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デュ・モーリア著「レイチェル」

デュ・モーリアの作品としては「レベッカ」しか知らなかった。
で、「レベッカ」自体、抄訳?か何かで読んだだけで、結末さえ覚えていない。
その程度でも、これが「レベッカ」の双子みたいな作品だということはよくわかる。

主人公はコンウォールのええとこの坊ちゃん。
育ての親である年の離れた従兄がイタリア旅行のおりに結婚し、そのまま亡くなってしまう。
その未亡人がやってきて、主人公は一目ぼれしてしまうのだが、この恋には最初から謎がつきまとっていた・・・

謎めいたムードを楽しむ小説です。
でも、そのムードに浸りきるほどではなかったのは、こちらが年をとりすぎてしまったせい? 20年ぐらい前に読んだほうがよかったかも。

それにしても、どうしてイギリスの小説には、この主人公やその従兄みたいな、女性に疎くて男性同士のつきあいのほうを好む男性がよく登場するのだろう? パブリックスクールで男子だけの寮生活を送ったせいだとか聞いたこともあるけれど。

あと、イギリスの、財産管理以外にやることのない人々の暮らしぶり。つきあいがあるのは同じ階級のご近所さん数人と法律や経理関係の専門家だけ。使用人がいるから口はきかなくちゃならないけど、原則として暇。ひま。ヒマ!

ダフネ・デュ・モーリアというのは、どう見てもフランス人の名前だなと思って検索してみました。Daphne du Maurier 本来はデュ・モーリエと読むのが正しい。いつごろイギリスに帰化した家系なのかしらん。


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by foggykaoru | 2008-11-24 21:23 | 推理小説 | Trackback | Comments(18)

私とピアノ

c0025724_2056214.jpg6歳のときに頼みもしないのに親が買ってくれたアップライトピアノ。毎日練習するのが厭でたまらなかった。私の子供時代に唯一暗い影を落としたのはピアノであると言っても過言ではないほどなのですが、そのピアノが、このほど、晴れて4歳の姪のところにとらばーゆしていきました。

一般に、子供自身がやりたがらない習い事を無理強いするのは良くないこととされています。
でも、ほんとうにそうなのでしょうか。
自分の体験から、案外教育的なのことかもしれないと思ったりもするのです。

まず、とりあえず忍耐力がつきます。
また、「まだ勉強のほうがマシ(!)だ」と思うようになる可能性があります。

でも、反抗する子供と毎日戦うには、親のほうも相当の覚悟が要りますけれどね。
母はすごかったです。
「勉強なんかする必要はない。そのかわりに毎朝30分ピアノを弾け。弾かないと起きてやらない。学校から帰ったら1時間弾け。弾かないと夕ご飯を作らない」
(だから勉強したかったのにできなかった・・・というのは嘘です。大手をふって何もしなかった(笑))
厭だ、やめたいという私を母が何と言って黙らせたかというと、
「やめたら後になってから後悔するわよ」
これを言われるとたまらなく不安になります。
そして追い打ちをかけるように
「あなたにとって今、厭なことはピアノだけでしょう? でも、大人になったら厭なことをたくさんしなくちゃらなくなるんです。だから厭なことのひとつぐらいは我慢しなさい」
ひえ~、怖い~! 
大人になりたくないよーー!
と、びくびくしながら大人になったんですが、なってみたら大人は楽しかったです。ああよかった。

でも、本人にやる気がないと全然伸びないということは言えます。まさに私がそうでした。
私の場合、中学に入り「一応楽譜が読めるようになって音感が身についたから、もうやめてもいい」と言われたときに、「ここでやめたら何のために今まで我慢したのか」と思い、自分の意思で続けることにしたのですが、それ以後、自分で言うのもなんですが、けっこう進歩しました。

川辺に連れて行くことまではできるけれど、水を飲ませることはできない。
本人が飲みたいと思わなければ水は飲めない。
ということを身をもって経験しました。

大人になってからはほとんど弾かなくなってしまったけれど、たまーに弾きたくなることもある。シャミナードあたりの軽い曲を弾くのは気分転換に最適だし。

まっ、今となっては、無理やりピアノを習わせてくれた親には感謝してるわけです。

というわけで、ピアノの代わりになるものは欲しかったのです。
で、買ったのがKORGの電子ピアノ。
このメーカー、今まで知らなかったのですが、楽器店に行っていろいろ弾き比べて選びました。

