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漱石の孫

著者は夏目房之介氏。私にとってはむかーし昔、週刊朝日に連載されていた「デキゴトロジー」のイラストレーターとしておなじみの人である。

この本の内容を端的に言い表しているのは、関川夏央氏によるあとがきの最後の部分。
『漱石の孫』は夏目房之介の偽らざる自伝である。そしてまた、歴史的証言とユーモアとを程よく撹拌して編まれた教養小説にして、その傑作である。

さすが作家。うまいこと言うなあ。。。

ただ、「小説」と言うと誤解を招くかも。「私小説」と言うほうが親切。

下手をすれば著者の私的な繰り言・自己満足に終始してしまうところなのだが、この本はそうではない。「漱石の孫」として生れてきたという、これ以上無いほど個人的な話を語りながらも、より大きな事象へとつながっていき、しかもその語り口が明快。刺激的で心地よい。

ところで
以前のエントリーでもちらっと触れたが、夏の旅行に持っていったのは漱石だった。新潮文庫の「文鳥・夢十夜」。これをいまだに読了していない。表題の2作品は読めたが、その後に収録されている日記がいけない。全然読めない。
読めない第一の理由は、胃潰瘍で死にかけた後の、あまりにも気勢が上がらない筆致と暗い内容のせいなのだが、それだけではない。日本語が読みにくいのである。ものすごく面白ければ、勢いで読めるのだけれど、この内容でこの日本語だと、私の頭は読み解く努力ができなくなるらしい。
こんなオバンの私にとってすら、漱石の日本語が障壁になるのだから、まさに現代は「日本語が亡びるとき」なのかも。

で、オリジナルを直接味わうことなく、解説書や周辺の書に走るというのが、私のパターンなのであります。邪道だよなあ。


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by foggykaoru | 2009-09-27 14:51 | 伝記・評伝 | Trackback | Comments(6)

天皇陛下の全仕事

巷で噂のこの本、私にしては珍しく新刊を購入。
銀の匙さんも紹介していらしたので、最近とみに物忘れの激しいこの頭(号泣)の中に、要チェック印をでかでかと付けて、忘れないようにしていたのです。

著者である山本雅人氏は、日経新聞で宮内庁担当記者だった人。学習院卒ということもこの本を書くきっかけの一つだったのかな。

要するに、天皇陛下というのは超多忙だということがよくわかる本です、というと身もふたもないけれど、実際そうなんです。

日本の報道はある意味、偏っているのではないでしょうかね。

大昔、イギリスで2週間ホームステイしたことがあるのですが、かの地では毎日王室メンバーの仕事ぶりが報道されていました。特に印象的だったのがクイーンマザー=皇太后の活躍ぶり。あのおばあちゃん、ほんとうによく働いていました。

でも、ニッポンの天皇陛下だってそれに負けず劣らずよく働いている。
「ナントカカントカの音楽会に御出になった」とか「葉山の御用邸でご静養」なんてことぐらいしか報道されないのでは、「われわれの税金を使って遊んでいて。いい身分だなー」というビンボー人のやっかみを呼ぶのがオチです。毎日のように仕事してるんだから、「どこそこの国の新任大使夫妻を接待した」と、毎日のように報道すればいいのに・・・なーんて思ってしまいました。

それに加えて、神事もたくさん。(これを報道できないのはしょうがないけれど。)
それにしても、70すぎたおじいちゃんには酷なのではないでしょうか。ご本人は使命感とプライドをもってなさっているのでしょうけれど。

仕事の中でいちばんの比重を占めるのが「人と会う」こと。
これはしんどいですよ。性格的に向いてなかったら地獄でしょう。
美智子皇后には合った仕事なのでは。将来クイーンマザー的なご活躍を期待します。
でも次期天皇陛下の奥さまは耐えられるのかしらん。


読んだあと、宮内庁ホームページで皇室関係者のスケジュールを確認してきちゃいました。

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by foggykaoru | 2009-09-26 21:20 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(2)

おバカさん

遠藤周作の小説。
私が子供のころ、遠藤周作は「違いのわかる男」としてテレビCMに登場する、「超」がつくほどの売れっ子小説家だった。そのせいで、とてもよく知っているつもりだったのだけれど、思い返してみたら彼の小説は最晩年の「深い河(ディープ・リバー)」ぐらいしか読んだことがなかった。

この作品も題名だけは昔から知っていた。
そして、モデルとなったネラン神父の本のほうを先に読んでしまったために、読まないうちから内容を知っている気になっていた、、、のだが、読んでみて驚いた。
意外な内容だったし、しかも予想をはるかに超えて面白かった。

本人が認めているのだから、確かにモデルはネラン神父なのだろう。
でも、この作品に登場する「おバカさん」は、まるきり違うタイプの人物なのだ。
共通するのは、フランス人だということぐらいで。

でも、考えてみたら(考えなくてもわかるのだが)小説はフィクションであり、想像、もとい、創造なのだ。
だから、実在する人物に触発されたとしても、結果的にまったく違う人物像を創造することもあるし、創造することができてこそ、小説家なのだともいえる。
遠藤周作ってただCMでコーヒーを飲んでただけじゃなくて、ほんとうに優れた小説家だったのね・・・と今さらながらに認識した次第。

この作品は文庫化されたのが昭和37年なので、最初に新聞小説として連載されたのはそれよりもさらに数年前だろう。だから、世相などには古さを感じる。でも逆にそこが興味深かったりもする。

