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ヴェネツィアのオタクショップ再び

まだこんな写真が残っていたことに気付きました。このお店のディスプレイです。

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メインサイトの「旅のアルバム」では、まともな写真を公開中。


もうすぐコルテスが征服した国に旅立つので、しばらくブログはお休みです。写メールをココにポストすることもあるかもしれませんけれど。

昨年の旅行中にポストしたもの
ローマの書店にて
鬼号がいっぱい
クロアチアで見つけた児童文学(1)
クロアチアで見つけた児童文学(2)
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by foggykaoru | 2007-07-26 07:05 | メインサイトのボツ写真 | Trackback | Comments(12)

六嶋由岐子著「ロンドン骨董街の人びと」

著者は古美術の勉強のためにロンドンに留学し、修士課程修了後、老舗の古美術商「スピンク」で、日本人初で最後の正規の職員として働いた経験を持つ人。

だいたいが、洋の東西を問わず、古美術の世界というのは、きれいごとでは済まないはず。
その上、階級社会の根強く残る英国で、王室に直結する、最上流階級のまっただ中に身を置いたのである。生半可な体験ではない。ネタとしては極上である。

第1章では、留学生としてロンドンに最初に居を構えたイーストエンドの実情が描かれている。
イーストエンドというのは、ガイドブックにはおよそ言及されておらず、また、企業の駐在員としてロンドンに在住する日本人の大多数が、一度も足を踏み入れることなく終わる地区。
これが実にすさまじいというか、ヤバイ場所なのである。
最近、日本は「格差社会」になったと言われるが、英国に比べればまだまだなのだということがよくわかる。

第2章からはうってかわって、古美術とそれを取り巻く人々の華麗な世界。読むうちに、「最も英国らしい英国」の伝統の厚みと品格が浮き彫りになっていく。そして、そのいやらしさ、傲慢さも。

英国のいやらしさ。
これをはっきりと描き出しているという点で、このエッセイは他に類を見ない。と同時に、その筆致に、英国に対する深い愛がこもっているという点でも比類が無い。

特定の外国に心惹かれ、その国との関わりが深くなると、どうしてもその国の嫌な面も見えてくる。単に憧れているだけでは済まなくなってくるのだ。でも、つきあいが長くなれば、その国がいわば自分の一部になってしまい、切り捨てることはできなくなる。切り捨てるということは自分を否定することになるから。悩み苦しんだあげく、欠点や嫌なところを現実として見つめ、認識しつつ、「いろいろあるけれど、やっぱり好きなのだ」という境地に達するのだと思う。

真に読む価値がある海外事情エッセイとは、そのレベルのものなのではないだろうか。

だから、英国ファン必読書だと思うけれど、初心者マークの人にはどうなのかなあ。英国に対する無垢な憧れに冷水をぶっかけることになるかも。
そのかわりに(?)年季の入った英国ファンには自信を持ってお薦めする。


この本に関する情報はこちら


これ以外に、最近読んだ海外事情のエッセイのうち、出色だと思ったのは以下の2作。
パリふんじゃった
パリ住み方の記
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by foggykaoru | 2007-07-19 19:34 | エッセイ | Trackback | Comments(22)

ガリバルジー印のスカッシュフライ・ビスケット

c0025724_20215320.jpg「アーサー・ランサム展」会期中に3回行われたランサム愛読者の交流会で供された数々のお茶菓子のうち、ほんとうのランサムネタは、「種入り菓子」と東○オールレーズ○でした。
オール○ーズンは、「なんちゃってガリバルジー印のスカッシュフライ・ビスケット」である、という非常にディープなランサムネタだったのですが、気付いた方、いらっしゃいますか?

