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ディダコイ

評論社刊。
作者はルーマー・ゴッデン(=岩波書店刊の『人形の家』の作者ルーマ・ゴッデン)。
翻訳者は猪熊葉子。
このラインナップなら絶対に間違いないと思って読んでみた。

舞台はイギリス南部の田舎。
大きな町として、名前だけだがライが登場する。

主人公キジーはディダコイの少女。
(ディダコイとはジプシーと白人のハーフのことなのだそうだ。)
ジプシーであるおばあさんに育てられるが、その後、運命が急変する。
白人の中で生きなければならない彼女の葛藤や苦しみ。
彼女にとって、白人に同化するということは、ジプシーとしてのアイデンティティを捨てることなのだから。
周囲の大人たち、子どもたち。
ジプシーをさげすむ人もいれば、理解しようとする人もいる。
いじめもある。

ネタバレしたくないから、これ以上は書きません。
名作です。とにかく読んでみて。

あとがきによると、ゴッデンは1907年生まれ。
幼少時をインドで過ごし、学校教育を受けるために英国に送り返され、大きなカルチャー・ショックを受けたのだそうだ。
『ツバメ号とアマゾン号』が書かれたのが1929年。
ゴッデンの学校生活はそれよりもかなり早い。
ということは、イギリスの大人の多くが大おばさんだった時代。
「異文化理解」など、一般人の念頭にはなかった時代である。

そんな中で苦悩して育ったゴッデンだからこそ、この作品が書けたのだろう。

とにかく読んでみて。


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by foggykaoru | 2011-04-27 19:47 | 児童書関連 | Trackback | Comments(6)

単なる思いつきですが

復興のために消費税を上げるのなら、全国一律ではなく、東北だけ据え置いたらいかが? 

フランスとスペインの国境をなすピレネーの山あいに、アンドラという小国があります。
どれほどひなびた国なのだろうと思って、試しに行ってみたら、観光客がうじゃうじゃいたので、たまげました。

アンドラは「買い物天国」だったのです。
消費税がヨーロッパの水準に比べ極端に低いので、フランスとスペインから多くの人が買い物をしにくる。

もしも東北地方だけ消費税が低ければ、みんな東北に買い物しに行って、ついでに観光もするんじゃない?
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by foggykaoru | 2011-04-25 21:24 | ニュースから | Trackback | Comments(6)

夏をむねとすべし

その昔、吉田兼好というおじいさんがこう書きました。
家の作りやうは、夏をむねとすべし。冬は、いかなる所にも住まる。暑き比(=ころ)わろき住居は、堪へ難き事なり。

c0025724_1253822.jpg


ベトナム北部のマイチャウ。
高床式の家に住む少数民族の村があり、住民の家に宿泊することができます。
これが風通し最高で、究極のエコハウス。
兼好じいちゃんにも花マルをつけてもらえるはず(笑)

マイチャウに興味のおありの方は、メインサイトの「えせバックパッカーの旅日記」へどうぞ。まだ1日目だけですけれど。
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by foggykaoru | 2011-04-24 12:12 | メインサイトのボツ写真 | Trackback | Comments(6)

グリーン・ノウの川

「グリーン・ノウ」シリーズ第3弾。

前2作とはがらりと趣を異にする。
登場人物も違うし、なによりも、「古い屋敷」とそこに住む霊の話ではない。
今回の舞台はタイトルどおり「川」。
子どもたちがボートを漕いで、屋敷の周囲を探索する話なのである。
だから、ちょびっとランサムの匂いがする。
そこは悪くないんだけどね・・・。

でも、うーん・・・

なんだか中途半端なのです。
結末も変だし。

正直、続きを読もうという気分にはなれませんでした。
「次は面白いよ!」という強いプッシュがあれば、読むかもしれないけど。

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by foggykaoru | 2011-04-23 19:14 | 児童書関連 | Trackback | Comments(8)

リーダーの資格

総理に関して、いろいろ言われてますが、最大の欠点は「人に好かれないこと」なんじゃないかと。
彼のことを好きなの、彼自身だけでしょ。

「総理が避難所を訪問する」という報道を見て「やめときゃいいのに」思いました。
直接被災者と話をしても、彼自身にとって、何のプラスもないことでしょう。
だって人と接するのが「ど下手」なんだもん。
会って話しても、相手を全然喜ばせない、それどころか幻滅させる可能性大。


阪神・淡路大震災のときの総理は村山さんでした。
自衛隊を出動させるのがのろかったことを責められましたけど、その後はそんなに評判悪くなかった。
それに対して管さんは、即座に自衛隊10万動員したけど、その後はどんどん評判悪くなる。

どうしてなのか?

