腰痛探検家
2012年 10月 03日
腰痛に襲われ、辺境ライターとしての危機に陥った高野さんが、腰痛克服のためにありとあらゆることをする、その記録である。
トルコの怪獣探しの旅のときも、おともは腰痛だったようで。
あの湖上の単独行。そんなに腰が痛かったらやらないよ普通。
人間の骨格標本を見るたびに思う。
人間はなんて難しい格好をしているのだろうと。
正しい背骨の湾曲の具合の微妙さ加減といったら。
私は半年ほど前、五十肩になってしまった。
かなりショックだったけれど、ネットで調べると「必ず治る」「ある程度の痛みを我慢して運動すべし」とあったのでほっとした。
腰痛の中にも「ある程度の痛みを我慢して運動すれば治る」タイプもあるのだろう。
でも、人間の立ち姿があまりにも微妙で、腰痛のメカニズムがあまりにも複雑なので、自分がそのタイプかどうかははわからない。
そして、おそらく専門家にもあまりわからない。
だから、人は腰痛世界をさまようことになるのだ。
で、この本。
高野ファンでなくてもかなり楽しめる。
高野ファンならおおいに楽しめる。
密林の古代文明、会社再建、ブラックジャック、そしてGPS・・・笑わせます。
高野さんってほんとにネタ人間。次から次へとよくもまあ思いつくものだ。
腰痛に苦しんでいる人だったら、共感しながら楽しめること請け合い。
それにしても。
なまじっか体力に自信があると、こんなひどくなるまで放っておくのね。
この本に関する情報はこちら
私は体力が無い、体が丈夫ではない、ということにかけては子どもの頃から自信がある。
大病はしたことがないのだが、ちょっとでも寒い思いをすると風邪をひく。
風邪をひいたら「くしゅん」ではすまない。
必ず本格的な風邪っぴきになる。
なったら最後、何週間、冬なら軽く何カ月と治らない。
低体温で高熱が出ないせいか、完治しない。微熱がとれない。
子どものとき、微熱が何週間も続き、心配した親が検査を受けさせたほどだ。
また、家で本ばかり読んでいる子どもだったので、足が弱い。
たまに近所の友達と一緒に夕方まで走り回って遊んだりすると、必ず夜、足がだるくなって泣いた。
体力測定・運動能力測定でも、ほとんどの項目でクラスのビリを争っていた。
(柔軟性だけはクラスのトップを争っていた)
だから、大人になってからフルタイムの仕事につき、趣味でバックパックを背負って旅行するなんて、子どもの頃には予想もしていなかった。
私の人生、案外捨てたもんじゃないわ。
と思っていたので、数年前、自分の姿勢が悪くなりつつあるのに気付くと同時に、腰のだるさをしばしば感じるようになったときの危機感たるやすごかった。
このままでは仕事と旅行という、人生の両輪を失うかもしれない。
一念発起、毎日腹筋と背筋を30回することにした。
半年続けたら、朝起きたときに体がしゃんと立つことに気付いた。
そして思いがけないことに、中年以降続いていたウェストサイズの膨張がストップしたのである。
筋肉が増えて代謝が上がったせいだろう。
またそれはちょうど背中や肩の凝りがひどくなって、整体に通う頻度が上がった頃だった。
ある日ふと思った。
「他人にもみほぐしてもらっていても根本的解決にならない。自力更生の道を探るべきではないか」と。
それにはヨガあたりがいいんじゃないか。
ネットで教室を探すと、ホットヨガが人気沸騰していたので行ってみた。
低体温で汗をかかない私にとっては、汗腺を働かせる絶好の機会だったし、ヨガ自体も悪くなかったのだが、立ちふさがったのが風邪である。インストラクターは「ホットヨガをすれば軽い風邪なんか治ります」と言うのだけれど、それはあなたが丈夫だからよ。私はホットヨガをするとてきめん風邪が悪くなり、ひと冬通えなくて回数券を無駄にしてしまった。
もっと体に優しいものはないのか?
と首をひねり、太極拳かピラティスがいいのではないかという結論に達した。
ネットで探してみると、電車でひと駅、頑張れば徒歩圏のところにピラティスの教室を発見。
以来、のんびりとレッスンに通っている。(五十肩に関してもアドバイスをもらっている。)
ピラティスは難しい。非常に難しい。
でも教わった正しい立ち方をすると、腰にかかっている負担がすっと抜けるのがわかる。
いいときにいいものに出会えたと思ってます。
by foggykaoru | 2012-10-03 20:20 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(2)
でも腰痛の話は気になりますね。
20歳頃からお付き合いしているし、足にも影響がでているし。
がんばってシンドバッドを読んで、次を買ってこようっと。
ワセダ出身の同僚に「三畳」を貸したら、いたく気に入ったようだったので、「腰痛」も貸しました。
でも彼女は旅人じゃない。
旅人たるもの、「三畳」から「腰痛」に直行してしまったら、辺境ライターの高野さんに申し訳ないですものね。
ぜひシンドバッド、頑張って読んでください♪