オネーギン

プーシキン作のこの小説は、オペラやバレエで「エフゲニー(エヴゲニー)・オネーギン」の名前でよく知られています。パリのオペラ座でバレエを観たときは爆睡してしまったのですが、原作を読んであったらもうちょっと起きていられたかも。
今回は旅行中。連れがもってきていた本を借りて読んだのです。私と違って、ちゃんと行先に関連した小説をもってくるところが真面目な人です。

これは「韻文小説」なのだそうで。翻訳するの、さぞかし難しかったことでしょう。結局、散文体の、普通の小説として訳されていますが、正解だったのでは。

あらすじは知っていたのですが、楽しく読めました。あとがきや裏表紙の紹介文に「バイロン的」という言葉があったけど、ある程度は意味が想像できたし。

個人的な最大のツボは「ふさぎの虫」と訳されている単語。
ロシア文学というのは当時の先進国の言葉、つまりフランス語がバリバリちりばめられていて、翻訳する人はロシア語以外の言語もわからなくてはいけないんだなご苦労様といつも思うのですが、この単語は英語です。spleen。以前読んだフランス語に関する文章の中に、「19世紀ごろからフランス語において英語からの借用語が増大する。英国かぶれの人々はbifteck(ビーフステーキ)を食べ、grog(ラム酒)を飲み、humourをとばしたり、spleenにとりつかれたりしていた」とあったのです。で、spleenがわからなくてわざわざ普段は引かない英和辞典を調べた、ということで、非常に印象的だったのです。「ふさぎの虫」は当時のヨーロッパではとてもクールで、フランスだけじゃなくて、ロシアにまで及んでいたのです。。。

プーシキンはちょいと反体制的だったそうで、あちこちに流されてるようで。この小説を書き始めたのはオデッサに流されていたとき。オデッサはウクライナだったけれど、最近ロシアになりました。反体制的と言っても「ちょいと」という程度ですが、この作品にもその傾向は見てとれます。ぶっちゃけ「金持ちは暇で死にそうなんだよ」という内容ですから。「生きていくためには働かなくてはならない」というのは、往々にして救いとなるのだろう。

この本に関する情報はこちら


オデッサのプーシキン博物館に行ったときの旅行記はこちら
すっかり忘れてたけど、連れと別れたあとに、一人で行ったのでした。
[PR]

by foggykaoru | 2014-08-17 09:01 | 普通の小説 | Trackback | Comments(2)

トラックバックURL : http://foggykaoru.exblog.jp/tb/22485133
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
Commented by AngRophile at 2014-08-18 17:01 x
Chasse spleen というワインがあるのでこの単語は知っていました。Sans souci と関連はあるのでしょうか。
Commented by foggykaoru at 2014-08-18 20:17
あんぐろふぁいるさん。
そりゃーあんぐろふぁいるさんはご存知でしょう。英語専門なんだから。そのうえあんぐろふぁいるさんだし。
chasseは「狩る、追い払う」
sansはwithoutです。
souciは「心配」
プロシアの国王がヴェルサイユに憧れて作ったのがサン・スーシ宮殿。
日本語では「無憂宮」

<< 思い出のマーニー なまいきチョルベンと水夫さん >>