、英国人の抱く階級意識の強烈さには百年たっても追いつけないだろうと思う。

そうそう、「紅茶が先でミルクが後」はアッパー・クラスだそうです。


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by foggykaoru | 2012-03-09 20:54 | エッセイ | Trackback | Comments(8)

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Commented by むっつり at 2012-03-09 22:21 x
士官は紳士たれ、のお国ですものね
英国海軍を模範とした旧海軍では兵下士官出身の士官は特務士官と呼ばれて階級章も別。ガンルーム(名前の由来は帆船時代の砲甲板に会議を行なう仕官専用の部屋がありましたから)と呼ばれた士官室にも入室禁止

貴族も細かい階級に分かれていますね
サーなんていうのも微妙な位置づけ…
騎士って貴族に認められた平民?
Commented by tabineko at 2012-03-09 23:03 x
「リスペクタブル」という概念は私の卒論の題材でした。懐かしい。
直接的に階級を論じた本ではありませんが、絵画から近代英国社会を読む『ヴィクトリア朝万華鏡』も面白いですよ。
Commented by garden_time at 2012-03-09 23:20
「紅茶が先か、ミルクが先か・・・」って
階級で違うんですね(^_^;)
「紅茶が先」がアッパークラスなら、
「ミルクが先」はワーキングクラス?なんでしょうか?
Commented by naru at 2012-03-10 23:40 x
MIF milk in first はワーキングクラスの飲み方、
という通説(?)は、30年位前のオーストラリアでよく聞きました。

だから、アンチ階級制度派のオジー達は、わざとミルクを先に入れて飲んでいました。
レディーファーストが、当然だった時代の経験ですが。

今のオーストラリア人たちは、そんなことをしないと思います。が、どうでしょう。
少なくとも、レディーファーストの風潮は、絶滅したような気配です、今世紀は。
Commented by foggykaoru at 2012-03-11 21:21
むっつりさん。
「紳士たれ」の一言では片付かない、複雑怪奇なものがあるようです、かの国の階級意識には。
Commented by foggykaoru at 2012-03-11 21:22
旅する猫さん。
おお、リスペクタブルのプロでいらっしゃったんですね!!
>ヴィクトリア万華鏡
聞いたことあるような。読んだことは、ない、かも。
Commented by foggykaoru at 2012-03-11 21:23
はみさん。
「ミルクが先」は非アッパーということのようです。
つまりミドルも含める。
Commented by foggykaoru at 2012-03-11 21:24
naruさん。
味の面からいくと、ミルクが先のほうが正解らしいですね。やったことないけど。

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