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フランス料理を築いた人びと

著者は辻静雄氏。以前氏をモデルにした小説がきっかけでその人となりに興味を抱き、著書も読んでみようかと思った次第。

面白いです。
あとがきで、この本が口述筆記をまとめたものであることを知り、驚嘆しました。
口述筆記が可能なぐらい、氏の頭の中にはフランス料理のすべてが整理されて入っていて、熟成していたのです。料理の知識だけではなく、歴史の知識もです。その裏付けがあるので、この本は単なる料理の蘊蓄本ではない。

そして愛情。

一流の料理人は芸術家。
でも、手に入る素材とか、原価とか、店の経営など、現実的・散文的な話とは無縁ではいられない。
さらに、同じ芸術家でも、他のジャンルだったら、「死んでからその作品が評価される」ということがあるけれど、料理に関してはありえない。

そういう縛りがある料理と料理人と料理人を目指す人々に対する、氏の深い愛情が伝わってくるのです。

この人、研究者であると同時に、なかなか大した教育者だったんだなあと思います。だからこそ、「辻調」の今があるのだし、氏がいなかったら、日本におけるフランス料理のレベルは今もなお低いところにあったかも。

ただ、フランス語が多い。
フランス語の知識が無いとわかりにくいところもあります。
たとえばフランスの有名な料理人が「私は一介のトレトゥールだ」と言った、とか。traiteurというのは「惣菜屋」のことで、フランスをケチケチ旅行している私にはおなじみの単語だけれど、いきなりトレトゥールと言われてすぐにわかる人はあまりいないでしょう。

でもこの本、お薦めです。
わからない単語は気にせずにお読みください。


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そうそう、今週の「週刊文春」の阿川佐和子の対談、辻氏の息子さんである辻芳樹氏でした。毎週文春を読んでいるわけではなくて、たまたま買ったので、ちょっとびっくり。ご縁があるのかしら(笑)
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by foggykaoru | 2008-01-26 10:05 | 西洋史関連 | Trackback | Comments(0)

イギリス式おしゃれな生き方

著者のマークス寿子氏のことは「英国貴族と結婚した人」として知っていました。でも、なんとなく手が出ないままでいました。この本もタイトルが気に入らなかったのですが、ブック○フで105円だったから買いました。(←最近このパターンが多い(苦笑))

読んでみたら、タイトルから連想されるようなちゃらちゃらした本ではなく、それどころか、著者の知性が行間にあふれた本でした。この人、私の母親の世代なのですが、大学院まで進み、それから英国留学したのですね。あの年代でそれはすごい。しかもマークスというのはマークス&スペンサーのマークスさんだったんですね。知らなかった・・・。

いろいろな雑誌に掲載された記事を集めたものなので、話題が古かったり(サリン事件とか)するし、どうということのない記事もけっこう含まれているけれど、全体的にはそんなに悪くありません。年末の旅行前にさらさら読んでしまってから、しまった、これは旅先でちびちび読むのにぴったりの本だった!と後悔しました。

言うなれば、「この著者はもっと読み応えのあるものを書いているに違いない」と感じさせる本です。

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by foggykaoru | 2008-01-21 21:03 | エッセイ | Trackback | Comments(5)

帽子に注目

c0025724_110076.jpgアヴィニヨン空港にて。
小さい空港なので、飛行機から荷物を運んでくるのが見えます。
クリスマス前ということで、運搬係のおにいちゃんはサンタの帽子をかぶってました。

メインサイトにプロヴァンス旅行記の連載を開始しました。

編集作業をしながらつくづく思うのは、フランスは絵になる国だということ。
私程度の腕でも、けっこうサマになる写真が撮れてるんです(この写真は外が明るすぎて失敗写真だけど)
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by foggykaoru | 2008-01-20 11:06 | メインサイトのボツ写真 | Trackback | Comments(4)

三連休に

「俺たちフィギュアスケーター」という、トンデモオバカな映画を観てきたんですが、それはおいといて。

「黄金の羅針盤」の予告編のロングバージョンを初めて観ました。これがもう、感心するぐらいロングで、こんなにネタバレしちゃっていいのか?!と心配するぐらい。

で、ライラ役の女の子、いいですね。
フランスで観たときは吹き替えだったのでわからなかったのですが、彼女の生声、けっこう低音で迫力があって、一筋縄ではいかないライラにぴったり。
もう一度日本で観てもいいと思いました。

で、「俺たち」のほうですが。
当初、東京では渋谷の1館のみの公開だったのが、だんだん増えています。(「光の六つのしるし」とはえらい違いだわ(涙))
とにかくトンデモオバカな超B級映画。(「光の」も某所ではB級ホラーとして誉められてたりしてるんですが(泣苦笑))

そしてキーワードは・・・・・・・北朝鮮!


