まひるの散歩

角田光代のエッセイ。
もともと雑誌「オレンジページ」に連載されていたものだそうで、最初のほうは食べ物関連のネタ。
でも、後半は種が尽きたらしく、普通のエッセイになってしまった。

さすが売れっ子作家だけあって、まあまあ面白かったけど、一つ一つが短すぎ。

再読は無いな。即処分箱行きです。

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# by foggykaoru | 2017-07-20 20:54 | エッセイ | Trackback | Comments(0)

ミラノの太陽、シチリアの月

内田洋子がイタリアで知り合った人々。
「ジーノの家」の続編的作品である。
とても面白かった。

かつて、イタリアを旅したとき、こんなことを思った。
「光が強い。そのぶん、影が濃い」
真夏だったからってこともあるが(自爆)

この本を読んで、それを思い出した。

私がいちばん気に入ったのは「鉄道員オズワルド」
往年のイタリア名画に「鉄道員」というのがある。
未見だけど、きっとこんな味わいなんじゃないかな。

光が強くて、影が濃い。つまりギャップが大きい。
それはイタリアの人々のキャラの濃さによるところが大きいけれど、それだけではない。
イタリアにおける、いわゆる南北格差。
ヨーロッパに実はまだまだ色濃く残る階級の違い。

思わず、以前読んだ「ジーノの家」を読み返してみたら、意外なことに、「ジーノ」はあまり面白いと思えなかった。そのぐらい、今回のこの本が面白いということなのでしょう。



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# by foggykaoru | 2017-07-17 07:48 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(0)

高台にある家

著者は水村節子。
自らの生い立ち、ひいては自らの母親の数奇な運命をたどるという、自伝的小説。
著者唯一の小説なのだそうだが、きちんと小説作法の先生について(しかも、最高の批評家を得て)書かれたため、十分に読むに堪える作品になっている。それどころか面白い。

で、水村節子の娘である、作家・水村美苗が、あとがきに文章を寄せている。
彼女は母親と祖母から話を聞かされて育ち、「これは小説のネタだ」と思っていたら、、、
母親が先に書いちゃった。
しかも、さかんに「どう思う?」と原稿を渡され、やいのやいのと批評を迫られ、「なんで私がこんなことをしなくちゃならんのか」と地団太踏んだんだと。

そして、、
壮絶な介護の末、母を見送った水村美苗は、母の手になるこの小説があるにも関わらず、改めて「母の遺産」を書いちゃったのです。

というわけで、この小説は「母の遺産」とかぶっていることがたくさん。
こっちを読むと、「母の遺産」のどこがフィクションなのかがわかる。
なにも両方読むことはない、という考え方もあります。
ですが、ネタとして面白いという点は間違いないので、立て続けに読むのはどうかなとは思いますが、「母の遺産」を興味深く読んだ人にはお薦めできます。






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# by foggykaoru | 2017-07-15 06:22 | 普通の小説 | Trackback | Comments(0)

ベンチ

超多忙ゆえ、長らくご無沙汰しました。
少しは本も読んでたんですが、とりあえず軽く写真を1枚。

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モスクワで立ち寄った普通の公園にて。

1人がけのベンチって、珍しいなあと思って。


メインサイトにて、ちんたらアップしていた「誘われてロシアの縁(ふち)」、旅行記本編は完結しました。






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# by foggykaoru | 2017-06-18 10:26 | メインサイトのボツ写真 | Trackback | Comments(0)

異邦人

アルベール・カミュじゃありません。
副題は「世界の辺境を旅する」
著者は上原善広という人。
「日本の路地を旅する」という本で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞したそうで、この「路地」とは被差別部落を意味するそうで、上原氏は被差別部落出身なのだそうだ。

第一章はパレスチナのガザ地区の話、かと思いきや、
のっけから、著者の幼少時の思い出が語られる。重い思い出が。(ダジャレを言うつもりはなかった・・・)
紛争地域に乗り込んでいく、自分探し屋さん?という感じがなきにしもあらずなのだけれど、章を追うごとに読み応えが出てくる。
ちなみに、第二章から先は
バグダッドのロマの女性
スペインのカゴという被差別民
ネパールのマオイスト
イタリアとコルシカのマフィア
旧樺太の少数民族

どれも興味深いです。
特に最後の、旧樺太の話が、日本に関わりがあるだけに、胸に響きます。
日本にはいろんな少数民族がいたのです。アイヌだけじゃない。でもなんにも知らなかった。

この本はすぐに売っぱらったりしないで、しばらく手元に置いておくつもり。




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# by foggykaoru | 2017-05-10 21:16 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(0)

