ファージョン作「ムギと王さま---本の小べや1」

脇さんの本にファージョンの「リンゴ畑のマーティン・ピピン」についての言及があり、面白そうだなと思って図書館に行き、勘違いして借りてきてしまったのがこれです。

電車の中で読んでいて、乗り越してしまったのが1回。
同じく、電車の中で読んでいて、目頭が熱くなってしまい、ちょっと焦ったのが1回。
というわけで、かなり、いや、非常に、気に入ったのでした。
古典とか、名作と呼ばれるものの持つ力を思い知らされました。

私が子どもだったころ、岩波少年文庫の「ムギと王さま」は1冊だけでした。今は収録作品を増やして2分冊、つまり「本の小べや1」と「2」になってます。

この本に収録されているのは以下のとおり。

(1)ムギと王さま
(2)月がほしいと王女さまが泣いた
(3)ヤング・ケート
(4)名のない花
(5)金魚
(6)レモン色の子犬
(7)貧しい島の奇跡
(8)モモの木をたすけた女の子
(9)西ノ森
(10)手まわしオルガン
(11)巨人と小人
(12)小さな仕立屋さん
(13)おくさまの部屋
(14)七ばんめの王女

まず、(1)でちょっと驚いた。題名のイメージから、もっとほんわかした王様の話だと思い込んでいたので。
(2)はめくるめくナンセンス。こういうの、私は好きです。
(4)はなんとも微妙な味わいのあるお話。「大人の社会に対する批判」とか、一言で片づけるのは簡単だけど。
(5)(6)(7)(8)あたりは、下手をすると、道徳の教科書に載せられてしまいそうなお話。そして、親というのは、ついつい「ためになるから」と思って、こういう話を子どもに読ませたくなるものかもしれませんが、そういうのは邪道だし、逆効果だと思います。子どもにとって、本は面白ければいいのであって、本から教訓をくみ取らせようとするのは、大人の勝手です。
(9)は主人公の若い王様と、その小間使いのキャラが新鮮で爽快。
(10)は小品ですが、「これぞファンタジー」と私が言いたくなるのは、こういう作品。
(12)は定石どおりの話かと思ったら、やられました。
(14)は、、、、何と言えばいいのでしょうね。このおきさきさまの気持ち。王さまとしては、すべて「よかれ」と思ってしたことなのですが。深く考えさせられます。これは大人のためのお話かも。


この本に関する情報はこちら
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by foggykaoru | 2006-11-22 20:28 | 児童書関連 | Trackback | Comments(10)

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Commented by koujitu3 at 2006-11-22 22:28
そうか、この本も文庫で読まれているのですね。
私は同じ岩波でも、ファージョン作品集の方がつい浮かんでしまうので。

「ムギと王さま」は短編集だから、ちょっとした時間にも楽しめますよね。
「年とったばあやのおはなしかご」と「町かどのジム」も、全体でひとつのおはなしともいえますが、各章だけを取り出して読むことも可能ですよ。

私はストーリーテリングをしているので、ファージョンの作品は、勉強会で友人がはなすのを聞くことが多いのです。
自分で読んでも楽しいですが、聞かせてもらうともっと楽しいです。

ついでに、
(8)の題名、ミスっていらしゃいますよ。

ファージョンの作品はさらっと読めばそれはそれで楽しめるのですが、じっくり付き合うととんでもなく深い作品ばかりですよね。
ほとんどおうちのなかで一生を過ごされた方とは思えないくらい、創造力の豊かな方だと思います。
Commented by ふゆき at 2006-11-22 23:54 x
ムギと王様はずっと背表紙をみつめてた本だけど、どんなストーリーだっけ?
読んでるけど、あまりに題名のインパクトがつよいー。
姪にわたしてしまったので、今度またかりてきます♪
Commented by foggykaoru at 2006-11-23 09:47
koujitu3さん。
ご指摘ありがとうございます!!
おっしゃるとおり、どの作品も、実はとーっても深いですよね。一読しただけでも感じたぐらいですから、繰り返し読めば読むほど、味わい深くなるのだろうと思います。
Commented by foggykaoru at 2006-11-23 09:50
ふゆきちゃん。
けっこう子どもの本、読んでるよね。
受験勉強がなかったら、さぞかしたくさん読んでいたことだろうと、話聞いてて思います。
この本、確かに子どもの本ではあるけれど、大人にこそ読んでもらいたいかも。
読み直してみるといいよ。
Commented by ケイ at 2006-11-23 10:32 x
おおっ、ファージョン!
私も好きです。りんご畑のマーティン・ピピンもすてきなお話ですよ。
ぜひぜひ、読んでください。

久しく読んでいないので、私も読み直してみようかなあ。
Commented by ケイ at 2006-11-23 11:56 x
そういえば、イギリス南部の丘は、downsという極めて逆説的な名前を持っているというのをファージョンを読んではじめて知りました。
Commented by elfarran_in at 2006-11-23 14:24
ファージョンも夢中になりました。紙粘土で色々お話の中の小物を
作ったりもしましたねぇ・・・(そのころからフィギュア好き?!)
ばあやのお話・・・も入ってるんですね。買おうかな・・・
ナルニアと双璧でした、子供の頃のバイブル?(笑)
で、少し大きくなってゲド戦記・・・とか。マーティン・ピピンとか・・。
りんご畑やひなぎく畑やら・・・素敵でした。そんなこんなで(?)
指輪物語を完読できたのは本当に遅かったです。
一番最後でしたから^^;でも一番最後に凄いものが残ってて
嬉しくもありましたが(^^)ファージョンの作品の挿絵もスキです。
いいものは、何度読み返して本当にいいですね。
PS,今更ながらリンク付けましたので貼らせて頂きます♪宜しく♪です。
Commented by foggykaoru at 2006-11-25 08:19
ケイさん。
ファージョンのファンは多いですねー
私も、子どもの頃に買い与えてもらえば、絶対に繰り返し読んだでしょうに。
どうしてうちの親、買わなかったのかしら。
これだったら、繰り返し読んでも、怒られなかっただろうなぁ。。。ランサムと違って(核爆)
Commented by foggykaoru at 2006-11-25 08:23
Elfarranさん。
指輪が後のほうになるのは、非常にまっとうな人生ではないでしょうか。
いちばん最初に読んだら・・・もうそのあとは、一気に「マビノギオン」とかに行っちゃって、教授になるしかないんじゃない?(笑)

リンク、ありがとうございます~
Commented by 麦子 at 2010-01-17 23:53 x
どなたかご存知? 私の記憶では、岩波少年文庫版(昔のハードケース本)の1971年以前のバージョンに書いてあったものが、現在版では、消されている個所があるのですが、気がついた方いませんか? ぜひ教えてください。

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