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THE S.O.U.P.

川端裕人作。「夏のロケット」で勢いづいてネットでユーズド購入。

サイバーテロの物語。
事件があって、その謎を解いていく、という筋書からすると、推理小説のカテゴリーに入れられないこともない。

2001年に刊行された当時は「近未来」だったはず。
文庫の解説に「今は古くなったことが少なくない」みたいなことが書かれているけれど、私にはどこが古いかわからないし、わからなくても全然大丈夫。というか、わからないほうが「こんなの古い!」とダメ出ししなくて済むから楽しめるかもしれない。

「夏のロケット」の爽やかさはない。
だって登場人物の多くがネットやPCに憑りつかれた人々。寝食を忘れてそのままじゃ死んじゃうよと言いたくなる人がたくさん。実際死んでるし。

でも、このブログを読んでくださっている方々に私が伝えたいのはそんなことじゃない。

主人公は「伝説のRPG」の開発者です。

で、それ自体はどうでもいい(苦笑)んだけど、
なんとそのRPGが

「指輪物語」と「ゲド戦記」を下敷きにしている
それどころか
その2作品に最大の敬意を払って作られている

ということ。

作者の川端さんは、ランサマイトじゃないけれど、ランサム・サガもちゃんと知っている人だけあって、子供時代に(ランサムよりもメジャーな)この2作品を愛読したのでしょう。

というわけで、この2作品のファンの方には嬉しい小説です。
そうでなくても楽しめます。

それにつけても「指輪」と「ゲド」は2大ファンタジーなんだなとしみじみ思う今日この頃。

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by foggykaoru | 2014-10-26 11:52 | 指輪物語関連 | Trackback | Comments(0)

わたしを離さないで

カズオ・イシグロ著。
映画作品として先に知っていた。観たわけじゃなくて。
予告編を視て、「あーー、そういう映画か。観たくないな」と思ってそれっきり。

亡父の蔵書だったのです。
少しでも本を減らしたい母が「邪魔だから何か持っていってよ」と懇願するので、しょうがないなあとこれを選んだという(苦笑)

持ってきてからも読まずに数か月。
中年以降、すっかりノンフィクション体質になっているので、フィクションに取り掛かるのにきっかけが必要なんです。
今回は「図書室の魔法」がきっかけ。
まだこっちのほうが読みやすそうだと思った(自爆)

実際、とても読みやすかった。
ほっとした。(なにしろ苦手なSFがらみの物語の後だから)
これも一種の異世界ファンタジーなのだけれど、SFではない。

深い悲しみが底流にある。
私の脳内では淡いピンクがわずかに混じった薄紫の世界。
カタルシスがあるわけでない。
正直、全然好きな話ではない。
でも読み終わって何かが残る。
カズオ・イシグロの力量を感じた。

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by foggykaoru | 2014-10-23 21:23 | 普通の小説 | Trackback | Comments(4)

図書室の魔法

ジョー・ウォルトン作。

本好きの少女の読書生活の描写が延々続くのだが、実はファンタジー、という不思議な作品。
ランサムの言及がほんのちょっとある、ということで、友人たちの間で話題になっていたのだが、ようやく読むことができた。

とにかくいろいろな本(SFとファンタジーが中心)が登場する。
それらを知っていれば知っているほど楽しめる。
私はSFは疎いので、知っていたのはごく一部だけ。ランサム以外は「ナルニア」と「闇の戦い」シリーズ。そして「ゲド」。

そして「指輪物語」。
これは別格の扱いで、最大の敬意が払われていて、しかも物語の進展にも深く関わるので、未読だったら話にならないと思う。

訳語に関して2つ不満がある。
まず、oakを「オーク」と訳すのはなんとかならないのだろうか。
普通の小説ならともかく、指輪物語が関わる話に「オーク」という言葉が出てくると、余計な気をまわしてしまう。Wikiによるとoakは「ナラとブナの総称」なのだそうで、だから、「ナラ」とも「ブナ」とも訳せないと考えたのだろう。でもここはえいやっとどちらかにしてしまい、訳注を付けてほしかった。
それとは逆に、fairyは「フェアリー」なのである。「妖精」という立派な日本語があるのに。「エルフ」と混同される恐れがあると考えたのだろうか?と気をまわしたら、エルフはエルフで後半にちゃんと登場した。

