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母の遺産

水村美苗作。副題は「新聞小説」
この人の小説は長い。これも文庫上下巻。

どっぷりハマりました。
何回も読み直しました。

とても強烈なキャラの母親を抱えたアラフィフ女性が主人公。
上巻は母親の介護と看取りの悪戦苦闘。日本の医療に対する批判もたっぷり。
下巻はその後。主人公は自らの行き方を模索していく。

登場人物がわざとらしいとか、あり得ないとか、批判もあろうかと思いますが、私は心から楽しみました。まるで映画を観ているみたい。

老母のキャラ形成の裏側とともに、副題の意味もが明らかになります。
ほおおおっ!
なるほどねえ。
小説というのは人々にそういう影響も及ぼすのですねえ。

また、兄弟が多いと、同じ両親から生まれた子供でも、長じてからの人生に大きな差が出る。
そこに(兄弟自身だけでなく、その子供にまで)妬み・羨みなど、フクザツな感情が渦巻き、それがドラマの母胎ともなる。

ちなみに主人公は1970~80年ごろにパリに留学したという設定になっていて、当時の留学生の生態、「ブルシエ」と呼ばれるフランス政府奨学生と彼らのその後の人生が、私には実に興味深く、また、非常に説得力があるなあと感心したところでありまして。

でも、ブルシエなんて聞いたこともないという人でも大丈夫。
とにかく女性、特にアラフィフ以降の女性には超お薦めです。心に響くところがたくさんあるはず。

私はこの本、ブック○フで見つけたんですが、1冊108円でした。
まともな古本屋だったらそんな値段付けませんよ。作家が可哀想です。
興味を惹かれたあなたは、できたら正価で買ってあげてください。
(108円で買ったくせに何を偉そうに<私)



by foggykaoru | 2017-03-06 21:15 | 普通の小説 | Trackback | Comments(0)

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