西南シルクロードは密林に消える

高野秀行著。

シルクロードというのは中央アジアの乾燥した道でしょ!と思い込んでいたら、それ以外にもあった・・・らしい。あくまでも、「らしい」つきのあやふやな話をきっかけに、高野さんは中国からミャンマーを経由しインドに抜けるという、とても蒸し暑そうな道をたどる旅にでかける。
陸路では入れないミャンマーなのだから、当然、密入国である。その手引きを頼む相手は国境付近の少数民族ゲリラ。

こんな旅、高野さん以外にはできないよ! っていうか、他の人はやらないって。(彼自身、そういう旅をするのをライフワークにしているわけで、良い「企画」が浮かばないときの苦悩は深いようで。自分で選んだ道とは言え、大変そうだ)

まだ感想文を書いてない高野さんの著作は現時点であと2冊ある。それらも含めた中で、この本が最高に面白い。
「ありえないでしょ!」という事態のてんこ盛りなのだけれど、事実が面白ければ面白い本になる、というものではないと思う。高野さんの本の面白さは、確かな文章力に負っている。特にそのたくまざるユーモア。私は好きです。

襲いくるヒルをむしりとりながら密林を歩く。車に乗ることもあるけれど、メインは歩き。たまに船。そして象。象に乗るのはとても疲れるんですって。歩くほうがマシなんですって。ハンニバルはアルプス(だったよね?)を越えるとき、象に乗っていたのかな。それともその隣を歩いていたのかな。

ゲリラというのは軍人なので、上官からの命令には忠実に従う。だから、直接的には何の義理もない高野さんの酔狂な企てに、真面目につきあってくれる。ご苦労さん。ほんとにご苦労さん。
もちろんまず高野さんにご苦労さんなんだけど。

この本はすでに読み返しているのだけれど、しみじみ感じるのは、「旅は出会い」であるということ。こんな非凡な企てに対して、あまりにもありきたりな感想でなんだか申し訳ないけれど、やっぱりこの世は人の世。特にミャンマーだし。
というのは、高野さんはアフリカ、特にコンゴリピーターでもあるから、コンゴ人も大好きなようだが、読んでいてミャンマーの人々のほうがしっくりと、心が通じるような気がしてしまうのだ。
個人的体験からミャンマーに肩入れする癖のある私の偏見だろうか。


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by foggykaoru | 2012-09-15 23:35 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(4)

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Commented by naru at 2012-09-17 16:11 x
ミャンマー行きの?)就航させる、という
CMを見たーーと思うのですが、気のせいかな?
Commented by foggykaoru at 2012-09-18 23:13
naruさん。
陸路では入れないんです。
タイからちょこっと入って、すぐにまた戻るということ以外は。

今だって空路では入れます。
もっとも国際空港がヤンゴン以外にあるのかどうか。
第一、首都も今はヤンゴンじゃないそうで。
Commented by sataz at 2012-09-21 19:32 x
高野本かなり読まれてますね。私も大好きです(特にこの本とムベンベ)。私が今月から住み始めたT県某市の図書館にはあるか不明、なければ買ってもらって他の人にも読んでもらえたらと思っています。
Commented by foggykaoru at 2012-09-21 20:07
satazさん。
20世紀初頭、すでに「世界中の発見はもう終わっているのだろうか?」と、某英国児童文学に書かれています。
それから100年近くたった今、探検できるところを一生懸命探して探検している(←我ながら変な言い方だ)のが高野さんですよね。
そちらの図書館にも高野本が並びますように。

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