カテゴリ:ルポ・ノンフィクション( 99 )

食べる。

「インパラの朝」の中村安希の本。
新刊を購入。こういう人には積極的に印税をあげたいのですよ。

著者が世界各地で体験した「食」にまつわるエピソード集。
「まつわる」というところがポイント。
「食にまつわる出会い」であって、「食」そのものではないので、「食」自体に期待して読むとちょっとがっかりするかもしれない。

旅人には特にお薦めなんだけど、「旅先」のエピソードとは限らないということにもご注意ください。
あくまでも「世界各地で体験したエピソード」なのです。
熱帯雨林のレビューの中に「この人は本当のバックパッカーではない」というようなコメントがあるけれど、そりゃ著者に気の毒。

森枝卓士氏が「解説」で述べているように、「まっとう」な人による、「まっとう」な本。

最初の話は飲食しながら読まないほうがいい。
私はカフェでお茶しながら読んで、非常に後悔したのでありました。
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by foggykaoru | 2016-08-04 07:01 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(0)

ディープすぎるユーラシア縦断鉄道旅行

下川裕治著。
帯に「62歳のバックパッカー、1万8755キロを行く」とある。
ほんとにほんとにご苦労様。だから迷わず新刊で買った。

旅好き、鉄道好きにお薦めです。

ユーラシア大陸最南端のシンガポールの駅を出発。
鉄道でマレーシア→タイ→ミャンマー→中国→モンゴル→ロシアとまわる。
目的地はユーラシア大陸最北端のロシアの駅。

この本の一番の目玉は民主化なったミャンマーである。

ずっと長いこと、ミャンマーは空路でしか入れない国だった。
東南アジアを陸路で周遊するのも、「ミャンマー以外」という但し書き付きだった。
そして、「ミャンマーの鉄道はろくに整備していないので相当やばい」と聞いていた私は、大多数の旅行者と同じように、長距離バスで旅した。

だから下川さんの鉄道の旅は希少価値があるのです。
読んでみて、うなった。
すごい。「聞きしに勝る」とはこのことだろう。

それでも、中国の「硬座」の旅よりもマシらしい。
ある意味において。

個人的には、2年前に乗ったシベリア鉄道にもそそられた。
でもミャンマーと中国の鉄道の後では、ロシアの鉄道は非常に平和。先進国そのもの。


また、今回のこの鉄道の旅は、いにしえの「茶の道」なのだそうだ。
インドとか中国南部の茶葉をロシアに運ぶ「万里茶路」をなぞっているのだそうで。
なあるほど。
ロシアと言ったらコーヒーじゃなくて、ロシアンティーだもんね。
(でも、あのジャムを入れるロシアンティーはロシアには無いんだと!)

エニセイ川とか、シベリアの大河を越えるのは、暖かい季節よりも、川が凍結している冬(極寒!!)のほうが楽だったんだそうで。
ほんとにほんとにご苦労さん。
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by foggykaoru | 2016-08-01 22:42 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(2)

謎のアジア納豆

副題は「そして帰ってきた<日本納豆>」
高野秀行氏の新刊。
「ソマリランド」以来、待ち焦がれてましたよ。

今回のテーマはタイトルどおり「納豆」
納豆は日本独自のものかと思っていたけれど、もしかしたら他の国や地域でも食べられているのかも、ということで、高野氏の探索が始まる。
あちこちに行って「納豆らしきもの」を食べる。作り方を習う。

ミャンマーの奥地に行ってアヘン作りをやって、ついでにアヘン中毒になっちゃったときと、やっていうことは同じなのかもしれない
が、
食べるのは納豆。中毒になんかならない。それどころか健康的そのもの(笑)

相変わらずの高野節なんだけど、その実態は研究書という趣。

ソマリランドみたいなスリルに欠けるし、地味なんだけど、高野ファンは必読です。
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by foggykaoru | 2016-07-27 23:15 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(0)

インパラの朝

副題は「ユーラシア・アフリカ大陸684日」
「開高健ノンフィクション賞受賞」といううたい文句に惹かれて古本屋で購入。

著者は中村安希という人。
本格的なバックパッカーの旅の記録。
でも、628日の単なる記録ではなく、精選された50のエピソード集である。
よって、きわめて濃密。どれも読みごたえがある。お薦めです。

「旅は出会い」を地で行っている。
語学(英語)がよくできるのは強みだな、としみじみ思う。
コミュニケーション力と語学力は必ずしも比例するものではないけれど、やっぱり語学力は無いよりあったほうがずっといいわけで。

著者はボランティアにもかなり関心をもっているのだが、地を這うような旅を、心身ボロボロになりながら続け、最貧国の実情を肌で知り、貧富という尺度では測れないものを感じ、困惑していく。
この世界、何が正解なのだろうか?

