カテゴリ:ルポ・ノンフィクション( 97 )

ニッポン見便録

著者はシェルパ斉藤こと、斉藤政喜。

この人の名著(!)としては「東方見便録」というのがある。
世界のトイレを見て回った記録である。
このディープな旅に同行し、イラストを担当したのは内澤旬子。
非常に興味深い本だったけれど、あまりにもディープで、「うっ」と胸に迫ることが多く、一日に一件のトイレしか読めなかったことを覚えている。

今回のこの本は、世界に冠たるニッポンのトイレ。
具体的には高速のSAのトイレ。
私は車を運転しないので未知の世界、という点は、前著「東方見便録」と同じ。
でも方向性は真逆。
とってもきれいでハイテクなトイレがメインなので、とても快適・快調に読めた。1日で読破。イラストや写真が多いし。

感銘を受けるような本ではないけれど、楽しかったですよ。

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by foggykaoru | 2017-07-27 04:59 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(0)

ミラノの太陽、シチリアの月

内田洋子がイタリアで知り合った人々。
「ジーノの家」の続編的作品である。
とても面白かった。

かつて、イタリアを旅したとき、こんなことを思った。
「光が強い。そのぶん、影が濃い」
真夏だったからってこともあるが(自爆)

この本を読んで、それを思い出した。

私がいちばん気に入ったのは「鉄道員オズワルド」
往年のイタリア名画に「鉄道員」というのがある。
未見だけど、きっとこんな味わいなんじゃないかな。

光が強くて、影が濃い。つまりギャップが大きい。
それはイタリアの人々のキャラの濃さによるところが大きいけれど、それだけではない。
イタリアにおける、いわゆる南北格差。
ヨーロッパに実はまだまだ色濃く残る階級の違い。

思わず、以前読んだ「ジーノの家」を読み返してみたら、意外なことに、「ジーノ」はあまり面白いと思えなかった。そのぐらい、今回のこの本が面白いということなのでしょう。



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by foggykaoru | 2017-07-17 07:48 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(0)

異邦人

アルベール・カミュじゃありません。
副題は「世界の辺境を旅する」
著者は上原善広という人。
「日本の路地を旅する」という本で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞したそうで、この「路地」とは被差別部落を意味するそうで、上原氏は被差別部落出身なのだそうだ。

第一章はパレスチナのガザ地区の話、かと思いきや、
のっけから、著者の幼少時の思い出が語られる。重い思い出が。(ダジャレを言うつもりはなかった・・・)
紛争地域に乗り込んでいく、自分探し屋さん?という感じがなきにしもあらずなのだけれど、章を追うごとに読み応えが出てくる。
ちなみに、第二章から先は
バグダッドのロマの女性
スペインのカゴという被差別民
ネパールのマオイスト
イタリアとコルシカのマフィア
旧樺太の少数民族

どれも興味深いです。
特に最後の、旧樺太の話が、日本に関わりがあるだけに、胸に響きます。
日本にはいろんな少数民族がいたのです。アイヌだけじゃない。でもなんにも知らなかった。

この本はすぐに売っぱらったりしないで、しばらく手元に置いておくつもり。




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by foggykaoru | 2017-05-10 21:16 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(0)

ソフィアの白いばら

八百板洋子という人の、ブルガリア留学記。
古本屋で見つけて買ってしまったのは、ブルガリア旅行の思い出があるからこそ。

でも、私が行ったのは、ソ連邦崩壊後。

八百板さんが行ったのは冷戦まっただ中の1970年。全然時代が違う。

出会う留学生は共産圏出身者が中心。
学生たちはみな、自国のイデオロギーを背負って生きている。それが実に新鮮。
冷戦とは、そういうことだったんだな。

ベトナム戦争も終わっていない。
ベトナム人留学生たちにとってアメリカを支援する日本は敵。だからどうしても関係がぎくしゃくしがち。

数年前、2度にわたって無頓着にベトナム旅行に行ったけど、そういう歴史もあったんだなあ。(その後、もう1回行ったんだっけ)
ベトナム戦争のことは十分に念頭に合った。リアルタイムで知っていたし。でも、日本も関わっていたということについて、あまり意識していなかった。日本語を一生懸命勉強している女子大生のお宅で歓待されたりして、能天気に旅を楽しんだのだった。

当時、ブルガリアに留学する(できる)日本人というのは、特別な立場だった、、ということが、あとのほうになって明かされる。
八百板さんが抱えている病気のことも。
こういう構成はちょっと変わっているけれど、そういうことは、本当はできれば明かしたくなかったんだろう。

八百板さんは、後にブルガリア語翻訳者になったそうだけれど、なんとなく文章を書きなれていないような。独特の味わいがある、という言い方もできないことはないのだけれど。

