・・・イギリス人って!

「ボートの三人男」という本を読みました。
著者はジェローム・K・ジェロームという人。
翻訳が丸谷才一で、背表紙の宣伝文句「イギリス独特の深い味わいをもつ、代表的な傑作ユーモア小説」に惹かれて。

これは旅先で読むのにぴったりだったかも。ペルーに持っていけばよかった。
というのは、この小説、話がしょっちゅう脱線する、というより、全編、脱線話の連続。
だから一気に読むとついていくのがしんどくなる。
だからと言って2、3ページずつちょこちょこ読みすると、どういう脱線話だったかわけがわからなくなる。
だから旅先で毎日1章ずつ読むのに適しているんじゃないかな。

それにしても、「ボート」というのが手漕ぎボートなのである。
三人の男たちが「ボートで遊ぼう」と思いついて出発するあたりまでは、なんとなくティーゼル号のようなヨットか、マーゴレッタ号のようなエンジンのついた船のことかと思いこんでいたのだが、そうではなくて手漕ぎボートだったことに気付いたときは唖然とした。
何日もテムズ河をボートで手で漕いでいくのだ。
漕ぐ、あるいは・・・引っ張って歩く!!
そして、その日の気分によっては、夜もそのボートで寝る! 
大の男(イギリス男は日本男よりでかい)が三人も!

イギリス人にとって、こういう遊びって普通なのだろうか?

ずーーっと昔、イギリス人の趣味として「バード・ウォッチング」なるものがあるらしい、そして、それはただ鳥をじーっと観るだけなのだそうだ、と初めて聞いたとき、「何が楽しいんだろう?!」と呆れたものだ。今回の驚きには、そのとき抱いた感情に通じるものがある。
(その後、バード・ウォッチングを経験してみて、鳥に詳しい人と一緒だとなかなか楽しいものだとわかったけれど。)

あと、テムズ河畔の土地の説明がけっこう詳しいので、これは土地勘があるほうが、そこにこめられているユーモアや皮肉がわかって面白いのではないかと思っていたら、あとがきに「テムズ河についての歴史的および地理的な展望の書としてもくろまれた」とあった。要するに、一種のガイドブックだったのである。

登場する地名の中に「ハムトン・コート」というのがある。
これは明らかに「ハンプトン・コート」のことなのだが、なぜ「ハムトン」? 丸谷才一氏があえてそう表記しているのだから、正しいのだろうけれど、私はイギリスで「ハンプトン・コート」で通してました。生粋のイギリス人はそう発音するの?

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by foggykaoru | 2008-08-31 09:13 | 普通の小説 | Trackback | Comments(22)

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Commented by むっつり at 2008-08-31 11:55 x
子供の頃に少年向けの簡約版を読んだような記憶が有りますが…
たしかノイローゼ三人衆の話では?
世界中のあらゆる病気にかかってしまったと思い込んでいる男が友人達と医者の勧めで旅に出てしまう事だけは覚えています
あと、川で洗濯をしたらかえって汚れてしまい、その分だけテムズ川が綺麗になった、と言うシーンで笑ってしまったので覚えています
イギリス人のユーモアって機知が基本ですね
Commented by ラッコ庵 at 2008-08-31 14:14 x
ええええっ!
foggyさまがこれを読んだことがなかったということに驚きました!
私にとっては学生の頃に読んでから、時々読み返す愛読書です。
ていうか、私の英国人観はこれとホームズとランサムサガから出来てると言っていいかも。以来ハンプトンコートは私の憧れの場所です。
ヤカンでお湯を沸かすとき、知らんぷりすると早く沸く、ということもこの本から学びました。

「犬は勘定に入れません またはヴィクトリア朝花瓶の謎」という、オマージュ作品(実はSF)が一時話題になりましたが、これはあんまり面白くなかったです。
Commented by ケルン at 2008-08-31 21:29 x
Jerome K. Jeromeという名前とこの作品名は、ちょっと前の英文学概論を読んでいるとひっきりなしに引用が出てくるので、必読書なんだろうなあと思いつつ。読んでません。なかなか面白そうですね。

地名は、どちらがより正式なのかは、土地の人にきかないとわかりませんが、スペルを見る限りハムトンと発音されても間違いじゃないと思います。ほら、「テロダクティル」だって、原文はpから始まるけど発音されないし。
Commented by AngRophile at 2008-09-01 12:45 x
存在は以前から知ってましたが、「似非」英国紳士なので読んでいません(爆)。
ハンプトンは難しいところですね。mpt と連続すると p を破裂させないのはよくあることだと思います。以前、ハムステッドをハンプステッドと表記しているのを見たことがあります。トテナムもトッテンハムとか、枚挙にいとまがありませんね。
Commented by サグレス at 2008-09-01 21:20 x
私もこれ、今年になって読みました!
Foggyさんのおっしゃる通り、全編これ脱線の連続。どうしようもなく、しょうもなく可笑しい本でした。電車の中で読むと、1人で笑っている怪しい奴になってしまうのですけれど、私は安アパートの1人暮らしなので、家で読んでいてもご近所から怪しまれていたと思います(家では遠慮無く大爆笑しますからねぇ)。

