ズボンがはきたかったのに

1993年刊。もはやユーズドでしか入手できません。
イタリアのジュブナイル小説。カテゴリーは「普通の小説」にしておきます。

主人公はシチリアの田舎町に暮らす平凡な女の子。
平凡だけど彼女の心の中には「ズボンをはきたい」という熱い気持ちがたぎっている。
でも女の子がズボンをはくことは許されない。
ズボンをはくのは「男か淫売」。
男にはなれない。
だったら淫売になるしかない。

シチリアの旧弊な社会がこれでもかというほど描かれる。
こんな本は日本では書けない。

訳者・千種堅氏によるあとがきを読んで驚いた。
これは1989年に、ラーラ・カルデッラという女子高生が作文コンクールのために書いたものなのだそうだ。彼女はこの作品で一躍「時の人」になったのだとか。そりゃすごい。

それにしても、1989年に高校生にこんな本を書かせるイタリアというのは・・・
(正確には南イタリア。北とは違う。そのあたりのことは千種氏も書いているが。)

イタリアはみどころ満点の素晴らしい国だが、1人旅をしていると、なんとなく居心地の悪さを感じてしまう国でもある。
周囲の人々が「女性が1人で旅をするなんて!」と思っている、ということを、感じさせられてしまうのだ。
特に南イタリア。
シチリアを1人旅したとき、長距離バスで一緒になったイタリア人のおやじさん2人組が小声で交わしている言葉が聞こえてしまった。
「なぜ彼女は1人で旅行しているのだろう?」
こういうことは、たとえばフランスやドイツではまずない。もちろんイギリスでも。

イタリアとはそういう国。
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by foggykaoru | 2012-06-30 22:47 | 普通の小説 | Trackback | Comments(8)

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Commented by むっつり at 2012-07-01 05:55 x
ミニスカートじゃあるまいし、ズボンが淫売の象徴だと知りませんでした
ズボンって騎馬民族の発明で乗馬の象徴だったんですが…

イタリア南部って古い地域ですから
ルネッサンスとも無縁でしたし、近代啓蒙主義からも遠く、未だに古代ローマの家長主義が色濃く残っている地域だと聞いています
Commented by ゆきみ at 2012-07-01 19:21 x
近所の中高一貫公立校の制服には、女子のズボンがあります。
道で行き会って、ちょっと驚きました。「わぁ、きれいな男の子、じゃなくて、女の子?あれれ?」って。
これで、男子のスカートができたら拍手します。
Commented by foggykaoru at 2012-07-02 22:22
むっつりさん。
「まともな女性がはくものじゃない」ぐらいの意味だと思います。
シチリアといえばマフィア。行くときはちょっと怖かったのですが、普通に観光するぶんにはどうということ無かったです。
でも、女性1人旅は浮くんです。
Commented by foggykaoru at 2012-07-02 22:23
ゆきみさん。
へええ、女子生徒の制服にズボンがあるんですか!! 時代は変わったなあ。
>男子のスカート
あははは。
でも「僕もスカートはきたい」という男子だっていますよね。。。
Commented by SOS at 2012-07-03 21:54 x
  私は、洋菓子(ケーキ 類)が、大好きなのですが、少し前迄、日本でも、ケーキ屋さんに入って、男一人で食べて居ると、周りから、いささか奇異の目で見られたものです。
 何処の国や文化でも、そういうこと(或いは、思い込み)ってあるものですよね。!
Commented by foggykaoru at 2012-07-04 20:10
SOSさん。
一昔前の日本だったら、女性が1人で外食するのさえ奇異に見られたでしょうから。
Commented by Titmouse at 2012-07-05 10:56 x
最近は女生徒のズボンもオプションである学校ってたまに聞きますね。娘はそういう学校だったらよかったかも(笑)。
Commented by foggykaoru at 2012-07-05 23:42
Titmouseさん。
そのうち男子生徒のスカートもオプションになるのか?!

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