と、偉そうに言っている私ですが、白状いたしますと、「ガリバルジーなんてどこに出てきてたんだっけ?」とずーっと思っていました(自爆)

このポストを書くために、つい先ほど検索して、よく知っているランサムサイトの助けを借りて、ようやく原文を見つけ出したところ。
よかった。ガリバルジー印だ。これ、スカッシュフライ・ビスケットなんだ。(「ひみつの海」59ページ)

で、ガリバルジー、発見してしまったのです。

場所は都内某所の自然食品店。指輪ファンが泣いて喜ぶ「木のひげ」社製の「エルフの焼き菓子」を買いに行ったら、その隣りに「ガリバルジー」という商品が。目を疑いました。
しかも、「ガリバルジー(レーズン)」と「ガリバルジー(アップル)」の二種類があり、「三育フーズ」という会社名が見えます。

かねてからTitmouseさんが「ガリバルジーというのは、どうやらブランド名ではなくて、普通名詞らしい」とさかんにおっしゃっていたのですが、正解だったのです。「ガリバルジー」ではなかったんです。

これ、10枚入りで452円と、けっこうなお値段です。

でも買いましたよ。
というのは、1日だけ開店する「ロアリング・ドンキー亭」でのお茶会に行くところだったから。こんな日に見つけちゃったのだから、買って持って行かなくてどうする!

さて、お味ですが、さくさくと軽くて美味しかったです。
もちもちした○鳩オー○レーズンとはかなり違いました。
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by foggykaoru | 2007-07-17 20:38 | 児童書関連 | Trackback(1) | Comments(26)

「午後は女王陛下の紅茶を」

この本、すでに10日以上前に読んであったのです。連載モノを頑張り過ぎた反動でポストする元気がなくなっちゃって。
これからは普通のペースでぼちぼちやっていきます。

この本に関する情報はこちら

著者の出口保夫氏の名前は、あんまりあちこちで見かけるので、すっかり読んだ気になっていたのですが、どうやら今までちゃんと読んだことがなかったようです。
読んでみたら、わりと好きな文章でした。これなら他のを読んでみてもいいかも。

この本は氏が山ほど書いている、英国の紅茶礼賛蘊蓄エッセイの1つ。(私が読んだのは文庫だけれど、もとの単行本は)1986刊行。

本気で英国式お茶の作法に凝ろうとか、道具を揃えようという人には、そこそこ実用書として役立つし、単に英国になんとなく興味があるという人にとっては、軽い暇つぶし本として楽しめます。

しかし、英国人が1日に飲み食いするもののうち、紅茶(+牛乳)とそれに付随する「小麦粉+砂糖+バター」で作られたお菓子の占める割合というのは、相当高そうです。いくら美味しいからって、栄養的に偏り過ぎのような気がする・・・。

最後の章が氏の主催する「英国紅茶同好会」の紹介記事だったのにはちょっとびっくり。
この会、検索してみましたが、サイトは持っていないようです。

巻末の付録が「おいしい紅茶の飲める店」のリスト。
その昔、ARCの関東お茶会は「サーモピレー」という店で行われていたと聞いたことがあるのですが、今は無きそのお店、ちゃんとこの本のリストに載ってました(合掌)
このリストの「最新版」はネット上で見ることができます。こちらです。
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by foggykaoru | 2007-07-15 21:20 | エッセイ | Trackback | Comments(10)

「パイレーツ・オブ・カリビアン3」観ました

ランサム・ネタが詰まっていた「1」。
題名と巨大クリーチャー呼び出し装置だけはランサムネタだった「2」。

このペースでいったら「3」はもうたいして期待できないだろうなーと思っていたのですが、「毒を食らわば皿まで」とばかり観てきました。
も・ち・ろ・ん ARCのイベントです。
超多忙の6月を送った我々としては、今までどおり夏休み公開にしてくれたほうが、よっぽどありがたかったのですが(苦笑)

3時間。長い映画には慣れているはずの私にとっても、非常に長かった。
っていうか、3時間50分の「王の帰還」は実に短かった。PJ、あんたは偉い!
3時間後、映画が終わっても、頭の中ではBGMががんがん鳴り響いていました。全編ほとんど同じ音楽なんだもん。
指輪は音楽が変化に富んでいてよかったなあ。ハワード・ショア、あんたは偉い!