この人の他の本も読んでみるつもり。
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by foggykaoru | 2016-07-18 06:09 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(0)

よみがえれ 老朽家屋

英国エッセイで知られる井形慶子が、吉祥寺に古屋を買い、リフォームした記録。
吉祥寺の古本屋で購入。古本屋に売ったのはきっと吉祥寺在住者。

井形さんはこれに先立って中古マンションを購入、リフォームした経験があり、そのこともまた本に書いているらしい。

リフォームの予算は350万円。
英国で強いれたタイルを自分で貼ったりしてるとは言え、この低額で素晴らしい出来栄え。
強い意志と明確なビジョンが成功の秘訣なんだろう。

英国のリフォーム事情にも通じている井形さんは、日本の建設業界の問題点もいろいろ見えるようで。

たとえば資材の調達や、職人不足で工事が止まったりする。
そこは行動力のある井形さん、資材調達を自分でやろうとするのだが、日本では、素人が建設資材の手配をすることができないそうだ。英国ではできるのに。
で、日本では、業者任せにするしかなくて、そこにいろいろ上乗せされる。
(このあたりの事情、もしかしたら、最近は多少変わってきているのかもしれない。ヤックンが通販で水栓を山ほど買うCMがあるし。)

近年の日本は新築よりも中古を購入してリフォームするのが流行になっているから、職人が不足している。
その職人があんまり何もわかってない。
なにしろ大手の下請けだから。自分では何も考えないみたい。

さらに井形さんは、最近の吉祥寺が変わりつつあることに、憂慮も抱いているようで。
ずっと吉祥寺ウォッチしてきた私も同じことを感じる。
なんとなく、「吉祥寺ならでは」という感じが薄れてきているような。
でも、やっぱりいい町だと思う。
この前、初めて中野駅周辺をうろついたんです。余りにもぱっとしてなくて驚いた。中野は新宿に近すぎるということなんでしょうね。
おかげで、吉祥寺がいかにすごい町なのかがよくわかりました。
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by foggykaoru | 2016-07-08 20:14 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(0)

オリンピア ナチスの森で

沢木耕太郎著。図書館で借りた。
映画「帰ってきたヒトラー」を観る前に読み始め、観てから読み終わった。
この本が映画を観るきっかけだったのかもしれない(よく覚えてないけど)

ベルリンオリンピックの記録映画の監督であるレニ・リーフェンシュタールのインタビューに始まる。
彼女の話がメインかと思っていたら、そのインタビューは冒頭と最後のみだったので、若干期待外れ。
もっとも、外国の人の人生をたどるには、その言語に通じていないと無理なんだろうな。

中心はオリンピックに参加した日本人選手たちの物語である。
これはこれで興味深い。

走るのが得意だった若者が、周囲に勧められて上級の学校に進む。
それが京都大学だったり早稲田だったり、いわゆる名門。

その昔観た「炎のランナー」を思い出した。
あれはイギリスの選手の話だけれど、やっぱり名門大学の学生。
まだ国家をあげての選手育成態勢はできていなかったけれど、「学校」の存在が大きい。
新興国の日本が欧米に伍して陸上や水泳で活躍できたのは、たぶん学校教育制度がすみやかに整ったということが大きいのでは。

体操の選手など、自分が参加する競技がどういうものなのか、観たことがなくて、わからないまま参加したのだそうだ。
今だったら考えられない。

世界は広かったんだなあ。
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by foggykaoru | 2016-07-06 20:45 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(0)

