カテゴリ:ルポ・ノンフィクション( 96 )

インパラの朝

副題は「ユーラシア・アフリカ大陸684日」
「開高健ノンフィクション賞受賞」といううたい文句に惹かれて古本屋で購入。

著者は中村安希という人。
本格的なバックパッカーの旅の記録。
でも、628日の単なる記録ではなく、精選された50のエピソード集である。
よって、きわめて濃密。どれも読みごたえがある。お薦めです。

「旅は出会い」を地で行っている。
語学(英語)がよくできるのは強みだな、としみじみ思う。
コミュニケーション力と語学力は必ずしも比例するものではないけれど、やっぱり語学力は無いよりあったほうがずっといいわけで。

著者はボランティアにもかなり関心をもっているのだが、地を這うような旅を、心身ボロボロになりながら続け、最貧国の実情を肌で知り、貧富という尺度では測れないものを感じ、困惑していく。
この世界、何が正解なのだろうか?

この人の他の本も読んでみるつもり。
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by foggykaoru | 2016-07-18 06:09 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(0)

よみがえれ 老朽家屋

英国エッセイで知られる井形慶子が、吉祥寺に古屋を買い、リフォームした記録。
吉祥寺の古本屋で購入。古本屋に売ったのはきっと吉祥寺在住者。

井形さんはこれに先立って中古マンションを購入、リフォームした経験があり、そのこともまた本に書いているらしい。

リフォームの予算は350万円。
英国で強いれたタイルを自分で貼ったりしてるとは言え、この低額で素晴らしい出来栄え。
強い意志と明確なビジョンが成功の秘訣なんだろう。

英国のリフォーム事情にも通じている井形さんは、日本の建設業界の問題点もいろいろ見えるようで。

たとえば資材の調達や、職人不足で工事が止まったりする。
そこは行動力のある井形さん、資材調達を自分でやろうとするのだが、日本では、素人が建設資材の手配をすることができないそうだ。英国ではできるのに。
で、日本では、業者任せにするしかなくて、そこにいろいろ上乗せされる。
(このあたりの事情、もしかしたら、最近は多少変わってきているのかもしれない。ヤックンが通販で水栓を山ほど買うCMがあるし。)

近年の日本は新築よりも中古を購入してリフォームするのが流行になっているから、職人が不足している。
その職人があんまり何もわかってない。
なにしろ大手の下請けだから。自分では何も考えないみたい。

さらに井形さんは、最近の吉祥寺が変わりつつあることに、憂慮も抱いているようで。
ずっと吉祥寺ウォッチしてきた私も同じことを感じる。
なんとなく、「吉祥寺ならでは」という感じが薄れてきているような。
でも、やっぱりいい町だと思う。
この前、初めて中野駅周辺をうろついたんです。余りにもぱっとしてなくて驚いた。中野は新宿に近すぎるということなんでしょうね。
おかげで、吉祥寺がいかにすごい町なのかがよくわかりました。
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by foggykaoru | 2016-07-08 20:14 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(0)

オリンピア ナチスの森で

沢木耕太郎著。図書館で借りた。
映画「帰ってきたヒトラー」を観る前に読み始め、観てから読み終わった。
この本が映画を観るきっかけだったのかもしれない(よく覚えてないけど)

ベルリンオリンピックの記録映画の監督であるレニ・リーフェンシュタールのインタビューに始まる。
彼女の話がメインかと思っていたら、そのインタビューは冒頭と最後のみだったので、若干期待外れ。
もっとも、外国の人の人生をたどるには、その言語に通じていないと無理なんだろうな。

中心はオリンピックに参加した日本人選手たちの物語である。
これはこれで興味深い。

走るのが得意だった若者が、周囲に勧められて上級の学校に進む。
それが京都大学だったり早稲田だったり、いわゆる名門。

その昔観た「炎のランナー」を思い出した。
あれはイギリスの選手の話だけれど、やっぱり名門大学の学生。
まだ国家をあげての選手育成態勢はできていなかったけれど、「学校」の存在が大きい。
新興国の日本が欧米に伍して陸上や水泳で活躍できたのは、たぶん学校教育制度がすみやかに整ったということが大きいのでは。

