カテゴリ:普通の小説( 119 )

木暮荘物語

三浦しをんの小説。
木暮荘というおんぼろアパートの住人たちの人間模様。
「性」がメインテーマだったのにはちょっと驚いた。

今まで読んだ彼女の小説は、どれも5段階の3.8~4ぐらい。
そこそこ面白いけれど、5はつかないのです。
この作品もそう。
間違いなく面白い。読みやすいし、味わいもある。
でも、なーんとなくちょっぴり物足りない。
(「風が強く吹いている」は、たぶん物足りなくない作品なのだと思う。でも私は、その直前に「一瞬の風になれ」を読んでしまったので、二番煎じみたいに感じてしまったのだと思っている)


「舟を編む」では「えーっ、ここはすっとばし?」と思った。
今回は「えーっ、この人はこの後どうなるの?」

あと、結末がちょっと意外です。
そっちにワープして終わるんかい、という感じ。
(悪いわけじゃないけど)

彼女は「小説家」というより、「エッセイスト」なんじゃないかな。

今まで読んだ彼女の本の中で、私のイチオシは「あやつられ文楽鑑賞」です。
[PR]

by foggykaoru | 2016-02-23 21:09 | 普通の小説 | Trackback | Comments(0)

銀河のワールドカップ

川端裕人作。ワールドカップと言ったら、最近まではサッカーでした。ラグビーではなく。
で、この本は素直にサッカーです。

主人公は元Jリーガー。引退後サッカー指導者になったけれど、いろいろあって挫折して。
その彼が天才的なちびっこたちにめぐりあう。
その天才ぶりがすごい。荒唐無稽。
で、チームを率いて、勝ち進んで、、、という、ありそうな話。
でも、結末はある意味、意外。

私はサッカーはわからない。
ルールはわかります。でも、スペースがどうとか「2-3-3」とか、がわからない。
きっとそういうことがわかる人のほうが楽しめるはず。
でも、わからなくてもさらさら読んで楽しみました。
ヨットのことがわからなくてもランサムが楽しめるのと同じ(?!)

川端さんの本でイチオシは「川の名前」で、そちらはジュブナイル。間違いなく。

でも、この本は大人の本。第一、主人公が大人だし。
勘違いして読んじゃう子供もいそうです。


この本に関する情報はこちら
[PR]

by foggykaoru | 2016-01-05 22:26 | 普通の小説 | Trackback | Comments(4)

アントキノイノチ

さだまさしの小説。
今まで読んださだまさしの小説は、どれもけっこう面白かったので、私の中で彼は「はずさない作家」の地位を獲得している。

遺品整理業という職業の話。
「おくりびと」にイメージがかぶって、二番煎じ的なところもあったけれど、十分に楽しめました。
この小説も映画化されているそうだけど、「おくりびと」みたいな話題作にはならなかったようで。

すらすら読めました。
この前読んだ「シャネル」とは対照的。

この本に関する情報はこちら
[PR]

by foggykaoru | 2015-10-06 21:36 | 普通の小説 | Trackback | Comments(0)

お嬢さん

この本に関する情報はこちら

三島由紀夫の小説。

三島には興味があります。
大して読んでないけど。

最初の出会いは大学のとき、友人に勧められて読んだ「夏子の冒険」
夏子という良家のお嬢様を主人公とする他愛のないお話なのだけれど、とても面白かった。
そこらへんの平凡な作家も同じような筋書の小説は書けるだろうけれど、日本語力の裏付けがあると違うなあと感嘆した。

そして「潮騒」(「メロディー」はつかないよ)
素晴らしい。
私にとって恋愛小説(そんなに読んでないジャンルだけど)のイチオシ。

で、この作品。
題名からも推察されるように、「夏子」的な軽いお話。
昭和35年に雑誌「若い女性」に連載されたという。

私の小さい頃の臭いがする。
コーヒー1杯が30円。
で、公衆電話が10円。高い!!
など、当時の社会状況が懐かしいけれど、それはつまり、もはや古いということでもある。