映画としてはほんとに行き当たりばったりで作った感じ。
ツッコミどころ満載、というか、ツッコミに対して防御態勢すら取らず、両腕をだらーっと下げちゃってるので、ツッコミ甲斐がありません。

一番の「買い」はジョニデがたくさん登場することです(核爆)


で、ランサムネタですが・・・

ありました。
私たちが喜ぶアイテム、ちゃんと残しておいてくれたのです。

あんなところに、あんなものが出てきて、あんなふうに役に立ってくれるとは、天国のランサムも予想していなかったことでしょう。
そして、あの人。年取ってあんなふうになっちゃったんだ~


この映画はランサム好きな仲間同士で観るのならお薦めです(笑)
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by foggykaoru | 2007-07-10 21:53 | ツボ・(オバカな?)ネタ | Trackback | Comments(16)

Morse, Morsian, Martian

ラテン語シリーズの最終章です。
「ラテン語のはなし」で見つけたもう1つのツボ。

ラテン語は名詞が語尾変化する。固有名詞さえも。
英語で「ブルータス」と発音される人物の名前も、以下のように格変化する。

ブルータスが Brutus
ブルータスの Bruti
ブルータスに Bruto
ブルータスを Brutum
ブルータスから Bruto
ブルータスよ Brute

だから名詞を覚えるときは、主格だけを覚えても使えない。
たとえば英語だったら、「death, 死」と覚えればいい。
フランス語だったら「mort, 女性、死」と覚える(この名詞は女性名詞なので)のだが、ラテン語の場合は「主格、属格、性、意味」の順番に列挙して覚えなければならない。
だから
「mors, mortis, 女性、死」と覚える。

英国の推理作家コリン・デクスター作のモース警部シリーズ(好きです♪)に、これが使われているのだそうです。
監察医がモースを「モース、モーティス、女性」と呼ぶ場面があるのだそうで。(「女性」がwomanではなく、名詞の性を表すfeminineであるのがミソ)
ところが、翻訳者はこれがラテン語学習の流儀にひっかけた駄洒落であることがわかっていないらしい・・・

翻訳という仕事はたいへんです。ということに加えて、ここで思い出したことが。

英国の児童文学作家アーサー・ランサムの作品「長い冬休み」の中に、これに似た場面があるのです。
見知らぬ子どもたちを火星人に見立て、通信してみたDきょうだいに、火星人からの応答があります。どうやらそれはモールス信号らしい。

ここのディックの台詞は、原文ではこうなっています。
Morse, Morsian, Martian. Naturally we don't know their language.


モース、モーシアン、マーシアン。
モース、モーティス、女性。

なんとなく似ていて面白いわねと、ネタ大明神に話したところ、彼女からさらなる考察が。
「ああいうふうに、音が似た単語を列挙するのは、ラテン語学習で身につけた癖なんじゃない?」

ふーむ。
そうかもしれない。そうでないかもしれない。
ディックがラテン語を勉強しているかどうかということとは関係なく、ランサム自身はラテン語をやっていたのだから、そのせいで、こういう台詞が自然に出てきてしまったということは考えられます。

ちなみに、この「モース、モーシアン、マーシアン」は訳出されていません。
「モールス、モールス人、火星人」と訳すことは可能ですが、日本語では意味をなさない。
悩んだ末、カットする道を選んだのだろうと思います。


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「ラテン語&キリスト教の祈り」に関する記事一覧
「アヴェ・マリア」の歌詞(ラテン語)及び、そのフランス語訳と日本語訳(文語体)
ラテン語の「こんにちは」
「アヴェ・マリア」の日本語訳(口語体)
「主の祈り」英語訳と日本語訳(文語体及び口語体)
「主の祈り」フランス語訳
ラテン語の格変化+ランサマイト向けネタその1
・ラテン語の格変化+ランサマイト向けネタその2(この記事です)
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by foggykaoru | 2007-07-08 08:24 | バベルの塔 | Trackback | Comments(21)

フロドンとメーンサ

唐突に始まったラテン語&キリスト教の祈りシリーズでしたが、実はこれは「ラテン語のはなし---通読できるラテン語文法」(大修館)をご紹介するための、長い長い前フリだったのです。
この本に関する情報はこちら
大修館勤務の友人によると、最近のヒット本なのだそうな。

