カテゴリ:普通の小説( 119 )

戦場のコックたち

作者は深緑野分という人。すごい名前だ。

友人から「翻訳ものをたくさん読んでいる人にお薦め」と言われて読んだ。

ありがとう友よ。
私はたいそう気に入りました。

久しぶりに読みごたえのある小説を読みました。
ここんとこ、ピンとくる本にあまり出会えず、欲求不満を覚えていましたが、この本は堪能しました。90点!

舞台は第二次世界大戦末期。
アメリカ人の若者が、生きるために軍隊に志願し、コック兵となる。
頼りになる先輩や同輩、頼りにならない先輩や同輩たちとともに、D-day、つまりノルマンディー上陸作戦に参加、その後も戦いの日々を送る。

軍隊を舞台としているけれど、ミステリー風味もある。
だから、2016年度の「このミステリーがすごい!」国内編で第二位になってます。
でも、ミステリーだと思って読むと物足りないかもしれない。いや、物足りないにきまってる!
だから、そんなランキングに登場してしまったのは、この作品にとって不幸なことだったかもしれない。
あくまでも「ミステリー風味の小説」なのです。

そんなことより
この小説の最大の特色は、日本の小説離れしている・・・まるで翻訳小説を読んでいるみたいであること。
でも翻訳じゃないから、翻訳調の日本語ではないのです。
つまり、下手な翻訳ものにありがちな、不自然な日本語は無い・・・とは言えない。
というのは、作者があえて翻訳調にしているところがあるのです。
たとえば、主人公はしばしば周囲から軽く見られて「キッド」と呼ばれる。kidです。
もしもこれが翻訳小説で、「キッド」と訳されていたら、私は相当イラっとくることでしょう。
をいをい、もっと工夫しろよ!「坊主」とかなんとか訳せないのか? と毒づくことでしょう。

さらに、舞台がヨーロッパ、というところも、私には直球ど真ん中でした。

たくさんの資料をもとにして書き上げられた作品です。
世界史の授業では、ノルマンディー上陸大作戦後、連合軍(というよりアメリカ軍)は、大量の物資を後ろ盾として、怒涛の勢いでドイツ軍を蹴散らしていった、というイメージだったのですが、実際の戦場ではそんな楽勝だったわけではなく、血みどろの戦いだったということをしみじみ感じました。
兵士たちは若い命をどんどん散らしていくのです。アメリカ人も、ドイツ人も。

ところで
思わぬところでトールキンの名前が出てきてびっくり。
この作者は指輪物語のファンに違いない。
・・・だからこんなに長い小説を書いたに違いない!(笑)




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by foggykaoru | 2016-11-16 20:49 | 普通の小説 | Trackback | Comments(0)

さがしもの

角田光代の短編集。
すべて「本にまつわる物語」です。
ただ、具体的に本の題名は出てこない。
そこがちょっと物足りない。

もしも実在の本の名前が出ていたら、たとえその本を読んでいなくても、「へえ、そういう本があるのか」と思いながら読むのに。
そして、もしかしたら、潜在意識に残って、いずれその本を手にすることがあるかもしれないのに。

まあまあです。でも前項の池澤夏樹に比べると浅い感じ。70点。


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by foggykaoru | 2016-11-07 21:14 | 普通の小説 | Trackback | Comments(0)

きみのためのバラ

池澤夏樹の短編集。
旅を題材としたものが多くて、なかなか面白いなと思って読み進み、最後の一篇を残したところで雑事に取り紛れてストップしてしまった。

再び手にとったのは1か月ぐらい後。
前に読んだ部分はほとんど忘れてしまっていた・・・(涙)

読了してからぱらぱらっと読み直して、
そーか、そーか、この話けっこう面白かったっけ
とか
こっちはそれほど好きじゃなかったな
とか
少~しだけ思い出しました(苦笑)

たぶん、100点満点の85点ぐらい。

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by foggykaoru | 2016-11-03 07:19 | 普通の小説 | Trackback | Comments(0)

新版 走れメロス

「聖なる怠け者の冒険」で興味を惹かれた森見登美彦の短編集。
タイトルで想像できるとおり、古典的な小説のパロディーです。

こういうのはもとネタを知っているほうが面白いもので。
だから、原作を読んだことのある、「山月記」と「走れメロス」は面白かったです。
「山月記」のほうは、ある意味、常識的。
「走れメロス」のほうがぶっとんでいます。
「藪の中」「桜の森の満開の下」「百物語」は読んだことがないのでちょっと・・・

でもそれなりに楽しめました。
「聖なる・・・」の作者ですから、基本、かなりくだらない。

京都の学生のおバカ具合がなかなかです。

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by foggykaoru | 2016-10-26 20:07 | 普通の小説 | Trackback | Comments(0)

