カテゴリ:エッセイ( 138 )

神父のお仕事

ネラン氏の本に関連して追記です。

神父という立場にある人が、歌舞伎町でスナックのマスターをするというのは、いったいどういうことなのか?
神父というのは教会にいて、ミサをあげる人ではなかったのか?

こんな疑問を事情通にぶつけてみたところ、次のような答えを得ました。

神父には、特定の教会付きの人もいれば、そうでない人もいる。
教会付きでなくても、必ず教区には所属している。
そして、さまざまな仕事をしている。
その仕事や活動内容が、カトリック教会にとって有益であると認められるものであれば、極端な話、何をしてもいい。

というわけで、ネラン神父の水商売は、布教のための活動として、正式に認められたものであるはずだということでした。
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by foggykaoru | 2006-10-01 21:16 | エッセイ | Trackback | Comments(0)

戸塚真弓著「パリ住み方の記」

旅好き・外国好きの私なので、外国の文化とか国民性を扱ったエッセイは、昔から好きです。
ただし、フランスに関しては、もはや「すれっからし」になってしまって、めったなことでは満足できないので、最近はあまり読まなくなっています。というわけで、この著者の本も、ちょくちょく目にはしていても、あえて手を伸ばさなかったのです。

古本屋で見つけたこの本は、掘り出し物でした。
フランス人と結婚した著者が、より良いすみかを求めて、物件探しと引っ越しを繰り返した体験記。
題材自体の面白さもさることながら、文章のうまさに感心しました。

戸塚さんのフランスものの本は、これから敬遠しないで読もうと思います。


フランス人に限らず、ヨーロッパの人は、自分の家の内装などをDIYでやってしまうことが多いということは聞いていましたが、この本を読む限りでは、買った物件を、せっせと自分好みに作り上げた頃には、事情が変わってしまい、その物件を売らなければならなくなっていることが少なくないようで。
なんというか、徒労ですな。

でも、人生ってもともとそういうもの?


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by foggykaoru | 2006-09-10 14:11 | エッセイ | Trackback | Comments(2)

阿刀田高著「好奇心紀行」

忘れないように書きます。なにしろこのブログは自分のための備忘録だから。

エッセイ集で、1つ1つが短く、なおかつ、面白くてやめられなくなるというほどではないので、旅行中にちびちび読んで、読み捨ててくるには最適でした。まるで悪口みたいで、阿刀田さんに申し訳ないんですが。そこそこ面白いんですよ、そこそこ。

印象的だったのは、安部公房の「砂の女」が熱く語られていること。

私は、ずーーっと昔のことですが、一時期、安部公房の作品を続けて読んでいたことがありました。そして、最後に読んだのがこの「砂の女」。
いや、「読んだ」というのは正確ではありません。途中で挫折したので。

あれからウン十年もたった今なら、ちゃんと読み切れるのかな。
試してみようかと思っているところです。


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by foggykaoru | 2006-08-24 22:17 | エッセイ | Trackback | Comments(0)

阿刀田高著「コーランを知っていますか」

ここのところ、旅行ガイドブック解読に忙しかったのに加え、帰宅後も宿題(=仕事)をすることが非常に多かったのですが、ようやくその目鼻がつきました。これからはまともな読書をする時間が増えそうです。

阿刀田氏の蘊蓄エッセイ、読み過ぎてちょっと飽きてきたのかなあと、「シェイクスピア」を読んだときに思ったのですが、この本はよかったです。

話にだけはよく聞くコーランというのは、いったいどういうものなのか。それを要領よく説明してくれています。しかも、下手をすれば「アラーの神に対する不敬罪?」みたいなことも、ユーモアというオブラートに包んで上手に書いてある。

「キリスト教」「ユダヤ教」「イスラム教」の信者はみな「聖典の民」だと言われます。根っこは同じ、とか。それが実によくわかります。前二者から見たらイスラム教は(悪く言うと)「パクリ」そのものなのです。

西洋史関連書を読んでいると、「イスラムの支配下では、他宗教に寛容だった」という話がしょっちゅう出てきますが、コーランに「一神教は我々の仲間なんですよ」と書いてあるんだから、寛容なのは当たり前のことだったのだと納得。

それに対して、キリスト教、特にローマカトリックは「ニケーアの宗教会議」だかなんだかで、神学論争やって、アリウス派が異端とされた、、、、とかいうことを高校の世界史の授業で教わるくらい、部外者にはちんぷんかんぷんの細かいことに関して目くじら立てて、「異端だ!けしからん!」とやってきたわけで。
そういう体質というか伝統があるから、キリスト教徒は十字軍やら何やらのたびに、異教徒は人にあらず的な態度をとってきたのでしょう。

以上、キリスト教って了見が狭くて嫌ね、という点でした。

でも、キリスト教のほうがいいなと思うこともあります。
それは、女性の扱いです。

コーランには「女性よりも男性のほうが偉い」と明記されている。(そして、だから男性が女性を守らなければいけない、となる)