これを貸してくれたのは、友人・ネタ大明神でありました。
「ビルボン、フロドンの謎が解けたわよ」と言いながら。
6月の頭には読み終わり、すぐに紹介記事を書きたかったのですが、この本に刺激されたことによって書きたくなった記事があまりにも多く、どうしたって連載ものにせざるを得ない。なのに、折悪しくランサム展で超多忙モード。しかたなく、寝かせておくことにしたのです。

さて、ラテン語といえば、「メーンサ、メーンサ、メーンサム」です。
「メーンサ」つまり mensa とは、「机」の意味。
この本の最初のほうに、この名詞の語尾変化がしっかり載っています。
左が単数形、右が複数形。

主格(机が) mensa / mensae
属格(机の) mensae / mensarum
与格(机に) mensae / mensis
対格(机を) mensam / mensas
奪格(机から)mensa / mensis
呼格(机よ) mensa / mensae

かのチャーチルがラテン語の最初の授業でこの語尾変化を習い、「呼格って何ですか」と先生に質問したら、「机に呼びかけるときに使う格だ」という答えが返ってきて、「机に呼びかけるなんて、ありえないじゃないか」と慨嘆した、という逸話が紹介されているのですが・・・

アーサー・ランサムという英国児童文学作家の作品中で、主人公の子どもたちが「メーンサ、メーンサ、メーンサム」と唱えています。
これはいったい何格?

確認してみました。「女海賊の島」の256ページ。
「Mensa, mensa, mensam メーンサ、メーンサ、メーンサム」(机の、机よ、机を)がまるでちんぷんかんぷんであることに気がついた。

・・・・間違ってるじゃん。
「机の」は mensae。mensaは主格。「机の」じゃなくて、「机が」です。
二番目のmensaは奪格か属格のどちらか。「机の」という訳が正しいのなら、属格ということになります。でも、属格の場合、アクセントの位置が変わって「メンサー」になるのです。「メーンサ」が正しいのだとしたら、奪格なのだから、「机から」です。
どちらなのか?

これを解く鍵は325ページ。
ここでは、生徒たちが「机」の複数形の語尾変化を唱えています。
ペギイがあとをひきうけて……「Mensae, mensae, mensas……」でつっかえると


これは「主格→呼格→対格」という順番です。

だから、「Mensa, mensa, mensam」も「主格→呼格→対格」という順であるはず。ゆえに、2番目のmensaは呼格。ゆえに「机よ」という訳は正しいが、発音は「メンサー」としなければならない

大学でラテン語をやったとき、教科書の語尾変化表と「女海賊」を比較対照したかどうか、全く覚えていないのですが、私のことだから、たぶんやったのでしょう。
で、たぶん、「ここ、変だ!」と思ったはずです。
思っても、どうすることもできなかった。
今だったら、報告するところがあるわけですが。

神宮先生に心から感謝しているランサマイトたちの愛の結晶なのだけれど、先生ご自身にとっては嫌味としか思えないかもしれない「ランサム・サガ補完計画」はこちら。


そうそう、「ビルボン、フロドンの謎」については、「療病院の中庭」にアップしてあります。ほぼ1年ぶりの更新です。。


この本に関するランサムネタ、さらに続きます。
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by foggykaoru | 2007-07-07 20:15 | 指輪物語関連 | Trackback | Comments(8)

実はリクエストがあったのです

「キリスト教の祈り」シリーズ、最後に控えるのは「主の祈り」のフランス語版。
というのはこれを教えて欲しいというリクエストがあったのです。
だからここまで延々引っ張ったの(爆)

例によって、アクサン記号は省略してあります。
( )内はおおよその発音。単語をつなげて発音する「リエゾン」をどの程度するかは、個人差が大きいのですが、一般的にリエゾンは多ければ多いほど古めかしくておごそかな感じがするので、できるだけたくさんしてみました。