納得して選んだのだけれど、
うーん、、、
まあ実にピアノとはまったく別物なんだなこれが。

でもヘッドホンをすれば真夜中だってガンガン弾けるのが電子ピアノの大きなとりえです。
今までは夜8時を過ぎると、近所迷惑を気にして弾けなかったから。
これからは、せいぜい指を動かして脳の老化防止に努めようと思います(自爆)
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by foggykaoru | 2008-11-20 21:37 | ピアノ日記 | Trackback | Comments(10)

天才の栄光と挫折---数学者列伝

著者は数学者、というより今や「国家の品格」で知られる藤原正彦氏。

この本は9人の数学者の人生を追ったもの。
最初のニュートン、関孝和あたりはちょっとだれたけれど、その次のガロワからあとはぐーんと面白くなり、ほとんど一気読みでした。

それぞれに興味深い人生だけれど、環境に恵まれてその素質を伸ばすことができた人よりも、独学に近い形で名を残した人のほうが印象が鮮烈です。

たとえばガロワ。
彼の場合、名門リセには入っているけれど、ちょこっと授業を受けただけで、あとはほぼ独学。そして、革命後の混乱した時代の中で、一人で暴れて無駄に死んでいった。

たとえばラマヌジャン。
インドのカースト最高位であるバラモン階級の生まれだが、経済的には決して恵まれていなかった彼は港湾局の経理部に勤務。数学の研究をつづけていたところ、見出されてケンブリッジに留学し、大センセーションを巻き起こす。彼の場合、もともとの発想が他の数学者とは全く違っていて、「単に頭がいい」という次元ではないらしい。

つくづく感じるのは、数学という学問の特殊性。
紙と書くものさえあればいい。あとはひたすら考えていくだけ。そして論理を構築していく。だからときどき独学の天才が生まれるのだろう。

そして、その能力の中には、「ひとつのことを来る日も来る日も延々と考え続けることができる能力」が含まれる。よって、数学者はしつこい。挫折によって受けた心の傷を延々と抱え続けていくらしい。たとえば失恋すると一生涯立ち直れなかったりして、とてもお気の毒。栄光が輝かしければ輝かしいほど、挫折もまた深く大きい。

あと、数学には限らないけれど、「時代を超えた天才」の苦しみ、悲しみ。
あまりにも先を行っているため、そのすごさを理解することができる人すら限られている。

それにしても、高等数学というのはほんとに訳わからない世界。
なにしろ「aかけるbとbかけるaは同じではない」のだそうで。ハラホロヒレハレ。
そういう深淵な世界を垣間見させてくれる本でもあります。

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by foggykaoru | 2008-11-18 21:29 | 伝記・評伝 | Trackback | Comments(8)

ブルボン家の落日--ヴェルサイユの憂愁

著者の戸張規子という人は慶応大学の先生だそうです。
熱帯雨林のこの本に関するページを参照したら、ひとつもレビューが無くてびっくり。そこそこ面白いので、そんなに無視されなくてもいい本だと思います。とか言って自分だってたまたま古本屋で見つけるまで知らなかったのですけれど。人文書院という出版社も知らなかった。

書名からして、てっきりフランス革命で王朝が倒されるまでの話かと思ったら、アンリ4世、ルイ13世、そしてルイ14世の長ーい人生を語っておしまいでした。
フランスの王様の話は、フランス人の手になるちゃらけた歴史のシリーズを読むぐらいなのですが、あれとは違ってこちらはきわめてお上品な語り口。というか、これが普通なんですけれど。

アンリ4世が開いたブルボン朝隆盛の立役者がリシュリューとマザランだということは高校のときに習ったけれど、2代続けて優秀な側近に恵まれたのはすごい。もちろん、フランス絶対王政が確立したのは、彼らだけの力ではなくて、いろいろ他の要素がからまっているのだろうけれど。