ケルンさん、これ、面白いですけれど「必読書」というようなシロモノではないような気が・・・。「まいどばかばかしいお噺」のイギリス版、ていう感じです。

ボートをひたすら漕ぐ、あるいは引っ張って旅をすることについては、私は特に疑問は感じませんでした。「なぜそんなことを?」という点で言えば、登山というのも似たようなものに思えますし。人は食い足りると無駄をする生き物なのではありますまいか。
Commented by foggykaoru at 2008-09-01 21:55
むっつりさん。
そうそう、「気鬱にとりつかれた」三人の話です。
子供向けの簡約版なんかがあったんですか。。ちょっと驚き。
Commented by foggykaoru at 2008-09-01 21:59
ラッコ庵さん。
そんな驚かれるなんて・・・。
私、それほど普通の小説って読んでないんですよ。推理小説ばっかり読んでた時期が長い上に、最近はノンフィクション中心になっちゃってるし。
>ヤカンでお湯を沸かすとき、知らんぷりすると早く沸く
このあたり、そこはかとなくランサムを感じました♪
Commented by foggykaoru at 2008-09-01 22:01
ケルンさん。
必読かどうかはわからないけれど、人に借りて読むのはいいかも(笑)
次回お目にかかるときに持っていきますね。
Commented by foggykaoru at 2008-09-01 22:04
あんぐろふぁいるさん。
おお、読んでらっしゃらないとは! 意外です~
発音のこと、教えてくださるだろうと思ってました(^^;
Commented by foggykaoru at 2008-09-01 22:08
サグレスさん。
>ボートをひたすら漕ぐ、あるいは引っ張って旅をすることについては、私は特に疑問は感じませんでした。
そうですか~? 
荷物や食料をしこたま積み込んだボートを毎日漕いだり引っ張ったりするんですよ、重いですよー
登山を引き合いに出されてはぐうの出も出ないけれど(苦笑)
Commented by むっつり at 2008-09-01 22:46 x
川に手漕ぎボートで三人…と言うのが妙に引っかかって心がモヤモヤしていたんですが、先ほど解りました
「死と栄光号」でした(^_^;)
このフネは船室とマストまで持った帆船にまで進化してしまったので忘れていましたが、元々は手漕ぎボート
三人で頑張っています
Commented by ケイ at 2008-09-02 00:38 x
ボートの三人男、私も数年前に偶然古本市で見つけて、手に入れて、読みました。いかにも英国風ですよね。
これを読む少し前に、この本を元ネタにした歴史物の推理小説を会社のおじさんに借りて読んだのだけれど、何という推理小説だったのか、どんな探偵が出ていたのか、すっかり忘れてる!
作者も題名もすっかり忘れたけど(作者はピーター・ラブゼイだったかなあ…)、ジェローム・K・ジェロームのボートの三人男の影響で、昨今(ボートの三人男が発表された当初ということですが)、猫も杓子もテームズのボート旅行をしたがるという世相が背景でした。
Commented by とーこ at 2008-09-02 12:52 x
>イギリス人にとって、こういう遊びって普通なのだろうか?
普通かどうかはともかくとして、私もサグレスさんと同じで疑問は感じませんでした。

だって、大西洋 手こぎボート横断レースっていうのがあるんですよ。
ニューヨークから、英国のファルマスまで手こぎボートで航海(!)するんです。
ホームページは
…と思いましたが、こちらはコメント欄にアドレスが入れられないようなので、投稿名の横のURLのところに、この手こぎボートレースのホームページアドレスを入れておきます(これは私のHPではありませんので…笑、ご注意)

このレースに参加したのはアメリカ人1チームと、イギリス人3チーム。
この人たちはまったく…って思いました。
Commented by ケルン at 2008-09-02 16:56 x
サグレスさん
>ケルンさん、これ、面白いですけれど「必読書」というようなシロモノではないような気が・・・。「まいどばかばかしいお噺」のイギリス版、ていう感じです。

英文学概論ではなくて、文法書だったような気がしてきました。ちょっと前の英文の言い回しの用例が豊富だったのかもしれません。

かおるさん
>次回お目にかかるときに持っていきますね。

うわーい! ありがとうございます。(でも数週間お目にかかれないかも)
Commented by ラッコ庵 at 2008-09-02 17:12 x
>ケイさん
コメントにも書きましたが、それは多分、
「犬は勘定に入れません あるいはヴィクトリア朝花瓶の謎」
でしょう。
ストーリーは忘れましたが、ちょっと冗長な印象がのこっています。
Commented by foggykaoru at 2008-09-02 22:07
むっつりさん。
おお、そうだった! 元は手漕ぎボート!!
Commented by foggykaoru at 2008-09-02 22:10
ケイさん。
猫も杓子も・・・
まあハンプトン・コートあたりを思い出すと、ほんとにきれいですけどね。
あんな感じのところだったら、ボート旅行しようって気になるのもわからないではないです。
でも手で漕ぐのはなあ(←まだ言ってる(自爆))
Commented by foggykaoru at 2008-09-02 22:13
とーこさん。
>大西洋 手こぎボート横断レース
ううっ、、、正直、ヨットで横断するのでさえ、何考えてるのと言いたいのに・・・
考えただけで腕やら肩の筋肉がつっぱってきます(笑)
Commented by foggykaoru at 2008-09-02 22:14
ケルンさん。
あら、今月はダメなの?
じゃ、他の誰かさん経由でそのうちにケルンさんに廻ることになるかもです(^^;
Commented by ケルン at 2008-12-07 11:38 x
かおるさん、この本、今はお手元にありますか? 今月タイミングがあったら、貸していただけませんか? (私用コメントすみません)
Commented by foggykaoru at 2008-12-08 21:46
ケルンさん。
おお、私のほうこそ忘れていてごめん。
今度持っていきますね。
Commented by ケルン at 2010-03-29 13:04 x
かおるさん、これ、中公文庫でまた出ましたね。
丸谷才一訳(テキストは元のままかも)、表紙が好き。

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