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「精霊の守り人」読みました

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先週、ランサム展の準備に行ったついでにナルニア国にて購入。

かねてより友人たちの絶賛の声は聞いていたのですが、日本の児童文学にはあまり食指が動かず、未読のままでした。それが今回、文庫化され、そのあとがきを神宮輝夫氏が書いていると聞くに及んで、ついに観念して(?)読むことにしたのです。

私は上橋さんのことを、「子どもの頃ランサムが大好きだった」という意味において、勝手に同類だと思いこんでいます。さらに、もしも私がもうちょっと後に生まれていたら、つまり上橋さんと同じ頃に生まれていたら、ランサム以後日本で刊行された数々の外国児童文学の多くを、きっと同じ頃に読んで、きっと同じように好きになったのではないか、とも思いこんでいます。

読み始めてすぐの印象は「エスニックだな、ゲドに似ている」
そして、都の地理的な説明のあたりは「まるで指輪物語♪」
質素だけれど妙に美味しそうなご飯の描写には「ランサムだわ!」

でも、そんな邪念(!)はすぐに吹っ飛ぶことになりました。
「○○に似ている」「××に影響を受けている」などという代物ではないのです。
これは紛れもなくオリジナルな「上橋ワールド」。





伝承の成立とか、祝祭の起源と変遷というあたり、文化人類学の専門家の面目躍如という感じ。「クリスマスも復活祭も、もともとはケルトの祭りだったんだっけ」と、しみじみ感動しました。子どもはそういう感動のしかたとは無縁でしょうが、逆に、これを読んで「大きくなったら文化人類学をやりたい」と思う子どももいるかも?

一番のツボはこれです。
人助けは、殺すよりむずかしい。<中略>争いのさなかにある人をたすけるには、別の人を傷つけなければならない。
・・・・・深い。

唐突に
「客を笑わせるのは、泣かせるより難しい」
とか思い出してしまった(苦笑)


あっ、、、もちろんランサム的なツボは「ウサギの皮はぎ」でしたよ♪

by foggykaoru | 2007-06-07 20:33 | 児童書関連 | Trackback | Comments(6)

Commented by いーろら at 2007-06-08 01:43 x
上橋菜穂子さんとか荻原規子さんの作品は世界に通用する質と風格ですよね。
どのくらい翻訳されているのでしょう?
アニメばっかりじゃなくて、日本の児童文学も広く世界に紹介されて欲しいと思います。

今、英国湖水地方が舞台だからとmixiで評判の『「老いぼれ腰抜け」亭の純情』を読んでいますが、昔の作品であるせいかとにかく翻訳のレベルが低い・・・・
舞台が湖水地方に移動する142ページまでに挫折しそうになりました。
日本語の作品が海外で翻訳される際には、是非、ランサムが日本で得たような、良い翻訳者にめぐり会えますように。
Commented by foggykaoru at 2007-06-08 21:23
いーろらさん。
>アニメばっかりじゃなくて、日本の児童文学も広く世界に紹介されて欲しいと思います。
同感!

>『「老いぼれ腰抜け」亭の純情』
そんな作品があるんですね!
しかし、そーゆー感じなんですか。ちょっと読むのに勇気が要りそうです。。。
Commented by AngRophile at 2007-06-11 11:53 x
『「老いぼれ腰抜け」亭の純情』(Old Comtemptibles)

これはアメリカ人ながら、イギリスの実在のパブの名前を使ったタイトルのミステリを書いている詩人で作家のマーサ・グライムズの作品。シリーズ第11作です。現在もまだ続いていますが、邦訳は13作目でストップ。もともとミステリっぽくなくて、いかにも詩人らしい人間の内面とかを書き込んだ小説。メインの犯罪よりも定連の登場人物の会話の方がおもしろいというこまったシロモノです。最新刊は19作目のはずですが、もう日本では出ないでしょう。翻訳がどうだったかは覚えていません。ひょっとしたらペーパーバックで読んでしまったのかも。シリーズを続けて読んでいる人しか面白くないかもしれませんね。
Commented by foggykaoru at 2007-06-11 21:29
あんぐろふぁいるさん。
>メインの犯罪よりも定連の登場人物の会話の方がおもしろい
あら、私が好きなのはそういう推理小説です(苦笑)
英語で読まなくちゃならないとなると、ちょっと敷居が高いですわ。
Commented by AngRophile at 2007-06-12 14:24 x
こまったシロモノというのは屈折した愛情表現で、もちろん全巻読んでいます(多分)。
「『レインボーズ・エンド』亭の大いなる幻影」だけは買ったかどうかすら覚えていませんが(汗)。
残念ながら、パブ・シリーズは全巻品切れです。今から全巻探すのは大変なので、邦訳された中で唯一ノン・シリーズの「桟橋で読書する女」でも読まれたらいかがでしょう。内容は覚えていませんが、詩人である作者の持ち味が如何なく発揮されています(いたはずです、確か。。。)。

パブ・シリーズのワトソン役、貴族のめるローズ・プラントのお気に入りのエールが「オールド・ペキューリア」で10年以上前に当時日本では数少なかったブリティッシュ・パブで瓶入りを飲みました。その後、出張中にオンタップをレディングのパブで見つけ、目を輝かせてオーダーしたら、地元のイギリス人にアル中呼ばわりされました。
Commented by foggykaoru at 2007-06-13 20:38
あんぐろふぁいるさん。
>こまったシロモノというのは屈折した愛情表現で
わかってますよ~

>エール
うーん、、、私には難しすぎて、猫に小判、馬の耳に念仏ですが・・・
ここんとこ2回続けて聖地巡礼の運転手をやってもらった私の友人、カルチャースクールで「英国パブ講座」というのを受講しているんです。
彼女があんぐろふぁいるさんの話を聞いたら、さぞかし面白がることでしょう。
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