無名

沢木耕太郎が、実父を見送った経緯を描く。
どういうわけか、南木さんの「家族」に続いて、似たような本を立て続けに読んでしまった・・・
古本屋で立て続けに見つけてしまって、つい手が伸びてしまったのだ。

沢木さんの父親は恵まれた家庭に育ち、山ほどの読書をしていた。
その知性は戦後の混乱期の中で世間的な成功を得ることにはまったく結びつかなかったのだが、文学的DNAは着実に息子である沢木耕太郎に伝わったのだ。

それにしても
子が親を見送るときは、いろいろあるんです。
そもそも子は、親に対して、多かれ少なかれ、屈折した思いがある。
沢木さんにもあった。
「屈折の塊」である南木さんに比べると、沢木さんの屈折の度合いのほうがずっとマシ(マシという言い方は変だけど)だけど。

私にも大いにあったなあ
今もそれを抱えてる
と、しみじみ思った。

シルバー世代には興味深く読める本だと思う。
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by foggykaoru | 2016-06-19 20:59 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(0)

あしたはアルプスを歩こう

古本屋で購入。
角田光代の旅日記。
「アルプスをトレッキングしましょう」というテレビの企画に乗って、トレッキングが何なのかも知らずにイタリアンアルプスにでかけてしまったお話。
いいよねえ有名人は。

全然アウトドア派でない角田さん(だからトレッキングも初耳だったわけだ)が、疲労困憊しながらトレッキングをするのだが、これが読ませる。

すごい山に登って、一息入れましょうというとき、イタリア人ガイドがエスプレッソを淹れてくれるんだと。
「それが文化だ、日本人もお茶ぐらいたてろ」と角田さん。
言えてるなあ。
そういうことを絶対にしないのが私だけど。
(重い荷物を持つのが嫌だから)

このガイド氏がとても魅力的。ひと言ひと言に含蓄がある。この人あってのこの本という感じすらする。

この本はけっこうお薦めです。薄くてあっと言う間によめます。
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by foggykaoru | 2016-05-19 21:12 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(2)

談志が死んだ

たった今、BSで談志の番組をやってました。
というわけで、ちょっと前に読んであったのに感想文をずっとサボっていたこの本のご紹介。

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正月の「赤めだか」以来、談志関連の本に興味が湧いて、珍しく新刊を購入。

書いたのは談志の弟子である立川談四楼という人。
談志の晩年、そしてその死にまつわるエピソードをちりばめた、ノンフィクションというか、エッセイというか。
「解説」を書いた杉江という書評家は「これはまさしく小説だ」と言ってるんだけどね。

ネタ自体が面白いのはもちろんだけど、達者な文章で読ませます。

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今観たテレビ、この本を読んであったので、興味倍増でした。
談志が弟子たちに別れを告げにきた、行きつけのバーとか、映像で観られるところがテレビの強み。
伝説となった「芝浜」もちょっぴりだけ観られました。

彼の弟子である志の輔や談春、志らくの落語、見に行ってみたいです。
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by foggykaoru | 2016-05-12 21:12 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(2)

「裏国境」突破 東南アジア一周大作戦

下川裕治著。
「裏国境」突破とは、あんまりメジャーでない国境を越えること。
タイ→カンボジア→ベトナム→ラオス→タイ→ミャンマー→タイというコースで、ガタぼろバスに揺られたり、殺された動物と一緒のボートに乗ったりして、越えられるかどうか定かでない国境を目指す。
うーんいいですねえ。バックパッカーですねえ。
それにしても、下川さん、アラカンにもなって相変わらずハードなお仕事をなさってますねえ。
くれぐれもご自愛ください。

私は古本屋で購入したけれど、ほんとうは新刊で買うべきだった。
下川さんに印税が入るように。

それぞれのお国ぶりも興味深い。
やっぱりラオスはしみじみ田舎なのです。そこがいいんだけど。
そして、昔よりもはるかに自由に動けるようになったとはいえ(なにしろ、国境からヤンゴンに陸路で行けるようになったのだ!)、混迷度抜群のミャンマー。そそられます。



この本に関する情報はこちら
紙媒体はユーズドのみになってしまっているようだけど、Kindle版はちゃんとあります。
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by foggykaoru | 2016-03-23 21:46 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(0)