カテゴリ:普通の小説( 123 )

オリガ・モリソヴナの反語法

熱帯雨林のレビューが好評だったから読んだ。
というわけで、この本に関する情報はこちら


米原万理さんが初めて書いた長編小説、なのだそうだ。
他に長編書いてるの?という疑問はさておき、大変面白かった。
世界広しといえども、この本を書けるのは彼女だけ。大げさかな。少なくとも、日本でこういう本を書ける人は彼女以外にありえない。

解説はロシア文学者の亀山郁夫。
調べてみたら、彼と米原さんは東京外語大の同窓ですね。1歳しか違わないし、もしかしたら同級生?
だからというわけじゃないと思うけれど、絶賛してます。
「翻訳するべき」と。ロシア語に、ということですよね。
旧ソ連の負の歴史(どうもあの国は「負」のイメージばかり強いけど)を、外国人が描き切った小説、というところがすごいのだと思います。

慣れない長編ということでしょうか、最後は走りに走ってゴールテープを切ったような印象。

最近読んだ米原さんのエッセイで、「幼少時にロシア語に浸り、日本語でまとまった文章を書くようになったのはその後なので、自分の日本語は自然ではない」というようなことを読んだが、なんとなくわかる気がしました。
不自然というわけではないけれど、外国語でものを考えることに慣れた人の文章だという感じがするんです。それがマイナスに作用しているわけではなくて、むしろわかりやすい文章なのだけれど。
だから、普通の日本の小説っぽくなくて、読み応えのある外国文学」の趣あり。

長い本を読みたい人にお薦めします。

ただ、亀山氏も言ってるけど、この本、タイトルがあまりよくない。
覚えられません。
たった今、この感想文を書こうとしたんだけど、手元に本が見当たらなかったので、「オリガ 反語法」で検索して確認しなくちゃなりませんでした。私の脳細胞が死にかけてるせいなんだけど(自爆)
[PR]

by foggykaoru | 2014-03-30 09:45 | 普通の小説 | Trackback | Comments(0)

聖なる酔っぱらいの伝説

ヨーゼフ・ロートの短編集、、、とか言って、この人のことは何も知りませんでした。古本屋で見つけて、持ち運びに便利な薄さと軽さで、翻訳が池内紀だったから買ったまでのこと。
私が買った白水Uブックスは、ユーズドでしか入手できません。
岩波文庫版なら在庫あり。

解説によると、著者は現在のウクライナにある東ガリシアというところの出身で、ドイツ系ユダヤ人。流転の末、パリで亡くなったのだとか。

ウクライナと言えば、今、大騒ぎしてます。
一時はリヴィウを中心とする地域が独立するとまで言い出したそうで。

忘れもしないリヴィウ。
でもこの名前を聞いてピンとくる日本人、何人いるんでしょうか。
チェルノブイリの管理はどうなるんでしょうか。あの原発、ウクライナにあるんです・・・。

私のウクライナ旅行記、よろしかったらお読みください。こちらです。

メインサイトの宣伝はここまで(笑)

ウクライナの東部はハプスブルク家の支配下にあったのです。
その中心地だったリヴィウ。
実にオーストリアっぽい町でした。。。

ということを知らなくても楽しめる小説ですが、知っていたおかげで興が乗ったことは否めません。
特に最後の「皇帝の胸像」という作品は。

とにかく渋いです。
しみじみしたい人にはいいでしょう。

映画化されたそうで。ちょっと観てみたい気がします。
でもDVDも新品では入手できず。ユーズドもすごい値段。「知る人ぞ知る」名画なんでしょうね。
[PR]

by foggykaoru | 2014-02-26 21:05 | 普通の小説 | Trackback | Comments(2)

旅猫レポート

有川浩。

最初の20ページくらいまでは今ひとつだったのです。
「猫好きじゃないと入り込めないのかも」とか思いました。
でも、そのあとは一気でした。

まともな小説です。お勧めです。
うーん有川浩はねえ・・・『図書館戦争』にはついていけなかったし、『三匹のおっさん』はまるきりマンガだったわね、『植物図鑑』みたいなベタ甘もちょっと・・・という人も大丈夫。保証します。

万が一、ダメでも責任は取りませんが。

ただし、電車の中とか喫茶店で読むのはやめましょう。
私は半分ぐらいまで読んだところで、「これはやばいかも」と予感し、残りは自宅で読みました。正解でした。

この本に関する情報はこちら
[PR]

by foggykaoru | 2013-11-19 20:19 | 普通の小説 | Trackback | Comments(3)

