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わんぱく天国

佐藤さとる著。
佐藤氏の作品はランサマイトの間で人気があります。佐藤氏自身がランサム好きだということに対する仲間意識だけでなく、その代表作「だれも知らない小さな国」などに、イギリスファンタジーに通じるものを感じるからなのでしょう。
などと偉そうに言ってる私ですが、「だれも知らない~」1作だけしか知りません。
私自身の本ではなく、8歳離れた弟の本棚にあったのを読んだのです。
高校生か大学生のころ、子どもの本に夢中になる年代をとっくに過ぎていたのですが、「ふむ、これは悪くない(←これまた偉そう)。日本の児童文学もようやくこういう作品を生みだすようになったのだな」と感慨を覚えたものです。

この作品は佐藤氏の忘れ去られた名作なのでしょう。
なにしろ絶版です。
近々予定されているランサムのイベントの「課題図書」になったので、近所の図書館で借りようと思って検索したら、閉架でした。
予約してまで読むのはめんどくさいなーと思っていたら、なんと友人が持っていたのです。

さっそく貸してもらって読んでみたら、、、
なるほど、課題図書になるだけのことはある。

全編、子どもの遊びです。
佐藤氏の子ども時代、つまり戦前の男の子たちが、心ゆくまで遊びまわっている。その遊び方が微に入り細に入り説明されている。まさにランサムの世界!

巻末の著者略歴を見たら、佐藤氏は1928年生まれ。父の世代です。
この年代でランサムを知っているとは。

ちなみに、友人は、この本を仏文科の卒業研究に選び、フランス語訳したんですと!
めちゃくちゃ難しくて後悔したそうです。
確かに遊び方や、遊び道具の作り方の細かい説明を、正確に翻訳するのは大変そう。


神宮輝夫氏も大変だったんでしょうね。ランサムの細かい説明の日本語訳。
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by foggykaoru | 2010-10-31 08:49 | 児童書関連 | Trackback | Comments(2)

小さいおうち

実家に行ったら母に「『ちいさいおうち』、読んだ?」と聞かれて、「もちろん」と答えたのだが、どうも話がおかしい。よくよく聞いてみたら、バージニア・リー・バートンの絵本『ちいさいおうち』(←大好きな作品です)ではなくて、直木賞を受賞した中島京子という人の『小さいおうち』のことだった。
全然知らなかった。
新聞とっていない私はそういうニュースに疎いのだ。

で、(暇だったもんで)その場で一気読み。

メインは太平洋戦争前に東京で住み込みの女中をしていた女性の回顧録。
「庶民の目から見た昭和史」みたいな感じで、それはそれでなかなか興味深いのだけれど、別に面白くてやめられないというほどではない。

それが最終章でがらりと変わる。
「だから直木賞取れたんだ」と納得した。
一種の謎ときみたいな、でも謎は謎として残るという、ドキドキする結末が用意されている。ここの部分だけもう一度読み返してしまったほどだ。

相当資料を調べて書いたんだろうな。
それに加えて、当時の生活感を教えてくれる人が身近にいたのかもしれない。

というのは、当時を知る母にとっても、違和感なく読めたらしいから。
ただ、「女中部屋が2畳で、女中専用のトイレがある」というのに驚いたそうだ。
戦前母が住んでいた家の女中部屋は3畳で、トイレは家族と兼用だったとか。
そのあたり、意識して「特別仕様の家」を描いたのかもね。


以下は母から聞いた話。

しがない勤め人だった母の父(つまり私の祖父)だが、それでも住み込みの女中を1人雇っていた。
母の叔父にあたる人は、商人として財をなしたその父(つまり母の祖父、私の曽祖父)の唯一の息子として遺産をそっくり引き継いだため、かなりのお金持ち(なにしろヨットを持っていたのだ!)で、住み込みの女中を3人抱えていた。
その中で一番年かさだったのが「みつ」さん。
年頃になって郷里に帰り、農家に嫁にいった。
戦争中、母一家は焼け出され、ほんのいっときだけだが、そのみつさんを頼って疎開した。
疎開先で再開したみつさんは、見る影もなくやせて、げっそりやつれていた。
「農家の嫁」の置かれた立場、その仕事の過酷さが、子どもだった母にもなんとなくわかったそうだ。
戦争が終わって数年後、みつさんが亡くなったという知らせがあった。
「女中は肉体労働とは言っても雑巾がけする程度だから。思えば東京で住み込みの女中をしていた頃が、みつさんの生涯における『華』だったのよ」


この本に関する情報はこちら
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by foggykaoru | 2010-10-30 10:22 | 普通の小説 | Trackback | Comments(8)

