「ファーブル巡礼」

著者は津田正夫という人。故人である。
この本は絶版状態だったのだが、惜しまれて、新たに新潮選書として刊行されたらしい。

昆虫学のプロでもなんでもない氏が、ファーブルに心惹かれ、ファーブルの著書の記述をもとに、ゆかりの地を訪ねた記録。1970年代のことである。
1つ1つ探し出していくその経緯が楽しい。これこそがほんとうの旅なのだ。たとえて言うなら100パーセントの生ジュース。ガイドブックどおりに動く旅はせいぜい果汁20パーセントだ。

考えてみたら、私が英国湖水地方を初めて訪れたのも70年代。当時はランサム関連スポットのガイドブックなんて存在していなかった。物語の舞台に近いのはウィンダミアよりもむしろコニストンだということすら知らなくて、漫然とウィンダミアのフェリーに乗って、北極の町に行っただけだった。(それでも十分に幸せだったのだが。) 

津田氏の巡礼がこんなに成功したのに、私が何もできなかったのはなぜ?

氏はもと外交官。巡礼は余生の道楽だった。現役時代に築いたその人脈をもってすれば、ファーブル関係者に連絡を取ることができたし、南仏中をタクシーで走り回る財力もあった。
一方、私はまだ大学生。なんにもできなくて当たり前(涙)

私は虫とか博物学には詳しくない・・・というか、きわめて疎い。だから昨年末にプロバンスに行ったときも、ファーブルゆかりの地なんか見向きもしなかったが、今や土地勘があるわけで、「ああ、ファーブルが住んでいたのはあのあたりなのか」といちいち思い当たるというのはなかなかオツなものだった。普通は「読んでから行く」ものだが、「行ってから読む」もアリなんだな。

次回(いつだかわからないけれど)は、ファーブル博物館に行ってみようか。


この本に関する情報はこちら


メインサイトの「旅日記」に「冬の南仏プロバンス」アップしてます。いよいよアヴィニヨンです。



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by foggykaoru | 2008-05-25 09:05 | 伝記・評伝 | Trackback | Comments(2)

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Commented by むっつり at 2008-05-25 13:05 x
子供の頃にシートン動物記やファーブル昆虫記の抄訳は読んでいたのですが…
そこまで入れあげていた゜方がおられたのですね
すごい方ですね

ところでファーブルって、本国フランスでは、あまり評価されていないって本当でしょうか?
Commented by foggykaoru at 2008-05-26 21:12
むっつりさん。
>本国フランスでは、あまり評価されていない
ということは、私も聞いたことがあります。
この本を読んだ限りでは、長年日が当たらなかったけれど、最晩年には業績が認められたのだそうで、思っていたよりは評価されているんだな(苦笑)と思いました。

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