新橋烏森口青春篇

椎名誠の自伝的小説。
業界紙の編集者としてのらくら働くシーナくんの日々。

PCがある今、業界紙の仕事というのはどう変化したのかなあなどと思いつつ、まあけっこう楽しく読んだのですが、今になって熱帯雨林のレビューを見てみたら、絶賛の嵐なので驚いた。
確かに面白かったけれど、傑作とは思わなかったんですけど。

もしかしたら男性のほうが楽しめるのかもしれない。

残念ながらユーズドでしか入手できません。
私と会う機会のある殿方、お読みになりたかったら差し上げます。
[PR]

by foggykaoru | 2013-10-30 22:22 | 普通の小説 | Trackback | Comments(4)

神様からひと言

この本の著者である荻原浩という人は高野本で知りました。
高野さんのどの本だったかは忘れましたが、解説の文章が気に入って名前を覚えたのです。近年とみに物忘れが激しくなっている私が。これはすごいことです。
作家のみなさん、他の作家の解説の仕事がきたら、まじめに取り組みましょう。

主人公は若いサラリーマン。
甘いんだなこれが。ちょっとあんた世の中なめてんじゃないの的な雰囲気を濃厚に漂わせていて、しかも、思ったことをすぐ口にする悪癖がある。結果、あそこに行ったらおしまいだという姨捨山みたいな部署に飛ばされてしまい・・・

とても面白いです。
同じサラリーマンものでも、池井戸潤とはかなり違う。
こっちはユーモア満点。私はこちらのほうが好き。
でも、池井戸亮よりも忘れやすい。なにしろ読んだとたん忘れてしまいました。

ていうか、読んだということすら、忘れていた(苦笑)


楽しい本を読みたい人にお勧めします。


この本に関する情報はこちら
[PR]

by foggykaoru | 2013-10-22 19:52 | 普通の小説 | Trackback | Comments(2)

金門島流離譚

船戸与一作。ハードボイルド。
暴力と血がいっぱい。性もちょっぴり(でもそういうシーンは無い)。

めったに読まないこのジャンル。
古本屋で見つけたこの本を買った理由は、高野さんが「辺境中毒!」で紹介していたから。ちなみにあとがきも高野さん。

金門島というのは、中国大陸の目と鼻の先にある、台湾領の島だそうで。
その地の利を生かして、いろいろ裏っぽいことに利用されていて、、、暴力と血がいっぱいの作品のかっこうの舞台になるわけである。

普通に面白かったけれど、元来このジャンルは得意ではないので、船戸作品はもう読まないだろうと思う。
[PR]

by foggykaoru | 2013-10-12 09:24 | 普通の小説 | Trackback | Comments(4)

キケン

有川浩作。
理系の学生はいろいろ世間の常識では考えられない危ないことやるんだよ、危ない薬品もごろごろあるし、、、と化学系の友人が言っていたということもあり、そういう話かと思っていたら、それは確かにそうだったけれど、薬品系ではなくて、機械系の話だったので、ちょっと違った。

機械制御研究部、略して「キケン」の学生たちの青春。
とても面白いです。読み応えはないけれど。そういうものを求めるのは間違い。
有川浩はキャラノベとも呼ばれるとおり、登場人物のキャラが立っているけれど、この作品におけるもっとも魅力的なキャラは主人公ではなく、もっともキケン(危険)な上野という部長。

私はどちらかというと『海の底』みたいな「渾身」感がある作品のほうが好きかもしれない。でも、これからはああいう作品が書かれることはないんだろうな・・・
というのは、日本の作家は、流行作家になって、どんどん書く(書かされる)ようになると、だんだん薄くて軽くなっていく。書かされすぎなのだろう。赤川次郎の初期の作品『マリオネットの罠』とか、内田康夫のデビュー作『王将たちの謝肉祭』とか、その後の作品に比べると、ずっと読み応えがあった。(読んでなかったらぜひどうぞ。)有川浩もその道をたどっているのかなと思うと、少し寂しい。

あ、でもこういう作品も好きですよ。
ハードな事(めちゃくちゃ痛い治療とか)に遭遇したとき、最大の癒しになるし。


この本に関する情報はこちら
[PR]

by foggykaoru | 2013-08-25 09:29 | 普通の小説 | Trackback | Comments(0)