ジャンル分けすれば「ユーモア小説」だが、奥底ではキリスト教精神、信仰といった、カトリック信者であった遠藤周作自身の人生のテーマに結び付く。
でも、前述の「深い河」のような、正面切って真面目に信仰を扱った本に比べて内容が浅いとか、受ける感銘が薄いとかいうことでは決してない。
それどころか、キリスト教を信仰しない一般読者の心に刻印を残すのは、むしろこの作品のほうなのではないかと思う。少なくとも私は、こういう小説のほうが素直に感動できる。


私が読んだのは角川文庫の古本。どうやら絶版状態のようで。
新刊で買うならこちらのようです。
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by foggykaoru | 2009-09-25 23:16 | 普通の小説 | Trackback | Comments(16)

待ちかねた朗報

ランサム写真展が開催された2年前、ランサム・サガが岩波少年文庫化されるという情報が入りました。
首を長くして待ちわびること幾星霜(←だから2年だってば(自爆))
ついに夢が現実のものとなります。

文庫刊行は来年だそうです。
第一、全巻出るわけではないし。

でも朗報は朗報。

みなさん、文庫が出たら大人買いしましょう!
本好きなのにランサムを知らない(←そういう人、いるんですよねー)お友達の誕生日プレゼントもこれでキマリ!
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by foggykaoru | 2009-09-19 21:39 | 児童書関連 | Trackback | Comments(6)

モナ・リザが盗まれた日

裏表紙に「米国推理作家協会賞受賞作」とあるから、「推理小説」カテゴリーに入れてみたけれど、実はノンフィクション。「はじめに」で著者セイモア・V・ライト自身がこう言っている。

本書は(中略)真実の物語である。話は推理小説もどきではあれ、決して小説(フィクション)などではない。

ルーブルからモナ・リザが盗まれたことがあるということは知っていたけれど、その動機など、詳細は全く知らなかった。へええそういうことだったのか。

ほんとうはフィクションの世界に浸ってみたかっただけど、、、という文句を言うのはやめましょう。

面白かった。ヨーロッパや美術に親しみのある人に特にお薦めですが、そうでなくても楽しめるだろうと思います。

中公文庫。新刊では買えないようです。
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by foggykaoru | 2009-09-15 20:53 | 推理小説 | Trackback | Comments(2)

ケルト(スコットランド&ブルターニュ)旅行記本編スタート

お待たせしました。
メインサイトのスコットランド旅行記本編スタート。

この写真↓はアイラ島の空港の壁。
着いたとたん、「なんとなくケルト」に出くわして、とても嬉しかったんです。

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by foggykaoru | 2009-09-13 11:32 | メインサイトのボツ写真 | Trackback | Comments(4)

木曜日だった男 一つの悪夢

実は「イコンのこころ」で疲れる前、すでに漱石の随筆集で疲れきってました。(今回の旅は話し相手がいたとはいえ)旅行に持って行って、読みきれずに持ち帰るなんて、初めてのことです。そしていまだに読み終えていないという。。。(涙汗)

で、心と頭をほぐすために、気楽なフィクションを読みたくなったのです。

この本は「ブラウン神父シリーズ」で知られるチェスタトン作。ブラウン神父、ちゃんと読んだことがあったかどうかわからないのですが、有名な探偵だから、その作者にもなんとなく親しみがあって、手にとりました。

でも・・・
疲れた心と頭をほぐすのには向いてなかった。。。

一応、カテゴリーとして「推理小説」を選択しましたが、これは推理ものとはいえません。
変てこな小説。でも、ネタばれ厳禁の小説です。だからこれ以上は言わないけれど。
不可思議な世界に興味のある方にはお薦めです。


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by foggykaoru | 2009-09-06 08:55 | 推理小説 | Trackback | Comments(6)

観たい映画、観た映画

旅行から帰ってきて、ひと息ついたころ、映画でも観ようかと思いつきました。
でも、食指が動く作品がさっぱりなくて。
夏休みはお子様映画ばかりになるとはいえ、「これなら」という映画が少しはあるものなのですが、今年はしみじみ不作ですねえ。やっぱり不況のせい?

いろいろ調べまくった結果、「これなら」という映画を1本だけ見つけました。

「意志の勝利」
レニ・リーフェンシュタール監督のナチスのプロパガンダ映画。
ドイツではいまだに上映禁止、だとか。
日本でも何十年と公開されていなかったという。
今回も渋谷のちっこい映画館で地味~な公開です。

で、実は行ってみたんです、数日前。
そしたら、立ち見・・・(涙)
根性無しの私は迷うことなく立ち去りました。

そして、しょうがないので、新宿に移動し、2つのシネコンを覗いてみたのですが、どうも「これ」というのがない。
やっぱり手ぶら(?)で帰るしかないのか・・・
と思いかけたとき、ひらめきました。
確か、伊勢丹の近所で「南極料理人」とかいうのをやっていたはず、と。

というわけで、めでたく、とりあえず何かを観ることができたわけです。
当初の予定とは180度違う、ほんわか幸~せな映画で、芸達者な役者さんたちの演技を堪能しました。


「意志の勝利」は公開延長になったのですが、これからしばらく、私にとっては映画どころではない日々が続きます。
シルバーウィークまでやっててくれるかな。
そしたら観られるんだけど。
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by foggykaoru | 2009-09-04 22:10 | ちょっとおでかけ | Trackback(1) | Comments(8)