福音館文庫なので、なんとなく青少年向き限定の本と思われてしまうかもしれません。
でも、大人が読んでも心が波立つ本でした。読んでよかったです。



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by foggykaoru | 2017-05-03 22:25 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(2)

バイエルの謎

副題は「日本文化になったピアノ教則本」

私が子供だったころ、ピアノ教則本といえばバイエルだった。
それがしばらくして、「バイエルはいまいち」と言われるようになった。
本当にいまいちかどうかはわからないけれど、とにかくつまらなかったことだけは確かである。
でも、そもそもピアノ自体が大嫌いだったので、バイエルの責任かどうかすらわからない。
遥かなとても薄い記憶によると、和音が単調だったような。
ドミソ(コードで言えばC)、ドファラ(F),シレソ(G)ばかりだったんじゃないか?
バイエルって作曲者の名前だよね?と思ったことも覚えている。
でも、他にどんな曲を作ったんだろう?と思ったことも。

同じ疑問を抱いたのが、この本の著者である安田寛という人。
音大の修士を出て、大学教授になった人だそうです。
この本は、安田氏の行った探索の旅の記録です。
だから、結論をまとめて書いてしまうと面白くない。
興味がある方は、著者と一緒に旅しましょう。

この本を読んで、もう一度バイエルを弾いてみたくなりました。

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by foggykaoru | 2017-04-11 20:25 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(0)

バウルの歌を探しに

著者の川内有緒という人。
彼女が書いた本としては、「パリでメシを食う」というのがあり、非常にそそられたけれど、未読。
そしてこの本もまた、かなり前からタイトルだけは知っていた。
でも、ずっと「パウル」と読み間違えていて、ヨーロッパ関係の話かと思いこんでいた。
ほんとうは「ハ」の上に点々。「バウル」。
ヨーロッパどころか、なんとバングラデシュの話だったのでした。

今回、古本屋で見つけて購入した決め手は、解説が高野秀行氏だったこと。
「新田次郎文学賞受賞」というのにも惹かれた。
なんだかんだ言って、賞をとった作品はそれだけのことはある、と常々思っています。

「バウル」とは、バングラデシュ(正確にはインドの一部も含む、ベンガル地方一帯)にいる、吟遊詩人のような人々のことをさす。
彼らの歌が、ユネスコの無形文化遺産になっているんだそうだ。

川内さんはパリでの国連関連の仕事に見切りをつけ、帰国し、バウルの歌を聴きに行こうと思い立つ。
でも、彼らがどこにいるかはわからない。
バングラデシュ人に聞いても、何がなんだかわからない。
雲をつかむような話なのだけれど、頼りになる相棒を見つけ、有能な現地ガイドとともに、バングラデシュをめぐる。

そして、ちゃんと見つけ出すのである。

よくよく人の縁に恵まれているというか。
あるいは、幸運を引き寄せる賢さを備えているというか。

きっとその両方なのだろう。

バウルについて、ヨーロッパでいうジプシー(今や「ロマ」と呼ぶのが正しいそうだ)のような存在なんじゃないかと想像したけれど、全然違いました。
修行をする人々なんだそうだ。
そして、その修行の奥義がスゴイ。すべての宗教を超越している。
古くからの存在だというけれど、一周廻って今や時代の最先端になっているんではないかと思わせる。

ユネスコの遺産になることによって、注目され、保護されるかというと、世の中そんなに単純ではない。
ある意味、保護されるのだけれど、変質する恐れもある。
保護されなくても変質する可能性はあるけど。

とにかく、とてもとても不思議な存在なのです。

ほんとにいったいどんな歌なんだろう?


バングラデシュの人々はとても親切なんだそうだ。
「インドなんかよりもよっぽどバックパッカー向き」だと、川内さんは言う。

ふーん。

でも、観光名所なんてないし、行って何する?


バウルを探すんだ!(爆)




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by foggykaoru | 2017-03-08 20:36 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(0)

漂うままに島に着き

内澤旬子の本。
乳がんになり、身体の言いなりになり、気づいたら丈夫になり、東京にしがみついている必要はないじゃないか!と思いつき、小豆島に移住する、体験ルポ。

老後の生活をあれこれ考えはじめている私としては、興味津々でした。

小豆島というのは高松の目と鼻の先だったのですね。
そして、高松というのは、適度に大きくて楽しい町のようで。
高松にはネットで知り合った友達もいるし、悪くないかもね~

今住んでいるところを人に貸して田舎に移住したら、経済的には全然なんとかなるんですよね。

そして、いくら治療しても治らない上咽頭炎。
(治療は有効なんです。耳鼻科の先生の名誉のために言っておくけど)
たぶん都会に住んでいる限り、完治しないんじゃないかと思うのです。

