カテゴリ:エッセイ( 154 )

明日はいずこの空の下

児童文学作家の上橋菜穂子の本。
でも小説ではなくて旅エッセイ。あら珍しい。

彼女の専門分野である文化人類学つながりで、オーストラリアの話が中心です、上橋さんは英国児童文学を読んで育った人なので、イギリスの旅の思い出もあります。
しばしば名前があがっているのは指輪物語やグリーンノウ。
この2つのファンにとっては嬉しいエピソードが多い。

もちろんアーサー・ランサムの言及も1か所だけ、あります。
しかも、読んでいて「そろそろ出そうだ」と期待したところで出てきます。
上橋さんは「機会があれば必ずランサムを持ち出す」ということを自らに課しているとしか思えない。
律儀なお方です。

旅エッセイとしては普通ですが、上橋さんに興味がある人、英国児童文学やアボリジニに興味がある人に貸したら、楽しんでもらえそう。
なので、英国児童文学ファンの人優先でお貸ししますね。





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by foggykaoru | 2017-12-30 21:39 | エッセイ | Trackback | Comments(0)

犬が星見た ロシア旅行

武田百合子の旅日記。
ダンナである泰淳のエッセイに描かれる彼女に興味を惹かれたので、彼女の有名な「富士日記」でも読んでみようかと思っていたのだが、たまたま図書館でこの本を見つけてしまったので。

昭和50年ころのロシア(正確にはソ連)旅行。
泰淳に「旅行に連れていってやるから日記を書け」と言われて書いたんだそうな。
若干、言葉遣いの粗さが見受けられるけれど、読ませる文章です。

今は昔ということが多い。トイレとか、今のロシアは全然マシだし。
旅情報としては役立たない(けれど、そもそもそんなものを必要とする人はこの本を読まないだろう)、けれど、読み物として面白い。
結局、彼女のキャラが面白いのです。まさに炸裂してます。
そして、1か月近くの長旅とは言え、1回の旅でで文庫本1冊分の文章を書けるのはすごいなあと、旅行記を書く身としては感嘆しました。
観光名所の説明なんかほとんどない。
でも切り取り方がうまいんです。
たまたま出会った人、たまたま見た光景を詳しく書いている。それが面白い。

旅行記がずっと読み継がれるかどうかということは、そこにかかっているのだろう。


ハバロフスクから入り、西に進み、ウズベキスタンの後、グルジア(今のジョージア)に入ったとたん、食生活が目に見えてよくなるのが印象的。

去年、私たちの旅の最後は、モスクワのデパート内の高級ジョージアレストランでのディナーでした。
引率者のふゆきが「ジョージア料理なら美味しい」と太鼓判を押すので。

ジョージア、行きたいなあ。

旅の最後は北欧(ストックホルムとコペンハーゲン)なんだけど、ここでの料理は洗練はされているけれど、ごく簡素なカナッペになってしまう。

一緒の便でストックホルムに行ったモスクワ特派員夫妻が「ソ連からこっちに来るとほっとする」的なコメントを言うが、百合子本人は西欧社会に物足りなさみたいなものを感じたようだ。
わかるような気もする。

でも、私はやっぱりモスクワ特派員の側だな。



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by foggykaoru | 2017-12-28 20:34 | エッセイ | Trackback | Comments(0)

猟師になりたい

猟師なんて、およそ私の趣味の対局にあるんだけれど、小豆島に移住した内澤旬子さんが猟をしているというのが頭の隅に残っていてた。
で、この本のタイトルに惹かれて読んでみた。
なんでまた世の中にはそんなことをしたくなる人がいるんだ?と思って。

著者の北尾トロという人は、長らく東京を拠点としてライターをやっていたが、思い立って長野に移住。
そして思い立って猟師になろうとする。(その理由は忘れた・・・涙)

今、日本では猟師が必要とされているんだそうだ。
なので、免許をとろうとしている人にはわりと親切に対応してもらえるみたい。
銃刀法が厳しいので、銃のロッカーが必要なだけではなくて、ロッカーは家に作り付けにしなくちゃいけないんだって。(ロッカーごと持っていかれてしまうと困るから。)

免許を取得しても、実際に猟に出て、すぐに獲物を取れるわけではない。
でも、楽しそう。
自然を見る目が変わってくるんだって。
で、猟なんかにまるっきり興味を持っていない私(しつこい!)ですら、「老後に猟をするのって悪くないみたい」という気分になりました。

この本の続編、読むかも。

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by foggykaoru | 2017-12-20 20:56 | エッセイ | Trackback | Comments(0)

夫の悪夢

著者は藤原美子。
「夫」とは藤原正彦。

もう藤原家の人々の本を読むことはないと思っていたけれど、この人の本はまだだったので、たまたま見つけて読んでみた。

うまいです。
藤原ていと新田次郎の息子である藤原正彦に文才があるのは意外ではないけれど、DNAの結びつきのない奥さんまでこんなにうまいなんて、いったいどうなっているんだろう?