主人公はなんの苦労もせずに生きているいいとこのお嬢さん。
適度に知的(でも中途半端)で、かつ、暇なので、いろいろどうでもいいことを考える。自意識過剰。
なんだこいつは・・・と思ってしまうけれど、人間、こういうことはある、と納得させる。つまり普遍的。古くならない。さすが。
一歩間違えたら(というのも変だけれど)純文学(の定義はよくわからんが)に十分なりうる作品なのだと思う。

というわけで三島はすごいと思います。

でも、女嫌いだよね・・・

褒めておきながら、王道の「金閣寺」とか「仮面の告白」を読む気はないんです。なんか重そうなんだもん。
[PR]

by foggykaoru | 2015-09-09 21:06 | 普通の小説 | Trackback | Comments(2)

その名にちなんで

実家に山とある本の中から、拾い上げてきた。
なんでもかんでも古本屋に払うのも申し訳ないと思って。

ジュンパ・ラヒリというインド系アメリカ人作家の小説である。

インド移民二世である主人公に与えられた名前は「ゴーゴリ」。
彼の半生をとても淡々と描いている。アイデンティティ探しの物語。

もともとすごく読みたかったわけではないうえに、この本を読んでいる最中に「不可触民」を古本屋で見つけて、インドの暗黒面を読んでしまった。
なので、再びこの本に戻るときは、「しょせんはカーストヒンズーの恵まれた話だよねえ」という、かなり白けた気分だったのだけれど、物語としては悪くない。淡々としているけれど、退屈はしない。
小説好きにはお薦めできる。

この本に関する情報はこちら
[PR]

by foggykaoru | 2015-06-21 21:37 | 普通の小説 | Trackback | Comments(0)

酔いがさめたら、うちに帰ろう。

サイバラこと西原理恵子の元・夫、鴨ちゃんこと鴨志田穣(ゆたか)の私小説。
自らのアル中の記録である。

依存症というのはほんとうにどうしようもないんだなということがよくわかる。
最終的には鴨ちゃんがアル中を克服し、サイバラのもとに戻り、末期がんで間もなく亡くなったということを知ったうえで読んだのだけれど、十分面白い。

お薦めです。
でも汚いのに耐えられない人はダメかも。

この本に関する情報はこちら
[PR]

by foggykaoru | 2015-03-27 19:17 | 普通の小説 | Trackback | Comments(0)

風に舞いあがるビニールシート

森絵都の短編小説集。
直木賞受賞作だそうで、なるほど、けっこう面白い。
もちろん好きな作品とそれほどでもない作品があるわけで。
私が気に入った作品は「鐘の音」と「ジェネレーションX」
好き好きは人それぞれなので、興味があったらどうぞ。
そして気に入った作品をお知らせください。なあんてね。

この本に関する情報はこちら


森絵都の本はまだ4冊目。
今のところのいちばんのお気に入りは「カラフル」
[PR]

by foggykaoru | 2015-02-21 19:29 | 普通の小説 | Trackback | Comments(2)

ヒコベエ

「国家の品格」ですっかり有名になった藤原正彦の自伝的小説。

数学者でありながら文才もあるなんてすごいと思っていたけれど、エッセイは上手でも小説書くのは得意じゃないのだということがよくわかりました。
正直、作品自体は大したことないと思います。
もしも彼が無名人だったら、自費出版して身内に配って、「あら、けっこう面白いわね」と親戚の間で評判をとったことでしょう。そんなレベル。
彼が新田次郎と藤原ていの息子である著名な数学者だからこそ、興味をもって読めるし、楽しめる。ものすごく楽しめる。

藤原ていの「流れる星は生きている」とその後日談「旅路」とかぶっているのがつまらないと思う人もいるかもしれない。私は楽しめました。


この本に関する情報はこちら
[PR]

by foggykaoru | 2015-02-11 20:53 | 普通の小説 | Trackback | Comments(2)