などという文句はさておき、
SFとファンタジーのファンには超お勧め。
ランサムファンは、、、読んでみてもいいでしょうという程度。

ただ、SF&ファンタジーファンであっても、自分が好きな作品が褒められているとは限らないので、そこんとこだけは覚悟してお読みください。



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by foggykaoru | 2014-10-21 21:04 | 指輪物語関連 | Trackback | Comments(6)

国マニア

副題は「世界の珍国、奇妙な地域へ」
著者は吉田一郎という人。
著者紹介には現さいたま市議とあるけれど、Wikiによると、その後、さいたま市長選に出て落選しちゃったそうで。

世界の50のちょっと変わった国または地域がとりあげられている。

冒頭の「極小国家ベストテン」が面白かった。
特にモナコ、サンマリノ、リヒテンシュタインの歴史が。
たぶんこれは私がヨーロッパ好きのせいだろう。ウィーンにリヒテンシュタインの美術館があって、行きたいと思いつつ行けなくて、それにしても何故にウィーンに?と思ったのだが、この本を読んでようやくわかった。

その他、アトス山が女人禁制はけしからん!と欧州議会が言ったんですと。
確かに行けないのは悔しい。
でも、普通に行けたらそれはそれで興味が半減するような気がする・・・

この本が書かれてから世界の情勢が変わっているから、たとえば香港の記述など、どうかなという感じ。クリミア半島はロシアになっちゃったし。

おお、ソマリランドのこともちゃんと書いてある!と思って「謎の独立国家ソマリランド」を確認したら、なんとなんと、高野さんをソマリランド行きに駆り立てたのはこの本だったのでした。すごいじゃん!

あとはビロビジャンという名前に反応してしまった。
この夏のシベリア鉄道の旅で、通ったのです。
ハバロフスクの近く。ユダヤ人自治州の首都だったところ。

ランサマイト向けとしては、スバールバル諸島に関する記事もある。
えっ、何って? シュピッツベルゲンのことです。ちょっと行ってみたいのよね。

毎日ちびちび読むといいと思う。
1日1つだと50日もかかってしまうから、2つずつ読んで約1か月で読み終えるといいでしょう。


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by foggykaoru | 2014-10-18 19:54 | その他のジャンルの本 | Trackback | Comments(4)

イザベラ・バードの旅

副題は「『日本奥地紀行』を読む」
宮本常一という大学の先生による講演を原稿に起こしたもの。
明治時代に日本を旅したイギリス人女性イザベラ・バードが書いた「日本奥地紀行」を読んでみようかと書店で手にとってみたのだけれど、ぶ厚くて、しかも文字がぎっしりだったので、一目でメゲて、その隣に置いてあったこちらで誤魔化すことにした(苦笑)

講演の記録だから、実に読みやすい。しかも面白い。
こっちにして正解。

イザベラ・バードのことは知っていたけれど、たいした旅行者だ。
なにしろ当時の日本の田舎は蚤の巣窟だったそうで。
シュリーマンは清国と比べて日本は清潔だと絶賛してくれたけれど、蚤のことは書いてなかった気がする。彼は日本の中でも先進地域しか旅しなかったのかも。(この本のことです。超お薦めです。)
田舎は貧しかったから、人々は風呂にもろくに入らず、着物も1年中着たきり雀だったそうで。

オーストラリアに蠅が多いなんて文句言ってたら、天国のイザベラさんに怒られる(笑)

興味深かったのは、「日本の店は通りに面して開かれている」という点。(語源的に「店」は「見せ」なのだそうだ。)
今のアジア諸国の店がまさにそんな感じ。
その他いろいろあったような気がするけれど、読んだとたんに忘れてしまった(涙)
とにかく、明治時代の日本は今の日本よりもはるかに「アジア」だったんだなあとしみじみ思った。(当たり前な感想ですいません)


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by foggykaoru | 2014-10-13 16:44 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(6)

