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異邦人

アルベール・カミュじゃありません。
副題は「世界の辺境を旅する」
著者は上原善広という人。
「日本の路地を旅する」という本で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞したそうで、この「路地」とは被差別部落を意味するそうで、上原氏は被差別部落出身なのだそうだ。

第一章はパレスチナのガザ地区の話、かと思いきや、
のっけから、著者の幼少時の思い出が語られる。重い思い出が。(ダジャレを言うつもりはなかった・・・)
紛争地域に乗り込んでいく、自分探し屋さん?という感じがなきにしもあらずなのだけれど、章を追うごとに読み応えが出てくる。
ちなみに、第二章から先は
バグダッドのロマの女性
スペインのカゴという被差別民
ネパールのマオイスト
イタリアとコルシカのマフィア
旧樺太の少数民族

どれも興味深いです。
特に最後の、旧樺太の話が、日本に関わりがあるだけに、胸に響きます。
日本にはいろんな少数民族がいたのです。アイヌだけじゃない。でもなんにも知らなかった。

この本はすぐに売っぱらったりしないで、しばらく手元に置いておくつもり。




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by foggykaoru | 2017-05-10 21:16 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(0)

ソフィアの白いばら

八百板洋子という人の、ブルガリア留学記。
古本屋で見つけて買ってしまったのは、ブルガリア旅行の思い出があるからこそ。

でも、私が行ったのは、ソ連邦崩壊後。

八百板さんが行ったのは冷戦まっただ中の1970年。全然時代が違う。

出会う留学生は共産圏出身者が中心。
学生たちはみな、自国のイデオロギーを背負って生きている。それが実に新鮮。
冷戦とは、そういうことだったんだな。

ベトナム戦争も終わっていない。
ベトナム人留学生たちにとってアメリカを支援する日本は敵。だからどうしても関係がぎくしゃくしがち。

数年前、2度にわたって無頓着にベトナム旅行に行ったけど、そういう歴史もあったんだなあ。(その後、もう1回行ったんだっけ)
ベトナム戦争のことは十分に念頭に合った。リアルタイムで知っていたし。でも、日本も関わっていたということについて、あまり意識していなかった。日本語を一生懸命勉強している女子大生のお宅で歓待されたりして、能天気に旅を楽しんだのだった。

当時、ブルガリアに留学する(できる)日本人というのは、特別な立場だった、、ということが、あとのほうになって明かされる。
八百板さんが抱えている病気のことも。
こういう構成はちょっと変わっているけれど、そういうことは、本当はできれば明かしたくなかったんだろう。

八百板さんは、後にブルガリア語翻訳者になったそうだけれど、なんとなく文章を書きなれていないような。独特の味わいがある、という言い方もできないことはないのだけれど。

福音館文庫なので、なんとなく青少年向き限定の本と思われてしまうかもしれません。
でも、大人が読んでも心が波立つ本でした。読んでよかったです。



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by foggykaoru | 2017-05-03 22:25 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(2)