しかし、内澤さんの場合、今までのキャリアがなんだかんだ言って、島の生活に非常に役立っています。
それは豚を育てて、つぶして食べたというキャリア。
だから狩猟の免許をとってイノシシとか、狩りして解体して食べてるんです。
家の周りの雑草を始末してくれるヤギを飼うことを、思いついてすぐにできたのは豚の飼育経験があったからこそ。
そして、そのヤギのおかげでどんどん人が話しかけてくれて、どんどん知り合いが増える。
犬の散歩で知り合いが増えるというのと同じです。

そーゆーキャリアが無い私はどうかなあ・・・

あと、虫のすごさにはちょっと引きます。

うーん、ほんとに老後どうしよう。
とりあえず、断捨離を続けよう。


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by foggykaoru | 2017-01-12 19:08 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(2)

廃道探索 山さ行がねが

著者の平沼義之は「山さ行がねが」というサイトの運営者。
でも彼の言う「山」はただの山ではない。
そもそも山が目的ではない。
目的は「廃道」---昔は道だったところ---を歩くことにある

石田ゆうすけあたりと比べると、文章が読みにくいのだけれど、内容で読ませる。

いやー、、、

今は道でないところを歩くというのは、想像を絶することなのです。
危ないよ、下手したら遭難するよ
という場面もたくさん。

高野秀行氏が、「大学の探検部では、探検とは何かということで盛んに議論し、何が何だかわからなくなった」的なことを書いていたけれど、

いやいや、、、
この日本にさえ、探検するところはまだまだたくさんある。

カンチェンジュンガを道を通らずに登るのと通じるところがあります。

うん。
私はこの本にランサム的なものを感じてしまったのでした。

文章がいまいちなのと、地図が小さくてわかりにくいということを差し引いても、80点はつけたい。
(詳しく場所を確認したい人のために、各所に二次元バーコードがついています。さすがネット由来の本だ)
旅と探検・冒険に憧れる人に特にお薦め。



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by foggykaoru | 2016-11-13 10:44 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(0)

食べる。

「インパラの朝」の中村安希の本。
新刊を購入。こういう人には積極的に印税をあげたいのですよ。

著者が世界各地で体験した「食」にまつわるエピソード集。
「まつわる」というところがポイント。
「食にまつわる出会い」であって、「食」そのものではないので、「食」自体に期待して読むとちょっとがっかりするかもしれない。

旅人には特にお薦めなんだけど、「旅先」のエピソードとは限らないということにもご注意ください。
あくまでも「世界各地で体験したエピソード」なのです。
熱帯雨林のレビューの中に「この人は本当のバックパッカーではない」というようなコメントがあるけれど、そりゃ著者に気の毒。

森枝卓士氏が「解説」で述べているように、「まっとう」な人による、「まっとう」な本。

最初の話は飲食しながら読まないほうがいい。
私はカフェでお茶しながら読んで、非常に後悔したのでありました。
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by foggykaoru | 2016-08-04 07:01 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(0)

ディープすぎるユーラシア縦断鉄道旅行

下川裕治著。
帯に「62歳のバックパッカー、1万8755キロを行く」とある。
ほんとにほんとにご苦労様。だから迷わず新刊で買った。

旅好き、鉄道好きにお薦めです。

ユーラシア大陸最南端のシンガポールの駅を出発。
鉄道でマレーシア→タイ→ミャンマー→中国→モンゴル→ロシアとまわる。
目的地はユーラシア大陸最北端のロシアの駅。

この本の一番の目玉は民主化なったミャンマーである。

ずっと長いこと、ミャンマーは空路でしか入れない国だった。
東南アジアを陸路で周遊するのも、「ミャンマー以外」という但し書き付きだった。
そして、「ミャンマーの鉄道はろくに整備していないので相当やばい」と聞いていた私は、大多数の旅行者と同じように、長距離バスで旅した。

だから下川さんの鉄道の旅は希少価値があるのです。
読んでみて、うなった。
すごい。「聞きしに勝る」とはこのことだろう。

それでも、中国の「硬座」の旅よりもマシらしい。
ある意味において。

個人的には、2年前に乗ったシベリア鉄道にもそそられた。
でもミャンマーと中国の鉄道の後では、ロシアの鉄道は非常に平和。先進国そのもの。


また、今回のこの鉄道の旅は、いにしえの「茶の道」なのだそうだ。
インドとか中国南部の茶葉をロシアに運ぶ「万里茶路」をなぞっているのだそうで。
なあるほど。
ロシアと言ったらコーヒーじゃなくて、ロシアンティーだもんね。
(でも、あのジャムを入れるロシアンティーはロシアには無いんだと!)

エニセイ川とか、シベリアの大河を越えるのは、暖かい季節よりも、川が凍結している冬(極寒!!)のほうが楽だったんだそうで。
ほんとにほんとにご苦労さん。
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by foggykaoru | 2016-08-01 22:42 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(2)