久しぶりの村上春樹

「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」を読みました。

私は、往年の大ベストセラー「ノルウェイの森」が、どこがいいのかさっぱりわからなかったので、それ以後、村上春樹の作品には全く手を出さなくなったのです。Wikiで調べたら、「ノルウェイ~」は1987年刊行。ほとんど30年ぶり。

で、なぜこの期に及んでこの本を読んだか。
弟が入院中の母のリクエストにこたえて買って差し入れてやり、母が読み終わったので私にくれた、というわけ。

で、感想ですが

うーん。
最後まで苦労せずに読むことができました。
面白いかと訊かれると・・・
すごくつまらないわけではないんだけど。
他に読むものが無いなら、別に読んでもいいと思うよ、、、ぐらいな。

大昔読んだ村上春樹の作品の中で、一番面白かったのは「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」です。
母は読めなかったそうですが、ファンタジーを読んで育った人には読めるはず。
だからってもう一度読みたいというほどでもないけど。

他に「風の歌を聴け」「1973年のピンボール」を読んだような気がします。
「羊をめぐる冒険」は確かに読みました。
遥か昔なので、よく覚えていないのですが、それまでの日本文学とは違うと感じたのは確かです。アメリカ文学っぽいような気がして、新しいタイプの作家が生まれたんだな、みたいなことを思ったものです。
でも、ジョン・アーヴィングの「熊を放つ」「ガープの世界」「ホテル・ニューハンプシャー」を読んで、「なあんだ、村上春樹はこの人のパクリじゃん」と思ったのでした。
(「熊を放つ」はわけがわからなかったけれど、「ガープ~」と「ホテル~」は強烈に面白かったです。長い小説を読みたくてたまらない人にはお薦めします)
ちなみに、「熊を放つ」は村上春樹翻訳。
プロの翻訳家でもないのに、あの長編を訳そうなんて、よっぽどアーヴィングのファンなんだろうし、翻訳作業を通じて作品の中にどっぷり浸りきってしまったのだろうから、影響を受けるのはしょうがないのかも、と思ったものでした。・・・妙に寛大だが偉そうだ>私(自爆)
「ノルウェイの森」は、もしかしたら、アーヴィングから脱皮した作品だったのかもしれない。(何も覚えていないのでよくわからない。きっと的外れです)
でもとにかく面白くなかったんで。

まあ、この本をきっかけに彼の他の本も読んでみるか、、、とはつゆほどにも思わなかったというのが、今日の結論です(苦笑)

この本に関する情報はこちら
[PR]

by foggykaoru | 2015-01-23 21:20 | 普通の小説 | Trackback | Comments(8)

わたしを離さないで

カズオ・イシグロ著。
映画作品として先に知っていた。観たわけじゃなくて。
予告編を視て、「あーー、そういう映画か。観たくないな」と思ってそれっきり。

亡父の蔵書だったのです。
少しでも本を減らしたい母が「邪魔だから何か持っていってよ」と懇願するので、しょうがないなあとこれを選んだという(苦笑)

持ってきてからも読まずに数か月。
中年以降、すっかりノンフィクション体質になっているので、フィクションに取り掛かるのにきっかけが必要なんです。
今回は「図書室の魔法」がきっかけ。
まだこっちのほうが読みやすそうだと思った(自爆)

実際、とても読みやすかった。
ほっとした。(なにしろ苦手なSFがらみの物語の後だから)
これも一種の異世界ファンタジーなのだけれど、SFではない。

深い悲しみが底流にある。
私の脳内では淡いピンクがわずかに混じった薄紫の世界。
カタルシスがあるわけでない。
正直、全然好きな話ではない。
でも読み終わって何かが残る。
カズオ・イシグロの力量を感じた。

この本に関する情報はこちら
[PR]

by foggykaoru | 2014-10-23 21:23 | 普通の小説 | Trackback | Comments(4)