カテゴリ:エッセイ( 137 )

父への恋文

著者は藤原咲子。
新田次郎と藤原ていの娘。藤原正彦の妹。
副題は「新田次郎の娘に生まれて」

「藤原ていの娘に生まれて」ではないのです。

引き揚げ時には乳のみ子だった著者は、兄たちとは違い壮絶な体験をはっきり記憶しているわけではない。でも潜在意識にはしっかり残っていたようだ。言葉が遅かったのは(栄養不足で成長が阻害されたということもあろうが)、精神的な傷によるところが大きかったらしい。
そんな娘に対して、深い愛情を注いだ父。
気象庁職員と作家という、二足の草鞋をはいて、普通の人の二倍忙しかったのに。たいしたもんだ。

で、「お父さんが死んだら、お父さんがどうやって小説を書いたのか、書くんだよ」と言われて育ったのだそうだ。すごい宿題出されちゃったのね。

「流れる星は生きている」の書きぶりから想像できるけれど、藤原ていという人はなかなかすごい人だったようで。子供三人を連れ帰ったというバイタリティーもすごいけど、それ以前に「もって生まれたキャラ」が強い。「たまたま」作家になったのだけれど、作家になるべくしてなった人なんだろうなと思う。
そんな人が母親だと子供はけっこうきつい。
そのうえ、自分が生きているのはその母親のおかげ。
一生涯頭が上がらない。感謝してるんだけど、きつい。

野次馬な私にとっては、なかなか興味深い一家です。

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by foggykaoru | 2015-03-07 21:14 | エッセイ | Trackback | Comments(0)

ロンドンはやめられない

著者は高月園子という人。ロンドンの駐妻歴が長くて、翻訳もやっているそうだ。

まあ面白いんだけど、、、うーん、、、という感じ。

駐妻の話題が多いのです。
「駐妻にはこんな人がいるんですよ。ちょっとどうかと思うんだけど」的な話。でも、感じ悪くならないように、必死に気を付けて書いているのは伝わってくる。

一番面白かったのは、イギリスの大学入試の話。もっと正確に言うと、オックスブリッジの入試。
これらの大学では面接試験があるけれど、そこで問われるのはユーモアあふれるとっさの切り替えしだそうな。
なぜなら、この二大学では個人指導がメインだから。
教授に「こいつは教えがいのある、面白いやつだ」と思わせられるかどうかにかかっているのだとか。

日本の入試制度では面白い学生は育たないわけだ・・・

この本はユーズドでしか入手できません。
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by foggykaoru | 2015-02-26 20:50 | エッセイ | Trackback | Comments(0)

生半可な学者

著者の柴田元幸という人はアメリカ文学者・翻訳家だそうで。
Wikiを見たら村上春樹が初めて翻訳を手がけたときにバックアップした5人の翻訳家のひとり、なのだそうで。へえええ。

「エッセイ賞受賞」と書いてあったから読んだ。私はけっこうこういう賞をあてにしてます。特にエッセイに関して。

で、期待どおり面白かった。
ここんとこ、ちょっと「ハズレ」気味の本ばかりだったので、久しぶりに面白い本を読めてやれやれでした。

ただし、当然のことながら英語ネタが多いので、少なくとも英語が嫌いでない人でないと楽しめないでしょう。
1960年代のアメリカに興味がある人は、私以上に楽しめることでしょう。

あと、1つのエッセイが短い。4~5ページぐらい。
短いエッセイを続けて読むと味わいが薄れるので、電車に乗るたびに1つずつ読みましょう。
私がそうしました。そしたら、かなりもちました(苦笑)

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by foggykaoru | 2015-01-21 19:26 | エッセイ | Trackback | Comments(0)

綾とりで天の川

丸谷才一のエッセイ集。ユーズドでしか入手できません。
彼の薀蓄がこれでもかというほど出てくる。
自分が興味がある分野の話は面白いけれど、そうでないと、ただただ「へえええ」だけで終わってしまう。私にとってはそういう話のほうが多かった(とほほ)
ちなみに、解説を頼まれた高島俊男氏も「へえええ」な気分だったみたいです。。。

面白かったのは
福沢諭吉がミイラになっていた、とか。
土葬だったんですって。で、あとになって福沢家が合葬しようとして掘り起こしたら、きれいにミイラになっていた。
でも、福沢家の意向ですぐに火葬にされてしまった。学問的にはとても残念なことだったそうな。

あと、レーニンとスターリン。
レーニンの遺体を永久保存することにしたのはスターリン。
レーニンの奥さんはあんなことされたのは嫌だった。
スターリンが亡くなって、レーニンの遺体の傍らに同じように保存されたけれど、あるとき、共産党の大会で、若い女性が「私の夢の中(!)にレーニンが出てきて、スターリンの隣は嫌だと言った」と発言したため、スターリンの遺体は別のところに移動させた。

それと、博打打ちには力士くずれが多かったという話。
まあ、相撲というのは(国技とか持ち上げられてるけど)もともとは興行、色物だもんね。
今は相撲取りが引退しても、大挙してそういう業界に入ることはない。
それなりにお行儀良くやってるのは相撲協会のおかげ。

聖職者に婚姻を禁じているカトリック教会だって、昔は法王に愛人がいて、息子ができて、しかもその息子がやり手でイタリア統一を目指しちゃったりした。
今はそんなことはありえない。
近代化ってそういうことなのね。
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by foggykaoru | 2015-01-17 20:32 | エッセイ | Trackback | Comments(2)