周囲に「総理のためになんか働きたくない」と思わせちゃうから。

思えば、村山さんのときの社会党は、永遠の野党、、、のはずだった。
だから自分が総理になるなんて、彼自身にとってすら想定外のことだった。
だから総理の座に、(たぶん)さほど未練がなかった。
だから「私が責任をとるから、思う存分やってくれ」と言えた。
それに、彼は見るからに「人のいいおじいちゃん」。
たぶん、官僚にも嫌われなかったんじゃないかな。

菅さんは、人前に出て何か言えば言うほど、薄情で他人の痛みに鈍感な人だということが透けて見えてくるという、たぐいまれな政治家です。(たとえば枝野さんあたりは、とりあえず、そうは見えない。)
国民とともにあるのは彼じゃない。むしろ天皇陛下なのだと感じてしまいます。
今まで右寄りの政党や政治家に、一度たりとも投票したことのないこの私が、そう感じてしまうのです。これはすごいことですよ。

菅さんは部下にとっては尽くしがいのない上司。
しかも、何十年も政権が欲しくてしょうがなかった人なので、せっかく得た総理の座を、死んでも離したくない。
だから「私が責任をとる」なんて、口が裂けても言えない。
こんな人が、人を動かすことができるはずがない。

これって能力以前の問題。
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by foggykaoru | 2011-04-20 21:24 | ニュースから | Trackback | Comments(6)

パワー

『西のはての年代記』の最終巻。

このシリーズは巻を追うごとに「不可思議」系要素が薄くなる。そしてこの本、3冊の中でいちばん厚い。

舞台は「西のはて」にある都市国家。その奴隷制に基づく社会システムが、主人公である少年奴隷の目を通して、丹念に描かれる。やがて、運命に翻弄された彼はさまざまの環境で、さまざまの経験をしていくのだが、その描写は非常に説得力があるし、わかりやすい。歴史小説の肌合いで、時として「文化人類学入門」?
近代国家において、奴隷制を採用している社会は無いのだけれど、果たして我々は真に自由人となったのだろうか?奴隷ではないと言えるのか?・・・なあんてことを考えさせてくれる。

なぜか最初はとっつきが悪かったのだけれど、そこさえ乗り越えるとあとはとても読みやすかった。途中でやめられず、1日で読了した。読み終わったとたん、あちこちを読み返した。そのぐらい気に入った。

ル=グインに慣れたのかな?(笑)


本の内容とは関係ないけれど、この3部作、いまどきの作品名ですよね。
「ギフト」は作品中で「たまもの」と訳されているのですが、作品名としては採用しにくい。
「声」「力」というのもねえ。
一昔前だったら、原題とはまったく違ったものにしたことでしょう。
(『Peter Duck』が『ヤマネコ号の冒険』、『Miss Lee』が『女海賊の島』になったという実例がある)

この際、タイトルには文句言いません。
でもこれだけは言わせてください。
「カウボーイ」は「牛飼い」でしょう! 西部劇じゃないんだからさ。


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『西のはての年代記』の他の巻の感想文はこちらこちら
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by foggykaoru | 2011-04-17 20:30 | 児童書関連 | Trackback | Comments(6)

ヴォイス

『西のはての年代記』の2作目。

若干SFの匂いがした前作とは違い、こちらは100パーセント、フォークロアっぽいファンタジーなので、ほっとしました。
そして、前作では抑圧のタネが父親で、「少年の苦しみと成長」がメインだったのに対し、こちらは侵略者からの抑圧に耐える民の話。このほうが気が楽でした。
どうやら、自分の内にある問題よりも、外的抑圧のほうが、まだ耐えられるようです。(こう感じるのは私だけなのでしょうか、それとも一般的にそうなのでしょうか?)

敵である侵略者も、主人公の側も、のっぺりと一面的でないところがいい。

そして、タイトルともなっている『ヴォイス』、つまり声。つまり語ること。
何かを語る声が、ここぞというときに、どれほど力を持つか。
難局においてリーダーに求められる資質のひとつなのでしょう。

注:このへん脱線です。作者がこの本にこめたことは多岐にわたっていうので、興味のある方はご自分で読んでみてください。
それにつけても我が国のリーダー、語れませんなあ(ため息)
今の日本に必要なのは、まともな語り部なのだと、実感しました。
(まともじゃない語り部は不要。それは単なる扇動者。)


まだ3作を読んでいないから、早すぎるかもしれませんが、あえて言ってしまいましょう。
このシリーズは、多感な10代にこそ読んでもらいたい。
普通にファンタジーだと思って楽しみながら読んでいるうちに、心の中に「知」の種が播かれることでしょう。それは教科書や授業では、おそらく教わることがない、深い「知」なのです。

でも、というより、だから、あまり私の好みではないのです。
人生後半にさしかかったオバサンには、そういうことすべてが透けて見えてしまう。それがうるさいのよ。身も蓋もなくてゴメンね。

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ここから後も脱線。
本とは直接関係ないのでご注意ください。