ルイ13世の妃アンヌ・ドートリッシュ、バッキンガム公に関しては、子供のときに読んだ抄訳の「三銃士」以上の知識は無くて、しかも名前以外はほとんど忘れてしまっているという体たらくだったのですが、この本を読んで歴史的背景を知りました。せっかくなので「三銃士」の完訳を読んでみようかな。

ルイ14世は晩年のでっぷり肥ったイメージしかなかったけれど、若いときはなかなか魅力的だったようで。

それにしても、王様というのはその王朝が上り坂のときは元気なのですが(元気だから上り坂になるのだけれど)、安定してくるとだんだんおかしな王様になっていきます。ひとつには近親婚が重なるせいでしょうね。こっちがデビューしたてのときは、結婚相手のほうは近親婚がすでに重なっているけれど、こっちの血が新しい。でも、こちらもベテランになってくると、どこから見ても血が濃くなりすぎてくる。
そういう意味からも、生きのいい王様はルイ14世が最後だったんだろうなと思いました。

西洋史関連の本を読んでいると、固有名詞をどの言語で表記するかが問題になってくるのですが、この本はもちろんフランス語読みが中心。「シャルル・カン」とか書かれていますが、巻末にきちんとした人名索引があって「スペイン王としてはカルロス1世、神聖ローマ皇帝としてはカール5世」と解説されているところが良心的です。

あと、ハプスブルク家から嫁に入った王妃は、フランスでは「○○・ドートリッシュ」(英語に訳せば「○○オブ・オーストリア」)となるのだということに、今さらながらに気付きました。スペインで生まれ育っていても「○○・デスパーニュ」(○○オブ・スペイン)とはならない。そのあたりに、フランス人が「スペインなんか国のうちに入らない」と思っていたことが表れているのかなと思いました。
(だからナポレオンもスペインなんか属国だと思っていたのかな、ということです。関連するポストはこちら
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by foggykaoru | 2008-11-15 20:24 | 西洋史関連 | Trackback | Comments(4)

手塚治虫特集

c0025724_15183614.jpgだったのでつい買ってしまいました。
芸術新潮の今月号です。

人生で最初にハマったのがアニメの「鉄腕アトム」。
最終回では大泣きしました。
初めて味わった本格的な喪失感だったかも。

そのあと、「ビッグX]「ワンダー3」「マグマ大使」あたりを順番に観て。
好きだったのはマイナーな「ワンダー3」。ボッコがかわいくて好きだった。そして「アイアイサー」という言葉を覚えました。
「リボンの騎士」「ジャングル大帝」あたりは、どういうわけかあんまり夢中ではなかったようです。ちゃんと観てはいたんですけど。
水谷豊主演の「バンパイヤ」を2、3回観てやめて、「どろろ」が途中打ち切りになるのを観て・・・そのぐらい。

紙媒体のほうは、「鉄腕アトム」を3冊ぐらいもってました。毎月刊行?の大判の本です。「ミドロが沼」とか。クレオパトラが登場するのも持ってました。
そのあとはずーっとあとになって「火の鳥」を買いました。
そう言えば、「火の鳥」の実写版映画を観に行ったんでした。あれは感心しなかったわ。

「ブラック・ジャック」と「三つ目が通る」は弟の蔵書だったので、しっかり読みました。「アドルフに告ぐ」は連載中リアルタイムで。

まあ、この程度なので、手塚ファンとは言っても、アトム世代としては平均的なレベルを出ていないと思います。

手塚の最期の言葉は「頼むから仕事させてくれ」だったそうです。
まだまだ描きたいこと、描けることがあったんです。
もういい加減枯渇してもおかしくないのに。
天才にもっと仕事させてあげたかったです。
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by foggykaoru | 2008-11-09 15:20 | Trackback | Comments(27)

どうか暗殺されませんように

Yes, we can!を何回も聞かされましたが、、、
1年も前から延々と予備選やって、ほかのことそっちのけになるのもいかがなものか思うのですが、さすが、ああいう壮絶な戦いを勝ち抜いてきただけのことはあるなあと思いながら聞きました。

