人気ブログランキング | 話題のタグを見る

ミッドナイト・イン・パリ

タイム・ファンタジーです。
子どものときに読んだ「トムは真夜中の庭で」みたいなお話。
でもこの映画の主人公ギルは少年じゃなくて、イイ年したおじさん。

ある友人は「ウディ・アレンが得意じゃないから、観るかどうか悩んでいる」と言ってました。
私は実は初ウディ・アレンでして、「苦手かどうか」試してみたわけ。
結論は、、、うーん、特に「得意」ということはないかもねー。

主人公の男性にはいらいらしました。
でもああいう役なんだからししょうがない。(でも魅力無いんだわ。)

とは言え、パリが美しいからかなり満足。
なにしろ「パリに魅せられたアメリカ男性が憧れのパリにやってきてタイムスリップする話」なのだから、パリが完璧に美しく撮られていなくては説得力がなくなってしまうわけで。

先にこの映画を観た別の友人が「フランス語が二言ぐらい聞こえる」と言ってましたが、なんのなんの、二十言ぐらいは聞こえましたよ。その点でも満足(笑)

ヘミングウェイやフィッツジェラルドの顔は知らないけど、ピカソやダリやドガがあれだけ似ているのだから、みんなかなり似せているのでしょう。ガートルード・スタインという女性も初めてでしたが、彼女の部屋にかかっている彼女の肖像画(ピカソ作)は見たことがあったので、「ああ、あの人か!」と思いました。ダリはキテレツな人だったと聞いていますが、なるほどでした。かなり笑えます。くねくね踊りながら歌っていた黒人女性歌手はジョセフィン・ベイカーです。この時代は「ヒューゴ」の時代でもあります。

この映画のもう一つのみどころは女優陣。

イイ女の筆頭は主人公が惚れてしまったアドリアナ。
演じるのはマリオン・コティヤール。この人、売れてますねえ。

主人公の婚約者が「シャーロック」のアイリーン・アドラーで、アンティークショップ(あれは蚤の市で有名なクリニャンクールの常設店だと思う)のおねえちゃんが「ミッション:インポッシブル ゴースト・プロトコル」の女殺し屋、とくると、まるで何かのネタみたいですが、別にそういうことではなくて、売れている女優が一堂に会しているということです。
さらに美人がもう1人。なんとマダム・サルコジ!

みんな魅力的なんです。
魅力的な女優は誰が撮っても魅力的?
いやいやそうとは限らない。

ウディ・アレンは女優を生かすのがお得意な監督なのかも。

ところで、
アドリアナのドレスはウェストをしぼっていない。ココ・シャネルが創り出した、当時の最先端のスタイルです。(ウディ・アレンは親切なことに、アドリアナ自身に「シャネルのもとでファッションを勉強している」と言わせてます。)
第一次世界大戦が終わり、多くの男性を失って人手不足に陥ったフランスでは女性の社会進出が一挙に進んだ。シャネルの服は、そういう社会情勢の中で働く女性たちに支持されたスタイル。
アドリアナはベル・エポックに憧れているけれど、第一次大戦前の女性はコルセットでぎゅうぎゅうに締め付けられていたし、家庭以外に生きる場はなかったのだよ・・・と彼女に教えてやりたくなってしまったのは、つい最近「印象派という革命」なんて本を読んだせい。


この映画の公式サイトはこちら





それにしても

探偵がかわいそう。
まるでトランプの国に迷い込んだアリス。

by foggykaoru | 2012-06-18 20:58 | 西洋史関連 | Trackback(5) | Comments(2)

