カテゴリ:ルポ・ノンフィクション( 95 )

「弱くても勝てます」

副題は「開成高校野球部のセオリー」
著者は高橋秀実。
高野秀行氏がこの人に「エンタメ・ノンフ(ィクション)」の書き手として高い評価を与えているので、「からくり民主主義」と「素晴らしきラジオ体操」を読んだ。
どちらもまあ面白かったけれど、高野さんの本ほど面白くなかった。
テーマの問題なのかな、とも思ったりした。
なにしろ私は外国好きだから。

というわけで、この本、あまり期待せずに読んだのだけれど、予想以上に面白かった。
期待しなかったのがよかったのかな? 
ドラマ化されてたんですってね。

何が面白いって、取材対象の開成の野球部員が面白い。
練習時間が限られているから、そのぶんいろいろ考えるんだけど、元来考えるのが好きな子たちだから、もう本当によく考える。時には堂々巡り的にもなるけど。そして考えたことを言語化できる。
監督もすごい。頭のいい部員を指導するには、言語で刺激を与えることができる頭脳の持ち主人じゃなくちゃ。

監督は「野球は無意味」と言い放つ。新鮮。
考えてみればクラブ活動なんてものは、本来、意味なんか無いんじゃないか。
「クラブ活動を通して人間形成をする」なんていうのは、後付けかも。
「授業外でやりたい子が集まって好きなことをやる」だけのこと。
それで何が悪い?

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by foggykaoru | 2014-10-06 21:59 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(4)

メコン・黄金水道をゆく

椎名誠がラオスの奥地からメコン川を下っていくルポ。

今までに読んだ椎名誠の旅関係本の中ではいちばん退屈だった。
期待しすぎだったのかな?
ずっと川をくだっていくわけじゃなくて、途中は飛行機だったりするのにがっかりしたのは確かです。

それとも、ある程度自分が知っているところだから、大して発見がなかった?
椎名さんにしては妙に真面目な筆致だから?

いやいや、単に私の頭が疲れていて読書を楽しめなかったのかも。

熱帯雨林のレビューでは絶賛されてます。こちらです。
だから、興味のある方はぜひ。
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by foggykaoru | 2014-09-27 08:16 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(2)

熱風大陸

椎名誠著。
副題は「ダーウィンの海をめざして」

オーストラリア大陸を南から北へ縦断した記録。
オーストラリアに最近ちょっと興味が出てきたので読んだ。

とにかくめちゃくちゃ広い。
そして暑い。
そしてうんざりするほどたくさんハエがいる。
ということがよくわかった。

最初にオーストラリア縦断をした探検隊は悲惨な結末を迎えたのだそうだ。
そのあたりのことも触れられているけれど、椎名節ですからとても軽いです。
角幡唯介さんが同じことに挑戦したら、全然違う本になったことでしょう。

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by foggykaoru | 2014-09-07 21:02 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(2)

日本細末端真実紀行

ユーズドでしか入手できません。

疲れているときは長いものを読む気がしない。
というわけで、椎名誠のこの本を。
日本交通公社の雑誌(「るるぶ」かな?)の連載記事だったようで、一篇が短くて、しかも椎名誠だし、、、ということで、軽~~~いという点はお約束。

ちょこっと読んでは数日間放っておく、という感じだったので、読むのが早い私には信じられないくらい時間をかけて読了。

予想通り、どうってことない本でした。
でも、椎名誠って腐ってもプロの物書きだなあと初めて思いました。
なにげにうまいです。偉そうでゴメン。
この本の中のいくつかの紀行文にはしみじみ感心しました。
特に子供時代を過ごした千葉の海岸を再訪した話。
どうってことないんですよ。でもよかったです。
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by foggykaoru | 2014-07-13 09:45 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(0)

論文捏造

著者の村松秀はNHKの「史上空前の論文捏造」という番組の制作陣。

stap細胞騒動のときに存在を知った本です。
そのときは熱帯雨林で在庫無しだったのが、しばらくして再チェックしたら今度はあったので、あら嬉しい♪と、即「ぽちっとな」
「2014年5月30日6版」とあります。きっと急に売れて、慌てて刷ったんでしょう。

2002年に発覚した、シェーンというドイツ人研究者による論文捏造のてんまつ。

驚くほど今回のstap騒動に似ている
とは聞いていたけれど、ほんとうにそう。
一つだけ大きな違いがあるとすれば、シェーンに比べてO保方さんがあまりにもスットコドッコイであること。

これ以上はネタばれしません。興味のある方はぜひご一読を。
なお、純粋文系の私が苦労せずに読めたので、どうぞご心配なく。

シェーンは研究所を解雇された。

そして我がニッポンのO保方さん。
彼女の処遇はどうなるの? 
研究者はD論文のパクリだけで「NG」を突きつけた。
研究者でなくて、普通の感覚を持った一般大衆は、それだけではピンとこなかったかもしれないけれど、「陽性かくにん よかった」で「よくないでしょ!」とはっきりわかった。
そこまでレベルが低い人が、解雇されないのはおかしいです。なにしろ給料は税金ですよ。