この世でいちばん大事な「カネ」の話

サイバラこと西原理恵子著。
彼女の毒づきマンガ(イラスト?)は清水氏との共著(教科シリーズ)を始め、あちこちで目にしているけれど、彼女だけによる本は初めて。しかも文章メイン。

全然毒を吐いてない。
あれは彼女が確立した作風であって、彼女自身がいつもああだというわけじゃないんだなと。

そして
驚くほどいい本だった。
しゃべっているような文体。聞き書きなのかな。
でも、小難しい本のほうが内容が優れているとは限らない。
お薦めです。

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by foggykaoru | 2014-12-30 09:45 | エッセイ | Trackback | Comments(4)

おもしろくても理科

清水義範の教科エッセイ。
今までに「社会」を2冊と「算数」を読んだが、実はこの本が第一弾。
サイバラこと西原理恵子がイラストを担当することになったのが、「たまたま」「瓢箪から駒」だったということがこの本を読んでわかる。

本全体としては、、、、
私って理科にあまり興味が無いんだなということを実感。
「社会」のほうが面白かった。

ただし、80ページから82ページは大変興味深く読んだ。
なにしろ「金は王水にとける」という話なのですから。
私はランサムを読んでからというもの、化学で王水が出てくるのを楽しみにしていた。でも実際には王水の「お」の字も出てこなかった(涙)
ランサムを読んで得た「役に立たない知識」や山ほどある(「この本はわたしのもの」をラテン語で書ける、とか)けれど、その筆頭株と言える。
清水さんの実験班の中にランサムの愛読者でもいたんじゃないか?

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by foggykaoru | 2014-12-20 20:20 | エッセイ | Trackback | Comments(6)

似ッ非イ教室

ご無沙汰してます。
ここんとこ、忙しくてバテ気味でした。
新しい本を読む元気も失せて、手にとったのが佐藤多佳子の「一瞬の風になれ」
寝る前にちょこちょこ読んで爽やかな気分で寝付くという日々でした。
もう何回読み返したかわかりません。私、この本ほんとに好きみたい。

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その合間にたま~に新たに読んだ本をこれからちびちびご紹介。

その第一弾。内容はほとんど忘れてます。
清水義範の手になるエッセイ集。
でもこれはエッセイのパロディ。だから「似非エッセイ」イコール「似ッ非イ」

それなりに面白いのだけれど、ひじょーにビミョーです。
というのは、どこまでがほんとうで、とこからが嘘なのかがよくわからないから。
特に日本語の乱れをおちょくったエッセイなんか、読んでいて非常に不安になりました。
「うんうん、こういう間違い、よくあるねー」と笑える部分も確かにある。
けれど、「え、このあたりの言葉遣いももしかして間違い? それともこういう言い方もあるの?」と疑心暗鬼に陥ってしまう。

読み手のインテリジェンスが問われるという、かなり敷居の高い本なのでした。
ユーズドしかないのはそのせい?
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by foggykaoru | 2014-12-05 20:47 | エッセイ | Trackback | Comments(2)

探検家、36歳の憂鬱

探検家・角幡唯介著。
ごく軽いエッセイで、彼が書いた渾身の探検記とは比ぶべくもない。
彼に関心がある人が、そう思って、つまり大して期待せずに読めば十分楽しめる。少なくとも私は楽しめた。

この本を書いたときは独身だったけど、今や結婚して一児の父。
その嬉しそうな様子は彼のブログを見ればわかります。
ほんとうにおめでとうございます。

探検は実は本にするにはふさわしくないのだそうで。
たとえば、極地探検のときは、ただただ毎日雪や氷と戦って、食べて寝るだけ。それを書いても退屈なだけ。
彼の探検記は、過去の探検家たちの格闘の歴史が織り込まれているところが上手だなとは思っていたのですが、そうせざるを得ないんだな、と納得しました。

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by foggykaoru | 2014-09-28 08:39 | エッセイ | Trackback | Comments(0)

パレオマニア

副題は「大英博物館からの13の旅」
池澤夏樹作。いちおう小説。でも「普通の小説」ではない。
名前も明かされない主人公が大英博物館に通い詰める。その次に、印象深かった作品が発見された土地に実際に行ってみて、いろいろ思索にふける、、、というお話。
主人公は明らかに作者本人。
つまり池澤さんが世界中を旅してまわった記録を、小説の体裁で書いたもの。
ほんっとに贅沢なことしてるなあと羨ましくなる。

一つ一つの作品と旅がしっかりと書かれているので、読みでがある。1日に1つで十分。一気に2つ読むととお腹いっぱいになってしまう。

実際に行ったことがあるカンボジアとメキシコの話はさすがによく理解できた。
うなずけるというか。それでも作者独自の視点が新鮮だった。

オーストラリアのアボリジニの旅が印象的。
あの大陸にはほとんど興味がなかったのだけれど、行ってみたくなった。

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by foggykaoru | 2014-08-22 23:39 | エッセイ | Trackback | Comments(2)

「イギリス社会」入門

著者のコリン・ジョイスは日本に暮らしたことがあるジャーナリスト。
だから副題は「日本人に伝えたい本当の英国」

この人の本はけっこう好評なので、けっこう期待して読んだのだけれど、「普通」の域を出ませんでした。期待しすぎだったのかな。 
それとも私はもう「入門者」ではないのかも? 


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by foggykaoru | 2014-07-21 21:46 | エッセイ | Trackback | Comments(0)