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船上でねむり、海に出る

船上でねむり、海に出る_c0025724_18371410.jpgこの冬一番の寒波が来た日、私たち4人は西伊豆の安良里(あらり)という町へ向かいました。そこはARCの会員であるOさん所有の船「ツバメ」の母港。Oさんのクルーズに便乗させていただくのです。

晴天に恵まれた1日目でしたが、今の時期に晴れているということは、北西の季節風が吹いているということを意味します。白波がたつ外海を一目見た船長は「こりゃだめだ」

船上でねむり、海に出る_c0025724_18383178.jpg結局その日は、海辺の遊歩道の散策をゆっくり楽しみ、温泉にのんびりつかり、腕利きのコックでもある船長の特製カレーに舌鼓を打ち、雲ひとつない新月の夜空にまたたく星たちを眺め、9時に就寝。(右の写真は「操舵室から船室に向かうSさん」)

静かな環境の中でぐっすり寝ました・・・と言いたいところなのですが、そうではないんです。周囲を山で囲まれた天然の良港に停泊していても、風のびゅうびゅういう音や、何かがぶつかる音などが聞こえてきて、実ににぎやか。船室の上の甲板からも、どしんどしんという音が響いてきて、まるで誰かが歩いているみたい。
そんな中でしたが、けっこうよく眠れました。
真夜中過ぎに目が覚めると、風はおさまっていました。その静けさに、却って驚いてしまったぐらい。

翌朝、目が覚めると、冬の朝はいつもひりひりしている喉が全然痛くありません。空気がきれいで湿り気があるおかげでしょうか。早寝したのもいいのかも。
空はどんより雲っていますが、海はおだやかになっています。海水温が高いため、水面にもやが上がっています。

船上でねむり、海に出る_c0025724_18393562.jpg前回の帆走で裂けてしまったという帆を交換する作業を手伝い、いよいよ外海へ。
新しい帆が誇らしげに風をはらむと、「ツバメ」はぐんぐん快走し始めました。かしいだ船体の上では、ただそこに張り付いていることしかできません。
ちょっとの間だけ、舵を握らせていただきました。まっすぐに保っているつもりでも、船はどんどん曲がっていっちゃうのです。進路を直そうとすると、ますます曲がっていく。。。

日常からの脱却という点では、海外旅行も同じですが、この2日間は、日常とも、旅とも違う、不思議な時間でした。
正直、「東京に帰ってすぐにいつものペースで生活できるのだろうか」と不安を覚えたぐらい。

こういうのを「ほんとうの生活」というのかな・・・

船上でねむり、海に出る_c0025724_18402875.jpgつくづく思ったのですが、自分の船を持つというのはほんとうに大変なことです。
別荘を持って管理するのもそれなりに大変だろうけれど、別荘は建物。建物は陸上にある。電気屋さんもすぐに来てくれる。すぐに来てもらえなくても、待っている間に沈むということはない。
でも、船の場合は、何かがあったとき、その場で、自分の才覚で切り抜けなければならない。
「ヨットを買っても、手放してしまう人が少なくないんです」
船長のこの言葉に、深くうなずいてしまいました。
情熱が無かったら続けられないだろうと思います。

船長に、いつ頃から自分のヨットを持とうと思っていたのかと尋ねました。
「小学生の頃からです」
愚問でした。

by foggykaoru | 2005-12-07 19:38 | ほんとうの生活 | Trackback | Comments(6)

Commented by lemonodasos at 2005-12-07 21:56
船の管理はたいへんそうですよね。なんだか面倒くさそうです。
好きな人には良いのですが、私は船は大型でないとダメです。
ヨットで酔わなければ楽しそうな感じがします。あのゆれがちょっとねぇ。
Commented by Titmouse at 2005-12-08 17:18 x
ツバメ乗船おめでとうございます!
冷え込みの厳しい日で雨も降ったので心配していましたが、楽しめたようで何よりです。
Commented by foggykaoru at 2005-12-08 21:20
lemonodasosさん。
「なんだか」どころじゃないと思いました。
あれは好きじゃなければ絶対にできません。
私はお酒を飲むと、わりとすぐに眠くなってしまうんですが、帆走しているとき、それとかなり似た感じで、頭がぼーっとして、妙に眠かったんです。あれは船酔い一歩手前だったかも(苦笑)
Commented by foggykaoru at 2005-12-10 23:59
Titmouseさん。
これで晴れて「まぬけづら」の仲間入りを果たしました(^^;
海水温が高かったから、なまじっか町にいるよりも、暖かく過ごせたみたいですよ。
Commented by KIKI at 2005-12-31 22:57 x
下の方の記事にすみません。
船で寝たんですよね?
うわーーいーーなーー!!
帆船には乗ったことはあるものの、泊ったことが
ないのですっごく羨ましいです。
Commented by foggykaoru at 2006-01-01 18:41
KIKIさん。
そうなんです! 船で眠ったんですよ~
「旅とも日常とも違う」の意味を、後になって考えてみたんですが、「水に命を預ける」感覚なのかなと思います。
それには夜寝るときも船の上、というのが重要なポイントのような気がしてます。
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