こういう記事を読むと暗澹とした気分になるんですけど。


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by foggykaoru | 2014-06-10 20:04 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(2)

再び、立ち上がる

東北に基盤を置くローカル紙、河北新報の震災関連記事をまとめた本。
「河北新報のいちばん長い日」を読んで、この会社に肩入れしたくなって、購入しました。(印税は義援金♪)

報道を通じて聞いた話がかなりあるけれど、面白い、、というと語弊があるけれど、interestingです。
なにしろ新聞記事、読みやすくて「半身浴のおとも」にする前に、つるつると一気に読んでしまいました。

日本人なら読んでおいていい本です。
いや、翻訳されて外国で出版されてもいいと思う。

津波のとき、車が渋滞した。
「車を捨てて逃げろ」と言っても、多くが車にとどまり、津波で流された。津波を甘くみた、あるいは車を惜しんだ。あるいはその両方。
過去の津波の体験や言い伝えを覚えていて救われた人々もいれば、過去の大津波でもこの地域は大丈夫だったからと、逃げ遅れた人々もいる。
すべてが「私」だ。
どの人々の気持ちもわかる。
自分がどの人間になるかは、「そのとき」になってみなければならない。


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by foggykaoru | 2014-04-12 08:13 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(0)

河北新報のいちばん長い日

河北新報は仙台に本社を置く地方紙。創刊以来、(休刊日を除いて)毎日地元の情報を伝え続けてきたこの新聞「いちばん長い日」とはもちろん3.11、東日本大震災の日。その日からの悪戦苦闘の記録である。

あれから3年。日に日に報道がまれになり、被災者でない私にとっては過去のものになりつつある。いかんなあと思っていたら、書店で見つけた。

新聞社自身、つまり記者たちがまとめた本だから、読ませるという点では鉄壁。

印象的だったのは、新聞という今や究極のアナログ媒体の重要性である。
日頃はテレビやネットなどで情報を得ることができる。また、緊急情報はツイッターが強い。
でもやっぱり、新聞は必要なのだ。

河北新報は輸送や販売網がずたずたになった中で、宅配を続けた。
情報を待ち望む人々は口々に「ありがとう」と言い、むさぼるように読んだという。

震災で電源が落ちたとき、オール電化の家はどうしようもなかったという。それと同じ。

自然災害をはじめとする、さまざまな理由で新しい技術がダウンしてしまうという可能性はいつだってあるわけで、そういうときは、もはや時代遅れと思われていたものが意外な強みを発揮する。
新聞をとらなくなって久しい私だが、やっぱり新聞は必要なのだ。

あとは、地元に根付いた地方紙の重要性。東京在住の人間にはあまり関係ないんだけど。
福島原発が危ない!となってから、全国紙はそちらにシフトしてしまった中、河北新報は震災プロパーの情報を発信し続けた。

一読しておいていい本だと思う。

この本に刺激を受けて、Youtubeの震災関連の動画をいくつか見た。

震災直後は、テレビのニュースで見た動画が中心だった。
でも今はもっといろいろな動画がある。
印象的だったのは、高台から撮影されたもの。沖合を撮影しているのだけれど、最初の数分間、ほとんど動きがない。やがてさざ波が静かに川面に見え始める。それが次第に大きくなり、突然牙をむく。この変化がすさまじい。
テレビでは派手な場面だけを編集して見せられたのだけれど、その部分だけでは津波の恐ろしさの半分しか伝えられていない。

被災者の心情を慮って、もはやテレビでは津波の映像は流れない。
それは理解できるけど、果たしてそれでいいのだろうか?という疑問もわく。


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当時、実際に河北新報を手にした人々のレビューは必読。
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by foggykaoru | 2014-04-01 21:43 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(6)

地雷を踏んだらサヨウナラ

著者・一之瀬泰造という人はフリーカメラマン。
72年からインドシナ、特にカンボジアを舞台として活躍し、73年に共産軍に占拠されたアンコール・ワットに単独潜入、消息を絶ち、82年に死亡を確認されたのだそうだ。

こういう本はアンコール・ワットに行く前に読むべき?
でも、行った後だからこそ、登場するになじみがあり、現在の姿を知っているだけに、興味深く読めた。
今でこそアンコール・ワットは何の心配もせずに観光できるけれど、内乱後しばらくの間は、大雨が降ると埋められた地雷が流れだしたりしていたそうで。
今だってちょっと離れた遺跡に行く場合、「周囲に地雷が残っているから、道路からはずれてはいけない」なんてことがガイドブックに書かれているのです。

で、この本ですが、
彼の日記と両親や知人にあてた手紙で構成されている。
同じ時期に違う相手に書いた手紙も多いので、同じことの繰り返しがわりと多い。でも、繰り返しのおかげで、彼の熱い思いがかえって強く伝わってくる。