体操の選手など、自分が参加する競技がどういうものなのか、観たことがなくて、わからないまま参加したのだそうだ。
今だったら考えられない。

世界は広かったんだなあ。
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by foggykaoru | 2016-07-06 20:45 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(0)

無名

沢木耕太郎が、実父を見送った経緯を描く。
どういうわけか、南木さんの「家族」に続いて、似たような本を立て続けに読んでしまった・・・
古本屋で立て続けに見つけてしまって、つい手が伸びてしまったのだ。

沢木さんの父親は恵まれた家庭に育ち、山ほどの読書をしていた。
その知性は戦後の混乱期の中で世間的な成功を得ることにはまったく結びつかなかったのだが、文学的DNAは着実に息子である沢木耕太郎に伝わったのだ。

それにしても
子が親を見送るときは、いろいろあるんです。
そもそも子は、親に対して、多かれ少なかれ、屈折した思いがある。
沢木さんにもあった。
「屈折の塊」である南木さんに比べると、沢木さんの屈折の度合いのほうがずっとマシ(マシという言い方は変だけど)だけど。

私にも大いにあったなあ
今もそれを抱えてる
と、しみじみ思った。

シルバー世代には興味深く読める本だと思う。
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by foggykaoru | 2016-06-19 20:59 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(0)

あしたはアルプスを歩こう

古本屋で購入。
角田光代の旅日記。
「アルプスをトレッキングしましょう」というテレビの企画に乗って、トレッキングが何なのかも知らずにイタリアンアルプスにでかけてしまったお話。
いいよねえ有名人は。

全然アウトドア派でない角田さん(だからトレッキングも初耳だったわけだ)が、疲労困憊しながらトレッキングをするのだが、これが読ませる。

すごい山に登って、一息入れましょうというとき、イタリア人ガイドがエスプレッソを淹れてくれるんだと。
「それが文化だ、日本人もお茶ぐらいたてろ」と角田さん。
言えてるなあ。
そういうことを絶対にしないのが私だけど。
(重い荷物を持つのが嫌だから)

このガイド氏がとても魅力的。ひと言ひと言に含蓄がある。この人あってのこの本という感じすらする。

この本はけっこうお薦めです。薄くてあっと言う間によめます。
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by foggykaoru | 2016-05-19 21:12 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(2)

談志が死んだ

たった今、BSで談志の番組をやってました。
というわけで、ちょっと前に読んであったのに感想文をずっとサボっていたこの本のご紹介。

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正月の「赤めだか」以来、談志関連の本に興味が湧いて、珍しく新刊を購入。

書いたのは談志の弟子である立川談四楼という人。
談志の晩年、そしてその死にまつわるエピソードをちりばめた、ノンフィクションというか、エッセイというか。
「解説」を書いた杉江という書評家は「これはまさしく小説だ」と言ってるんだけどね。

ネタ自体が面白いのはもちろんだけど、達者な文章で読ませます。

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今観たテレビ、この本を読んであったので、興味倍増でした。
談志が弟子たちに別れを告げにきた、行きつけのバーとか、映像で観られるところがテレビの強み。
伝説となった「芝浜」もちょっぴりだけ観られました。

彼の弟子である志の輔や談春、志らくの落語、見に行ってみたいです。
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by foggykaoru | 2016-05-12 21:12 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(2)

「裏国境」突破 東南アジア一周大作戦

下川裕治著。
「裏国境」突破とは、あんまりメジャーでない国境を越えること。
タイ→カンボジア→ベトナム→ラオス→タイ→ミャンマー→タイというコースで、ガタぼろバスに揺られたり、殺された動物と一緒のボートに乗ったりして、越えられるかどうか定かでない国境を目指す。
うーんいいですねえ。バックパッカーですねえ。
それにしても、下川さん、アラカンにもなって相変わらずハードなお仕事をなさってますねえ。
くれぐれもご自愛ください。