フランス人、ちゃんと仕事してます

記録として書きます。

オペラ座からチケットが送られてきました。
ネットで予約してからほぼ10日後。
フランス人、けっこうちゃんとしてるじゃん。

12月25日(土)19:30 (ガルニエ):オペラ「売られた花嫁」
12月26日(日)14:30 (バスティーユ):バレエ「白鳥の湖」

なくさないように、パスポートにはさんでおこう。

いきなり寒くなったけど、年末まで風邪引かないで頑張らなくちゃ。
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by foggykaoru | 2010-10-27 22:17 | Trackback | Comments(4)

十一月の扉

高楼方子著。
貸してくれる人がいたので。

つい読み始めて、後半にさしかかったあたりで、「あっ、どうせなら11月まで我慢すればよかった」とちょっぴり後悔したのですが(苦笑)、10月中に読んでも全然大丈夫でした。
「高楼さんの作品の中ではイチオシ」という声もありますが、私にはイチオシなのかどうかはよくわかりません。まだ2冊目だし、1冊目を読んだのはずいぶん前だし。
でも良い本です。読んで幸せになれる。

「愛読書をともにする人は魂の友」は高楼さんのメインテーマなのかも。
もしかして、子どもの頃に孤独な読書生活を送っていたとか?
だったら私たちは仲間ですぅ。
今度お茶しましょうよ>高楼さん

そして、子どもの頃に繰り返し読んだ英米の児童文学作品の中で、自分が好きだったモチーフを、自らの作品の中に登場させたいという強烈な欲求があるのだと思います。

この作品の場合、「クマのプーさん」と「たのしい川べ」であることは明白ですが、それ以外にも少なくとも3つはある。あ、4つか。
・・・もしかしてこれ、高楼さんが読者に出したクイズだったりして。「いくつあるかわかりますか?」って。

私が見つけた4つは以下のとおり
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by foggykaoru | 2010-10-26 21:29 | 児童書関連 | Trackback | Comments(4)

プチ・ニコラ

この秋、いちばん楽しみにしていた映画。

原作の「Le Petit Nicolas」は学生の頃、「楽しみながら勉強できる本」として何冊か読み、「Au piquet!(オー・ピケ)=立ってなさい!」という表現を覚えました。
ピケというのは「杭」のことでして(最近はとんと言わないけれど、一昔前には)「ピケを張る」という表現がありまして、その語源です・・・と書こうと思っていたのですが、Wikipediaには違うことが書いてありました(@_@) 
だから忘れてください。

・・・のっけから大脱線しつれい(^^;

で、この映画はフランスで大ヒットしたそうですが、それだけのことはあります。
笑っているうちにあっという間に時間がたってしまいました。

なんてったって子役がすごい。
まず主演の坊やがすごい。
公式サイトには「原作の挿絵そっくり」なんて書いてありますが、んなこたありません。
原作以上です。なにしろ可愛いどころじゃないんです。反則ですわ。子どもながら色気が溢れ出ておりまする。水もしたたるイイ男。
大富豪の息子ジョフロワもいい。
そして劣等生クロテール! 原作の彼ってあんなイケメンでしたっけ? 文句つけてるわけじゃありません。喜んでるだけで。

1つ疑問。
Joachimという名前の発音は「ジョアキム」? 
確か「ジョアシャン」だと教わったはずなんだけど。

夏に観た「パリ20区、僕たちのクラス」がフランスの現在を描いているのに対し、この映画はずっと昔の、白人の国だったころのフランスを描いています。
1950年代後半から60年代あたりに設定したそうですが、その頃(フランスじゃなくて日本だけど)子どもだった私にはばっちりわかりました。(なにしろ家にテレビが来た日のことを覚えてるし(苦笑))
だからと言って、当時のフランスをありのままに描いているわけじゃない。
「サザエさん」みたいなものです。
「ちょっと古き良き時代」だけど、あくまでも架空。一種の理想郷。

それにしても、都内で公開しているのが恵比寿ガーデンシネマだけとは悲しすぎる。
贅沢は言いません。せめてあと1館ぐらい増やして欲しい。。。
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by foggykaoru | 2010-10-24 11:18 | 観もの・聞きもの | Trackback(7) | Comments(9)

ウィーン・都市の万華鏡

池内紀著。音楽之友社の音楽選書。絶版状態のようです。

旅行準備の一環として読みました。この人の本なら間違いないと思って。
期待通りでした。

ウィーンというのは、ウィーンナ・ワルツの都。
典雅とか優雅、そして軽い。ドイツの重厚さとは違う。
そのあたり、パリと共通しているんだな
とか
その軽さこそが、近代において花開いたヨーロッパ文化なんだろうな
とか
改めて感じ入りました。