聖なる怠け者の冒険

「京都ぎらい」でちょっと京都モードになっていたところに、「京都本大賞受賞」という言葉が飛び込んできて、ついつい買ってしまった。

森見登美彦という作家は知らなかったのだけれど、ファンタジーノベル大賞を受賞しているそうだから、この小説もファンタジーなのかな? と思いつつ。
確かにファンタジーでした。ジブリのアニメか何かを見ている気分。

なんともはや、とことんくだらない話です。
どの登場人物にも、感情移入なんかできない。
でも、ついつい読んでしまいました。
(「ついつい」が多いなあ)
そして、もう1度最初からじっくり読み直しました。
ということは、かなり気に入ったらしい(苦笑)

素晴らしき週末、しかも土曜日1日の冒険です。
たった1日のことを1冊かけて書いているということ自体が、わりと好みなんですよね。
なにしろあの長~いランサム読んで育ったもんで。

この作家、もうちょっと読んでみようかな。
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by foggykaoru | 2016-10-20 19:57 | 普通の小説 | Trackback | Comments(0)

家族

古本屋で購入。
南木佳士の私小説。
このブログを読んでくださっている方はよくご存知だと思うけれど、私はこの作家をわりとフォローしているのです。

実父を見送る話。
題材的に、ただでさえ暗い話になるしかない。
そしてなおかつ南木さんの描く世界はもともと「しんねいむっつり」の世界。
自らの生い立ちと、父親に対する屈折した思いが丹念に描かれてます。
一般受けはしないでしょうね。
でも、南木さんのファンなら読むでしょ!
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by foggykaoru | 2016-06-14 23:07 | 普通の小説 | Trackback | Comments(0)

羊と鋼の森

宮下奈都作。
「本屋大賞受賞作」として、今、本屋で平積みになっている本。
友人が貸してくれました。

若きピアノ調律師のお話。
これがとっても素直な青年で。
周囲の人々も、総じていい人なので、ストレスなく読める。
けっこう面白かったです。
でも、読み返したいほどではないかな。

小さい頃からピアノを弾かされていてクラシック音楽には「げっぷ」が出る状態だった身としては、ピアノやクラシック音楽に触れたことがなかった主人公が、ある日音楽に出会い、人生を決定づけるほどの大きな衝撃を受ける、、というのが羨ましい。
(もっとも、小さい頃にクラシックに縁がなくて、そのまま一生涯縁が無い、という人が大多数だろうけれど。)

そう言えば、調律師を追ったドキュメンタリー映画を観たことがあったっけ・・・
と思ってこのブログを検索したら、、、
感想文書くの、サボっていたのでした。
「ピアノマニア」という映画です。面白かったですよ。
何年も前の映画ですが、公式サイトはこちら
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by foggykaoru | 2016-05-31 21:37 | 普通の小説 | Trackback | Comments(0)

センセイの鞄

川上弘美の小説。
裏表紙の「谷崎純一郎賞受賞作」という紹介文に惹かれて古本屋で購入。


近所の呑み屋で高校時代の恩師とばったり出会い、細く長く交流していくというお話。
とても読みやすいけれど、軽すぎない。
味わいがあって、なかなかな小説でした。

下戸というわけじゃないけれど、酒量が少ない(ワインだったらグラスに2杯ぐらいで十分)私にとって、「1人で呑み屋で一杯」は憧れです。
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by foggykaoru | 2016-05-27 21:28 | 普通の小説 | Trackback(1) | Comments(2)

人情裏長屋

新潮文庫刊。実家の本棚で見つけた。

山本周五郎の短編集。
題名どおり、市井の人々の織りなす人情話。
落語を聞いている気分になる。
内容もさることながら、古めかしい言葉遣いが味わい深い。現代の作家には書けない文章である。

「半身浴のおとも」として、毎日1つずつ読むのにちょうどよかった。
これを機会に山本周五郎の他の作品も読んでみたい、とまでは思わなかったが。
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by foggykaoru | 2016-04-10 07:35 | 普通の小説 | Trackback | Comments(0)

書店ガール

著者は碧野圭という人。

主人公は吉祥寺の大型書店に勤務する女性。
実はこの本、吉祥寺の古本屋で見つけまして。だからつい買ってしまった(苦笑)

裏表紙にある「お仕事エンターテインメント」という言葉そのもの。
あっという間に読めてしまう、とっても軽い小説です。

人間模様の描き方があまりにも通俗的なんだけど、書店経営の苦しさ描かれてるところはマル。

ついついネット、特に熱帯雨林を利用してしまう私ですが、あそこって日本に税金払っていないんですってね。
どうせ新刊買うなら、日本経済のために、熱帯雨林はやめて(楽天ブックスのほうがまだマシ)、なるべくリアル書店で買おうと思い始めてる今日この頃。

なので、熱帯雨林にリンク貼るのもやめます。
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by foggykaoru | 2016-03-29 23:43 | 普通の小説 | Trackback | Comments(6)