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週末ちょっとディープなタイ旅

下川裕治著。
「週末」シリーズの最新刊。
タイトルに「旅」とあるけれど、旅本だと思って読むとあてがはずれるだろう。
正確には「プミポン国王亡きあとのタイの現状」という感じ。

この本を読んで初めて知ったけれど、下川さんはタイ在住なんだそうです。
国王の死に際しての国民の反応等、定点観測してないとわからないことが書かれていて、非常に興味深い。

でももっともっと書けることがあるのに、抑えているのだろうと思う。
たとえば新しい国王はかなり問題がある人だということなど。
(新聞社勤務のダンナがバンコク支局勤務になったために、現地に数年住んだ友人から聞いた話なので、かなり信頼できる情報です)
下手なことを書いて、それがタイ当局に知られたら、きっとタイにいられなくなるだろうから。





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by foggykaoru | 2017-03-26 09:16 | エッセイ | Trackback | Comments(0)

老いと収納

著者は群ようこ。
溜まりに溜まった不用品を処分するお話。いうなれば断捨離エッセイ。

すごいなあと思ったのは、服装の総チェック。
ファッションの専門家である友達からのアドバイスをもとに、クローゼットの服を総とっかえに挑戦してるんです。
「今、似合うもの」を厳選して。
長年、自分に似合うと思っていたものが、実はそうでなかった、ということが多々ある。
年を取ったせいで、昔似合ったものが今はそうではない、ということもある。

私も服装チェックはしています。自力で。
「昔は似合ったけど、今はダメ」を発見しては処分しています。
でも、自分だけだと「明らかにダメ」なものしかわからない。
ファッションセンスあふれる友人がいてくれたら、どんなにいいでしょう。

あと、夏の部屋着として「高島ちぢみ」を採用したんだそうです。
今度夏のパジャマを買うときは、ぜひ高島ちぢみにしてみよう。

群さんとの大きな違いは、本の量。文筆家だもんね。
そして着物。これがすごく場所をとる。
私は着物には一切興味がなくて、ほんっとうによかった。


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by foggykaoru | 2017-03-21 21:52 | エッセイ | Trackback | Comments(0)

夜は短し歩けよ乙女

京都ファンタジーの旗手・森見登美彦の小説。

黒髪の乙女に恋した「先輩」が、京都中、彼女を追いかけ続ける話。
「すとーかー」と呼ばれかねない行為ですな。
でも、追いかけること自体は犯罪ではない。
追いかけられている人が追いかけられている事実に気づいていてこそ、犯罪になる。
「先輩」にとって幸いなことに、黒髪の乙女は追いかけられていることを全く自覚していないのでありまする。

本のタイトルが第一章のタイトルと同じなので、一瞬、短編集かなと思ってしまうけれど、四つの章から成る、長編小説です。
一つの章が一つのエピソード。
つまり、夜追っかける話は第一章のみ。

例によって、摩訶不思議な物語が繰り広げられ、楽しく読めます。
でも、男性目線なお話なので、「先輩」に感情移入することは、ワタクシには全く不可能なのでありました。
たぶん、男子、特に若い男子のほうが、キュンとくるのではないでしょうか。

アニメ化されたんですってね。もうすぐ公開ですって。
「先輩」の声を、今や大人気の星野源が担当したんだとか。
彼はめちゃくちゃ演技がうまい。心情に合わせてがらりと顔が変わるのに驚嘆してますが、声優としてはどんなもんなんだろう? (もちろん台詞回しもとてもうまいです。でも、表情が伴ってこそだからなあ)
ちょっと興味はあるけれど、私はあんまりアニメに興味が無いので、たぶん見ることはないでしょう。
ただ、この作品を映像化するなら、アニメは最適な媒体だろうと思います。





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by foggykaoru | 2017-03-13 21:19 | 普通の小説 | Trackback(1) | Comments(2)

バウルの歌を探しに

著者の川内有緒という人。
彼女が書いた本としては、「パリでメシを食う」というのがあり、非常にそそられたけれど、未読。
そしてこの本もまた、かなり前からタイトルだけは知っていた。
でも、ずっと「パウル」と読み間違えていて、ヨーロッパ関係の話かと思いこんでいた。
ほんとうは「ハ」の上に点々。「バウル」。
ヨーロッパどころか、なんとバングラデシュの話だったのでした。