具体的なお役立ち情報もありました。
それはオペレッタの代表的作品の解説。
実はウィーンでは楽友協会、シュタッツ・オーパーだけでなく、フォルクス・オーパーのオペレッタのチケットも手配したのです。
ところがこれが「ほほえみの国」という知らない演目でして、いくらオペレッタは軽くて内容が薄いからって、ドイツ語だし、何も知らないで観て大丈夫なのかいな?とちょっと不安に思っていたのです。

でも、最大のツボ、というか、びっくり仰天な話は別のところにありました。

それはヨハン・シュトラウス親子の話。
「父ヨハンは家庭人として失格者で、この親子は絶縁状態だった」というのは「のだめ」ファンならよく知っている話ですが、それだけじゃなかったのです。
息子ヨハンは父親の気質を受け継いで、かなり神経質だった。
たとえば鉄道恐怖症!!だった。
「鉄道に乗るぐらいだったら死んだ方がマシ」と言っていて、トンネルや鉄橋では、床に横になり、死体のように耐えていたんですと!!!
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by foggykaoru | 2010-10-23 20:24 | 西洋史関連 | Trackback | Comments(10)

ミックマック

「アメリ」の制作陣によるコメディー。
観たのは何日前なのかな・・・。

とても面白いです。
で、とーーーっても軽い。
観終わったときには公式サイトにある「世界が平和でありますように」というメッセージが、じんわりと心に残っちゃったりします。

うまいなあ。
大人だなあ。
と思った、、、はず。

というのは、一晩寝たら忘れちゃったので(苦笑)
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by foggykaoru | 2010-10-22 19:55 | 観もの・聞きもの | Trackback | Comments(2)

言葉のない歌

ずっと続いていた、なんとも言い難い体調不良ですが、きっと世に言う「不定愁訴」というやつなのだと思い当たりました。
なんとか脱却して、ようやくピアノの練習に復帰したわけですが、昼間仕事して、家では本読んで、サイト管理(現在ベトナム旅行記連載中)して、さらにピアノまで弾くとなると、1日が24時間じゃ全然足りない! 

それに、ピアノが楽しいのは悪いことではないのですが、ついつい家にこもりがちになるのは、いかがなものなのか。
子どもの頃、わりとこんな生活だったのです。考えてみれば。
しょっちゅう風邪気味で、家にいて、付き合いの悪い子どもだった。

人間は社会的動物なんだから、社交も大切。
しかも1人暮らしの今、努力してでも人と外で会う機会を持つべきですよね。

というジレンマはさておき、
(ラプソディー・イン・ブルーも「悲愴」の3楽章もまだまだなのに)新たな宿題を自分に課そうかと思いついて、「のだめ」に出てきたピアノ曲を反芻してみました。
思いついたのが、18巻の最後の、ランベール夫人のサロンコンサート。千秋が行けなかったコンサート。

読み直してみたら、のだめはバッハやショパン、そしてメンデルスゾーンの無言歌集の曲を弾いていました。
「甘い思い出」「紡ぎ歌」「胸騒ぎ」の3曲。
これなら楽譜がある! 

引っ張り出してみたら、「紡ぎ歌」は昔やったことがありました。
しかし、速い! 今の私は指がもつれて弾けません。

「胸騒ぎ」は友人が発表会で弾いた曲。
先生が「この曲はそんなに難しくないけれど、けっこうかっこよく聞こえるから」と選んでくれたと言ってましたっけ。
確かにそんなに難しくはないのだけれど・・・これまた速い!

残る「甘い思い出」。これは無言歌集の冒頭の曲。
ほんとに甘~い曲。
これは練習すれば形になるかも。ペダルでごまかせるし(爆)
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by foggykaoru | 2010-10-20 22:16 | ピアノ日記 | Trackback | Comments(4)

フィレンツェ

1966年刊の中公新書。若き日の高階秀爾氏が(たぶん)気合を入れて書いた本。
「ブックオ○」にて105円で購入。

お買い得だった。でも、万人向きではない。
ルネサンス期のフィレンツェの歴史になじみがあり、フィレンツェゆかりの芸術家の代表作品を知っている人でないと、ちょっとつらいだろう。
大学で美術史を勉強している人にはぴったり。(実際、もと美術史専攻だった友人に「この本、貸そうか」と紹介したら、大喜びして持っていきました。)


以下は備忘録。
================
豪華王と呼ばれたロレンツォ・デ・メディチが死去したのが1492年。
つまりコロンブスのアメリカ大陸発見の年。
つまり、大西洋に港を持つ国々による、大航海時代の幕開けである。
それと期を同じくして、オスマン・トルコが居座るわけで、つまり、地中海を舞台としたイタリア都市国家による東方貿易の終焉を意味する。