キリスト教のほうは、教会の発展とともに、原始キリスト教の時代には男性並みの地位を与えられていた女性がおとしめられ、福音書もそれに沿ったものだけが採用され、今の聖書になっていったのだけれど(←このあたり、「ダ・ヴィンチ・コード」ネタです)、少なくとも「男のほうが偉い」と「明記」はしていない。
陰でそう思っていても、書いてはいない。

この違いは大きいです。

その昔、フランスに短期留学したときに、イスラム諸国の人々と知り合いました。
イスラムの男性たちには、いつもなんとな見下されているような感じがして、いい気分ではありませんでした。そのことをイスラムの女性に話したら、彼女は大きくうなずき、「そうなのよ、イスラムの男性は威張っていて、女性を見下しているのよ」と。

レディーファーストの欧米文化というのも、「女性は弱いから大切にしなくては」ということからきているのであって、男女平等の思想とは相容れないと言われますが、「男性のほうが強くて上」と思ってはいても、それは陰に隠れているのですよね。

どちらがいいとか悪いとかいうことではありません。
一定期間、滞在したり旅行するなら、女性にとって居心地がいいのはイスラム圏よりもキリスト教圏。そして、その根本原因は聖典の記述の違いなのではないかな、と改めて思ったのです。

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by foggykaoru | 2006-07-10 22:23 | エッセイ | Trackback | Comments(6)

阿刀田高著「シェイクスピアを楽しむために」

阿刀田高氏の蘊蓄エッセイは「旧約聖書を知っていますか」を読んで以来、贔屓にしていて、「ギリシャ神話を知っていますか」「アラビアンナイトを楽しむために」「あなたの知らないガリバー旅行記」「楽しい古事記」を読みました。
今のところ、「旧約聖書を・・・」を越えるものはないのですが。

この本でとりあげられているシェイクスピアの作品は以下のとおり。( )内はその作品と私のなじみ度です。

(1)ハムレット(きちんと芝居を見たことがある。けっこう好き)
(2)ロミオとジュリエット(きちんと芝居を見た記憶はないが、わりと正確に筋書きを知っている)
(3)オセロ(オーソン・ウェルズ主演の映画を見た。面白かった)
(4)真夏の夜の夢(きちんと芝居を見たことがある)
(5)ベニスの商人(なんとなく知っている)
(6)ジュリアス・シーザー(シーザーがブルータスに暗殺される話だということを知っている)
(7)ヘンリー四世(題名を知っているのみ)
(8)ウィンザーの陽気な女房たち(題名とフォルスタッフという登場人物名を知っているのみ)
(9)リチャード三世(きちんと芝居を見たことがある。面白かった)
(10)マクベス(映画で見た。戯曲も読んだ。けっこうお気に入り)
(11)リア王(戯曲を読んだ。わけがわからなかった)

解説として楽しく読めたのは(1)(2)(6)(9)(10)
(6)以外はもともと内容を知っているものばかり。

逆にあまり面白くなかったのは(4)(7)(8)(11)
4つのうち2つが内容を知らない(7)(8)です。

ということで、この本はシェイクスピアの作品を知らない人のための入門書としては、あまり高い点はつけられないかも、「ちょっと知っている」程度の人に向いているかも、、、というのが私の結論。

ところで、阿刀田氏はフランス文学畑の人なので、フランスとは関係ないエッセイの中で、フランス文学のことを引き合いに出して説明することがあるのですが、私にとってはそのあたりが参考になって興味深いのです。

今回もフランスの古典劇の「三・一致の法則」を取り上げています。
これは、劇というのは
・24時間以内の出来事でなくてはならない
・1つの場所で起きた出来事でなくてはならない
・筋は1つでなければならない
という、なんとも小うるさい決まりなのですが、シェイクスピア劇はもちろんそのどれも満たしていない。
特に、最後の「筋は1つ」というところ。シェイクスピア劇というのは、本筋とはあまり関係無い話があっちこっちに入っている。
でも、それもまたシェイクスピアの魅力。

この「三・一致の法則」、以前から一応は知っていたのですが、今回この本を読んでしみじみ思いました。
フランス古典劇とシェイクスピア劇の違いは、フランス式庭園と英国式庭園の違いなのだな、と。

ごちゃごちゃしたシェイクスピア劇は、自然のあるがままの美しさを尊重するイングリッシュ・ガーデンなのです。


一番面白く読めたのが、著者がストラットフォード・アポン・エイボンとロンドンのグローブ座を訪れたときの紀行文だったのは、私が旅好きのせいなのでしょうか・・・。


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by foggykaoru | 2006-07-02 18:24 | エッセイ | Trackback | Comments(6)

中川祐二著「英国式暮らしの楽しみ方」

写真展がきっかけでお近づきになった中川さんの著書。半分旅行記、半分英国に関するエッセイという感じの本です。英国好きなら楽しく読めること請け合い。

記事自体の面白さもさることながら、この本の魅力の多くを担っているのは写真。美しい英国の田園風景を堪能できます。

ランサム・ファン必読・必見なのは「運河を旅する」という章の中の「ザ・ブローズ」の項目です。
ザ・ブローズとは「ノーフォーク湖沼地方」のこと。
他の項目は、いわゆる「普通の英国ファン」向けに書かれているのですが、ここばかりはランサマイト魂丸出し。「わかる人にはわかるだろ」と開き直って、100パーセント書きたいことを書いているような感じです。この項目、写真も思い切りランサム関連なので、まさに眼福。