私は古本屋で購入したけれど、ほんとうは新刊で買うべきだった。
下川さんに印税が入るように。

それぞれのお国ぶりも興味深い。
やっぱりラオスはしみじみ田舎なのです。そこがいいんだけど。
そして、昔よりもはるかに自由に動けるようになったとはいえ(なにしろ、国境からヤンゴンに陸路で行けるようになったのだ!)、混迷度抜群のミャンマー。そそられます。



この本に関する情報はこちら
紙媒体はユーズドのみになってしまっているようだけど、Kindle版はちゃんとあります。
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by foggykaoru | 2016-03-23 21:46 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(0)

最初の刑事

副題は「ウィッチャー警部とロード・ヒル・ハウス殺人事件」
著者はケイト・サマースケイル。
この人のデビュー作「ネヴァーランドの女王」は、ランサムの言及を見つけたのに、全然うれしくなかったという稀有な例として、忘れられない本。

1860年に実際に起きた殺人事件の顛末。
舞台は田舎のお屋敷。
使用人がいっぱい。
家族もいっぱい。
お金持ちの立派な家族かと思うと、まるでゴシックロマンのような人間関係があって。
いつまでたっても解決がつかないので、被害者が埋葬された後になって、ようやくロンドン警察の腕利き刑事が派遣される。
この人が、今でいう犯罪捜査官のはしりで、だから「最初の刑事」
でも、いくら有能でも、ろくな証拠が残ってないんだから、そりゃ大変。

ハードカバーを一気読み。
英国の推理小説が好きな人にはたまりません。
なにしろ、小説顔負けの舞台設定。
というより、この事件が、後々の英国推理小説をインスパイアした、ということらしい。
(RPG好きな人が、「指輪物語」を読んだり映画を見たりして、「なーんだ、RPGみたいじゃないか」と言うけれど、そもそも「指輪物語」こそが、多くのRPGのもとになっているんだよ、、という話を聞いたことがある。それとおんなじこと)

高野秀行氏が2015年度のベスト10ノンフィクションとして挙げている本の1冊。
他にも読みたい本があって、どうしようかと悩み中。

この本に関する情報はこちら
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by foggykaoru | 2016-02-14 21:48 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(0)

温泉へ行こう

初刊は昭和63年。約30年前。
古いねえ。
当然のごとく、ユーズドでしか入手できません。

書いたのは山口瞳。
この人は私が子供の頃、大人の週刊誌にエッセイを連載していた。
私はそのへんに置いてある文字はたいてい読んでしまう子供だった。
だから大人の週刊誌も読んで、よく怒られた。
でもさすがにエッセイは読まなかった。

なぜこんな本を・・・って
やっぱ日本は温泉でしょ!って思ったからです。

この本は企画もの。
編集者と一緒の温泉巡りの話。

内容は古い。
けれど、その古さこそが興味深い。

何が古いって、著者の感覚が、まさに昭和のサラリーマンのおやじだということ。
この本書いたのは50代後半なのだけれど、今のその年齢のおやじとは、おやじ度が違う。
と決めつけてはいけないか。
なにしろ私はおやじではないのだから、はっきりしたことはわからない。
でも、今のアラカンの作家はこういう感覚ではないのでは?
そういう感覚が残っていても、正面切ってそれを表すことはあまりしないのでは?
と思ったのです。

それに、今のアラカンおやじよりも、肉体的に老け込んでます。
もともとサントリーの営業だったから、お酒が仕事の一部だし、生活習慣病にもなりやすかったんだろうけど。

昭和は遠くなりにけり。

山口瞳のいちばん有名な小説は「江分利満氏の優雅な生活」
昭和のサラリーマンの暮らしぶりが、今読むと懐かしくて楽しいかも。
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by foggykaoru | 2016-01-16 19:41 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(0)

高野秀行さんがこんなところに!

雑誌の話題が続きますが・・・

ダ・ヴィンチ2月号に高野さんが登場。
対談です。
相手はなんとオードリー春日!

いよいよメジャーの仲間入り?

高野さんがメジャーになるのは嬉しい。
しかも、旅の資金を稼げるわけだし。(特にソマリランドはお金がかかる)
でも、時間が足りなくなるのでは、、とちょっぴり心配。
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by foggykaoru | 2016-01-12 21:57 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(2)