<   2010年 09月 ( 7 )   > この月の画像一覧

光をはこぶ娘

O.R.メリングのアイルランド妖精ファンタジー第3弾。

友人の言葉どおりでした。
第1作第2作、そしてこの作品と、どんどん良くなっています。
「メリングさん、小説の書き方がわかってきたじゃん」と肩をたたいてあげたい感じ(笑)

この作品は段落が変わったとたんに場面が飛ぶようなところは皆無。
ということは、第2作は抄訳じゃなかったようです。
濡れ衣着せちゃってごめんよ>講談社

翻訳に関しても、カタカナが多めなのが気になる程度で。

そして作者のアイルランド愛の深さ。
最初からある程度感じられたのですが、作品を追うごとにどんどん濃厚になっています。
この愛の強さは、アイルランドに生まれ育ったのではなく、一度アイルランドを離れたことがあるからこそなのでは。

ずっと同じ場所にいるよりも、一度は離れてみたほうが、愛する気持ちが強くなる、ということはあるんじゃないでしょうか。
「場所」というのは、地理的な意味だけでなく、精神的なよりどころも含めます。

たとえばC.S.ルイス。
ずっと無神論者だったのが、中年になってキリスト教徒になった。
あのキリスト教讃歌とも言えるナルニアを書いたのは、彼にとってキリスト教がまさに「マイブーム」になったときですから。



タグは相変わらず「イギリス」です。
メリングさん、ごめんね。

[PR]

by foggykaoru | 2010-09-30 22:17 | 児童書関連 | Trackback | Comments(6)

夏の王

オバサンにはひじょーにしんどかった「妖精王の月」でしたが、「シリーズの後のほうになるとどんどん深く、良くなっていく」という友人の言葉に励まされ、図書館でちらっと読んでみたら、、、
ふむふむ、これは確かに前より良さそう。

というわけで借りて読んでみたのです。

オバサンが必要としていた「日常」もある程度描かれているし、こっちはかなりイケました。

でもやっぱりちょっとめまぐるしい。
「タメ」とか「間」が足りないのです。
芝居でも「間」はとても大切。
同じ台本でも、「間」や「タイミング」が適切であるかどうかで、観る人に与える感動が大きく違ってくる。

もしかしてこれは抄訳なんじゃないでしょうか。
じゃなければ「訳抜け」が多い。
段落と段落の間にせめてあと1文あれば、というところがたくさんあるんです。

かの岩波ですら、(誤訳や校正ミスはもちろんのこと)ちょいちょい訳抜けがあるということは、「ランサム・サガ補完計画」関係者には周知の事実。
ましてやこれは講談社です。

悪いけど、私は講談社には個人的な恨みがあります。
「メニム一家の物語」シリーズが何巻目なのか、字が小さすぎて読めず、うっかり後の巻を先に読まされてしまったという恨みが。

あと、やっぱり翻訳です。
「どうもここってうまくないんじゃないの? 私だったらこう訳すわ」
なあんて思ってしまうんです。
原文読んでない読者にそんなことを思わせる翻訳ってどうよ。

あと、異世界がぱーっと現れる場面の感動度が、たとえば「闇の戦い」シリーズあたりには遠く及ばない。
原作者の力量の差なのか、はたまた翻訳者の責任なのかはわかりませんが。
[PR]

by foggykaoru | 2010-09-29 21:19 | 児童書関連 | Trackback | Comments(4)

ブリジンガメンの魔法の宝石

ジェットコースターみたいな「妖精王の月」についていけなかったので、もうちょっと古典的なファンタジーを読んでみようということで、アラン・ガーナー作のこの作品を手にとりました。

うん。こっちのほうが入れます。

ガーナーは「ふくろう模様の皿」しか読んだことがないのだけれど、ウェールズの山々を見たくてたまらなくなったものでした。その後、「灰色の王」を読んで、さらにその気持ちを強くして、「クーパー&ランサム合わせ技の旅」に出たのです。(このときの旅行記はメインサイトの「児童文学の旅」にあります。よろしければどうぞ。)

で、この作品。
「妖精王」に描かれる、パステルカラーの少女マンガみたいなアイルランドとうってかわって、とにかく暗い。これって土地柄の違い?それとも作風の違い?