明暗

そうです、夏目漱石の『明暗』です。

漱石の作品は中学生の頃『坊ちゃん』を完読、『吾輩は猫である』はけっこう面白かったけれど飽きて上巻でギブアップ、高校のときに教科書で『こころ』の抜粋を読んだけど、本は自分自身のツテで選びたいし、教科書に載っている小説を読むなどという優等生的趣味は持ち合わせていないので、授業だけで済まし、大学生になってから『三四郎』を読んでみたらこれはいたく気に入ったのですが、しばらくたって『行人』を読んでうんざりし、ギブアップすると同時に「漱石は若者が読むべきではない、四十過ぎるまでは読まないことにしよう」と思い定めて幾星霜。
少年老い易くと言われるように、はっと思ったら四十をはるかに超えていまして。
でも、若いときに想像していたようには老成した気分にならないので、手を出さずに今に至る。

あっ、そうだ! 友人の勧めで『虞美人草』を読んだっけ。

今回これを手にとったのは、水村さんの『続・明暗』を読みたかったからです。

漱石なので例によって、たっくさん注がついていますが、文豪の作品を真面目に読み解こうなんて気負わずに、「たかが新聞小説なんだから」と気楽に読みました。

で。

気楽に読んでいいのだと思いました。
有川浩並みに。はい。
漱石は明治の有川浩です。え、暴言ですか? (有川浩は平成の漱石だとは言ってませんよ。)

でも

ものすごく面白いというほどでもないぞ。
ただ、まさにこれからというところで終わってしまっている。
当時の読者の「ええーっ、こんなところで死なないでよ~!!!>漱石さん」という悲鳴が聞こえてくるようです。
この続きを書こうと思う人がいても不思議は無い。

で。

『行人』も同じなのだけれど、主人公があまりにも良い御身分なので白けます。
贅沢こそできないけれど、とりあえず何もしないでも食べていける。
読んでると「なんだこいつ、いい気なもんだな」と思ってしまう。だから夢中になれない。

今回の発見。
ジェーン・オースティンの作品に似てます。
漱石は英文学者なのだから、当然、彼女の著作には親しんでいたのでしょう。
ただ、ジェーン・オースティンのは主人公の女性が幸せな結婚をする話。ハッピーエンド。
それに対してこの作品は、結婚したのにいまひとつ幸せでないカップルの話。アンハッピーエンドの予感。
さらに、ジェーン・オースティンだったら、主人公の女性は内面的な魅力がある。
でも、この作品の主人公は・・・ はっきり言って嫌味。その妻も。
っていうか、魅力的な人が出てこないんですけど。

と文句ばかり言ってますが、これでいつでも『続・明暗』を読むことができるようになったので、とりあえずオッケーです。
[PR]

by foggykaoru | 2013-07-17 20:14 | 普通の小説 | Trackback | Comments(2)

クジラの彼

有川浩の「自衛隊ラブコメ短編集」第一弾。
(前に読んだ「ラブコメ今昔」は第二弾。)

『空の中』と『海の底』のカップルが登場するという情報を得ていた。
だからこの順番に読んだわけで。(逆に『塩の街』を「ちょっと違う」と軽くパスすることができたのも、この本とのからみが無いことを知っていたから)

『ラブコメ今昔』収録の作品のほうが粒揃いかなと思います。
でも表題作『クジラの彼』はひじょーに気に入りました。自衛隊ラブコメの中でいちばんいい。

この本に関する情報はこちら
[PR]

by foggykaoru | 2013-07-15 23:27 | 普通の小説 | Trackback | Comments(4)

下町ロケット

池井戸潤の直木賞受賞作。とても有名ですよね。

は~ 男の小説だ~ と思いました。
なにしろ最近は(ハマっちゃいけないと思いつつ)有川浩とか、(いまいちだと文句つけつつ)三浦しをんとか、女流作家のものばかり読んでたので。

小さな町工場が大企業に対して一歩も引かず頑張るお話。
機械には到底及ばない職人技、とか、テレビの「夢の扉」あたりを思い出させる。
悪くないです。

でもね。

先日、堺雅人主演のドラマ『半沢直樹』をちらっと観たら、つまるところ、同じような話だったので驚いてしまいました。
『下町』は、何か「こと」あれば、銀行に融資を打ち切られそうになる中小企業が舞台。
『半沢』は銀行に身を置いて、なんとか中小企業を助けようとする銀行員が主人公。

そういう話が好きな人は、池井戸さんの小説にハマることでしょう。
私はハマらなかったんです。。。
面白かったんですよ。でも他の作品も読みたいとまでは思わなかったということで。

この本に関する情報はこちら
[PR]

by foggykaoru | 2013-07-09 21:21 | 普通の小説 | Trackback | Comments(2)