私にとっては、最後の2章「交通事情」と「暮らしのなかのパブ」が、けっこうツボでした。

ちょっとだけ突っ込ませていただきますと、地名が2箇所違ってます。
「スランゴレン」じゃなくて「スランゴスレン」、「マッキンレース」じゃなくて「マハンフレス」です。イギリス人だって間違える人がたくさんいることでしょう。なんせウェールズ語ですから。ほんとに意地悪な小姑みたいなこと言ってすみません。私だって「灰色の王」を読んでなかったら知りませんでしたもの(^^;

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by foggykaoru | 2006-05-19 21:28 | エッセイ | Trackback | Comments(2)

尾嶋彰著「パリふんじゃった--花の都の奇人たち」

c0025724_2012323.jpg著者は在仏の建築家。この本を書いた時点(1995年)でフランス在住25年だったようです。
つまり、プロの物書きではない。でも、読ませます。

この本の面白さは、第一に素材---著者が実際に出会った人々---の面白さです。でも、それだけではありません。

友人のダンナに建築設計事務所をやってる人がいるのですが、彼を見ていると、建築家という仕事は単に建物を造ればいいのではなく、まずなによりも顧客の心を掴み、綿密なコミュニケーションをとる能力が必要なのだと感じます。さらに、部下を掌握しなくてはならないし、現場ではガテン系の人たちと呼吸を合わせることもできなくてはならない。

それを外国で、外国人相手に、やっていくのです。
どれほどの文化摩擦、どれほどの挫折を体験したことでしょう。
また、どれほど濃い交流を持ち、どれほど深く人間を見つめてきたことでしょう。
豊かな体験の中から選び出された素材なのですから、よりすぐりです。

ところで、「花の都の奇人たち」という副題は、奇人変人を面白おかしく紹介しているような感じがしますが、そういう本だと思って読むとがっかりするかも。著者の態度は決してそうではないのです。なんというかな、こういう形容は変かもしれないけれど、まなざしが「練れている」のです。だから、「花の都の」の後に、私はむしろ「人間模様」とか「人生いろいろ」と続けたいです。ちょっとアレンジしたら珠玉の短編小説になりそうな一編もあります。

フランス関係のエッセイというと、仏文学者によるものでなければ、若手フリージャーナリストによるものが大部分です。仏文学者によるものは、それはそれなりに蘊蓄が楽しめるのですが、学者の世界は実社会ではありません。一方、若い著者によるものは元気印が魅力ですし、今のフランスを感じさせますが、オバンにはちょっと食い足りない。

これは、フランス実社会でもまれにもまれてきた人による、貴重な証言です。

蘊蓄に走っていないので、フランスマニアでなくても、十分に楽しめるはず。どなたにもお薦めです。


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by foggykaoru | 2006-03-25 20:18 | エッセイ | Trackback | Comments(15)

鹿島茂著「セーラー服とエッフェル塔」(文春文庫)

鹿島氏は現時点において、おそらく日本一元気なフランス文学者でしょう。
彼のターゲットは文学そのものというよりは、文学が書かれた背景、すなわちフランス文化の諸相。フランス文学よりも文化や歴史に興味のある私にぴったりなのです。

氏の代表作「馬車が買いたい!」「パリの王様たち」はもちろんのこと、新書の「パリ時間旅行」「フランス歳時記」もお気に入りです。読むとフランス通になった気になれること請け合い。でも、具体的に何が書いてあったかは訊かないで。みんな霧のように忘れてしまっているので・・・(涙)

この本は今までに読んだものとは違い、ひじょ~~~に軽いエッセイ集です。下ネタ満載。なんせ、最初のエッセイのテーマがSMの亀甲縛りときたもんだ。ちょっと前までフランスのホテルの名物(爆)だったビデに関する薀蓄もある。

そういう話は確かに興味深いです。否定はいたしません(笑)

が、私にとってのツボはそっち系ではありません。ほんとうよ。

私は
フランス語には家畜の中でも「牛」に関する語彙がなんであんなに多いのか?
とか、
イソップの「アリとキリギリス」がは「アリとセミ」の誤訳だったというのは有名な話だけど、そもそもラ・フォンテーヌが紹介した時点で、「セミ」という単語が意味するものを「キリギリス」だと思い込んでいたのだ
とか、
ナポレオンはほんとうに胃が痛くておなかに手を当てていたのか?
とか、
黙読という習慣がヨーロッパで一般化したのは、かなり近世になってからだが、それとともに何が広まったのか?
とかいう話のほうが好きです。

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以下は限りなく私信に近いつけたし
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by foggykaoru | 2005-10-27 20:30 | エッセイ | Trackback | Comments(3)