Au nom du Pere, du Fils, et du Saint-Esprit. Amen.
(オー ノン デュ ペール、デュ フィス、エ デュ サンテスプリ。アーメン。)
Notre Pere qui es au cieux,
(ノートル ペール キ エ ゾ スュー)
que ton nom soit sanctifie,
(ク トン ノン ソワ サンクティフィエ)
que ton regne vienne,
(ク トン レーニュ ヴィエンヌ)
que ta volonte soit faite
(ク タ ヴォロンテ ソワ フェット)
sur la terre comme au ciel.
(スュル ラ テール コモー スィエル)
Donne-nous aujourd'hui notre pain de ce jour.
(ドンヌ ヌー ゾジュルドゥイ ノートル パン ドゥ ス ジュール)
Pardonne-nous nos offenses
(パルドンヌ ヌー ノー ゾフォンス)
comme nous pardonnons aussi
(コム ヌー パルドノン ゾッスィ)
a ceux qui nous ont offenses.
(ア スー キ ヌ ゾン トフォンセ)
Et ne nous soumets pas a la tentation,
(エ ヌ ヌー スーメ パ ザラ タンタスィオン)
mais delivre-nous du mal. Amen.
(メ デリーヴル ヌー デュ マル。アーメン。)


フランスにおける「祈り事情」ですが、ずーっと前(たぶん何十年か前)は、主に対する呼びかけが「vous」だったと聞いています。が、日本語や英語で口語体の祈りが一般的になるよりもずっと早い時期から、「tu」で呼びかけるこちらのバージョンが唱えられ始めていたようです。
なにしろ「tu」はタメ口ですから、この祈りには、英語の文語体のような荘重な雰囲気はありません。
でも、英語の口語版に比べると、はるかにきちんとした感じ。

なぜ英語の祈りの2バージョンにはそんなに大きな差があるのか?
一見してわかるのは二人称代名詞の違いです。
文語体の「あなたは」はthou。これの所有格thyを使っている。
be動詞もartという古い形が使われています。(口語ではbe動詞そのものが省略されています。)

それに対して、フランス語では、大昔の祈りでは「vous」(距離を置く二人称、いわゆる敬語)、現在の祈りでは「tu」(身近な相手に使う二人称、いわゆるタメ口)と、気持ちの上の違いこそありますが、どちらも日常会話で使う二人称代名詞である点では同じ。
そもそも、フランス語の人称代名詞に文語体特有の単語は存在しない。

さらに、英語には本来の英語つまりゲルマン系起源の語彙と、ラテン語起源の語彙の両方がある。
ラテン系語彙(temptationとか)は高尚で改まった感じがするのに対し、ゲルマン語彙(testとか)は土着ならではの親しみやすさが漂っているので、そのあたりの単語を取り替えれば、祈り全体の雰囲気ががらっと変わる。

それに対して、フランス語にはラテン語起源の語彙しか無い。(もちろん例外はあるけれど。)
だから、言い換えようがない。
単音節の単語が多い英語口語版に比べて、長ったらしい単語が多いし、この祈り、唱えてみるとリズムが心地良いのです。英語文語版には負けるけれど、けっこうおごそか。でも、フランス語としては、これはごく普通の文体。


それはそれとして、以前から気になっていることが1つあります。
「与える」「ゆるす」に相当する語が
英語では give と forgive
フランス語では donner と pardonner
とういうふうに、きれいに韻を踏んでいる点。
もしかしたら、ではなくて、きっと、forgive と pardonner は、それぞれ give と donner から派生した動詞なのでしょうね。と思っているだけで、確認していないのですが。
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by foggykaoru | 2007-07-06 20:38 | バベルの塔 | Trackback | Comments(2)

わかりやすさとありがたみ、そして指輪物語

お気に入りの文語体「天使祝詞」ではありますが、実は今回このシリーズを書くまで、あまりよくわかっていなかったのでした。

それは「おん身は女のうちにて祝せられ」の、「女のうち」の部分。
私はその後の「ご胎内」と関わる曖昧模糊としたイメージで捉えていたのですが、フランス語訳を見て、そうでないことがわかりました。
「entre toutes les femmes」
「女」に相当する「femme」が複数形になっている!
(大学でラテン語の単位を取ったからには、ラテン語のmurieribusという単語が複数形だということに気付かなくちゃならなかったのですが、なにしろあの1年間は茫然自失だったから(苦笑))
だから口語訳では「主はあなたを(女性たちの中から)選び」となっているのですね。


