お茶からお茶へ、旅から旅へ

日本人にアイルランドという国の存在を知らしめた「アラン島のセーター」の著者・伊藤ユキ子氏による本。「アラン島の・・・」も読んでみようかな。今さらだけど。(私のアイルランド旅行記の中でアラン島(ほんとうは諸島)のことを書いてあるのはこのページとその次のページ)

この人、とにかく筆が立つ。

たとえばウズベキスタンのお茶どころのこの描写。
樹齢はいかほどか、楡や桑の大木が池にしなだれかかるように枝葉をのばしていた。横一列に並んだ噴水の帯がガラス細工のような涼感を添えている。水しぶきに透けて見える緑陰と縁台とお茶をすする人々と。

あるいはモンゴルのゲルの中のこの描写。旅行の無事を祈って僧がお経をあげるシーンである。
半開きの天窓から差し込む陽光が、ゲルのなかほどを照らす。光の脚によって背中に彩度の高低をつくる僧のデールは橙色。袖口の折り返しは鮮やかなモンゴリアン・ブルー。仰げば、それと同じ色の空を天窓に切り取っている。香煙は読経の声とともに光の柱へ吸い込まれ、上へ、上へ。

特に面白いのが、中国とウズベキスタンに関する最初の2章である。お茶を飲みたい一心で、言葉も通じない国で、いろいろな出会いを体験し、ずんずん突き進んでいくそのさまには、旅人として感嘆してしまう。出色。

残念ながら、後半はちょっと尻すぼみ。旅本としてはね。
お茶の蘊蓄を深めるには悪くないと思うけれど。

杭州の西湖周辺の龍井茶や虎ほう泉の記述は、行く前に読んでおくべきだった。(私の中国旅行記のうち、このあたりのことを書いているのはこのページ以降の数ページ)



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by foggykaoru | 2007-11-03 08:23 | エッセイ | Trackback | Comments(0)

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