ケストナー作「消え失せた密画」

ブック○フで105円だったから、つい買ってしまった。ケストナーによる大人向けの小説としては「雪の中の三人男」を読んだことがあるが、全く同じタイプ。ユーモア小説です。

私は小学生のとき、「エーミールと探偵たち」を読んで、おおっこれはすごい!と感動し、もしかしたらこの作家は大好きになるかもしれないと思い、数冊立て続けに読んだけれど、いつしか冷めてそれきりになってしまった、という過去を持ちます。
つまり、ファンというほどではない。
けれど、幼少期のすり込みがあるので、親近感はかなりある。
だからつい買ってしまったわけで。
そしてごく淡々と読み終えました。
最近は小説というジャンルに強く惹かれなくなっているということもあるかも。

いちばん楽しめたのは、小松太郎氏の翻訳です。古臭いところがいい。
でも疑問点が1つあります。
今ほどは欧米の生活様式が日本に入っていなかった頃にこれを訳すのは大変だったと思うのですが、「Prost!」をそのまま「プロースト!」としているのはなぜ? 
日本語には「乾杯!」という言葉があるではないの。

あと、ベルリンの人がちょっと気晴らしに行くのはコペンハーゲン、なんですねえ。
ロンドンの人が行くのはパリ。(パリの人はロンドンには行かないが)
つまり、英仏は北海ゾーン、ドイツはバルト海ゾーン。ドイツは英仏とは文化圏が違う。
「エーミールと三人のふたご」の舞台になったヴァルデミュンデも出てきます。ヴァルデミュンデは先日読んだ松本さんの本でも紹介されていたのだけれど、このビーチ(そのものだったかどうかはよく覚えていないけれど、少なくともその近所のビーチ)には行ったことがあります。8月中旬にしてすでにあまりにも寒々しいことに驚愕し、そんな場所で「夏だ! 海だ!」と大喜びするドイツ人って可哀想・・・としみじみ思ったものです。

以前読んだ「雪の中の三人男」に関連する記事はこちらこちら

この本に関する情報はこちら
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by foggykaoru | 2007-10-28 21:31 | 普通の小説 | Trackback | Comments(18)

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Commented by ケルン at 2007-10-28 23:37 x
わーい、かおるさんこれ読んだんですね♪ 楽しまれたようでよかったです。
とか言いつつ、この本、ケストナーの大人向けコメディ3冊の中では、読み返し率がものすごく低いです・・・理由のひとつは、たぶん、主人公がおじさんだから(すみません単純で)。でも、どんな話だったか、良い具合に忘れてしまったし、この機会に読もうかな。

ロンドンは今でこそコスモポリタンで進んだ大都会だけれど、私の想像では、ドイツの人から見ると、ロンドンは北で端っこで遠すぎる、という感じなのではないでしょうか。ドイツに少しだけ行ったとき、ハンブルクやライン地方(=ドイツの中では端っこ)でさえ、「ここは英国とも北欧とも違って、ヨーロッパ大陸の真ん中で、どの方角にも陸続きの国がある」という感覚が新鮮だったものです。同じ北国で寒くても、デンマークやスウェーデンは陸伝いにいけて、言葉もまあ似てるから見当がつくけれど、英国なんて海を渡らなければならないところは、面倒で除外、という感じなのではないかなあ。

あと1冊、『一杯の珈琲から』も、ぜひ読んでみてくださいね。
Commented by リンゴ畑 at 2007-10-29 10:08 x
>ごく淡々と読み終えました。
大人の表現ですねえ…。う~む。かくありたいです。いいなあ。
でも、ブッ○オフで105円のコーナーって、時々掘り出し物がありますよね。森茉莉の復刻版や、村上春樹やよしもとばななのベストセラーの初版に105円がついてたりすると、「おお、残酷な」って感じがしますが、自分の好きな本がみつかるとブラボー!って心の中で叫んでます(笑)
Commented by ドミノ at 2007-10-29 15:18 x
文庫で出たときに「おお、ケストナーの大人向けか!」と思って速攻買いした記憶が。
しかし内容の記憶はおぼろ。いかんですね、ちゃんと読まないと。
Commented by サグレス at 2007-10-29 18:54 x
「消え失せた密画」、最初のあたりは覚えているのですが、最終的に何がどうなったのかすっかり忘れています(汗)。ま、記憶は消えるから再読の楽しみもあるのさっ(と強がって?みる)。