透視画法をいちはやく取り入れたことで知られるマサッチオ。
彼は栄光のクワトロ・チェント(イタリア語で400の意味、つまり1400年代)の初頭の人で、27歳で世を去った。
個人的に、この人の絵は「普通の絵」に見えてしまって、いまひとつ興味が湧かない。
それよりも、平面的で華麗なビーナスや春を描いたボッティチェルリやら、色っぽいマドンナを描いた破戒僧フィリッポ・リッピやら、清らかな壁画を修道院の壁に描いた敬虔なフラ・アンジェリコやらのほうに魅力を感じる。
そして、「遠近法を見慣れた目には、それ以前の絵に面白さを感じるからだろう」と思いこんでいたのだが、実はマサッチオのほうが古い人だったのである。
マサッチオはフィレンツェ美術史において、孤高の先駆者みたいな存在で、クワトロ・チェントに大輪の花を咲かせた芸術家たちは、フィレンツェ独自のスタイルを追求していった人々だ、ということらしい。

フィレンツェは共和制。
ロレンツォが権力をふるうこともあったけれど、原則的にはすべてが合議で決まる。芸術のコンクールが盛んに行われたが、シロートの集団が審査するわけなので、ピントはずれなこともなきにしもあらずだったらしい。
優れた芸術家をはぐくむ環境は整っていたけれど、彼らはみんな、世に出てからフィレンツェを離れてしまい、二度と戻らなかった。
その大きな理由は、
1)ロレンツォが芸術家を外交戦略のコマとして使った
2)東方貿易の衰退によってフィレンツェが没落した
3)シロートが小うるさくて、切磋琢磨して世に出るまでは良い環境だったけれど、抜きんでた一人前の芸術家にとっては居心地がよくなかった
ということらしい。

3についてだが、フィレンツェの人々の好みは女性的で装飾的な芸術だったそうな。
なるほど。
フィレンツェの町自体にそういう雰囲気が漂っている。私は大好きなんだけど。(また行きたいな)
ボッティチェルリなんか、まさにその典型だと思っていたら、なんと彼の作品は「直線的で男性的」と評されていたんですとさ。
===================

この本、てっきり絶版かと思ってたら、今も刊を重ねてるロングセラーなんですね。
情報はこちらです。
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by foggykaoru | 2010-10-18 22:23 | 西洋史関連 | Trackback | Comments(2)

お金が飛んでいく・・・

ユーロ安(正確には円高)の今、行くならヨーロッパでしょ! 
そして
今行くなら「のだめ」でしょ、音楽の旅でしょ!
ということで、勢いで年末のパリ便+パリ⇔ウィーンを取りました。
取ったら安心して、ずっとぼーっと過ごしていました。

ところが、事情通の友人から「ウィーンは年末年始、ものすごく混むから、ホテルの予約やコンサートのチケットの手配は急いだほうがいい」と言われたのです。
慌てて動き始めたら、、、ウィーンのホテルは特別料金。げげっ、高っ!!
ユースに毛が生えたような宿なのに、1泊9000円近くする。

前半をパリ、後半をウィーンにしたのは間違いだったかなあ。

でも、クリスマスという、観光客にとって非常にめんどうな日は、慣れた町で過ごしたほうが無難だと思ったのです。
25日のパリ。
教会と墓地です。
墓地はこういうときのために、今まで大切にとっておいたのです(爆)

そしてチケット。
楽友協会のコンサートは取れました。ウィーンフィルじゃないけど。
でも、シュタッツオーパーのほうはキャンセル待ち。
で、このメールがドイツ語。ひ~っ。
私のドイツ語はもはや忘却への道をひた走っているので、道を聞いたり切符を買ったりするのがせいぜいのところ。長い文章をすらすら読解するほどじゃないのです。辞書引かなくちゃ。

楽友協会のほうは英語のメールでして、「コンサート当日はこのメールのプリントアウトとクレジットカードをご持参ください」ということが読み取れました。
パリの2つのオペラ座のチケットは楽勝でした。来たメール、フランス語でした。チケットは郵送してくれるそうです。今どきそんなアナログなんですね。いったい何なんでしょうフランス人。実は雑用が好きだったりして。いやもちろん、チケット送ってくれたほうが、こっちとしては安心ですけど。

で、どの席にするかです。
この年になると立ち見する元気なんて無いし、そこまで節約しなければならないほどビンボーでもなくなっている。でも1万円以上出すのはちょっとね。
で、真ん中あたりのランクを手配したのですが、それぞれ日本円にして7000円とか8000円とか。

ヨーロッパの旅ですら、1日あたり1万円以上かけたことがない私にとっては、清水の舞台から飛び降りるような気分でした。

しかも、上海で風邪で寝込んで、前もって手配しておいた雑技のチケットをどぶに捨てることになった経験がある。
今度はウィーン。上海以上に寒いはず。
風邪引かないように頑張るぞ。頑張らねば。頑張りたい。
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by foggykaoru | 2010-10-16 21:51 | Trackback | Comments(10)