日本には、ビジョンを語り、将来へ導いてくれる人がいない。

昔から「日本は国民は優秀だけど、トップがダメ」という話はありましたが、福島原発問題を通じて、そのことが全世界に知れ渡ってしまったんじゃないかと。

今まで数十カ国を旅して、いちばん優しい人々に出会ったのはミャンマーでした。
「こんなに優しい人たちが、なぜ軍事政権にひどい目に遇わされなければならないのか?」という疑問を抱き、「もしかしたら、優しいからこそ、いいようにやられちゃうのではないか」と思いいたりました。
そして、その思いは自然に我が日本へ。
「日本の場合、国民が真面目でおとなしいから、リーダーが育たないんだろうな」と。
理屈っぽくて自己主張の強い国民を抱えた国(たとえばフランスね)のリーダーは、普段から自国民に鍛えられてるから、良きにつけ悪しきにつけ、リーダーらしさが身に備わっているのではないかと。サルコジは嫌いだけどさ。
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by foggykaoru | 2011-04-14 20:04 | 児童書関連 | Trackback | Comments(6)

ギフト

「ゲド戦記」のル=グインによる異世界ファンタジー。
ゲドはあんまり得意じゃないのですが、挑戦してみました。

「西のはて」の世界の高地には、各部族ごとに固有のギフト(超能力)を持つ人々がいる。
ある部族の長の息子であるオレックは、そのギフトが強すぎ、自分でもコントロールできないため、父親によって封印されてしまう・・・。

最初から明るい話ではないのだが、封印されるあたりから、かなり苦しくなる。
自分がコントロールできない力って、原発みたいじゃん。
今、原発にうんざりして、癒しが欲しくてファンタジー読んでるのに。

正直、途中でやめようかと思ったぐらい。

でも、終盤になり、事態は急変します。
最後はカタルシスがあります。
途中が苦しかっただけに、ほっとしましたし、感心しました。
実に知的に作りこまれています。さすがです。

さすがなんですが、やっぱりあまり得意じゃない。
この作品は、『影との戦い』と同じく、「少年が大人になるときに避けて通れない精神的格闘」の色彩が強い。
ゲドには無くて、この作品にあるのは、「息子にとっての父親」というテーマ。
これは現代の日本にも十分通用する、というより、父と息子の間に存在する永遠の問題なので、そこがすごいと思う人もいるかもしれない。実際すごいんですが。
でも、私はそういうことをファンタジーには求めていない。
ファンタジーどころか、そもそも小説に求めていない。

そう言えば、最近読んだ『卒業の夏』も(父子問題は無かったけど)「荒ぶる青春の雄叫び」という感じでした。だからあまりハマらず、淡々と読み終わってしまったのかも。

あと、この作品は十分にSFともなりうる。SFの匂いがする。(ル=グインはSFも書いているそうですね。)
私はSF、あんまり得意じゃないんです。

私が好きなファンタジー、それは「あらあら不思議。イギリスの古いお屋敷では、運がいいと何百年も前の子どもたちに出会えるんです」的なファンタジーのほうで。

さんざんいちゃもんをつけましたが、これでも続編を読む気はけっこうあるのです。
そのぐらい良い作品でした。

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夕方の余震は職場に地震予知警報が流れ、カウントダウンとともに揺れを待ちました。どんぴしゃりで揺れ始めたので、「おお!」と感動(?)しましたが、それにしてもいきなり揺れるのとどっちが精神的に楽なんだろうか?と疑問にも思いました。

つい2、3分前にも余震。

しかも震源地は原発のすぐそばときてる。暗澹。
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by foggykaoru | 2011-04-11 20:53 | 児童書関連 | Trackback | Comments(12)

がんばれ東北、がんばれ福島キャンペーン

c0025724_9341166.jpg私の場合、カレンダーどおりにしか休みがとれないので、GWには空いた東京を満喫することにしています。でも、今年のGWはでかけることにしました。東北の、福島に。

7月にも福島方面にでかける予定です。なぜなら、福島には「日本の湖水地方、日本のコニストン」があるから。ここ数年、ご無沙汰していますが、今年行かなくてどうする。

昨日は東北のお酒を飲みました。美味でした。
私はあんまり量を飲めないので、飲める方、私のぶんもがんがんいっちゃってください(笑)

写真はベトナム・ハノイのこじゃれた店。
メインサイトで北ベトナム旅行記「ハノイ出たり入ったり」連載中。
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by foggykaoru | 2011-04-10 09:42 | メインサイトのボツ写真 | Trackback | Comments(4)

ハリスおばさんニューヨークへ行く

ポール・ギャリコ作の「ハリスおばさんシリーズ」は、第一作の「ハリスおばさんパリへ行く」を数年前に読んで以来。
今回、この第二作を手にとったのは、震災&原発問題でささくれ立った心を癒すため。
(ここ数週間というもの、読む本はその観点で選んでます)

期待通りでした。
当然のことながら、第一作の新鮮味はありません。
安心のマンネリ感というか。
でも、心温まることうけあいです。

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by foggykaoru | 2011-04-08 20:24 | 児童書関連 | Trackback | Comments(2)