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レジーヌ・ペルヌー著「テンプル騎士団の謎」(創元社)

「キングダム・オブ・ヘブン」のお陰で十字軍モードになり、何かとっつきやすい本はないかと図書館を物色して見つけたのがこれ。

140ページと薄っぺらい上に、半分は図版。文章が極端に少ないので、すぐ読めます。
でも、いい加減な内容だったら読む価値はないのですが、この著者なら間違いありません。十字軍の時代の歴史について、「文庫クセジュ」等にたくさんの著作がある人ですから。
監修の池上俊一氏による前書きも読ませます。

テンプル騎士団のみならず、聖ヨハネ騎士団(その後ロードス騎士団となり、最後にマルタ騎士団となった)のこともすっきり理解できます。北方十字軍においても名を馳せたドイツ騎士団のことも。

フランス国王には、有名なフィリップが2人います。

1人がフィリップ2世。英国のリチャード獅子心王と張り合い、ついにその弟ジョン失地王から領土を奪ったという、フランス人にとっては偉大な王。
彼はフィリップ・オーギュストと呼ばれています。
日本語に訳すと「尊厳」。かっこいい♪

もう1人がフィリップ4世。またの名フィリップ・ル・ボーベル
日本語訳は「美顔王」だったり「美麗王」だったり「美男王」だったり… 要するに、ハンサムだった。ということしか知らなかったのですが、この本を読んで、彼がただのハンサムではなく、とんだ食わせ物だったことがわかりました。ある意味、傑物だったとも言えます。彼の所業を知ってしまうと、英国王ヘンリー8世なんか、かわいらしく思えてくるほど。

この春、「ナショナル・トレジャー」という映画が公開されました。
観る人すべてに「なぜニコラス計時が主役を張ったのか?」という解けない謎を投げかけた問題作(爆)でしたが、その謎はさておき、なぜああいう設定の映画が作られるのかも、この本を読んでよくわかりました。

これは「知の再発見双書」というシリーズの1冊。
同シリーズには「十字軍」「アーサー王伝説」というのもあるということを知りました。
ぜひ読んでみようと思っています。

この本についての詳しい情報は
こちら

by foggykaoru | 2005-05-20 18:21 | 西洋史関連 | Trackback | Comments(4)

Commented by がんだるふ at 2005-05-21 02:04 x
フィリップ4世(ちなみにPhilippe le bel フィリップ・ル・ベルが正しいはずです)で思い出した小ネタ。
この方「美麗王」なんて日本語では訳されておられますが、この場合のフランス語のbelの意味って「ハンサム」じゃないらしいんですよ。bel(beau,belle)が形容する名詞の最上の状態を表すのだそうで、王様の最上の状態だから「立派、高潔、勇敢」とか、その辺りで考えるべきなんだそうです。王様がハンサムでも仕方ない..のか??(苦笑)というわけで、「傑物」って、一番当たってる訳語なのかもしれないなぁーなんて思ってしまいました。
「知の再発見双書」は私も好きなシリーズです。関係ないけど「ヴァイキング」とか良かったですよ。
初コメントがこんなのですいませんでした〜。
Commented by foggykaoru at 2005-05-21 07:01
がんちゃん、お待ちしておりました♪
そうかそうか、le belだったのねん。実は自信無かったんです。でも、美男なんだからbeauだよなーと思って。早速訂正させていただきました。
これからも私が変なことを書いたら、がんがん突っ込んでくださいね。
>王様の最上の状態だから「立派、高潔、勇敢」とか
どうしてフィリップ4世がそうなのか、今ひとつ合点がいかないのですが。。。彼なりに功績があったのだろうけど、この本1冊だけじゃわかりません。
「知の再発見双書」、見かけたことはあったのですが、なんとなく怪しげな感じがして読んだことがなかったんです。今回読んでみて、あのボリュームによくぞまとめたなあと感嘆しました。
ところでがんちゃん、池上俊一先生とお知り合いだったりして?
Commented by ゆきみ at 2005-05-21 23:53 x
あっっ、がんちゃんだっ。
知の発見叢書は、「アーサー王」とかでお世話になってます。へへへ。
そういえば、堀越@一先生が、フィリップ・オーギュストを「フィリップ威張りん坊」と書いていらして、面白かったです。
あぁぁぁ、読まなきゃいけない本がいっぱいだ。
Commented by foggykaoru at 2005-05-22 07:12
ゆきみさん。
オーギュストは「威張りん坊」!! 
でも、ただ威張ってただけじゃなくて、ちゃんと領土ぶんどったんだから大したものです。。。あ、あれは相手がオバカさんだっただけ?(笑)
レジーヌ・ペルヌーは今回初挑戦でなかなか好印象だったので、長年の課題図書だった「十字軍の女たち」、今度こそ読んでみようかなと思ってます。
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