さらば愛しのピョンヤン

タイトルから想像がつくとおり、脱北者の手記。

北朝鮮について初めて読んだ本は『今、女として---金賢姫全告白』だった。
初めて知った北朝鮮の実態に目を丸くし、「日本に生まれてよかった」としみじみ思ったものだ。

あれから20年以上。
今はあのころよりは情報が多いので、読んで受ける衝撃度は相対的に低いのだけれど、この本の注目点は著者である趙明哲が北朝鮮のエリートだったという点にある。

どうエリートかというと、金日成の息子たちのために作られた学校の生徒として選ばれるくらいのエリート。(この息子たちは、成日の異母弟で、後に成日との権力闘争に敗れた。) 
この学校の生徒はときどきいきなりいなくなる。
それは親が失脚したことを意味する・・・。

著者は経済学者となり、名門大学で教鞭をとるのだが、研究者や学者ですら、思想教育を受け続けなければならない。要するに金日成語録の暗記。誰も彼もがそんなことに時間を費やし、神経をすり減らさなければならないなんて、国家をあげての愚行としか言いようがない。新しいアイディアを出すと、体制批判をしたことになり、失脚する。だから誰も何もできない。

著者は中国への留学を許される。そして中国の豊かさを目にして、それまでの価値観が揺らぎだし、ちょうど金日成が死去したおりに亡命する。それがどれほど勇気のいることだったか。独身だったからできたのだろう。

社会階層こそ違え、命を賭して国を捨てる人々が絶えない。
そんな体制、いつまで続くのだろう。ミサイル実験に成功しちゃったけれど。
体制崩壊の際、我々はどんな影響を受けるのだろう。
国内の原発&活断層が議論の的だけれど、北朝鮮も活断層の上に建った原発みたいなものだ。怖いよー。


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by foggykaoru | 2012-12-21 21:33 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(0)

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