ロシアの外食事情

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ウラジオストクで見かけたレストランのメニュー表示。

解読してみると

左上から右へ
ザフトラキ・・・って何?
ラーメン
ジャレナヤ・・・?
ロール←つまり巻き寿司ですな

左下から右へ
サラダ
トム・ヤム・・・自信なし
ナントカ(←解読する元気無し)チャーハン
ステーキ

ちゃんと読める人、教えてください。

ゥラジオは日本から2時間で行けるヨーロッパ的な町。
でもこういうのを見ると、アジアだなあと。

メインサイトでシベリア旅行記、ちびちびやってます。
お暇なときにどうぞ。
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by foggykaoru | 2014-10-11 14:49 | メインサイトのボツ写真 | Trackback | Comments(4)

「弱くても勝てます」

副題は「開成高校野球部のセオリー」
著者は高橋秀実。
高野秀行氏がこの人に「エンタメ・ノンフ(ィクション)」の書き手として高い評価を与えているので、「からくり民主主義」と「素晴らしきラジオ体操」を読んだ。
どちらもまあ面白かったけれど、高野さんの本ほど面白くなかった。
テーマの問題なのかな、とも思ったりした。
なにしろ私は外国好きだから。

というわけで、この本、あまり期待せずに読んだのだけれど、予想以上に面白かった。
期待しなかったのがよかったのかな? 
ドラマ化されてたんですってね。

何が面白いって、取材対象の開成の野球部員が面白い。
練習時間が限られているから、そのぶんいろいろ考えるんだけど、元来考えるのが好きな子たちだから、もう本当によく考える。時には堂々巡り的にもなるけど。そして考えたことを言語化できる。
監督もすごい。頭のいい部員を指導するには、言語で刺激を与えることができる頭脳の持ち主人じゃなくちゃ。

監督は「野球は無意味」と言い放つ。新鮮。
考えてみればクラブ活動なんてものは、本来、意味なんか無いんじゃないか。
「クラブ活動を通して人間形成をする」なんていうのは、後付けかも。
「授業外でやりたい子が集まって好きなことをやる」だけのこと。
それで何が悪い?

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by foggykaoru | 2014-10-06 21:59 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(4)

夏のロケット

「川の名前」を書いた川端裕人のデビュー作なのだそうだ。

高校時代のちょいとオタッキーな仲間たちのその後、というお話。
たいへん面白い。
ここんとこハズレばかりで意気消沈していたのだけれど、ようやく面白い本に出会えた。

そして、
「川の名前」のときも感じたけれど、川端さんの小説はランサム的です。
子供のときに初めて「ツバメ号の伝書バト」を読んだときの気分がよみがえりました。
ランサム・サガの子供たちが、大人になってからもう一度金鉱探しに挑戦しているみたいな感じ。

それだけじゃありません。

私は「伝書バト」、好きは好きなんだけれど、ベストではない。
あの作品は理系のことが多くて、面倒くさくてたまらない。
だから子供のとき、いつも読み飛ばしていたのです。
今回、ロケット造りの理論的な話をばんばん読み飛ばしているときに、「この懐かしい感じは何? そうだ、伝書バトを読んだときと同じなんだ!」と思い当たったのです(苦笑)

だから、「伝書バト」が得意な人はぜひ。

サントリーミステリー大賞の優秀作品賞受賞作だというけれど、これがミステリーなのかな? こんなに面白いのだから、違う賞だったら大賞をとれていたかも? だからってどんな賞がふさわしいのかもわからないけれど。直木賞とも違う。ファンタジーというのとも違う。

川端さんがいまいちメジャーでない(そこんとこもランサムに似ている(苦笑))のは、既存のジャンルと微妙にずれていて、損してるということなのかな? 


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by foggykaoru | 2014-10-05 20:43 | 普通の小説 | Trackback | Comments(4)

メリーゴーランド

荻原浩の小説。
前に読んだ「神様さまからひと言」がけっこう楽しかったから、疲れた頭にいいかなと思って読んだのだが・・・思いがけず辛口なお話で、ストレス解消にはぜんぜん不向きでした。
熱帯雨林のレビューは「神様~」以上に好評です。
どーやら私が疲れすぎていたらしい。。。
有川浩の「県庁おもてなし課」を思い出してしまった。
「お役所仕事」が辛辣に語られているという点で共通してるので。
「ドラマ向き」という点でも共通してるかも。
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by foggykaoru | 2014-10-04 21:42 | 普通の小説 | Trackback | Comments(2)