辺境中毒!(ランサマイト必見)

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タイトルでお察しのとおり、高野秀行著。
「高野本はもうこれでおしまい」と言った舌の根の乾かないうちに、性懲りもなくもう1冊読んでしまいました。
言い訳しますと、『辺境の旅はゾウにかぎる』という単行本があって、そのうちに文庫化されたら読もうと思っていたら、なんとこの本(集英社文庫)がそれだったのです。

高野さんがあちこちに書いた記事やら対談やらをまとめたものなので、ちょっと雑多な印象がありますが、高野ファンだったら必読です。

まず「アヘン王国潜入記」を読んだ人必読の「アヘン王国脱出記」。
めちゃくちゃおもしろい。

対談も面白い。
でも旅する人のほうが楽しめるかも。

高野さん曰く「楽しい国とおもしろい国は違う」と。
そうだと思います。いつまでも心に残るのは「摩擦」の思い出なのだと思います。「文化摩擦」という手垢のついた表現にはしたくないのだけれど、まあそういうことです。
「日本だったらこんなことにはならないのに」ということを体験して、それを「ひどい目にあった」の一言で片づけることもできる。
でも片づけてしまうのはもったいないことです。
摩擦の中から、日常生活とは違う視点みたいなものが生まれる。
「スムーズに運ぶ楽しい旅」というのは、「お約束」どおりのドラマや小説みたいなもの。「お約束」の中に浸りきるのは楽しいです。小説でたとえるなら有川浩。私は有川浩、好きですよ。
でも、いつまでも心に残る国とか旅、それは『通訳ダニエル・シュタイン』のほうなのです。しんどいけれど。

後半は高野さんお薦めの本。

面白そうな本がたくさん紹介されていて、しかもそのへんでは見つけられそうもない本が多い。また「ぽちっとな」してしまいそうな自分が怖いよ~
その中に『世界屠畜紀行』とか『アフリカにょろり旅』があって、思わず身を乗り出していたら、、、

それどころじゃなかった。

早稲田探検部の後輩にあたる角幡唯介という作家との対談を読んでいて、声をあげそうになりました。
角幡: 原点の本ってあるんですか?
高野: それはもう子どもの頃に読んだ探検・冒険本、アーサー・ランサムの『ツバメ号とアマゾン号』とかヒュー・ロフティングの<ドリトル先生>シリーズとか、ああいうのをいつかやりたかったし(後略)

高野さんの本を読み始めた頃から、「この人は相当本を読んでいる人だろうな」と思っていたんです。
そしてたまたまこんな記事も見つけたりして。
唸りました。
これだけ幼少期の読書体験を語れる人はそうそういません。
ドリトル先生に対する熱い思い。ランサムファンとドリトル先生ファンはけっこうかぶるのです。が、ランサムを知っていてドリトル先生を知らない人はいないけれど、ドリトル先生を知っていてもランサムを知らない人は山ほどいる。あ~あ、またニアミスじゃん。この年代、この読書歴、この趣味嗜好、しかも男子なのに、ランサム知らないのかなあ・・・ まっ、ランサムはマイナーだもんね・・・と、その時は恒例の「しょぼんモード」で終わっていたのでした。

この本読んでよかったわーー
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by foggykaoru | 2012-10-22 22:42 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(15)

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Commented by 骨っこワンゴン太♪ at 2012-10-23 00:27 x
私の世代では、ランサムはさらにマイナーみたい(>_<) 同年代でランサムが好きって人に会ったことないです。
私も、たまたま図書館で手に取らなきゃ、知らないまんまだったろうなあ。
ところで、ランサマイトはナルニア国物語もお馴染みでしょ!?
Commented by むっつり at 2012-10-23 05:53 x
うぁっ!小学校か中学かは判りませんが、絶対に図書館の書架にドリトル先生とランサムが並んでいたに違い有りません
メジャーなドリトル先生と違ってランサムって読む前に知り合える本じゃありませんから

考えたら、高野さんってドリトル先生が行っていそうな場所は、月面以外を網羅していますね
世界の果てまで…
語学力も先生に準じているのかも?

