バルタザールの遍歴
2017年 01月 07日
by foggykaoru | 2017-01-07 22:02 | 普通の小説 | Trackback | Comments(4)
初版くらいで買って読みました。
眩惑されたい方にはこの人の作品はオススメですね。
この本、前にタイトルだけ見ただけでそのまま。ようやく読みました。楽しく読みました。
文章の密度。最近の日本で出る本は、ページ数が多くてもこのような密度はなかなかありません。密度というか濃度というか、情報量だけでなく、文章になって見えている表面の下に1メートルくらいの下地がある。
言葉づかい。相当な量の翻訳文学と、昭和前半までの日本文学を読んできた人ですね。
この作者の方、20代後半でこのような作品を書くとは、頭の中はどうなっているのか、そして20年以上たった今はどんなことを考えているのでしょうね。でも1990年頃までの文学・エンターテインメントにはこれくらいの読みごたえはあったかも・・。(私が読んだのは初版のハードカバーなので、池内先生の解説はついていませんでした)
>1メートルくらいの下地
その下地の「存在」だけはなんとなく感じることができる。でもそれ以上はわからないのが口惜しい。
それ以上のことがわかる人は、この作家並みのオタクなんだと思います。(褒めてます)