この本の宣伝コピーを私が書くなら
「青雲の志を抱いて海外雄飛した若者が、戦場で駆け抜けた青春」
手垢がついた表現の羅列ですが、本当にそういう感じです。


この本を読んだオバさんとして、私が若者へ送るアドバイスは以下のとおり。←誰もアドバイスしてくれなんて頼んでないって(苦笑)

「一旗揚げたい」と思うのは若者の特権です。
もしも海外で何かやりたいのなら、どうぞどんどんお行きなさい。
失敗しても死にはしないです、たぶん。(戦場カメラマンのような、命を張る仕事の場合はおいといて)
やりたいのにあきらめるのは、人生がもったいない。

そのために、日本で準備できることは、なるべく準備しておいたほうがいい。
一之瀬氏だって、カメラマンなんだから写真で勝負!と言いたいところだけれど、それだけではダメだった。
外国人同業者に「英語を勉強しろ」としょっちゅう言われた。高野秀行さんだったら行く前に現地の言葉も勉強していくよ。
あと、カメラマンは自分の写真に記事を付けなければならないこともある。文章力もあったほうがいい。
一之瀬氏にとって、日本への手紙を書くことが文章修業になったらしいけれど、巻末の「未発表記事」はいまひとつ読みにくい。もっとキャリアを積めばもっと文章力がついただろうと思うと切ない。



そして、
一之瀬氏だけではなく、
一之瀬氏と交流があった現地の人々の多くもまた、きっとポル・ポトによって虐殺されてしまっただろうと思うと、また切ない気持ちになる。



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あら、映画化されていたんですね。知らなかった。。。
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by foggykaoru | 2014-03-21 09:27 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(4)

行かずに死ねるか!

石田ゆうすけ著。副題は「世界9万5000km自転車ひとり旅」
「お前は馬鹿だ」と言われながら脱サラして、7年半かけて自転車で世界一周した記録です。
私はあまり他の人の旅行記は読まないのだけれど、自分が絶対しない旅、できない旅をやった人の本は好んで読みます。高野秀行氏の本とかね。

ひと言で言えば
爽やかです。

7年半を文庫本1冊にまとめてあるので、まさに旅のエッセンス。そぎ落とすのが大変だったとあとがきにある。そりゃそうでしょう。だからこっちは退屈せずに読めるのだけれど。

「お前は馬鹿だ」と言われても、安定した生活を捨てたという点で、高野さんと共通している。高野さんは捨てたというより、最初から背を向けたんだけど。
「馬鹿だと言われてもあきらめきれずにやってしまう」若者は、世の中にある程度はいたほうがいいんじゃないかと思う。それも国の活気の一要素なのだ。でも、もう我が国にはあまりいないんではないか。そもそも若者自体が少ない、ということもあるし、なによりも就職が大変すぎる。やっとの思いで就職したら、もう怖くてやめられないんじゃないのでは・・・? 精神的にも疲弊してしまって、もう旅どころじゃなくなってるのでは。 

7年半も旅してたら、いろいろな出会いがある。
命からがらの目にも遭う。
そしてやりきった果てに待つのは充足感ではない。(充足感もあるだろうけれど)もっと複雑な感情。
「帰ってくる」のだから、最後は既視感いっぱいの世界なのである。
もしも世界の果てに行きっきりだったら、どういうことになるのだろうか・・・なんてことを考えていてイメージするのが、アスランの国に行くリーピチープだったりし、やっぱり何事も基本は「行きて帰りし物語」なんだな、なんて思ってしまう自分自身に苦笑してしまうワタクシでありました。

タイトルの「行かずに死ねるか!」は、あくまでも出発前の気持ち。
旅しているうちにどんどん気持ちが変化していくので、読み終わってみると、このタイトルはかなりずれてしまっています。


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著者石田ゆうすけ氏のブログはこちら
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by foggykaoru | 2014-03-13 21:45 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(2)

幻の楽器 ヴィオラ・アルタ物語

著者の平野真敏という人は、もともとヴィオラ奏者。
ひょんなことからヴィオラよりもひとまわり大きいヴィオラ・アルタという楽器と巡り合う。

この楽器がいつ、誰にどこで作られたのか。
どのように使われたのか。
なぜ忘れ去られたのか。

ヴィオラ・アルタの音色に魅せられ、ついにヴィオラ奏者からヴィオラ・アルタ奏者に転向してしまった著者の探索の旅。

面白いです。
特に、なぜ忘れ去られたかが。
あくまでも推論に過ぎないけれど、説得力あります。
そんなことで優れた楽器が葬られてしまったなんて。もったいないことを。

ヴィオラとは音色が違うのだそうです。
ヴィオラ・アルタの音色を聴きたい人は著者のHPへどうぞ。
ヴィオラの音色をよく知らない私には、聴いてもピンとこなかったのでした。ざんねん。


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私に会うチャンスのある方、読みたかったらお貸ししますよ。
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by foggykaoru | 2014-02-21 21:00 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(6)