それに考えてみれば、姪っ子からフリント船長と呼ばれていても驚くことでは有りませんよね
Commented by むっつり at 2012-10-23 06:10 x
このリアル雑多な苔とも言うべき本を熱帯雨林に注文しました
「象にかぎる」は持っていないので楽しみです
Commented by ラッコ庵 at 2012-10-23 07:49 x
私も、学校の図書室の「ドリトル先生」シリーズを順に読んでいて、たまたまお目当ての本がなかった時に、隣にあった(装丁も似ていた?)ランサムを手に取ったのでした!もちろん予備知識なし!しかも「ひみつの海」(笑) そこからハマったんですね~今思えば。当時ネットがあればかおるさんとももっと早く「知り合った」できたはずなのに・・・(^^ゞ
Commented by Titmouse at 2012-10-23 14:52 x
実はドリトル先生はあまり読んでません…。大人になってから少し読んだ程度。いずれちゃんと読まなきゃ。

ドリトル先生とツバメ号とは、出版社順でも作者名順でも近くに並ぶので、そのつながりで読んでみてほしいですよね。
Commented by foggykaoru at 2012-10-23 20:18
骨っこワンゴン太♪さん。
ランサマイトはたいていナルニアも読んでます。
でも、ナルニアを読んでいる人の多くはランサムを知らない(涙)
読んでいても好きかどうかは人それぞれ。
私にとってのナルニアはランサムより愛着度は低いのですが、語れる対象です。
小さいときに読んでいるせいでしょうね。しっかり頭に入ってるんです。
Commented by foggykaoru at 2012-10-23 20:24
むっつりさん。
>高野さんってドリトル先生が行っていそうな場所は、月面以外を網羅していますね
これ、ご本人に言ってあげたいですね。

>語学力も先生に準じているのかも?
絶対にそうですよ。
ドリトル先生による刷り込みがあって、グルック、ドロールがさらに背中を押したのではないのでしょうか。

>姪っ子からフリント船長と呼ばれていても驚くことでは有りませんよね
いやーまったくそのとおり。
家族親族から「いい年していったい何やってるんでしょう」「今度は金・・・じゃなくて魚だか何だかを探しに行くんだってさ」と言われ。
Commented by foggykaoru at 2012-10-23 20:27
ラッコ庵さん。
ほう、「ひみつの海」からですか。。。
でも、「女海賊の島」とか「六人の探偵たち」から入って12巻読破したという人に比べれば、理解の範疇です(笑)

大学のときに出会ってランサム語りしていたら、ロンドンで待ち合わせて一緒に湖水地方に行ってたかもしれませんね。
Commented by foggykaoru at 2012-10-23 20:30
Titmouseさん。
私もドリトル先生はあまり読んでいないんです。
たぶん子ども時代に2、3冊読んだきり。
「女の子が出てこない」というのがネックだったんだと思います。
ARCに入ってから1巻読み直して、井伏鱒二さんの訳の素晴らしさには感動したんだけど、そのあと続きませんでした。
どうしてかなあ。。。
Commented by sataz at 2012-10-29 21:56 x
ランサム、ドリトル、ナルニア全部読んでますけど、ナルニアは説教臭さというか宗教っぽいからか、三つの中ではちょっと落ちる気が。
「辺境中毒」は未読です、たいていの本は予約がほとんどないこちらの図書館にリクエストしてみます(棚にはなかったからもしかして持ってないかも・・・・)。
Commented by foggykaoru at 2012-10-29 22:13
satazさん。
ナルニアは主人公があくまでも「ナルニア」なのですよね。
子どもたちはあくまでもナルニアを描くための手段にすぎない。

「辺境中毒!」です。最後に「!」を付けることをお忘れなく。
ランサムの言及があるのは文庫化に際して新たに追加された対談の中です。だからもとの単行本「辺境の旅はゾウに限る」には載っていないんです。
Commented by sataz at 2012-10-29 22:43 x
すいません、読書録を見返していたら、「辺境の旅はゾウに限る」読んでました。ランサム記述は記憶にないのですが・・・・・
角幡唯介も面白いですよ、私も一冊しか読んでないけれど。
Commented by foggykaoru at 2012-10-30 21:43
satazさん。
わかりにくかったかもしれませんが、
ランサムの言及は角幡さんとの対談で出てくるのです。
で、この対談は文庫版限定です。
だから「辺境の旅はゾウに限る」にはランサムは出てきません。
Commented by SOS at 2012-11-01 21:31 x
  最新号の 岩波の 『 図書 』誌( 11月号 )に、磯前 順一 さんという方が、ドリトル 先生と「 秘密の庭園 」という、随想を書いておられます。 なかなか興味深い 内容です。( 必ずしも、話の趣旨に、全面的に賛成するわけではありませんが……。 )
Commented by foggykaoru at 2012-11-01 22:12
SOSさん。
ドリトル先生関係は、私は論評するほど読んでないんですよ。
いろいろなところで言及されていて羨ましい・・・

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