リンゴ畑さん、
>「おお、残酷な」
って、分かります、分かります!
Commented by むっつり at 2007-10-29 20:50 x
ブックオフは本を汚れ具合だけで判断しますから…
本の値打ちを理解していません
Commented by foggykaoru at 2007-10-29 21:24
ケルンさん。
結局のところ、英仏は西欧、ドイツは中欧、ということなのでしょうね。
ベルリンからロンドンは、たとえ陸続きでも遠いです。
同じドイツでもケルンあたりからならまだしも(笑)
Commented by foggykaoru at 2007-10-29 21:28
リンゴ畑さん。
淡々というのは、ものすごく面白くて一気に読み終わったというわけでもないけれど、まあ抵抗なくごくあっさりと楽しみつつ読み終わったというような感じです。
私にとってのケストナーはそういう作家みたいです。
Commented by foggykaoru at 2007-10-29 21:29
ドミノさん。
私も「雪の中の三人男」の内容はほとんど覚えていないです・・・
Commented by foggykaoru at 2007-10-29 21:30
サグレスさん。
結末は・・・ちゃんと密画が出てきて、めでたしめでたし♪です。
Commented by foggykaoru at 2007-10-29 21:34
むっつりさん。
「消え失せた密画」は、毎月行く美容院のそばの「まともな古書店」では300円ぐらいしていて、ちょっと手が伸びなかったんです。
ふだんだったらその店で1冊ぐらいは読みたい本が見つかるのに、その日は何もなくて、しょうがないので、ふだんは通り過ぎてしまうブック○フを覗いてみたら、同じ本が105円だったわけ。
きれいな本だったのに、うっかり汚してしまったので、もうブッ○オフに買いとってもらうことはできません(涙)
Commented by crann at 2007-10-31 21:42
わたしの『消えうせた密画』は昭和32年初版、世界大ロマン全集32.小松太郎氏役です。
学生時代の古本バイトで見つけたのでしょうね、いくらだったかは忘れましたが、愛読書です♪
Commented by foggykaoru at 2007-11-01 20:22
crann@leiraniさん。
古本屋のバイトをなさっていたんですか? さすがっ! (何がさすがかって、、、なんとなくね(爆)) 
Commented by sugachan2 at 2007-11-01 21:16 x
ケストナーはコメントが多いですね。実は私のケストナー暦はランサムより古く、かなりのファンです。あー、ドレスデンに行きたい。(むろん、イギリスの方を先に行きたいですけど)大人の童話3部作もうちにあります。でも、最近読んでないので、筋はすっかり忘れました。最近、飛ぶ教室が新しい訳で出ていて、思わず買ってしまいました。面白かったです。
3部作の中では、一杯の珈琲から がいちばん面白かった記憶があります。
Commented by サグレス at 2007-11-03 08:13 x
sugachan2さん、
私もケストナーの方をランサムより前に読んでいました。子どもの本の中では「飛ぶ教室」が特に好きです。「五月三十五日」も好きですが。
大人の童話三部作では、「雪の中の三人男」がお気に入りです。前書きから爆笑の連続で(笑)。
何故か「一杯の珈琲から」(母は独文専攻だったので、これを頑固に「小さな国境往来」と呼びますが)だけ、長いこと未読でした。ついこの前読み、大いに気に入りました。これは本当にメールヒェン、大人のためのメールヒェンですね。
Commented by foggykaoru at 2007-11-03 08:56
sugachan2さん。
ケストナー、新訳もいいですか? じゃあ読んでみようかな。
Commented by foggykaoru at 2007-11-03 08:58
サグレスさん。
そりゃあケストナーのほうがランサムより先でしょう。なんてったって薄いし。
私の場合、ケストナーの文体に魅せられたけれど、その後すぐにランサム(というか神宮先生)の文体に上書きされちゃったといえます(苦笑)
Commented by sugachan2 at 2007-11-03 09:28 x
サグレスさん
飛ぶ教室は私も一番好きな物語です。新訳を読んで、さらに良さを実感しました。子供のころは「点子ちゃんとアントン」の記憶が強いです。
foggykaoruさん
新訳は 童話としてではなく、大人が読んで満足がいくような訳をした。というコメントがあったような記憶があります。ぜひ!
Commented by foggykaoru at 2007-11-05 20:17
sugachan2さん。
>大人が読んで満足がいくような訳
ほお! そそられますね。
でも、高橋健二訳も、私は満足なんだけど(^^;

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