両方ありそう。
アイルランドを旅したときは毎日雨に振られたけれど、暗いイメージはあまりなかったのです。
一方、ウェールズの旅、、予想外の好天に恵まれたけれど、ちょっと暗かった。山は全然高くないのだけれど、とにかく迫ってくる。そして、谷間の底には何かがいそうな感じがしないでもない。

物語としては、なんというか、指輪物語を思い出してしまいました。

あと、ガーナーっていきなり終わるのね。
「ふくろう模様」は、どんどん広がっていって、「おいおいっ、ここで終わるんかい!」と思ったもの。
この話は解決を見ているから、終わっていいんだけど、それにしてもいきなりです。

この本に関する情報はこちら
[PR]

by foggykaoru | 2010-09-25 18:13 | 児童書関連 | Trackback | Comments(4)

妖精王の月

O.R.メリングという生粋のアイルランド人作家による、アイルランドを舞台にしたケルト妖精ファンタジー。

いまだに疲れが取れないので、するする楽に読めそうなものをと思って手に取ったのですが・・・
ふう。。。ぜんぜん楽じゃなかった。
却って疲れてしまいました。

従姉妹同士である2人の少女たちが、ひょんなことから妖精と関わりを持ち、最後は壮大な戦いに立ち向かう。その間に胸キュンな恋もあり・・・という、とっても女の子向けのお話です。

人間が異世界と関わりを持つというタイプのファンタジーに、私は十分慣れているはずなのだけれど、前ふりがなくていきなりドッカーン!というのには驚きました。
まるでジェットコースター。
私としては、その前にまず、その人物の日常をしっかり描いてほしい。
日常とか現実あってこそ、異世界の輝きが増すというものでしょ。

こういうのが今どきのファンタジーなのかなあ。

映画「天使と悪魔」を連想してしまいました。
あれは「殺人オリエンテーリングinローマ」だったけれど、これはさしずめ「フェアリー・オリエンテーリングinアイルランド」。

そして、読みにくさは単に私の頭が疲れているせい?
井辻さんの翻訳なのだけれど、たびたび登場する「フェアリーランド」という表現、私好みではありません。「サイドディッシュ」なんて表現も出てくるし。そりゃあ「おかず」と訳すのは抵抗があるでしょうよ。

でもね。
なんでも日本語で表わそうと悪戦苦闘したちょっと前の翻訳家に比べて、今の人は楽ですねえ。

それとも、昨今の女の子たちにはこういう翻訳のほうがウケがいいと思ってそうしているのでしょうか。

あえて言わせえてもらえば、そういう態度は志が高くないと思います。

かなりけなしてしまったけれど、ケルトの伝承を下敷きにしているから、お気に入りの「闇の戦いシリーズ」に共通するところ、似ているところがあるのは、ちょっと嬉しかったりしました。


便宜的にタグは「イギリス」にしておきます。
アイルランド人、ごめん!



この本に関する情報はこちら
[PR]

by foggykaoru | 2010-09-24 23:58 | 児童書関連 | Trackback | Comments(11)

こわいこわい

昔何かの本で、下宿のおばさんが夜寝ながら「こわいこわい」と言っているのが聞こえて、えらく不気味に思っていたら、それはその地方の方言で「疲れた」という意味だった・・・という話を読んだことがありますが、このポストはそれとは関係ありません。疲れてるのはほんとですけどね>自分(苦笑)

今ハマっている、というか、前からお気に入りだったフランス版「ロミオとジュリエット」。
迫りくる暗い影におびえるロミオが歌うナンバー「J'ai peur ぼくは怖い」をご紹介。
英語字幕がついてるからわかりやすいはず。



「J'ai peur ジェ・パー(ル)」 = 「I'm scared」
ヅカ版で何と歌っているのか、気になります。
♪ こわーい 
だったら笑っちゃうし。

翻訳の中でも特に音符の数にしばられる歌詞の翻訳とは、一種の曲芸なのだと思います。
[PR]

by foggykaoru | 2010-09-17 22:24 | 観もの・聞きもの | Trackback | Comments(4)

愛すること

今度の三連休に行われるイベントの準備に追われ、疲労困憊しています。
毎日帰宅するとバタンキュー。
で、そのままぐっすり眠れれば疲れもとれるというものですが、寄る年波で、12時近くになると目が覚めてしまい、今度は寝付くのに苦労するという・・・(涙) 
結果、休息が足りず、疲労がたまる。
昼間変なときに睡魔に襲われ・・・1人時差ぼけ(苦笑)

ああ、若い人はいいなあ。

で、今すっかり目が覚めてしまったので久しぶりのポストです。

ヨーロッパはもとより、アジア諸国でも公演し、好評を博したフランス製ミュージカル「ロミオとジュリエット」については、前にも記事を書きました。これこれ

このミュージカルで、ロミオとジュリエットが歌いあげる名曲が「Aimer 愛すること」




歌詞のご紹介。

======================
Aimer, c'est ce qu'y a d'plus beau 愛すること それはもっとも美しい
Aimer, c'est monter si haut 愛すること それは高くのぼること
Et toucher les ailes des oiseaux  そして鳥の翼に触れること
Aimer, c'est ce qu'y a d'plus beau 愛すること それはもっとも美しい