今回、古本屋で見つけて購入した決め手は、解説が高野秀行氏だったこと。
「新田次郎文学賞受賞」というのにも惹かれた。
なんだかんだ言って、賞をとった作品はそれだけのことはある、と常々思っています。

「バウル」とは、バングラデシュ(正確にはインドの一部も含む、ベンガル地方一帯)にいる、吟遊詩人のような人々のことをさす。
彼らの歌が、ユネスコの無形文化遺産になっているんだそうだ。

川内さんはパリでの国連関連の仕事に見切りをつけ、帰国し、バウルの歌を聴きに行こうと思い立つ。
でも、彼らがどこにいるかはわからない。
バングラデシュ人に聞いても、何がなんだかわからない。
雲をつかむような話なのだけれど、頼りになる相棒を見つけ、有能な現地ガイドとともに、バングラデシュをめぐる。

そして、ちゃんと見つけ出すのである。

よくよく人の縁に恵まれているというか。
あるいは、幸運を引き寄せる賢さを備えているというか。

きっとその両方なのだろう。

バウルについて、ヨーロッパでいうジプシー(今や「ロマ」と呼ぶのが正しいそうだ)のような存在なんじゃないかと想像したけれど、全然違いました。
修行をする人々なんだそうだ。
そして、その修行の奥義がスゴイ。すべての宗教を超越している。
古くからの存在だというけれど、一周廻って今や時代の最先端になっているんではないかと思わせる。

ユネスコの遺産になることによって、注目され、保護されるかというと、世の中そんなに単純ではない。
ある意味、保護されるのだけれど、変質する恐れもある。
保護されなくても変質する可能性はあるけど。

とにかく、とてもとても不思議な存在なのです。

ほんとにいったいどんな歌なんだろう?


バングラデシュの人々はとても親切なんだそうだ。
「インドなんかよりもよっぽどバックパッカー向き」だと、川内さんは言う。

ふーん。

でも、観光名所なんてないし、行って何する?


バウルを探すんだ!(爆)




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by foggykaoru | 2017-03-08 20:36 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(0)

母の遺産

水村美苗作。副題は「新聞小説」
この人の小説は長い。これも文庫上下巻。

どっぷりハマりました。
何回も読み直しました。

とても強烈なキャラの母親を抱えたアラフィフ女性が主人公。
上巻は母親の介護と看取りの悪戦苦闘。日本の医療に対する批判もたっぷり。
下巻はその後。主人公は自らの行き方を模索していく。

登場人物がわざとらしいとか、あり得ないとか、批判もあろうかと思いますが、私は心から楽しみました。まるで映画を観ているみたい。

老母のキャラ形成の裏側とともに、副題の意味もが明らかになります。
ほおおおっ!
なるほどねえ。
小説というのは人々にそういう影響も及ぼすのですねえ。

また、兄弟が多いと、同じ両親から生まれた子供でも、長じてからの人生に大きな差が出る。
そこに(兄弟自身だけでなく、その子供にまで)妬み・羨みなど、フクザツな感情が渦巻き、それがドラマの母胎ともなる。

ちなみに主人公は1970~80年ごろにパリに留学したという設定になっていて、当時の留学生の生態、「ブルシエ」と呼ばれるフランス政府奨学生と彼らのその後の人生が、私には実に興味深く、また、非常に説得力があるなあと感心したところでありまして。

でも、ブルシエなんて聞いたこともないという人でも大丈夫。
とにかく女性、特にアラフィフ以降の女性には超お薦めです。心に響くところがたくさんあるはず。

私はこの本、ブック○フで見つけたんですが、1冊108円でした。
まともな古本屋だったらそんな値段付けませんよ。作家が可哀想です。
興味を惹かれたあなたは、できたら正価で買ってあげてください。
(108円で買ったくせに何を偉そうに<私)



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by foggykaoru | 2017-03-06 21:15 | 普通の小説 | Trackback | Comments(0)