ソフィアの白いばら

八百板洋子という人の、ブルガリア留学記。
古本屋で見つけて買ってしまったのは、ブルガリア旅行の思い出があるからこそ。

でも、私が行ったのは、ソ連邦崩壊後。

八百板さんが行ったのは冷戦まっただ中の1970年。全然時代が違う。

出会う留学生は共産圏出身者が中心。
学生たちはみな、自国のイデオロギーを背負って生きている。それが実に新鮮。
冷戦とは、そういうことだったんだな。

ベトナム戦争も終わっていない。
ベトナム人留学生たちにとってアメリカを支援する日本は敵。だからどうしても関係がぎくしゃくしがち。

数年前、2度にわたって無頓着にベトナム旅行に行ったけど、そういう歴史もあったんだなあ。(その後、もう1回行ったんだっけ)
ベトナム戦争のことは十分に念頭に合った。リアルタイムで知っていたし。でも、日本も関わっていたということについて、あまり意識していなかった。日本語を一生懸命勉強している女子大生のお宅で歓待されたりして、能天気に旅を楽しんだのだった。

当時、ブルガリアに留学する(できる)日本人というのは、特別な立場だった、、ということが、あとのほうになって明かされる。
八百板さんが抱えている病気のことも。
こういう構成はちょっと変わっているけれど、そういうことは、本当はできれば明かしたくなかったんだろう。

八百板さんは、後にブルガリア語翻訳者になったそうだけれど、なんとなく文章を書きなれていないような。独特の味わいがある、という言い方もできないことはないのだけれど。

福音館文庫なので、なんとなく青少年向き限定の本と思われてしまうかもしれません。
でも、大人が読んでも心が波立つ本でした。読んでよかったです。



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# by foggykaoru | 2017-05-03 22:25 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(2)

有頂天家族

森見登美彦の京都ファンタジー。
狸の家族の物語です。能天気です。阿呆です。

解説を書いているのは上田誠という人。
森見原作のアニメ「四畳半神話体系」の脚本を書いた人だそうで。
「物語の核を見極めて、それ以外のところをそぎ落していけばいいだろう」と思って脚本を書き始めたら、大変なことになったそうで。
なぜなら、そぎ落としてしまうと、物語のいちばんの魅力がなくなってしまった。。。。

なるほどね、と思いました。
この作品も、どーでもいー話で満ち満ちていて、それをそぎ落としたら、大したものは残らない。
なにしろ阿呆な狸たちの物語ですから。
阿呆なエピソードのひとつひとつを味わって楽しむ物語なのです。
読んでると極彩色の絵柄が脳内に描かれます。

それは悪くない。ぜんぜん悪くない。

でもしょせん狸。
ユーモラスだけど、ロマンチックじゃない。
そこんとこが私にはいまいち。いまに。いまさん。

今まで読んだ森見作品の中で、いちばんロマンチックなのは「宵山万華鏡」です。

以前からうすうす感じていたことが、はっきりしました。
私は、脳内映像がかっこよくないファンタジーには魅力を感じないのです。
だから「指輪物語」はOKだけど、「ホビット」がダメなんだ。



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# by foggykaoru | 2017-04-27 20:35 | 普通の小説 | Trackback | Comments(0)

ブラック・ジャックは遠かった

副題「阪大医学部ふらふら青春記」からうかがえるとおり、阪大出身のお医者さんが過ごした学生生活の思い出の記。

著者の久坂部羊(くさかべ・よう)という人を知らなかったので、あとがきを読んでみたらこんなことが書いてありました。
単行本になると決まったとき、彼女(著者の奥さん)が最初に言ったセリフはこうだ。
「そんな本、買う人おるん?」
私がムキになって「おもしろいことも書いてるやろ。昭和の医学生の記録にもなってるし」と反論すると、彼女はこう言った。
「わたし、基本的に他人のことは興味ないから」
「夫は他人かい!」と、そんときは悶絶しながらツッコんだ。
<中略>文庫化が決まったときも、彼女は反射的にこう言った。
「えーっ、大丈夫? わたしやったら、ぜったい出さへんわ」
わはははは・・・。これは楽しそうだな、と思って読んでみたのでした。

まあ、どうってことないけれど、面白いです。

南木佳士が自らの学生時代をもとに書いた「医学生」とは全然違う。
あっちは暗い。暗くても面白いけど。
こっちは明るい。能天気です。
あっちは秋田大学の学生のバイブルになってるそうです。
こっちはバイブル・・・・ではないかも。
こっちは私と限りなく同世代なので、その時代感がよーくわかるところが、個人的にはツボです。
のんきでいい時代だったなあ。


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# by foggykaoru | 2017-04-17 20:29 | エッセイ | Trackback | Comments(0)