雑誌連載のエッセイ集なので、1篇が短い。もうちょっと長いほうがいいんだけど。

藤原ていの文章を読むと、夫との仲はいったいどうだったんだと思いたくなるほど、言い方に棘があるんだけれど、この本をよんで、いやいや、言いたいことが言えて書くときも遠慮せずに書けたぐらい、安定した夫婦だったんだなと思った。
そして、ご本人とダンナ正彦氏の間も、とっても風通しがよくて、良いご夫婦なんだなと。

なんだかんだ言って、悪くない本でした。



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by foggykaoru | 2017-12-17 10:40 | エッセイ | Trackback | Comments(0)

帰宅の時代

リンポウ先生こと林望のエッセイ。

バブルが弾けた後、延々続く不景気な時代に書かれた。
「もう仕事で残業することもない、さっさと帰宅する時代だけど、それを吉としようじゃないか」という本。

一番面白くて、今も覚えているのは、本編ではなくて、リンボウ先生の息子さんが書いた「解説」。

そのくらい、印象が薄い本でした。

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by foggykaoru | 2017-12-04 20:51 | エッセイ | Trackback | Comments(0)

目まいのする散歩

武田泰淳のエッセイ。
この人については「ひかりごけ」という小説を書いたということと、奥さんが武田百合子という人だということだけ知っていた。
古本屋で見つけて、裏表紙に野間文学賞受賞作と書いてあったから、ためしに読んでみた。

彼のかなり晩年のエッセイ。
なにしろ、すぐ目まいがするような体調なのです。

古き日本を訪ねるような感じ。
そんなにせっせと続きを読みたいという気分にはならなくて、読み始めてから終わるまでに1か月ぐらいかかった。
しかも、その途中ではさんだのが、白洲正子のエッセイだったりしたものだから、「ひとり昭和初期モード」に入ってしまったような。

いちばん最後に収録されているのが、ソ連旅行記。
これはこれで、最近読んだ椎名誠のシベリア旅行記とかぶるし。

で、一番興味を惹かれたのは奥さんである。
かなりぶっとんだ人だったようで。(そうい意味で白洲正子とかぶる)
彼女の本を読んでみたくなった。

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by foggykaoru | 2017-10-29 16:01 | エッセイ | Trackback | Comments(0)

ほんもの

副題は「白洲次郎のことなど」
著者は白洲次郎の妻である白洲正子。

この夫婦と青山二郎という人の名前は昔から知っているのだけれど、いったいどういう人たちなのか、さっぱりわかっていなかった。
この本のお蔭で長年の疑問がようやく解けた。

興味深い夫婦ですねえ。

そして、巻末の解説を書いているのが夫妻の娘。
これが面白い。もしかしたら、本編よりも面白い?!
有名人の子どもが、親をネタにして商売しているのを馬鹿にしていた。でも気づいたら自分も同じことをしている、、と正直に言っているところがオモシロイ。
しかも、「母は子どものことをほっぽらかしにしていたと言っていたけれど、それは本当。だから子どもたちはみんな、ろくなものになってません」と結んでいる。あっぱれです。

白洲次郎は「これから戦争で大変なことになる」と考え、田舎にひっこんで農業を始めた。
イギリスのカントリージェントルマンをお手本にしたらしいけど。
その「田舎」というのが、小田急線の鶴川で、旧白洲邸は「武相荘(ぶあいそう)」という名前で一般公開されているのだそうだ。

今度そっち方面に行く機会があったら、寄ってみようかな。

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by foggykaoru | 2017-10-22 21:50 | エッセイ | Trackback | Comments(2)

薬石としての本たち

著者は南木佳士。
ずっと勤務医と作家の二足の草鞋を履き続けてきた南木さんだが、この本は定年退職後に書かれたもの。
作家一本になって、雰囲気が少し変わった。
元気になった感じ。余裕が出たのだろう。

この本は小説ではなく、エッセイだが、各エピソードごとに南木さんの愛読書が紹介されている。本の紹介がメインではないけれど。
全体的にかなり難しげな本ばかりで(哲学書とか)、気軽に手を伸ばせないのが残念。

一つだけ、これなら読んでみようかなと思ったのが、佐久総合病院のもと院長・若月俊一の「村で病気とたたかう」
でも、全部読むかはわからない。

なんせ、酒の席で若月院長にからんだ南木さんが
「あの本で面白いのは最初の2ぺージだけだ」
とほざいたら、
「真面目に書いたのはあそこだけだから」
と返されたんだそうだ。

図書館にあったら、とりあえず2ぺージだけは読んでみよう。






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by foggykaoru | 2017-10-14 06:41 | エッセイ | Trackback | Comments(0)

皿の中に、イタリア

内田洋子のイタリア・エッセイ集。

読んでから1か月ぐらいたってしまったので、ほとんど覚えていないのだけれど、「久しぶりにいい本に出会えた」と思ったことだけは覚えている。

今まで読んだ本よりも、一篇が短いような。
タイトルどおり、食べ物に関わるお話でまとめられているので、美味しそうで楽しい。
けど、内田さんのエッセイは楽しくても、能天気ではない。人生の悲哀がある。そこが味わい深いゆえん。

今、これを書きながら、ぱらぱらめくってみているのだけれど、また読んでみよう。

ヨーロッパ好きにはお薦め。
イタリア好きには超お薦め。
イタリア好きでなくても、読んだらイタリアに対する興味が湧くかも。
とにかく、地方によってこんなに違うのか!と驚いてしまう。
イタリアだけじゃなく、今カタルーニャ独立問題で揺れているスペインあたりは、地方ごとの違いが大きいのだろうな。



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by foggykaoru | 2017-10-07 19:39 | エッセイ | Trackback | Comments(0)

パリ仕込みお料理ノート

石井好子の料理エッセイ。

この人の本は古いので、刊行当時は新鮮だった料理も、今の日本人にとってはもはやおなじみだったりする。

で、今の私にとって新鮮だったのは、食べ物関係よりも、往年のシャンソン歌手の逸話。
「ラ・メール」で有名なシャルル・トレネが、実はとっても嫌な人だったとか・・・。

どうでもいい話ですがね。

しかも、こんな話が通じる人は、あんまりいない。
私の同年代にも古すぎる話。
私は、父が愛聴していたNHK・FMの「午後のシャンソン」(by葦原英了)を、なんとなく聴いていたからこそ、わかるんです。

もしも父が存命だったら、貸してあげたい本でした。






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by foggykaoru | 2017-08-29 21:11 | エッセイ | Trackback | Comments(0)