「俺たちフィギュアスケーター」の公式サイトはこちら
(予告編以外、何もないサイトですし、宣伝担当者のブログも妙に個人的っぽいけれど、そこがまたこの映画らしくてヨイです。)
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by foggykaoru | 2008-01-16 20:47 | 児童書関連 | Trackback | Comments(2)

宮尾登美子作「天璋院篤姫」

宮尾登美子の作品、久しぶりです。

今年の大河ドラマだという意識もなく、貸してもらったので、なんとなく読み始めたのですが、面白かったです。特に上巻が。友人の「心理描写が多いこの作品をドラマ化するのはたいへんそうだ」と感想には同感。篤姫の心理描写は、たとえて言うなら「指輪物語」の後半のサムの心理描写のよう。あのあたり、PJの映画ではぜーんぜん描けませんでしたからね。

篤姫が将軍に輿入れしたいきさつとか、いわゆる「女にしておくのはもったいない」女性だったということは、なんとなく知ってましたが、これを読んで、「もしも男だったら」という妄想にとらわれてしまいました。

もしも男だったら、島津斉彬の養子になったかも。
斉彬の死後、周囲はまっぷたつに割れたかも。
でも、たぶん、賢く久光に譲って、久光の片腕としてがんばって、明治新政府でそれなりの地位を得たかも。
維新における薩摩の二大ヒーロー、西郷隆盛と大久保利通は、その後違う道を進むことになり、結果的に大久保は「うまいことやりやがった奴」と(薩摩では)憎まれ、西郷は「我らが西郷どん」として敬愛されるようになったんだけど、もしも篤姫が男だったら、両方を束ねることができたかも?
つまり、西南戦争は起きなかったかも?
(あくまでも妄想ですので突っ込まないでください)

あと、「女三界に家無し」とか、身分制度というのは、自分自身はその中には絶対に身を置きたくないものですが、そういう「しばり」というのは結局モラルだし、美学なのです。これは女性に限らない。「武士のやせ我慢」という表現もあるけれど、昨今、やせ我慢が無さ過ぎるのかも。その根幹は「プライド」なんだろうな。篤姫は知性に裏打ちされたプライドをもって生きたということなのでしょう。彼女にふさわしい形容詞は「素晴らしい」とか「立派」では物足りない。いちばんぴったりくるのは「あっぱれ」なのかも。



大河の公式サイトでキャスティングを見たんですが、主役の宮崎あおいって誰?
家定役の堺雅人はちょっと見てみたいです。

斉彬役が高橋英樹かあ・・・
高橋英樹は確か「翔ぶが如く」で久光役だったような。

まっ、大昔は美貌の側用人・柳沢吉保役だった石坂浩二が、しばらくしたら吉良上野介役になったときみたいな衝撃はありませんが。


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by foggykaoru | 2008-01-12 10:04 | 日本の歴史 | Trackback | Comments(16)

オーソン・ウェルズの「オセロ」

という映画、ご存知ですか?
私はずーーーっと昔、千人劇場千石の三百人劇場というところまでわざわざ観に行きました。

その映画のロケに使用されたのがこれ。

c0025724_11254675.jpg

モロッコの大西洋岸の町、エッサウイラの城塞です。写真としてはどうってことないので、ボツにしましたが、本や映画のネタなので、こっちに載せました。

メインサイトにモロッコの残りの写真、アップしました。エッサウイラの写真が中心です。
エッサウイラは何日でもぼーっと過ごせそうなくらい、いいところでした。マラケシュの乾燥した空気に痛めつけられた喉を、海風がやさしくいたわってくれたし。
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by foggykaoru | 2008-01-06 11:35 | メインサイトのボツ写真 | Trackback | Comments(10)

のだめカンタービレ

親切な友人達の導きと支えがあって(爆)、本放送終了後に「のだめ」にハマった私。新春スペシャルの「パリ編」、楽しみにしてました。
今日も9時から観るぞ!