Tracked from LOVE Cinemas.. at 2012-06-18 22:01
タイトル : ミッドナイト・イン・パリ/Midnight in Paris
語り部ウディ・アレンが第84回アカデミー賞脚本賞受賞したファンタジー・コメディ。1920年代のパリを黄金期と信じて疑わない主人公がタイムスリップし、過去の著名な芸術家たちと不思議な交流す姿を描いている。主演はオーウェン・ウィルソン。共演にレイチェル・マクアダムス、マリオン・コティヤール、キャシー・ベイツ、エイドリアン・ブロディら超豪華な面々が顔を並べる。... more
Tracked from ヨーロッパ映画を観よう! at 2012-06-18 23:36
タイトル : 「ミッドナイト・イン・パリ」
「Midnight in Paris」 2011 スペイン/USA ギルに「トラブル・マリッジ カレと私とデュプリーの場合/2006」「ダージリン急行/2007」のオーウェン・ウイルソン。 イネスに「幸せのポートレート/2005」「あぁ、結婚生活/2007」「消されたヘッドライン/2009」「きみがぼくを見つけた日/2009」「シャーロック・ホームズ/2009」のレイチェル・マクアダムス。 アドリアナに「NINE/2009」のマリオン・コティヤール。 ガブリエルに「美しい人/2008」「ロ...... more
Tracked from 映画のブログ at 2012-06-19 08:11
タイトル : 『ミッドナイト・イン・パリ』 前を向いて歩こう
ֹʻͤСϤꥸȡ⤷ʤäȤϥե줬ȽʤΤǡǤϤʤٸܤǿƤΤߤ ⤷⥸ȡŤΥѡƥ˻äǤꡢܤ˥ͥȡإߥ륤֥˥奨餬줿顢¿οͤɡФưä֤� إߥåɥʥȡѥ٤ϡॹåפƤ̴Τ褦ʻᤴˤǥסSFDzǤ롣 Ѥ餺ǥDzǤ϶޻ٻԤ礯äƤ뤬礯¦μ͸ѤԤϥϥꥦåɤǤʤܲȤǤʤ顢Ƥ뤫餳ѥβ΢˽ǾܤǰȴꤦޥȤǤ롣ΤΤΤƴˤȤäơFåȡեåĥɤѥ֥�ȸήǤ1920ǯۤ ...... more
Tracked from 映画的・絵画的・音楽的 at 2012-07-11 06:48
タイトル : ミッドナイト・イン・パリ
 『ミッドナイト・イン・パリ』を渋谷ル・シネマで見てきました。 (1)昨年の『人生万歳!』をはじめとして、これまで何本も見ているウディ・アレン監督作品というので、だいぶ遅れてしまいましたが映画館に足を運びました。  本作は実に他愛ない内容で、1920年代のパ...... more
Tracked from Subterranean.. at 2012-12-03 13:06
タイトル : ミッドナイト・イン・パリ (Midnight in Pa..
監督 ウディ・アレン 主演 オーウェン・ウィルソン 2011年 スペイン/アメリカ映画 94分 コメディ 採点★★★★ 「まぁ!?なんて後ろ向きな人!」と言われようが何であろうが、自分の過ごしてきたある一時期に対する思い入れが強い私。自分の楽しんでいる娯楽の原点…... more
Commented by naru at 2012-06-19 22:58 x
そうですか初ウッディ・アレン だったのですか?

確かに彼は女優を捕るのが大得意、だと思いますが、
「タロットカード殺人事件」の、ヒュー・ジャックマンの美男ぶりは
一見の価値あり、ですよ。

私は主人公の「冴えない男」は、もっと若かったら
ウッディが自分でやる役、だろうと勝手に解釈しています。

フランス語がそれだけわかりましたか、良かった!
Commented by foggykaoru at 2012-06-20 20:22
naruさん。
そーなんですよ、実は初ウッディ・アレン。

>私は主人公の「冴えない男」は、もっと若かったら
ウッディが自分でやる役、だろうと勝手に解釈しています。

いや、勝手ではないみたいですよ。
あちこちのレビューを見ると、軒並み「主人公はウッディ・アレン自身である」と書いてあります。
男が冴えないから女が光るのかなあ・・・(笑)

1つだけこの映画に文句をつけるとすれば、アドリアナの英語がうますぎることです。
いくら国際的な大物とつきあっていたからって、あの時代、英語でつきあっていたはずがない。
フランスに来る大物たちは、一生懸命フランス語を話したはず。特にイイ女相手には。
でも、彼女が英語を話せないと、現代のアメリカ人であるギルと意思疎通ができないわけでして。しょーがないです。
名前
URL
削除用パスワード

※このブログはコメント承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでコメントは表示されません。

<< スローカーブを、もう一球 印象派という革命 >>