いやいや、違う。
ブッシュだって8年前に勝ち抜いた。
だけど、彼はすごくなんかない。

あっ、違った。
ブッシュは二世だった。
二世は「自力」で勝ち抜かなくちゃならないわけじゃない。
だから「さすが」なんて思わされたことは、この8年間、ついぞなかった。
(二世ばっかりの日本の政界はお先真っ暗です)

しかもマイノリティーでトップになるのは大変なこと。
マジョリティーのトップよりもはるかに優秀でなくてはならない。
頭が良いことはもちろん、総合的な人間力がなくちゃね。
パパ・ブッシュのときの黒人国務長官パウエルも、しみじみと優秀な感じが漂っていた。
今のライス国務長官なんか、優秀すぎて怖い・・・。けど、彼女は黒人であるだけではなくて、女性でもある。マイノリティーの二乗なわけで、怖くなっても仕方ない?
そういえば、クリントンだって、奥さんのほうがずっと上、と言われてましたねえ。
(今さらだけど、ヒラリー残念でした。ほんとに今さらだ。)

まあ、黒人とはいえ、白人とのハーフ、というのはミソなんでしょう。
もしも彼が100パーセントブラックだったら、白人票はあんなに取れなかったんじゃないかな。
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by foggykaoru | 2008-11-06 21:26 | ニュースから | Trackback | Comments(8)

ケルト第四弾: ウェールズ

武部好伸さんの『ウェールズ「ケルト」紀行---カンブリアを歩く』です。

「北アイルランド紀行」に比べてずーっと普通に楽しい旅。
南から入って北上していき、後半は「灰色の王」を通じてなじみになった「グウィネズ」という地名がばんばん出てくる・・・んだけれど、私たちが行ったところは完全に無視じゃん!と思っていたら、最後の20ページぐらいになってスランゴスレン、(機関車トーマス)そしてカステル・ディナス・ブラン(ブラン城)が出てきて、おおっ!
そして、最後のほんの数ページのところで、カステル・ア・ベレが登場。
(このあたりのことは、メインサイトの「児童文学の旅」の「クーパー&ランサム聖地巡礼記」に書いてあります。)

しかし、「タウィン」でなくて「ティウィン」、「タル・ア・フリン」でなはくて「タリスリン」なんて書いてあったりします。武部さんみたいなケルト・マニアでも間違えるんだ・・・。

「イングランド編」を読んだときも思ったのですが、このケルト・シリーズには「闇の戦い」関連のスポットはほとんど出てきません。スーザン・クーパーが舞台にしたスポットというのは、アーサー王伝説ゆかりの地の中でも、かなりマイナーな部類のようです。
どうしてクーパーはそんなところばかり選んだのかなあ。
あえて手あかのついていないところを選んだのかしら。
あるいは、、、、アメリカに渡ったクーパーが、たまたま休暇を過ごしたことのある場所を選んだだけだったりして。


武部さんのこの本には、グウィネズ王国の中心地として、アングルシー島が登場します。

この島を中心としたウェールズの王朝の歴史は、以下のとおりだそうです。
(1)9世紀末のロードリ・マウル(大王)によるもの
(2)11世紀半、のグリュフィズ・アプ・スウェリンが全ウェールズを統一
(3)イングランドを支配したノルマン人に脅かされる
(4)1195年、スウェリン・アプ・イオーワース(大スウェリン王)即位。その直後、ウェールズのほぼ全土を治める
(5)その後、イングランドの侵攻
(6)1246年、スウェリン・アプ・グリュフィズ(最後のウェールズ大公)即位。イングランドのエドワード1世に最後の抵抗をする


アングルシー島といえば、「修道士カドフェル」の、かなりあとのほうの巻の地図に出てきました。
あれっていつのことなのかな? 
気になったので大昔のポストを確認してみたら、1135年からしばらくの間でした。
つまり(3)の時代。なるほど。

武部さんのケルト紀行シリーズ、面白いんですが、立て続けに読んだら、ちょっと飽きてきました。


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by foggykaoru | 2008-11-03 21:58 | 西洋史関連 | Trackback | Comments(2)