今回はいちおう、フランス語の発音がどの程度なのか、ちょっとは気にしていました。
本放送のときの千秋とエリーゼのドイツ語が悲惨だったから、全く期待してなかったんですが、今回のフランス語、あれよりはかなりマシです。
ウェンツ、ベッキーもところどころ「?」だったけれど、予想していたよりはちゃんとしてました。
「プリごろ太」観ながらのだめがフランス語をマスターする場面こそ、まともにリピートできないとお話にならないのですが、上野樹里サン、頑張ってました。

それはそうと、千秋、頬がこけました。そして、指揮がうまくなったみたいですね。

せっかく舞台がフランスなんだから、セシル・シャミナードのピアノ曲とか1度ぐらい(原作に)出ててきたらいいのに・・・と思っているんですが、きっと出てこないんだろうな。
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by foggykaoru | 2008-01-05 20:20 | Trackback | Comments(8)

5万4千円でアジア大横断

バックパッカーの大御所、下川裕治氏の本。これもプロバンスの旅の「おとも」だったのだが、こちらは300円もしたし、旅つながりの友人たちが読みたがると思って、大切に持って帰ってきた。

2005年、東京から極力バスでトルコまで行こうという、共同通信社の企画で敢行された旅。51歳の著者は「こんな旅はもう僕には無理なのではないか」と自問しつつも、ついその企画に乗ってしまう。よって、「ノルマ感」が色濃く漂っていることは否めないし、とにかく前進あるのみなので、「旅先での出会い」とか「ふれあい」は皆無。でも、老体に鞭打って(?)がんばる下川氏の姿が、妙にほほえましかったりするし、長年世界各国を旅人として見つめてきた氏の視点には感服させられる。

日本→韓国→中国→ベトナム→ラオス→タイまで行き、陸路では入国できないミャンマーを飛ばして、バングラデシュ→インド→パキスタン→イラン→トルコというコース。

この中でいちばん印象的なのは中国とインドのバス事情である。

中国のバスとか道路は一昔前とは比べ物にならないほど改善され、下手をすると日本以上に快適になっているのに、それ以外の部分には、先進国としてのシステムがまったく整っていないらしい。たとえば、高速道路を自転車が走るのも、人間が歩くのもアリ。高速道路の脇に降ろされたら、ガードレールをまたいで、急斜面をよじのぼって、一般道にたどりつかなくてはならない。

一方、インドのほうは、長距離バスという概念そのものが存在しない。あるのは「非常に遠くまで行く路線バス」のみ。たとえるならば、「東京発仙台行き」みたいなバスがあることはある。でも、そのバスは、東京駅八重洲口→銀座4丁目→日本橋、、、という具合に、乗降客がいる限り、こまめに停まっていくのである。そして、長時間乗る客に対するアメニティーなんて念頭にない。

中国とインドというのは、面積的に世界最大級の国であり、もっとも人口の多い国と2位の国であるわけで、やはりそういう国というのは、弱肉強食というか、どんな悪条件をも乗越える人でなければ生き抜いていけないのかなあなんて、島国でのほほんと暮らしている私は思ってしまう。

これ以上ネタバレしたくないので、それ以外のバス事情は省略するが、それぞれのお国柄が現れていて、とても興味深いということだけは保証する。旅好きにはお奨めの本。

ちなみに、この本を読んで私が行きたくなったのはラオスです。(前から行きたいと思っているんだけど)


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by foggykaoru | 2008-01-03 19:18 | その他のジャンルの本 | Trackback | Comments(5)

十五少年漂流記

南仏の旅に携えていった本。別にフランスに行くからフランスものをと思ったわけではなくて、ブック○フで105円だったから、読み捨ててくるのにちょうどいいと(苦笑)

はるか昔、抄訳で読んだことがあるけれど、それっきりでした。それが、「大人が読むとフランスの中華思想に笑える」という話を聞き、また読んでみようかなあとは思っていたのです。「読むなら福音館の『二年間の休暇』にせよ」という忠告もありましたが、見つけたのは新潮文庫。平成2年?に改訳されたもののようです。(たとえ福音館版を見つけたとしても、重すぎて旅のおともにはできないのですが)

ブリアンとドニファンという名前だけはしっかり覚えてました。(この本ではドノバン。) フランソワ・ボードワンという名前も懐かしかった。子ども時代にフルネームで覚えた最初のフランス人の名前だったかも。

なるほど中華思想ねえと思いつつ、淡々と読み終わりましたが、ひとつ文句をつけるとするなら、それは地図です。島全体の地図それ自体はまあいいのですが、子どもたちの生活の中心となった東部の拡大地図がほしいところ。なにしろ、上級生が下級生に勉強を教えたりするんですよ。地図を描くというお勉強をしなくてどうする! 某英国児童文学作家にアドバイスしてもらえばよかったのに。

あと、最初の漂流と難破の場面。某英国児童文学作家の作品を読みなれた目には現実感のないことはなはだしい。絵空事だよなあと思ってしまったけれど、実際そうなんだからしょうがない?(笑)
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by foggykaoru | 2008-01-02 18:10 | 児童書関連 | Trackback | Comments(4)