2009年 05月 24日 ( 1 )

年老いた英国女性

ミシェル・サルドゥーの3枚組CDの2枚目を聴きました。
耳に飛び込んできたのが la vieille Anglaise(年老いた英国女性)という言葉。
さらに「フランスは私を見捨てた」なんて言っている。
なんじゃこりゃと思って、歌詞サイトで確認。(フランスのCDは歌詞カードが入ってないのです)


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クイーン・メアリーと呼ばれた年老いた英国女性は
祖国の崖を遠く離れたカリフォルニアの埠頭で沈んだ
彼女を思うと
海に呑み込まれた漂流物や
夢を追い求めふるさとに戻れなかった長い手紙の数々を
うらやましく感じられる

もう二度と私のことをフランス[1]と呼ばないでくれ
フランス[2]は私を見捨てたのだ
もう二度と私のことをフランスと呼ばないでくれ
最後のお願いだ

私は巨大な船だった
1000年だって航海できる
私は巨人だった
大海と互角の勝負ができた
私は巨大な船だった
あまたの恋人たちが私に乗った
私はフランス[2]だった
でも今何が残っているというのだ
鵜につつかれる死骸同然だ

もう二度と私のことをフランス[1]と呼ばないでくれ
フランス[2]は私を見捨てたのだ
もう二度と私のことをフランスと呼ばないでくれ
最後のお願いだ

クイーン・メアリーと呼ばれた年老いた英国女性
彼女のようにカリフォルニアの埠頭では死にたくはない
世界最大の戦艦に沈没させてもらいたい
生まれ故郷ブルターニュのサン・ナゼールで
船底をさらしたい
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題名は「 le France 」。
フランスという国名は「 la France 」。女性名詞なので冠詞も女性形。(歌詞の中の[2])
ところがこれには定冠詞の男性形が付いている。
一瞬、目をむいてしまったのですが、よくよく歌詞を読むと、船の名前だということがわかります。つまり「フランス号」。(歌詞の中の[1]) 
以前からもしかしてと思っていたのですが、英語圏とは違って、フランスの船は一般的に男性らしい。

それでも歌の意味がわからないので、フランス語版Wikipediaで調べてみました。
それによると、この歌は、1975年当時ル・アーブル港の「忘却埠頭」とよばれるところに繋留されていたフランス号へのオマージュとして書かれたらしい。
繋留されて動かない船の悲哀。
動かない船は船とは呼べない。

Wikiによると、サルドゥーはいわゆるマルチ人間で、「歌手」というより「自作自演のアーティスト」と呼ぶべきなのだそうで。そして、彼の書く歌詞の多くは一人称なのだそうです。
あるときは田舎の司祭になったりする。
船にもなる、ということでした。


・私とサルドゥーとの出会い、そして田舎司祭の歌についてはこちら
・(フランス号とは無関係ですが)フランスの他の艦船の名称についてはこちら
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by foggykaoru | 2009-05-24 09:24 | バベルの塔 | Trackback | Comments(4)