ここまで祈りの記事を引っ張ってしまったからには、「キリスト教ならこれ!」という、「主の祈り」を紹介しないわけにはいきません。
まずは文語体から。


父と子と聖霊のみ名によってアーメン。
天にまします我らの父よ。
願わくば み名のとうとばれんことを。
み国の来たらんことを。
みむねの天に行わるるごとく
地にも行われんことを。
我らの日用の糧(かて)を今日(こんにち)我らに与えたまえ。
我らが人にゆるすがごとく、
我らの罪をゆるしたまえ。
我らを試みにひきたまわざれ。
我らを悪より救いたまえ。アーメン。


個人的に、「天使祝詞」ほどの魅力は感じないものの、「願わくば・・・んことを」という表現は好きです。こういう言い回しは、ぜひとも日本語に残しておきたいと思うのですが。
ただ、初めてこの祈りを読んだとき、よくわからなかった箇所がありました。
それは「「我らを試みにひきたまわざれ」の部分。
わかったのは、英語版を目にしたとき。

In the name of the Father, and of the Son, and of the Holy Spirit. Amen.
Our Father who art in heaven,
Hallowed be thy name,
thy kingdom come
thy will be done
on earth as is in heaven.
Give us this day our daily bread.
Forgive our trespasses
as we forgive those who trespass against us.
Lead us not into temptation,
but deliver us from evil. Amen.


そうか、Lead us not into temptation、つまり「我々を誘惑せんでくれ!」という意味だったのね!

よく日本の古典、たとえば「源氏物語」あたりは、原文で読むよりも英訳のほうがよっぽどわかると言われますが、まさにそれだったのです。

そして、ご多分に漏れず、最近はこの祈りも口語訳にとって代わられているようで。
英語の口語版も併記してご紹介します。


父と子と聖霊のみ名によってアーメン
天におられるわたしたちの父よ。 [Our Father in heaven]
み名が聖(せい)とされますように。[holy be your Name]
み国が来ますように。[your kingdom come]
みこころが天に行われるとおり地にも行われますように。
[your will be done on earth as in heaven]
わたしたちの日ごとの糧を今日もお与えください。
[Give us today our daily bread]
わたしたちの罪をおゆるしください。[Forgive us our sins]
わたしたちも人をゆるします。[as we forgive those who sin against us]
わたしたちを誘惑におちいらせず[Do not bring us to the test]
悪からお救いください。アーメン。[but deliver us from evil. Amen.]


「聖とされますように」って・・・ そんな日本語あるんですか?
breadが「糧」のままなのが嬉しかったりして。
まあ、まさか「パン」にするわけにはいかなかったのでしょうね。
誘惑はテストかぁ・・・テストねえ。

と思ったのですが、「指輪物語」に「I pass the test」という台詞があったことを思い出しました。ガラドリエルが、フロドに「指輪をさしあげます」と言われて、(PJの映画では)CGで恐ろしい姿に変わって、元に戻ってから言う台詞。
「わらわは試練に耐えた」と訳されているところ。

そんなことを考えると、この口語版英語の祈りにも、いくばくかのありがたみを感じ始めてしまうのが、我ながら不思議です(爆)

っていうか、この祈り、「指輪物語」のテーマに相当かぶってますよすね。
さすが、敬虔なカトリック信者が書いただけのことはある!
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by foggykaoru | 2007-07-05 20:34 | バベルの塔 | Trackback | Comments(12)

わかりやすいのはいいことですが

ラテン語の話のはずが、どんどんずれてます。

「天使祝詞」の日本語訳の口語体を見つけたので、ご紹介。
文語体と読み比べてみてください。


恵みあふれる聖マリア
主はあなたとともにおられます。
主はあなたを選び、祝福し、
あなたの子イエスも祝福されました。
神の母 聖マリア
罪深いわたしたちのために
今も死を迎えるときも祈ってください。


つ、つまんない・・・
全然ありがたみがない。
そりゃこっちのほうがよくわかるけどさ。
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by foggykaoru | 2007-07-04 20:08 | バベルの塔 | Trackback | Comments(13)