Aimer, c'est voler le temps 愛すること それは時を飛ぶこと
Aimer, c'est rester vivant 愛すること それは生き続けること
Et brûler au coeur d'un volcan そして火山の只中で燃やすこと
Aimer, c'est c'qu'y a d'plus grand 愛すること それはもっとも偉大

Aimer, c'est plus fort que tout 愛すること それはなによりも強い
Donner le meilleur de nous 私たちの最良のものを与えること
Aimer, et sentir son coeur 愛すること そして心を感じること
Aimer, pour avoir moins peur 愛すること 恐れを感じなくてすむように

Aimer, c'est brûler ses nuits 愛すること それは夜を燃やすこと
Aimer, c'est payer le prix 愛すること それは代償を支払うこと
Et donner un sens à sa vie そして人生に意味を与えること
Aimer, c'est brûler ses nuits 愛すること それは夜を燃やすこと

Aimer...  愛すること
========================

韓国公演もあったのに、なんで日本に来ないのかよー
と思っていたら、なんとヅカの手に落ちたんだと!!

ということは日本語に訳して歌っているわけで、
じゃああきっと
♪ あーいー うつくしーく
♪ あーいー けだかくーてー
っていう歌詞なんじゃない?
と友人とネタにしていたら、実際に宝塚版ロミジュリを観てきた人からの報告がありました。

なんと
♪ エーメー
だったそうです。

♪ あーいー
だと「ベルばら」とかぶりすぎだもんね。
[PR]

by foggykaoru | 2010-09-16 00:13 | 観もの・聞きもの | Trackback | Comments(4)

オペラの運命

副題は「19世紀を魅了した一夜の夢」
「ピアニストになりたい」を書いた岡田暁生の本。この人の本をもっと読みたいと思って検索したら「西洋音楽史--クラシックの黄昏」というのもあったのですが、思い起こしてみたらこの本は読んであった。正月に実家で。面白くて持って帰りたかった本です。

で、この本。
オペラなんて、生で観たことがあるのは、友人にチケットを買わされた「蝶々夫人」ぐらいなので、読んでわかるのか?と思わないでもなかったが、杞憂でした。

とても面白い。この人の本は間違いない。

オペラという、豪華絢爛な金食い虫が発展したのはカトリック文化圏。
王侯貴族が自分の力を誇示するために催したのだそうな。
そして、19世紀にオペラのさらなる隆盛を見たのはフランス。
革命で絶対王政は崩れ去ったのだけれど、7月王政で実権を得たブルジョワたちが、王様の真似をした、、ということらしい。
ここで「グランド・オペラ」という、一大スペクタクルが生まれた。
そして映画がその地位を奪う。
19世紀だったオペラを書いていたであろう音楽家は、現在、映画音楽を作っている。
・・・なるほどね。指輪映画のハワード・ショアの音楽なんて、まさにオペラだものね。

またもや7月王政。
高校ではたいして教えてもらえないけれど、文化的にはキーポイントなのですね。

「のだめ」以来の「なぜコンセルヴァトワール? なぜパリ?」という疑問が晴れてきた。
コンセルヴァトワールの前進はオペラに必要な人材を育成するためにルイ14世が作った。
そして、革命。王政復古するが、ブルジョワにとって邪魔な国王は排除され、都合の良い国王が据えられたのが7月王政。フランスには成金文化が花開き、ヨーロッパ各地から優秀な音楽家がやってきた。その後、フランスの得意分野はむしろ美術のほうにシフトした。でもコンセルヴァトワールは残った。

フランス以前に市民革命を経験し、いちはやくブルジョワが力を得たはずのイギリスに、そういう文化があまり育たなかったのは、清教徒気質のせいなのでしょう。すごい月並みな結論だ。

あと、モーツアルトってすごかったらしいです。同時代の人々には追いつけないほど、先を行っていた。
「のだめ」の番外編でオペラをやっている(というか、コミックスの連載はつい最近終わってしまったのですが)けれど、それがモーツアルトの「魔笛」。
きっと作者の二ノ宮さんは、いろんなことを調べたうえで、この演目を選んだのでしょう。
市民オペラでも上演可能で、コミカルだけど、シンプルすぎない、、、とかね。

ユーロ馬鹿安の今日この頃、冬のパリに行ってオペラでも観ようかと、半分本気で考えてます。


この本に関する情報はこちら
[PR]

by foggykaoru | 2010-09-05 10:45 | 西洋史関連 | Trackback | Comments(6)